男達が立ち去ってから5分ほど経つと、殷々とした静寂を打ち破り、ありもしない
人目を憚るようにしてひそやかに人の動く気配がした。
やがて2つの人影が製材所の奥に積んであった材木の背後から現れ、互いに暗闇の中で
視線をかわしあい、一人がつぶやいた。

「あいつら・・・・ ひでぇことしやがる」

もう一人が無言で頷いた。
彼らは最近この製材所で寝泊りするようになったホームレスだ。
お互いをそれぞれ「ヒデ」と「トシ」と呼び合っている。
もちろん本名ではないが、こんな身の上では本名にそれほど意味はないのでそれで十分だ。
この製材所は廃業したとはいえ、雨露を凌ぐには十分だし、何よりまだ電気と水道が
使えて便利だったので、夏の間のねぐらにしていたのだ。
そして今夜もそろそろ眠りにつこうかとしていたその時、複数の人が近づいてくる
気配に気づいて慌てて奥の材木裏に隠れて息をひそめた。
そこに現れたのは5人の若い男達。
そのうち一人はぐったりと気を失ったメガネの子供を肩に担いでいた。
男達はひそひそと何かを話し合っていたが、やがてそのうちの2人が製材所入り口の
ところに積んであった材木の裏に身を隠した。
「ヒデ」と「トシ」は緊張の面持ちで互いの顔を見合わせた。
つい最近、同じホームレス仲間が無軌道な若者達のいわゆる『ホームレス狩り』に
遭って大怪我を負った。
今目の前に現れた若者達がそいつらかどうかは分からないが、何やら怪しげな様子は
どうみても真っ当な人間には見えない。
見つかったら自分達も・・・・ そんな思いから出るに出られず、じっと息をひそめて
彼らが立ち去るのを待っていた。
そしてほどなくして彼らの目の前で始まった淫惨極まる狂気の性宴。
彼らはメガネの子供を人質にしてここへおびき出した高校生と思しき浴衣姿の
美少女を罠にはめ、散々その身を嬲り弄び、次々に犯し始めたのだ。
2人はその淫獣達の狂宴をなすすべなく見ているしかなかった。
一度、隠れていた場所のすぐ近くの水道に水を汲みにきた男に気づかれそうになって
ひやりとしたが、彼は首を捻ったまますぐに立ち去り気づかれることはなかった。
そうして数時間にわたった鬼畜の性宴が終わりを告げて男達が立ち去り、しばらく
そのまま待って彼らが戻ってこないのを確認してようやく姿を現したのだ。
ヒデが手探りでスイッチを探って見つけ出し、灯を点ける。
そして目前に現れた光景に今更ながら言葉を失った。
淫獣達の餌食とされ続けた美少女は製材所のほぼ中央で一糸纏わぬ姿で仰向けに
横たわったまま両手を大きく左右に広げ、立膝の脚を半開きにしていた。
身体中青痣だらけで、乳房周辺には無数の歯型や噛み傷が集中し、赤く腫れ上がっている。
そして彼女に加えられた陵辱の凄まじさを無言で物語る被虐の刻印がくっきりと
彼女の下腹部に刻み込まれ、大腿部に散った紅い破瓜の鮮血の痕の上に白濁の
ザーメンがべっとりと粘りつき、一部は乾きかけていた。
そのあまりに淫惨非道な光景にヒデが改めてつぶやいた。

「ひでぇことしやがる・・・・」

かすかな呼吸音とともにわずかに動いている乳房だけが少女の生存を教えてくれる。
しかし、わずかに開かれている瞳は虚ろで、視線の焦点が定まらず、こうして2人に
裸身を晒しているのも分かっていないようだ。
いや、そもそも意識が朦朧としてほとんどないに近い状態なのだろう。
その時、トシがペットボトルに水を汲んで近づいてきた。

「あの娘(こ)・・・・ 生きているんだよな?」
「ああ、何とかな」
「これ、飲ませてやるか」
「そうだな」

そこで改めてヒデは蘭を見やった。

――ごくっ

たぶん最後の男に陵辱された格好のままなのだろう、その淫糜な姿に思わずつばを
飲み込む。

「(それにしても・・・・ いい身体してやがるな)」

そして先ほどまでここで繰り広げられていた狂気の性宴のシーンが脳裏に蘇り、
身体の中から久しく忘れていた雄の劣情がふつふつと沸きあがって、下半身も
それに呼応するように徐々にエレクトし始めていた。
もうどれくらい女を抱いていないだろう?
妻とはとうの昔に別れているし、こんな薄汚いホームレスに身を窶した自分を
相手にしてくれる女などいやしない。また今は食うことに精一杯で女を金で買う
余裕などあるはずもなく、せいぜい道端で拾ったエロ本片手に虚しく自ら慰める
くらいだ。生身の女とはもう3年以上はご無沙汰だ。
ふと目をやると、トシもペットボトルを手にしたまま食い入るように目の前の
女子高生の裸身を見つめている。彼もおそらく似たような心境なのだろう。
トシがヒデの視線に気づいて互いの目が合った。彼の目に宿る淫靡な光を確認し、
ヒデが誘い水を掛けた。

