浮気 04/阿井視点


 奈賀の指使いは、ソフトだった。なにもかも柔らかくて、痛みなんてひとつもない。比べてはいけない、と思うのだけどどうしても彼のやり方と比べてしまう。彼だって優しい。でも痛くない、なんて事はなかった。
 奈賀が撫でるように俺の弱みを刺激する。もどかしいくらいにゆっくりと。急かされることなく準備が整っていく。途中で指を増やされたけれど、やっぱりするんと入ってしまった。痛いどころか狭い場所への刺激が強まり、もっと気持ち良くなった。
「気持ち良い?」
 奈賀が尋ねる。愚問である。俺は甘えた鼻声で答える。
「んっ」
「ふふ」
 更に指が増やされた。それがゆっくり抜き差しされる。とってもイイのに、俺の躯は欲深だ。もっと深い場所まで可愛がって欲しくてじりじりしている。
「阿井のココ、すごく敏感だね。ほら分かる?ひくひくしている。俺の指きゅうきゅう締め上げてさ。もっと太いモノ、欲しがってる」
「ば…かっ」
「指なんかよりこーゆーのが欲しいんじゃないの?」
 忘れていた奈賀の股間を再び握らされ、俺はぎょっとした。
 別に男のペニスを握るのに抵抗を感じた訳じゃない。ただ、これを後ろに入れられたらとリアルに考えたら怖くなった。
 奈賀のソレは男として悪くないサイズである…と、思う。当然指より長く、さっきから物足りなさを訴えている奥まで届きそうだ。絶対気持ち良いだろう。
 でもそうしたら。
 これは冗談では済まなくなる。
「阿井の中に入りたいな」

2006.10/7



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