室内はムッとするような性臭が漂っている。
とはいえ、青臭く生臭い男の匂いだけである。
八畳敷きほどの部屋には、ごろごろと五人の男が転がっていた。
さきほどまで桔梗に群がっていた連中である。
彼らは、若さに任せてこの妖女を貪るように犯した。
最初の口陰だけでは飽きたらず、おのおの二度くらいずつ女の口や顔に射精すると、
そのまま押し倒したのだ。
不敵とも淫猥とも言えぬ桔梗の表情に催され、若者たちは彼女を輪姦した。
それから一刻ほど経過した今、へたばっているのはひとりで責められた桔梗ではなく、
責めていた男どもの方であった。
桔梗は、ぐったりと力なく横たわった男どもを見やると、「ふん」と鼻を鳴らした。
「……まったくどれほどのこともない。まあ、最近の若い男なんざこんなもんかね」
相手のことなどまったく考えず、ただ己の薄汚い欲望のためのみ女を抱く。
目的が射精することだけだから、女のことなどどうでもいいわけだ。
こんなものを和合と呼ぶ男も男だが、そんな男に騙される女も情けない、と桔梗は思う。
ともかく、こんな児戯のような性交で桔梗をいかせることなど出来ない。
まるで動物の交尾のような、とも思ったが、交尾の方は子を為すという高貴な目的のためだ。
人間のそれ、特に今のこいつらの行為は、ひたすら快楽のみを追求したものだ。
しかも自分だけの、である。
犬猫の交尾の方がまたマシだと思った。
しどけない格好だった桔梗が、軽く一息ついて腰巻きを身につけようとすると、すい、と
障子戸が開いた。
「……まだ肌着を着けるのは早いだろう」
最初にこの部屋に顔を出したあの男が入ってきた。
青白い顔をした痩せぎすの男。
若いが、どことなく年齢不詳的な雰囲気があり、部屋にへたばっている男たちとは種類が
違うようだ。
この男が、お凛の言っていた萩原屋の若旦那なのだろう。
気配を察知していた桔梗は、驚くこともなく男に言った。
「そうかい? なら、どうしようってのさ」
「……」
桔梗の質問には答えず、男は無言で転がっている連中を見た。
そして無造作に片足を掴むと、まるでゴミでも投げ捨てるように廊下を放り出して行った。
次々と放り投げる様子を呆れたように見て、桔梗が言う。
「また随分と乱暴じゃないか。あんたとこの使用人じゃないのかい?」
「……きさま、いったい何者だ?」
男はまたも桔梗の問いを無視して、逆に訊いた。
「何をしに来た。ここを探るためか? どこのネズミだ、幕府の隠密とかいう連中か?」
「冗談じゃない、あたしは幕府とは無関係さ」
むしろ敵対している。
「……まあいい。いずれただのネズミではあるまい」
「あたしゃネズミじゃないさ」
狐である。
「とにかく、このまま返すわけにもいかん」
「ならどうするね?」
「……」
男は冷たい視線で、舐めるように桔梗の肢体を眺め回した。
なるほど、よく見るとあのお凛よりもいい体つきをしている。
この国の人間にしては珍しいくらいに胸も大きい。
肌もしっとりとして、なおかつもちもちしている。
二〇代半ばから後半といったところだろうが、脂も乗りきり成熟した裸体である。
「なるほど、お凛の身代わりというだけのことはありそうだな」
「気に入ってくれたかい?」
「それで、おまえどうする気だ。俺のところで働くというのか?」
「どうしたもんかね。それより、あんたここの若旦那なんだろ?」
「そう、らしい」
「らしい?」
女狐は眉間に皺を寄せて疑問を呈した。
「萩原屋……仙蔵、という」
「そうかい」
なんだか変だ。
喋る時、ぎこちない気がする。
それがどういうことなのか考えようとする前に、仙蔵が桔梗の肌襦袢を剥ぎ取った。
人とも思えない色香を滲ませた美貌がたまらない。
物も言わず、若旦那は桔梗の手を取り、着物の下に隠れた自分の股間にあてがった。
「!」
桔梗はその熱さと硬さに思わず手を引こうとしたが、仙蔵はがっちりと掴み、離さな
かった。
男の性器に触れたから驚くような純情な女ではない。
いきなりそんなことをされたからビックリしただけである。
己の怒張を誇示するような行為に、仙蔵はよほど自信があるらしいと桔梗は思った。
なるほど、布きれの上からではあるが随分と立派な持ち物である。
硬いだけでなく、サイズもかなり大きいようだ。
今まで見たことがない、とまでは言わぬが、これを突っ込まれたら確かに溺れる女も
いるだろうと思う。
その上、精力絶倫だとか、性技に長けているとかいうのなら、これはたまらないだろう。
そして、お凛の話を信じる限り、どうもこの男はそれに当てはまるらしい。