「オマエ・・・・ どれくらいやってない?」

間、髪を入れずに答えが返ってきた。

「3年・・・・ いや。もっとだな」

しばしの沈黙。
お互い相手が何を考えているのかは手に取るように分かった。
だがそれを口に出すのをはばかり、押し付けあうようにして逡巡している。
その間、およそ30秒ほどだったろうか。
そこでようやくヒデが決断した。
こんな絶好の機会を逃したら、当分女を抱くチャンスなどないかもしれない。
それに今はこんな状況に身を窶してはいるが、まだ40代後半の男盛りなのだ。
一度湧き上がった劣情の炎はそうそう簡単に消えはしない。
ヒデは意を決して言った。

「犯っちまおうぜ。どうせこんだけ犯られちまったんだ。今更俺達が犯ったところで
問題ねえだろ」

トシもまた大きく頷き、卑猥な笑みを浮かべた。

「ああ。それに女子高生とやるチャンスなんか、今を逃したらもう絶対にないからな」

順番決めのじゃんけんに勝ったヒデがまず最初に蘭の身体をまたぐようにして立つと、
もどかしげに泥だらけでごわごわのズボンと汚れて茶色に変色したブリーフを脱ぎ捨てる。
彼の一物は徐々に立ち上がり始め、その存在をアピールし始めてはいたが、まだ完全には
エレクトしきってはいなかった。
ヒデが蘭に覆いかぶさり、目前の乳房を大きく鷲掴むと蘭がかすかに声を上げた。

「あうっ・・・・」

掴んだ乳房を何度もわしわしと揉み解し、その心地よい抵抗感を楽しんだ後、
今度はゆっくりと口に含んでぺろぺろと舐め回し、乳首をちゅぱちゅぱと吸い上げ、
舌先で転がしながら弄ぶ。

「あうっ、あうっ、あっ、ああっん・・・・」

蘭の意識が戻りつつあった。
同時にヒデの土気色の一物はその一連の行為で極限まで硬直し、十分インサート可能な状態になった。

「よしっ」

ヒデはそのいきり立った己の剛直ぐっとを蘭の膣口にあてがい、狙いを定める。
そして腰を落として蘭を抱きすくめながら正常位で一気に刺し貫いていった。

「うぐっ!」

その衝撃で意識を取り戻す蘭。

「ふんっ、ふんっ、ふんっ!」

目の前で耐え難い汚臭を撒き散らしながら見たこともない浮浪者が、自らの腰の上で
淫らに腰を振って自身を抉り貫いている。

「いっ・・・・ いやぁぁぁぁ!」

本能的に男を跳ね除けようとするも、あれだけの蹂躙を受け続けた身体はいうことをきかず、
ただがっちりと繋がれた腰を揺すってもがくだけだ。

「うおっ、うおっ、うおっ!」

ヒデは久しぶりのセックスに興奮の極地だ。
そのためこの極上の女体を味わう余裕もなく、ひたすら蘭を抉り貫いて射精を目指し、
あっという間に達して咆哮を上げた。

「おおっ、おおっ! で・・・・ 出るっ!」

その瞬間、亀頭の先端から熱い獣欲の滴りが迸っていた。

どぴゅ、どぴゅ、どぴゅどぴゅどぴゅっ!

