それは多分、他愛もない事だったのだろう。
君らしい
「大佐、あの…」
「何だね、中尉」
「…、いえ。お手を止めて申し訳ありません。」
「ホークアイ中尉」
「はい、大佐」
「一度言いかけた事は最後まで言いたまえ。
私が気になるし、何より君らしくない」
「…はい。…そう仰るのは、とても大佐らしいですね」
嬉しかった。
「君らしくない」と云う言葉を貰う程に、
マスタングは自分の事を見ていたのだと云う事実が。
嬉しかった。
自分が自分らしくなかったことを、
気にしてもらったことが。
そして、その時話そうとしていた事は多分、他愛もない事だったのだろう。
ただ、話した後に
「やはり君はそうしてはっきり物を言う方が良いね」
と言われた時の笑顔しか覚えていないから。
この続き(?)が「気になりますから」です。
この話の大佐サイドです。
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