普通の女なら怖じ気づくところだが、桔梗には使命も自信もあった。
この男が何を思って遊女を集めているのかを知るためにも、ここは身を預けるべきだ。
そして、お凛が溺れかけたほどのまぐわいというのを、ひとつ試してみようとすら思って
いた。
そもそも桔梗は人間の女とは比べ物にならない。
いかに性豪だとて、桔梗の相手になるとは思えなかったのだ。
仙蔵は着物をはだけ、前を晒した。
逸物を見て、桔梗は思わず声を洩らした。
「へえ……」
なるほど、自慢もしたくなるだろう。
天を突かんばかりに勃起したそれは、胴回りが太く、いかにも硬そうだった。
長さは七寸ほどだろうか。
充分に巨根ではあるが、桔梗自身は一尺ほどもあるのを見たことがある。
思ったほどではなかったが、それでもこの大きさなら、人間の女を泣かせるに充分だったろう。
それに赤黒く染まっており、かなり熱を持っているようだ。
この男は、顔だけでなく全身が
青白かったので、肉棒だけが赤く、そのコントラストで余計に怒張しているように見えるの
かも知れない。
「……」
仙蔵はしばらく桔梗の肢体を見物したあと、膝をついて彼女の両脚を抱えて引き寄せた。
まだ桔梗には余裕があった。
「おや、結局こうなるんじゃないか」
「……」
不気味な男は無言でいきなり桔梗の乳房を掴んだ。
ただ豊満なだけでなく、もっちりした手触りに、大抵の男は随喜の涙を流して悦んだものだ。
そろそろ皮膚も衰えだし、大きな胸だけに垂れることを気にする年齢であるはずなのに、
桔梗のそれは二〇代前半の張りと艶を保っていた。
しっとりと指に吸い付くような感触に、さすがの仙蔵も息を飲んだ。
「これは……」
熟れきった果実のようなふたつの肉球は、にゅうと指が沈み込む柔らかさと、ぽわぽわと
その指を弾く弾力も兼ね備えていた。
その素晴らしい感触に、仙蔵は少し桔梗を見直した。
「……」
桔梗は無言で男の愛撫に身を任せている。
そんじょそこらの性技でまいってしまうような女ではない。
しかし少し、ほんの少しだが、桔梗は今までの男とは違う何かをその指先から感じ
取っていた。
仙蔵は、ずしりとした重量感のある乳房をゆっくりと揉んでいった。
揉めば揉むほどに柔軟さが増し、男の手の中でとろけてしまいそうなほどだ。
少し力を入れて揉み込むと、指がその肉の山に埋もれてしまう。
牛の乳でも搾るように、ぎゅうっ、ぎゅうっと揉み上げていくと、肉塊の頂点にある
小さな突起が徐々に充血していくのだった。
「は……ん……、……っ……」
桔梗の紅い唇から堪え忍んでいる声が洩れてくる。
彼女は、演技としては随分と悩ましい声を出すことが出来る。
またそれが男どもを魅了してきたのである。
しかし、本当に感じさせられて喘いだ経験などほとんどなかった。
なのに仙蔵ときたら、桔梗の乳を揉んだだけで彼女からその禁断の甘い声を絞り出し
ているのだ。
「な……、なんか……お、おかしいよ、あんた……あっ……な、何を……して……あっ」
さすがにこの妖女も勝手が違っていることに気づいた。
乳房を揉まれただけで、そこからピリッという小さいが確実な快感が流れ込んでくるのだ。
男の指が桔梗の乳房に食い込むごとに、その指先から快楽が直接注入されてくるような錯覚
を受けた。
「……」
仙蔵は「ほう」という感心したような顔をしたが、声には出さなかった。
少しずつ抗い出した桔梗を押さえ込むようにして、さらに乳房を愛撫する。
付け根から絞り込んだり、掴んだままゆさゆさと揺さぶっているうちに、その快感で乳輪が
ぷくりと膨れ、その上の乳首まで顔をもたげてきた。
「なかなか良い感度だ。それにその顔も悪くない」
「よ、余計なことお言いでないよっ、ああっ……」
女が快感に耐える表情が、この男をもっとも高ぶらせる。
「あ、ああ……く……、んんっ……は……」
桔梗は、胸から押し寄せてくる甘美な刺激を、唇を噛んで耐えている。
しかし、仙蔵がぴくんと勃起し硬くなった乳首を丹念にこね回すと、桔梗はその身体を
小刻みに痙攣させた。
堪えても堪えてもわき上がってくる喘ぎを必死に堪え、手を握りしめていた。
仙蔵はその手をムリヤリ開かせると、その手のひらをこそこそとくすぐりだした。
「ああっ……、あ、くあ……はあっ……」
手のひらも敏感な性感帯のひとつである。
足の裏、脇腹、腋の下といった、普段見えない箇所というのは快感神経が集中している
部分でもあるのだ。
手をくすぐられて感じている自分が信じられず、桔梗は仙蔵の手を振り払って逃げた。
まずい。
何かおかしい。
このままこの男の主導で嬲られたら、あられもない姿を晒してしまうことになりかねない。