勢いよく噴出した熱水を蘭の中へと注ぎ込み、ヒデは腰を振るって全てを搾り出す。

「おおおっ・・・・ い・・・・ いいっ・・・・」

抜き出した後も、久しぶりの女体への放出に感極まるヒデ。
だが射精直後のけだるくも心地よい余韻を楽しむまもなく、すぐに彼と入れ替わるように、
すでに下半身裸になり、すでに十分な硬度を備えて屹立した肉棒に手をそえたトシが、
蘭の股間を荒々しくまさぐって淫裂を探ると、その熱き鉄柱をとばくちにあてがった。

「いくぜ」

そして・・・・ トシが数年ぶりの思いのたけを満たそうと、ぐっと腰を突き出し、
蘭を
刺し貫こうとしたその時、怒声が闇夜を切り裂いた。

「オマエら、何をしてるんだっ!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「なあ親父、あの2人ちょっと遅くないか?」

小五郎を歓待していた雀田に息子の茂和が声をかけた。

「うん? そういえばそうだな。もうお祭りはとっくに終わってる時間だよな」

掛け時計に目をやれば、その針はもうすぐ午後11時を指そうとしていた。

「毛利さん、お嬢さん達少し遅くないですか?」

だが小五郎は完全にへべれけ状態で突っ伏し、完全にダウンしている。
何度かゆすり起してみるが無駄だった。
父親はあきらめたように息子に言った。

「オマエ、ちょっとひとっ走り会場まで見に行ってきてくれないか」
「ああ、分かった。それじゃあちょっとこれを借りるよ」

テーブルの上に置いてあった小五郎の携帯電話を引っ掴み、茂和は家を出た。
夏祭りの会場へと急ぎながら、茂和は蘭の艶やかな浴衣姿を思い出していた。
父親が小五郎一行を家に連れてきた時は驚いた。何しろ昨日空手部の後輩の
応援に行った関東大会で、その後輩を決勝で破って優勝を果たし、表彰台の上で
満面の笑みを浮かべていた美少女がそこに立っていたのだから。

「(そういえば、鷹村と鴨志田も来てたっけな)」

鷹村とは空手部の同期だがそれほど仲が良かったというわけではない。
いや、むしろソリが合わず、在部中も部員仲間以上の付き合いはなかった。
卒業後はほとんど顔も合わせなくなっていたし、またあの悪評高い鷲尾や烏丸と
つるんでいるということもあり、あまり関りになりたくなくて昨日も軽く挨拶を
交わした程度ですぐにその場を離れたのだ。
夏祭りの会場に着くと、既に宴は終わり、盆踊りの舞台を解体しているところだった。
2人のことを聞いて回る。
すると解体作業をしていた男が蘭のことを憶えていた。

「ああ、いたいた。小さなメガネの子供を連れたトンボ柄の浴衣にオレンジ色の帯を
締めた可愛い娘(こ)だろ。そういやあ、若い男と一緒に校庭から出て行くのを見たぜ。
ほら、あっちだよ、あっち。ただ、その時はメガネの子供は一緒じゃなかったな」
「若い男? どんなヤツですか?」
「うーん・・・・ 歳は君と同じくらいのなかなかのイケ面だったよ」
「そうすか。どうも」

茂和は男に礼を言い、その場を離れるとやや苦々しげな表情になった。

「(何だよ、ナンパでもされてほいほいついていったのかよ? そんな尻軽には
見えなかったんだけどな)」

とりあえず男の教えてくれた方角へ歩き出し校庭を出たが、これ以上探す当てなどない。
小五郎の携帯電話から蘭の携帯へと何度もかけているが呼び出し音が鳴るだけで一向に
応答はない。
それでも1時間近くは学校周辺をあてもなく探し回っていたが見つからず、
いったん家へ戻ろうかと思っていた矢先、ふと気がつくと前方から5、6人の集団が
こちらに向かってくるのに気づき、そこに見知った顔を見つけた。

「(あれ、あいつ、鷹村じゃねえか?)」

さらにその中に鷲尾と烏丸の顔も見つけ、反射的に物陰に隠れて彼らが通り過ぎるのを
待った。
すると集団がすぐそばを通った時、彼らの会話が断片的に聞こえてきた。

「最高だった・・・・ あの空手のチャンピ・・・・」
「ああ、いいパイオツ・・・ すげえ柔ら・・・・ いたぶり・・・・あったぜ」
「ホント、引き締まったいい身体・・・・ さすがに・・・・ 」
「あっちの締まりも・・・・ それにいい声で喘いで・・・・ あれだけで
イッチ・・・・」
「ホント、犯し甲斐の・・・・ 女だったすね。マジ最高・・・・」
「フェラもなかなか・・・・ 顔面シャ・・・・ そそるそそる」

男達の卑猥な哄笑とそれらの淫猥なセリフの断片から彼らが行ってきた非道な行為が
何であるか容易に想像がついた。
そしてその悪行の餌食にされたのが誰なのかも。

「(あいつら、まさか・・・・ だとすると、あそこか!)」

土地勘のある茂和には彼らがその悪行を行いそうな場所に見当がつき、大急ぎでそこへと
向かっていった。

茂和は林道へと分け入り、息を切らして目的の製材所へと向かっていく。
するといつもは電気が消えているはずのそこに明かりが灯っているのに気づき、
いったん立ち止まった。

