壊された心 気がつくと、ベッドの上で見知らぬ中年男に身体を撫で回されていた。 いやらしい手つきに零は嫌悪感を覚え、表情を歪める。しかも靴下以外は全て脱がされており、全身の隅から隅までこの中年男に晒している状態だ。 「零君はまだ17歳なんだって? さすがに肌の瑞々しさが違うねえ」 「あ、あんた誰だよ! どうして俺はここに」 「何だっていいじゃないか、君はもうおじさんの物なんだからね」 ねっとりと乳首を舐められ、零は出そうになった声を必死で抑える。気持ち悪いはずなのに。 本当に、何がどうなっているのか分からない。学校帰りに信号を渡り建物の角を曲がった瞬間、頭に強い衝撃を受けて、それ以降の記憶が完全に飛んでいる。 どこかのホテルかマンションの部屋なのだろうが、全く覚えのない場所だった。もちろん自宅ではない。今でも後頭部あたりがずきずきと痛む。 ベッドの下に散らかっている零の制服が視界に入った途端、突然唇を奪われた。生温かい舌が強引に割り込んできて、零の口内を生物のように這い回る。 舌を絡め取られている間、全裸の中年男の突き出た腹が零の上半身を圧迫しているので苦しい。そこに気持ち悪さも加わり、気が狂いそうだった。 もはやそうなったほうが気が楽かもしれない、と考えてしまう。これが悪い夢なら早く覚めてほしいと願った。 「ほら、零君のおちんちんも可愛がってあげるよ」 いやらしく笑う中年男は零の性器に手を伸ばし、亀頭をべろべろと舐め始める。さすがに堪え切れず、出てしまった声が震えた。 そんな零に気分を良くしたのか、下品な音を立てながら性器にしゃぶりつく。 自慰とは違う未知の刺激に身体は悦んでいるのか、亀頭から先走りが浮かび始めたのが分かる。 「おちんちんから汁が出てるよ。おじさんに舐められて気持ち良くなったんだね、零君は」 「ああっ、だめ……もうやめてくれ」 1秒でも早くこの中年男を突き飛ばして部屋を出ていきたかったが、性器を攻められているせいで全身の力が抜けて動けない。 嫌悪感よりも、いつの間にか快感が上回って零を支配していた。無意識に足を広げて、太腿をびくびくと震わせてしまう。 性器の根元にある膨らみも、まるで飴玉を舐めているかのように舌で転がされる。すでに勃起している性器は、限界に近付いて射精直前まで追いつめられていた。 ここで達してしまったら、この中年男の思い通りになる。玩具のように扱われるのはもう耐えられない。 「可愛い零君のエッチな顔、おじさんに早く見せてよ!」 敏感になっていた性器を急に強く握られた途端、零は自分の腹に射精してしまった。白い精液を何度も吐き出すと、何も考えられないほど気が遠くなる。唇を半開きにして、 乱れた呼吸を繰り返した。 「よし、じゃあ今度はおじさんも気持ち良くしてもらうよ」 ぐったりした身体を引き寄せられ、零は仰向けに寝転がった中年男に自分の尻を向ける体勢になった。目の前には必然的に、勃起した赤黒く太い性器が迫る。 何日も洗っていないような強烈な臭いに、達した後の余韻も吹き飛んで吐き気がこみあげた。 そんな零にも構わず、中年男は零の尻を掴んで左右に広げる。 「こうすると零君のお尻の穴、よーく見えるよ。お味のほうはどうかな」 「あ、そんな……嫌だ」 中年男は零の尻の穴を執拗に舐め回した後、舌をねじ込んだ。腸壁をかき回される異様な感覚は、恥ずかしくて気持ち悪いのに再び声が出てしまって止まらない。 こんな行為に感じてしまっているのかと思うと、絶望的な気分になった。 「零君も舐めてよ、おじさんのマツタケをさあ」 ごりごりと顔に押し付けられた中年男の臭い性器に、零は観念して舌を伸ばす。亀頭を口に含むと、臭い以上に不快な味がして涙が出そうだった。 