本能的な恐怖を感じた桔梗は、いったんこの場は退散しようと考えた。
しかし若旦那は、四つん這いで逃げようとした桔梗の背中に乗りかかり、腕を前に回した。
「や、やめとくれっ……、きょ、今日はもう……」
「ここまで来てやめろはないだろう。きさまもここに入り込んできたということは、こうなる
ことは覚悟していたのだろうが」
それはその通りである。
この男も、さっきの若衆のように適当にあしらって虜にし、内部を探ろうとしていたわけだから。
それがこのザマだ。
自分の不甲斐なさに自己嫌悪するためにも、ここは逃げるしかない。
しかし、三味線を取ろうにも男が離してくれない。
もとより腕力は並みの男には負けないつもりだったが、この若旦那、やせ細っている割には力が
強く、掴んだ桔梗の腰を決して放さなかった。
男は桔梗のきれいな背中に覆い被さり、その胸を揉んだ。
女の身体が徐々に熱くなってきているのがわかる。
同時に、成熟が進んだ果物のような甘い匂いが漂ってくる。
両手で揉み込んでいた胸から右手を離し、それで白い裸身を触った。
官能的な曲線を描く脇腹から腹部を撫でていくと、その柔らかさが満喫できた。
それを太腿まで伸ばし、そのむちむちした脚を撫で回した。
「ううっ……」
その感触が気色悪いのか、はたまた感じているのか、桔梗の肌にざあっと鳥肌が立った。
そして指で女陰に触れられると、そこは熱を持ち、しかもしっとりと濡れていた。
五人の男どもの輪姦など前戯にもならなかった。
ほとんど濡れなかったのである。
無論、男の精は出されていたので、それを桜紙で拭き取っている。
以後はかさかさ状態だった。
なのに、仙蔵の執拗な愛撫を受け続け、桔梗のそこは愛液が滴っていたのだった。
「あ、そこはだめっ……、や、やめ、ああっ……」
桔梗の顔がカッと染まる。
男に濡らされたなど本当にひさしぶりなのだ。
その恥ずかしい状態を知られる屈辱で、彼女は羞恥に染まる。
男の手が乱暴に桔梗の秘裂を襲った。
仙蔵の指は信じられぬ動きをした。
五本の指がおのおの独立して蠢き廻り、割れ目の襞、クリトリス、膣孔をそれぞれに
責めだしたのだ。
その動きだけでも桔梗をして忘我に追い込むものだったが、それ以上に、またしても
あの感覚が覆ってくる。
胸を揉み抜かれた時に感じた快感である。
まるで指から直接快感中枢に染み込んでくるかのような愉悦。
作為的でもあるかのような快美感に桔梗は身震いした。
そして、さすがにおかしいと感じ始める。
(な……なんだい、これは……。こいつの指先からあたしの中に何かが入ってくる……)
ただ愛撫に長けているだけではない。
仙蔵には何かがある、と桔梗は思った。
だが、そんなことを考えていられたのも僅かだった。
仙蔵は四つん這いにした桔梗の腰を持ち上げ、後ろから貫いたのである。
「うっ……、くああっ……」
思わず桔梗が仰け反るほどの挿入だった。
野太い亀頭部を濡れた陰部に押し当てたかと思うと、躊躇なくその魔羅を桔梗の膣に
押し込んだのだ。
膨れた先端が膣を押し広げていく感覚。
その後すぐに通ってくる竿の硬さ。
一気に奥まで突き通された勢い。
そのどれもが桔梗を悩乱に追い込むものだった。
「あ……ああ……こ、こんな……ふ、深いよ、あんた……あっ、んんっ……」
仙蔵は単純な律動ではなく、意識して膣内の上下左右を突くように抜き差しした。
同じところだけを擦られるだけならともかく、あちこち抉られ、どこを突っつかれるか
わからないその攻撃に、桔梗は噛みしめた唇がほぐれ、ついつい声が出てしまう。
男の先っぽが、桔梗の子宮口をずんずんと突き上げる形になり、最奥が痺れていくのがわかる。
「あ、はあっ……ああ、あっ……うっ、ううんっ……あうう……」
桔梗の意識が虚ろになっていく。
変になっていくと自分でもわかった。
どんなに我慢しても、気持ちよくなってきていることを否定しきれなくなっている。
胎内で、膨れきった凶器が蠢いていた。
膣の襞を削り取られるような激しい律動に、子宮を押し上げられるような強い挿入に、桔梗の
理性が徐々に剥ぎ取られていく。
「……」
仙蔵は何も言わずに責めている。
息ひとつ乱していなかった。
普通の男なら、桔梗ほどの妖艶な美女を思う存分に犯し、しかもいいように感じさせている
この状態であれば、興奮して呼吸も荒くなるものである。
そうでない余裕があるのなら、言葉責めも交えるところだろうに、それもしなかった。
ただひたすら桔梗を犯すことに従事している。
「あひっ……!」
桔梗の声が裏返った。