「(まだ誰かいるのか・・・・)」

耳を澄ませば、低く唸るような男の声が聞こえてきた。

「(いったい誰が・・・・)」

足音を忍ばせ、製材所へと足を踏み入れる。
そして目の前に現れたのは、一人のホームレスが一糸纏わぬ姿の蘭を正常位で刺し貫き、
獣ような雄たけびを上げながら腰を振るっている光景。
その男が咆哮とともに果てて蘭から離れると、すぐさま別の一人が今度は蘭の両脚を
ぐいと引き裂き、その空間に立った。さらに彼女を犯そうというのだろう。
茂和は思わず絶叫していた。

「オマエら、何をしてるんだっ!」

ヒデとトシはその怒声に狼狽し、下半身裸のままで一目散にそこから逃げ出した。

「おいっ、待てっ、待つんだっ! オマエらっ!」

茂和は追いかけようとしたが、すぐに2人のホームレスは暗闇の中に姿を消してしまった。

「ちっ!」

茂和は蘭を抱き起こした。
だが蘭は三度(みたび)気を失ったようで反応がない。

「あいつら、ひでぇことしやがる」

どうやら鷹村達に輪姦された後、あのホームレスにも弄ばれたらしい。
父親に連絡しようと携帯電話を取り出した時、かすかな呻き声が背後から聞こえてきた。

「(まだ、誰かいるのか?)」

茂和が振り返ると、そこには柱に縛り付けられ、猿轡をかまされたコナンの姿があった。

「(あ、坊主もいっしょだったのか・・・・)」

すぐさま駆け寄り抱き起こして、口中に押し込められていたショーツを抜き取る。

「おい、坊主、大丈夫か、しっかりしろっ!」
「ううん・・・・」

コナンはまさに意識を取り戻し、覚醒しようとするところだった。
だがその瞬間、茂和の心にするりと悪魔が忍び込んだ。
手刀を一撃、コナンの首筋に叩き込む。
再びがっくりとうなだれ意識を失った
コナンの口にもう一度ショーツを押し込めた。

「わりいな、坊主」

そしてゆっくりと蘭のほうへ歩み寄る。
その表情に浮かぶどす黒い笑み。
蘭に直接会ったのは、もちろん父親が連れてきた時が初めてだったが、
以前から彼女のことはよく知っていた。
『月刊空手道』のグラビアを一目見た時からこの『格闘天使』に心奪われた。
そしていくどとなく淫らな妄想で彼女を犯し、自らを慰めの糧としてきたのだ。
その美少女がいま目前で裸身を無防備にさらしているのだ。鷹村達に輪姦され、
さらにあんなホームレスにも犯られてしまったことを差し引いたとしても、
その女体にまだ魅力は消えうせてはいない。

「(これだけ犯られまくったんなら、あと一発くらいかまわねえよな)」

茂和は、ゆっくりと蘭に近づくとおもむろに下半身をむき出しにした。
すでにそのシンボルは猛り昂ぶって雄々しく屹立し、天を衝いている。
蘭の両脚を大きく引き裂き、下腹部の茂みから股間に掛けてゆっくりと慈しむように
撫で回し、亀裂に指を挿し込んでたっぷりとそこに残されたザーメンを掻き出す。

「うううっ・・・・」

蘭がかすかに呻いた。
だが、次の瞬間、茂和は腰をぐいと落とし、その猛り狂う肉棒を蘭の中へと侵入させていた。

10分後、荒い息を整えながら茂和はトランクスとハーフパンツを身につける。

「これだけ犯られまくったてえのに、まだまだいい締りしてやがる。
こりゃたまんねえな」

そして2人を残してその場を立ち去ると何食わぬ顔をして自宅へと戻った。

「どうだった、あの子達はいたのか?」

父親が心配そうに聞いてくると、平静を装い、何食わぬ顔で言った。

「いや、結構探してみたけどいなかった。だけど何かナンパされたのを見た人がいたよ」
「何だって!」

驚いた雀田が小五郎をようやくたたき起こし、3人でもう一度探しに出た。
そして1時間後、ようやく小五郎によって蘭とコナンが製材所で発見されたのだ。

「そ、そんな・・・・ ど、どうして・・・・ 蘭っ! 蘭っ! らーんっーーーーー!」

小五郎の絶叫が夜の深いしじまにいつまでも鳴り響いていた。



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