愛と道連れ





「なあ、寒くねえか?」

露伴より少し遅れて布団の中に入ってきた仗助が、穏やかな顔で問いかけてきた。この部屋に入った時は冷えていたが、今は電気ストーブの暖かさが広がり快適だった。
頷く露伴も、それを見て安心したのか鎖骨あたりに唇を埋めてくる仗助も、身に着けているのは下着1枚だけだ。胸や太腿が触れ合い密着すると思わず熱い息が漏れる。
仗助の母親は高校の同窓会で夜遅くまで帰らないらしく、現場を目撃される可能性は低い。しかし早めに帰宅するという予想外の事態も考えられる。その時仗助はどうするのだろうか。
回数を重ねていくうちに深いキスに慣れてきたのか、仗助の舌が積極的に絡みついてくる。若さに任せた、焦らすことを知らない攻め方が新鮮で露伴は密かに興奮を覚えた。
ふいに手が仗助の股間に導かれ、そこはすでに硬くなっていた。薄い布地越しでも、指先に微かな熱さを感じる。

「……キスしただけで、勃ったのか」
「だって激しかったじゃねえか、もうやばい」
「ぼくは、まだ」

言いかけたが、熱いまなざしで見つめてくる仗助が露伴の下着を脱がし始めて動揺した。
もう少しゆっくり抱き合いたいのに、先に進むのはまだ早すぎる。雰囲気を楽しむ前に挿れられてしまう。

「あんたのも、どうなってんのか見せて。恥ずかしい?」
「男同士で恥ずかしいも何もないだろ、気持ち悪い」
「だったら問題ねえよな……」

するりと太腿まで下ろされ、足首から抜かれる。露伴の下着は布団の中でもう行方不明になってしまった。続いて仗助も同じように脱ぎ捨て、ふたりとも全裸になる。いつ見ても逞しい身体で、まだ16歳とは思えない。
仗助が再び覆い被さってくると、下腹部に彼の性器が触れる。濡れた先端を押し当てられて、そこは先ほどよりも更に大きくなり硬度を増していた。

「露伴のも勃ってんじゃねえか」
「お前と一緒にするなよ」
「いい加減ちゃんと認めろっての」

口では強気で否定したが、仗助に突然握られた露伴の性器も確かに反応していた。変な雰囲気に流されてしまったせいでこうなった。全部、仗助が悪い。そう考えていると性器を扱かれて腰が跳ねる。

「ひっ、あ」
「ほら、感じてる」
「やめ……っ、嫌だ」
「それとも露伴は、こっちのほうがいいか」

膝裏を押し上げられ、仗助の指が露伴の尻を滑り窄まりにたどり着く。まだ慣らされていないそこを、唾液で濡らした指先で少しずつ解される。性器をいじられるよりも屈辱的で、遥かに感じる場所を探られておかしくなりそうだ。

「どこだったかな、露伴の気持ち良くなるところ」

淫らな期待に身体が疼いて、仗助の指の動きを拒めない。早く見つけて狂わせてほしいと思ってしまった。その長い指をもっと奥まで埋めて、しかし言葉にできずにいた。ある部分を押されて声を上げると、そこを執拗にいじられる。
やがて指が抜かれて、密かに待ち望んでいた性器が拡げられた穴に沈む。亀頭が収まってから仗助は急に気まずそうな顔をした。

「悪い、ゴム着けんの忘れた。一旦抜くから待ってて」
「いいから、このまま……抜かないでくれ」
「まじで? いいの?」

引きかけた腰を再び押し進めながら、仗助は息を荒げる。自分でも何故あんなことを言ったのか、そういう気分になったのか分からない。両手を伸ばすと仗助が身体を倒してきて、キスしながら奥深く繋がっていく。
いつもは用意していたコンドームを着けさせているが、今日は持ってこなかった。そういうことにしておく。一瞬でも待たされたくないのだ。ずっと拒んでいた生での挿入を許してしまえば、今後はもう止められない。

「仗助、もし今お前の母親が帰ってきてこれを見られたら、どうする」
「ごまかせるわけねえし、正直に言うよ。相手は男だけど、本当に好きだから抱いてるって」
「そんな、上手くいくはずが」
「露伴」

急に仗助の腰が動き、内側を何度も擦られる。みっともなく喘ぎながら顔を上げた先の仗助は、今まで見たことのない鋭い視線をこちらに向けていた。こんな関係がいつまでも続くとは限らないのに、ごまかしもせずに男との恋愛沙汰を母親に打ち明けるつもりなのか。

「じょ、すけ……」
「あんたのためなら、おれは」

低い声でその続きを囁かれて、無意識に仗助の性器を強く締め付けてしまう。その瞬間に身震いした仗助は眉を寄せ、露伴の中で達した。じわりと熱いものが広がる感覚が心地良くて、露伴も仗助に見られながら射精する。
恐ろしいほど真剣な愛をぶつけられて、このまま仗助を道連れに引き返せない場所まで行ってしまおうかと考えた。今更、冗談だったとは言わせない。




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2012/11/16