仙蔵が桔梗の背中に届くように肉棒を動かしたのである。
膣の天井を強く擦られるような感覚に、桔梗はたまらずはっきりとした喘ぎ声を上げて
しまった。
「んはあっ……だ、だめ、奥にっ……奥に当たって、ああっ……」
桔梗の反応が激しかったのを見て、仙蔵はそこをまた責めた。
くびれた腰を両手でがっしりと掴むと、勢いよく膣の天井、そして子宮口を突き上げた。
むっちりした尻が浮き上がるほどに強く突かれ、桔梗は子宮が削り取られるかと思った。
桔梗が、責められ痺れる腰ばかりに集中していると、ふたたび胸をいびられた。
「くんっ……ま、また胸っ……お、おっぱいは、ああっ……」
硬く張り詰めていた乳首をくりくりと揉み込まれ、ころころ転がされると、びりびりと電流が
乳房を突き抜けて背筋を通り、膣の奥まで届いてくる。
そこを、太い肉棒で抉られると、泣き出したくなるような悦楽が押し寄せてきた。
仙蔵も桔梗の見事な乳房を堪能していた。
最初はふにふにと羽二重餅のように頼りない柔らかさだったのが、今はすっかり張ってきて指を
弾くほどの弾力を持ってきている。
乳首だけでなく、乳房も感応して充血してきているのだろう。
(だ、だめだ、これじゃ……。は、はやくこいつをいかせないと……)
本格的に感じてきている。
激しい責めに翻弄されながら、桔梗は必死に思いを巡らせた。
桔梗とて身体を武器に使い、今までも男に身体を許してきた。
心さえ許さなければどうということはない、という主義だからだ。
基本的に女好きである人間の男は、桔梗が艶っぽく微笑み、姿態を見せれば、ほぼ確実に
彼女の身体に酔ってきた。
その上で桔梗は情報を得、または相手を殺害してきたのである。
そう簡単にいってたまるか、というプライドが彼女にはあった。
桔梗は逆襲に出た。
仙蔵の肉棒を膣にくわえこんだまま、腰をグリグリと回しだしたのである。
こうすることで男根に摩擦を与え、射精に追い込むのだ。
もちろん、その間は膣を思い切り締め上げて亀頭部を圧することも忘れない。
この二重攻撃の前に耐え切れた男はいなかった。
これに桔梗が感じたような媚声を上げ、悩ましい美貌を見せれば一発で昇天したものである。
いくら仙蔵とて、それが通用しないとは思えなかった。
「……」
「!」
妖女は焦った。
仙蔵は平然としているではないか。
それもただじっとしてるのではない。
相変わらず桔梗を突き上げ続けているのだ。
桔梗は慄然とした。
仙蔵がいかなかったことに驚いているばかりではない。
自分が危ないのだ。
この技は、男にも大きな快楽を与えうるが、反面、腰を締めて回し続けている自分も
激しい快感を伴うのである。
まさに一か八かの一発勝負で、これを乗り越えられたら桔梗に策はない。
男はびくともしないどころか、桔梗の胎内に収まった肉棒がまた大きくなっているではないか。
これ以上だめだ。耐えきる自信などなかった。
「あっ、ああっ、ああっ……あ、あ、く、ううっ……あ、あひっ……だ、だめえっ」
腰がぶるぶる震えてくるのがわかる。
抑えが利かない。
身体がいきかけている。
膣が射精を欲している。
桔梗の意志では、もうどうにもならないところまで行っていた。
男が言った。
「……どうだ、そろそろいきそうなのだろう」
「……あ……」
見抜いている。
仙蔵はまだまだ余裕なのだ。
桔梗が切羽詰まり、いきそうになっているのを必死に耐えている状態なのがわかっている。
これでは勝負にならなかった。
桔梗がまだ男をいかせようと腰を回す攻撃を繰り返していたのを逆手に取り、また腰を
しっかり掴むと逆回転に回し始めた。
桔梗の腰がぐりぐりと右に回っているところを、仙蔵は左に回し始めたのだ。
当然、摩擦は二倍となり、凄まじいばかりの刺激が桔梗の肉襞を襲った。
「うわああっ……あああっ……あ、ああ、あひいっ……」
桔梗を知る者なら耳を疑うような悲鳴だった。
彼女がこんな声を出すなど、鬼哭村の面々すら誰も思わないだろう。
膣の襞をこそぎ取るというより削り取るほどの強烈な動きに、桔梗が一気に追い立てられた。
我慢しなきゃ、という気持ちにすらならなかった。
仙蔵は、感じまくって無秩序に動き出した桔梗の尻を押さえ、ぐいっと腰を押し込んだ。
肉棒は子宮を押し上げ、その小さな口に潜り込むところまで侵入した。
ゴリゴリと最奥の壁が削り取られ、桔梗は全身が痺れた。
(だ、だめだ……い、いっちまう……いっちまうよっ……)
辛うじて声に出すことは耐えたが、その顔は肉欲に浸りきっていた。
子宮口に亀頭部の熱い感触を得た桔梗の膣は、仕上げの精液を欲しがって、そのたくましい