誰かの性器を舐めるのはこれが初めてだが、この行為はとても好きになれそうもない。 亀頭にこびりついている想像したくない何かまで飲みこんでしまい、今度こそ吐きそうになった。 零の腸壁を舌で犯しながらも、中年男は腰を突き上げて零の口内に性器を一気に押し込む。喉の奥を塞がれて呼吸が止まった。 「全部舐めてくれないと、おじさんのマツタケが風邪引いちゃうからね」 名前も知らない中年男に性器や口内、尻の穴まで犯されて、しかも射精するほど感じてしまっている。 1時間も経たないうちにここまで自身を歪められて、取り返しがつかない。 「なあ、俺があんたの物になったって、どういうことだ……」 「詳しくは言えないけど、おじさんは君をあるところから買い取ったんだよ」 中年男が口走ったそんな言葉に、零はわけがわからず混乱した。気を失っている間に何者かに捕まり、更にこの中年男にいくらかの値段をつけて売り渡したということか。 今のこの国でそのようなことが許されるはずがない。しかし実際に、違法まがいの取引が行われていたのだ。 数時間前までは普通の高校生だったはずが勝手に売り物にされた挙句、こうして中年男の性玩具になっているという信じられない現実。 この男を殺すか、散々犯して飽きられるまで多分解放はされない。 「ああー、いいよお! 零君のおくち気持ちいいよ!!」 零が不器用に舌を動かしているうちに、口内の性器はびくびくと震えて亀頭から液体を垂れ流す。 それを飲みこむことができず、あふれた唾液と共に性器の根元へと流れていく。 そして零の腸壁は中年男の舌を締め付け、太い指が尻に食い込んでくる感触にも敏感に反応してしまう。舌を突然抜かれて、零は小さく声を上げて背中を反らした。 「さあ、そろそろ本番行こうか」 「え……?」 「零君のお尻にも、おじさんのマツタケを食べさせてあげるね」 一瞬遅れてその言葉の意味を理解して、零は身体を竦ませる。もうここで終わりにしてほしいという密かな願いは、無残に打ち砕かれた。 この男も金を出して零を買い取ったからには、好き放題楽しむつもりだ。所有物の要求など聞き入れるはずがない。 中年男は零を再び仰向けに寝せて覆いかぶさってくる。肩まで両膝を押し上げられ、尻穴に勃起した性器を押しつけられた時、零は目を見開いた。 「ま、待ってくれ」 「なんだい、おじさんもう待てないよ!」 「あの、俺……トイレに行きたい」 興奮しているのか目をぎらつかせる中年男に、零は控えめな声で訴える。逃れたいための嘘ではなく、本当に少し前から尿意に耐えられなくなってきていた。 部屋の間取りはまだ把握していないが、トイレくらいは普通にあるはずだ。 「そうかそうか、じゃあここでしちゃおう」 「ここ、って」 中年男は零を起こして座らせると、背後から密着して零の両膝を抱え上げた。その体勢はまさしく、母親が子供に用を足させる時のものだった。 こんなに恥ずかしい格好をさせた上に、このまま出せと言いたいらしい。絶対に嫌だ。 もし今の状態で出してしまったら、床に散乱している制服にかかってしまう。そう思って角度を変えようとしたが、背後の中年男はそれを許さない。 「零君はここでお漏らしするんだよ、遠慮しないでいいからね」 「でも、下には俺の服が」 「いいじゃないか、どうせもう着ることはないんだし」 恐ろしいことを言いながら中年男は、零の尿意を煽るように身体を揺すり始める。時間が経つにつれて我慢できなくなり、とうとうこの場で放尿してしまった。 中年男が零の性器を握り、制服の上着やシャツ、ズボンのほうに亀頭を向けているため放った尿は全てそれらを濡らし、布地にじわじわと染み込んでいく。 その無残な光景はまるで、もう高校生としての日常には戻れないという暗示のようで、生気を失った零の虚ろな目に涙がにじんだ。 |