肉棒を優しく強く締めつけた。
「くっ……」
仙蔵は小さく呻いて、濁った欲望を一気に噴出させた。
男の粘い熱湯が、桔梗の子宮に叩きつけられた。
どろどろした熱い濁液の感覚に、桔梗も漂白されるような愉悦を得ていた。
「あ……あ、あは……」
激しくいかされた妖女の腰は、勝手にぶるるっと痙攣していた。
仙蔵はそれをまだ許さず、尻たぶを持ったまま、あさましいほどに腰を押しつけ、奥深くで
射精を続けていた。
射精の発作を二十回ほども繰り返してから、ようやく桔梗から男根を抜いた。
「あう……」
まだ硬い肉棒を抜き取られ、張ったカリで膣口を削られる感触で桔梗が呻いた。
信じられないほどの快感だった。
こんなのは初めてである。
これなら吉原のプロたちでも身体が持つまい。
人外であるはずの桔梗ですら、みじめに絶頂までいかされたのである。
「……」
仙蔵は、抜いたばかりの桔梗の媚肉を見つめていた。
そこは口を閉じ忘れたかのように、まだ穴になっている。
大量に注ぎ込まれた精液と、桔梗自身が分泌させた蜜が混じり合い、どろどろと零れてきていた。
男はそれを無造作に指で掬うと、ぺろりと舐めた。
そして桔梗の尻をはたき、言った。
「これくらいで済むと思うな。まだこれからだ」
「……お、お待ちよ」
「……」
このまま男のペースに乗らされてしまったら、いかに桔梗が半妖とはいえどうなるかわからない。
なにせ、気をやらされたこと自体、ほとんどないのだ。
桔梗にとって人間の男と寝るということは、ただひとりの例外を除けば、相手を手玉に取り、
いかせるということである。
自分が相手の手管に翻弄されるなどということはプライドが許さない。
(……情けない。小娘じゃあるまいし)
気力を奮って桔梗は仙蔵に言った。
「こ、今度はあたしの番さ」
「おまえの?」
「ああ。口であんたを極楽へ連れてってやるよ」
「口か。いいだろう」
男の許可が出る前に、桔梗はどの怒張に手を伸ばした。
自分の蜜と男の精でしとどに濡れたそれを複雑な表情で見つめる。
まだまだ硬いそいつが、一瞬とはいえ自分を狂わせたと思うと妙な気分になってくる。
男が先を促すような素振りを見せると、桔梗は躊躇なくその逸物をくわえた。
「……」
仙蔵の男根は、媚肉に突っ込んだかのような錯覚を受けた。
桔梗の咥内は灼けるほどに熱く、そしてどろどろだったのである。
唇がきつく締めつけてくるが、それがちょうどよい具合の刺激になった。
そして膣より優っているのは舌の存在である。
咥内が膣内と大差ないほどの心地よさであることに加え、熱く柔らかな舌が縦横無尽に
動き回るのだ。
くわえる前に仙蔵と喋りながら、少しずつ唾液を溜めていたのだろう。
溢れるほどの唾が、たくましい肉棒にまぶされていく。
そしてわざと、じゅるじゅる、じゅぶじゅぶと淫らな音を立てる。
人はあらゆる知覚から性感を得ることが出来る。
桔梗は、耳から入る粘着質な音も、男を高ぶらせることを経験上知っていた。
「んん!?」
一方、桔梗の方も煌めくような性感を感じていた。
男の肉棒を口にし、喉奥を突かれた瞬間、ずくんと身体の奥に電流が走った。
そんなはずはない。
桔梗は目を閉じて耐えた。
咥内に性感帯がないわけではないが、それにしても乳房だの媚肉だの比べればだいぶ弱い。
舌を交換し合うような深い接吻で、性的快感を得ることは可能だが、それは胸を揉み込まれ
たり、膣を貫かれたりした時のものよりは生ぬるいはずである。
なのに桔梗は、仙蔵に口の中で軽く律動されただけで、まるで媚肉を犯された時のような
快楽を得ていたのだ。
(な、なにか……おかしい……)
膣を犯された時にも感じたそれを、口でも感じていた。
何か仕掛けがあるとしか思えなかった。
でなければ、こうも簡単に桔梗を感じさせ、戸惑わせることなど出来ないはずだ。
「んん……んう……んんうっ……む、んぷっ……じゅるるっ……んんっ……ちゅぷ……」
桔梗は、なるべく早く男をいかせようとした。
玉や竿をいたぶるなどまだるっこしいことはせず、男の弱点である亀頭部を集中的に責めた。
桔梗の分泌する唾液だけでなく、仙蔵の先走り汁も合わさって、彼女の口中は洪水状態だ。
その中で、よく動く柔軟な舌がカリ部分や継ぎ目の皺を舐めねぶる。
柔らかい舌だが、その先端だけ固く尖らせ、さかんに亀頭先端を刺激した。
「……」
それでも仙蔵はほとんど表情を変えず、声も出さなかった。
狐の半妖女は焦ってきた。
今までのパターンなら、ここまで性技を使えば、男はたまらず射精していた。
のみならず、二度三度と続けて出させることすら可能なはずだった。
なのにこれだ。
「くっ……」
桔梗は一端口から出すと、そびえ立った唾液まみれの男根を下から上へ舐め上げて見せた。
耳でダメなら目である。
色気たっぷりの熟女が切なそうな顔で性器をゆっくりと舐めて見せる。
並みの男ならそれだけで射精ものである。
しかし仙蔵は無感動に桔梗の技量を眺めているだけだった。
女はまたその太いものをくわえた。
唇でしごき、意識してエラの出っ張り部分を強く擦った。
唇で締めるだけでなく、顔を左右に振ったり回したりしてさらに摩擦感を加えてやった。
「んん……んっ……んむっ……ふんっ……ん、んじゅっ……んんんっ……」
桔梗はさかんに頭を前後に振って仙蔵の性器を喰らった。
そのたびに、桔梗の口唇から赤黒い肉棒が出入りする。
行灯の光を受け、ぬるぬるに濡れた肉棒が反射するように光った。
その様は例えようもなく淫靡で、男を誘うもののはずだった。
にも関わらず、追い込まれているのは自分である。
桔梗は意地になって攻勢に出た。
カリ首の根元や継ぎ目、鈴口、そして尿道口。弱いはずの箇所を責め抜いた。
舌先を左右に揺さぶり、男根の亀頭部を弾くように嬲ってみる。
「……」
さすがに強い快感が走ったのか、仙蔵の表情が僅かに動いた。
腿の筋肉が心持ち張ったような気もする。
ここだと思った桔梗は、かさに掛かって舐め回した。
そして頬の内側にあてがい、その粘膜で鈴口をねぶる。
「ん、んぷ……んちゅるるっ……んん、んん、んっ……」
桔梗が思い切り息を吸って頬をへこませた。
咥内が真空に近くなり、仙蔵の男根が破裂するような刺激を受けた。
これには仙蔵も驚いたようで、思わず桔梗の頭を両手で掴んだ。
構わず桔梗は、舌表面のざらついた部分と、裏側のぬめった部分を交互に使って、
敏感なカリや先端を愛撫した。
桔梗が尖らせた舌先で尿道口をこじ開けるようにすると、仙蔵は掴んだ頭を前後に
揺すり始めた。
さすがに感じ始めたのだ。
あとひといきというところだが、残念ながら桔梗本人も絶頂寸前まで追いやられていたのだ。
仙蔵の肉棒が不規則にびくびくと震え始めた。
射精が近いことはわかるのだが、桔梗もいきそうだ。
それでも無意識にしごく速度を上げ、男だけでなく自分もいかせようとするかのように
愛撫を続けた。
男根の痙攣がひときわ大きくなったところで、桔梗は喉の奥にまで飲み込んだ。
喉の柔らかい粘膜に擦られ、男の性感も頂点まで高まったが、桔梗も喉奥を貫かれる苦痛が
甘美なものにすり替わられてしまっていた。
「くっ……」
仙蔵は桔梗の髪を掴むと、腰をぐいぐいと喉に突っ込んだ。
その腰を押しやり、喉奥から抜いた男根の尿道口を舌の裏側で押さえてやると、男はたまらず
射精した。
どびゅるっ。
どびゅっ。
びゅるるるっ。
どぴゅ。
びゅくっ。
びゅるっ。
桔梗の舌を弾き飛ばす勢いで、仙蔵の精液が噴出された。
彼女の顔を押さえ込んだまま、射精の発作ごとに腰を揺すってくるため、口中に粘い精液が
撒き散らされた。
「んん……んくぅ……んぐっ……ごくっ……んくっ……」
何度も何度も吐き出される精液を、桔梗は残らず飲み込んだ。
咥内や喉に粘り着く精の感触を不快に思うと同時に、なんともいえず官能的なものも
感じていた。
桔梗は咥内性交でもいかされていたのだ。
喉を突かれたとき軽く達してしまい、その後、射精された瞬間に自分も気をやってしまった。
そのせいで、口に出された精液を貪るように飲み干してしまったのだ。
「あ……ああ……」
まさか口でいかされるとは思いもしなかった。
百歩譲って、口唇愛撫、つまり桔梗の媚肉を男が舌で愛撫した結果、気をやるのであれば、
あり得ないことではない。
ところが今回は、桔梗の側が男のものをくわえて射精させたというのに、その男根を突っ込
まれた口で気をやってしまったのである。
「……なかなかやるな。これならお凛でなくおまえの方がいいかも知れん」
「……そりゃどうも……」
まだそのくらいの憎まれ口を叩く気力はあった。
だが、このままさらに続けられたらどうなるのか。
完全に虜になってしまいかねない。
それを思うと桔梗の心が震えたが、仙蔵は恐れた通りのことを口にした。
「よし、では仕上げだ」
桔梗はぼうっとした頭でそれを聞いた。
何度も続けてされたことはあるが、いかされた後に続けてされたことはない。
とても無理だと思った。
ひさびさに気をやって、肉体がまいっている。
「……ちょっと休ませとくれよ……あ、あたし、もう……」
泣き言を言って見せた桔梗を突き倒し、うつぶせにした仙蔵はその尻を抱えて言った。
「ここに忍び込んできた以上、覚悟はあったのだろうが。ぐずぐず言うな、やるぞ」
「あ、やめ、ああっ」
* - * - * - * - * - * - *
鬼哭村がざわついていた。
桔梗が帰って来ないのだ。
長の天戒や幹部連は箝口令を布いていたが、もともと人口の少ない山村のことだ。
そういったことはすぐにわかってしまう。
「……」
天戒の屋敷に澳継と尚雲が集まり、三人で顔をつきあわせている。
他の連中は別行動で江戸に潜っている。
今回の桔梗の件はどちらかと言えば脇道の作戦で、だからこそ彼女ひとりで潜入したのである。
主作戦で行動している御神槌たちを呼び戻すかどうか考えあぐねていた。
確かに桔梗は、吉原へ入ったら一端村へ戻って報告し、天戒のその後の指示を仰ぐことには
なっていた。
しかしそれが一日だけとは言わなかったし、彼女なりに念入りに調べてから、ということ
なのかも知れぬ。
だがその反面、こういう場合、彼女が一日でも報告を怠ったことは過去にないのである。
「……まだ三日目ですし、騒ぐほどのことじゃないんじゃないですか、お屋形さま」
澳継はあまり重大視していないようである。
敵地に潜っての諜報活動であれば、そう簡単にはいかないであろう。
いちいち村へ戻って、というのでは先に進まない。
連絡が途切れて五日も十日も経つのであればともかく、まだ二日なのだ。
澳継自身、自分に自信があるためか、割と連絡を怠るところがあるので、こういう件では
特に心配しない方だ。
「まあ、そうなんだがな……」
「気になるか、尚雲」
「いささか……」
桔梗は奔放なところはあるが、こういうところは妙にきっちりしている女である。
尚雲はそう思っている。
従って、二日目にも連絡がなかった時点で少し引っかかってはいた。
「吉原ですから、そう厄介なのはいないはずですが」
「……」
「いたとしてもこないだみたいな幽霊くらいのもんで、公儀隠密が潜んでいるとも思えません」
仮に幕府の犬がいたとして、そんなものにむざむざ捕まるような女ではない。
「まして今回は、吉原の中にいる知り合いの遊女に話を聞くだけだったはず。一日どころか
半日もかからんはずでしょう」
「そうだな……」
天戒も、少し厭な予感がしている。
桔梗のことは知り抜いているつもりだ。
天戒の知っている桔梗なら、まず間違いなく二日も空けたりはしない。
となれば、何かあったと見るべきか。
「どうすんです?」
澳継が気乗り薄な感じで言うと、槍を抱えた破戒僧が顔を上げて天戒を見た。
「……若、私が行ってみましょうか?」
「……」
「おいおい、坊主の九桐は吉原にゃ入れないんだろ?」
少年がからかうように言った。
「いや、医者の格好をしていけば良い」
「医者……?」
江戸時代、医師は坊主頭であった。
毛髪は不潔である、という認識からだ。
それは当たっている面もあり、長髪であれば虱や蚤の温床となるのだ。
当時から日本人は清潔で風呂好きではあったものの、現代のように毎日きれいな入浴が
出来たわけではない。
自家風呂など夢の夢であったのだから、入浴とは当然共同浴場、つまりは銭湯である。
有料なのだ。
法外に高価なわけではないものの、裏長屋に住んでいるような庶民では贅沢というものである。
もちろん行水くらいはするが、冬ではやはり寒いし、数も減る。
そんな状況下では不潔になるのも無理はない。
だが一般市民はそれでもいいかも知れないが、医者が不潔では困るのである。
そのため、医師は頭を丸めた。
御典医などは頭髪や髭だけでなく、身体中の体毛を剃って治療や看護にあたったというから
徹底している。
従って、時代劇でよく見るような、髷姿や長髪、髭だらけの医者は完全にフィクションなのだ。
頭を剃っているという点で、医者と僧侶は見分けがつかない。
だから女好きな生臭坊主の中には、医者に化けて吉原通いをする者もいたらしい。
無論、服装は異なるが、法衣を脱いで普通の着物を着ればわからない。
それを聞いた澳継が声を立てて笑った。
「そりゃいいや、九桐が医者かよ」
「それしかあるまい。おまえじゃ、どう化けても子供だからな、吉原にゃ行けんさ」
ムッとした少年が何か言い返そうとしたが、それより早く天戒が尚雲に言った。
「よし尚雲、それで行こう」
「は」
「おまえが吉原へ行ってみてくれ。それで何もなければよし、桔梗と連絡をつけて戻って
くればいい」
「わかりました」
「取り越し苦労ならいいのだがな……」
* - * - * - * - * - * - *
「ああ、やめてっ……やめてよ、いやっ……」
桔梗は身を揉んで腰をよじり、仙蔵の矛先から逃れようとした。
四つん這いのまま懸命に畳を這い蹲った。
ただ犯されるだけなら、ここまでの拒否反応を示さない。
寄りにもよって仙蔵は、桔梗の肛門を犯そうとしたのだ。
肛門性交自体、珍しかった世の中ではない。
戦国の世ほどではないにしろ、男色はあった。
ということはアナルセックスがあったということだ。
稚児を囲う豪商や旗本もいたし、少年を使った売春宿もあった。
しかし、だからと言って、男が女の肛門を犯すということはあまりなかった。
当時、江戸の町の男女比は、実に七:三ほどであったとされている。
圧倒的な女性不足だったのである。
もっとも、これでも女性は増えた方で、家康が江戸に幕府を開いた頃は八:二だったと
いうから極端である。
これだけ男女比がアンバランスだと、どうしてもあぶれる男が出て、結果として性犯罪が
起こってしまう。
江戸の治安紊乱を懸念した幕府が、民間からの要請も受けて性処理の場を考慮し始めた。
それが吉原のような公娼街が出来た遠因にもなっている。
吉原以前は、どうしたって相手のいない男が大勢出てしまう。
そうなると、どうしても男性間性交がはびこることとなるわけだ。
だが、それだけに女相手であれば膣で交わる。
わざわざ尻の穴にしなくとも膣があるのだから。
そこを肛門性交しようというのは、よほど好き者か、変わった趣味の持ち主ということである。
無言で後門に侵入しようとする男に、桔梗は声を荒げて罵った。
「やめ、やめろってんだよ、この変態! ど、どこを犯ろうとしてんだい!」
キリスト教圏ほどは肛門性交が禁忌ではなかった江戸だから、桔梗にも何度か経験がある。
もちろんそんなものは好きではなかったが、相手の趣味だったのである。
そういうものが好きな連中は籠絡しやすかったこともあり、彼女も受けたのだ。
しかし、される桔梗にとっては快感どころか苦痛しかなく、面倒だったので括約筋を絞って
早々に出させてしまったものである。
「お尻なんていやだよっ、す、するなら前で……ああっ……」
腰をよじって逃げだそうとする桔梗のくびれた腰をがっちり掴んだ仙蔵は、男根の先を使って
器用に尻たぶに潜っていく。
熱い亀頭が肛門粘膜に触れる感触にのけぞる間もなく、男はぐいぐいと腰を使っていった。
「い、痛いっ……痛いよ、よしてっ……あ、ああ……ひっ……」
硬いものが小さな入り口をムリムリと割り込んでいく。
引き裂かれるかのような苦痛に、桔梗は背を仰け反らせ、握り拳を作って耐えた。
「さっ、裂けるっ……裂けちまうよっ……んんんっ……」
「心配するな、人間のここは案外伸縮性のあるものだ。それにおまえも初めてではなさそう
じゃないか」
「んんっ……」
仙蔵の言うことはほとんど耳に入らない。
長大な男根がじわじわと桔梗の菊門に抉り込まれていく。
苦悶の声を上げ、黒髪を乱して頭を振りたくり、肛門を抉り込まれる苦痛を逃がすしかない。
脂汗とも冷や汗ともつかぬ濃い汗を身体中から絞り出し、白い裸体を喘がせる。
ムリヤリ太いものをくわえ込まされ、いっぱいに押し広げられた肛門は痛々しいばかりだが、
これほど変質者を悦ばせる光景はない。
仙蔵はにやりと笑うと、ぐいっと腰を突き上げ、根元まで肉棒を押し込んだ。
「んはあっっ……!」
腸の奥までたくましいものを突っ込まれた感覚に、桔梗は気をやったような声を出した。
実際は絶頂するどころではなく、尻穴が裂けそうな激痛に呻くばかりだった。
「う、うう……むむ……」
その異様な圧迫感に、さすがの妖女も息ができないほどだった。
呼吸が苦しく、少しでも動くと、腸内の硬いものが襞を刺激し、突き抜けるような痛みが
脳髄まで届く。
それまで生意気な口を利いていた女が苦悶し痙攣するさまを見て、男は満足そうにうなずいた。
(それにしても……)
仙蔵は思う。
(膣も肛門もなかなかのものだな……。確か桔梗と言ったか、この女。なるほど、あのお凛より
もよいかも知れぬな……)
仙蔵が腰を突き出すと、桔梗の丸い大きな尻と下半身が密着した。
ぺたりと腿についた尻たぶの感触が素晴らしい。
男はいっそう結合が深くなるように、桔梗の腰を抱え込むようにして自分の腰を押しつけた。
「んむむむぅっ……あ、む……そ、そんな、お、奥まで……うああっ……」
桔梗は汗みどろになった顔をさかんに振った。
ほつれ髪を額や頬にへばりつかせたその美貌は、凄絶とも言える妖艶さだった。
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