――此処は何処?僕は何をしてるの?僕は何でこんな所にいるの?僕は何時から此処にいるの?思い出せない。僕は…何なの?僕は………ボクハ……
「はぁっ……あ、ぁ……んんっ……!」
広い部屋の中心に置かれている巨大な寝台から少年の喘ぎ声と金属音が重なって聞こえて来る。数人の男に囲まれ、組み敷かれて身体を貪られる少年の両手首には寝台の柵に繋ぎ止められた手錠が光り、首に嵌められた水色の首輪がチリンッ…と鈴の音を上げた。
「ヘヘッ…何度抱いても締め付けて来やがる。こりゃ、マジで名器だぜ」
「そうそう。それにコイツ、フェラも滅茶苦茶上手くて……早くイカされ……クッ…まーたイカせる気か?」
「それってお前が早いだけなんじゃねーの?ま、イイや。ガキのクセに立派なテク持ってるのは事実だしな。…あの方が気に入る訳だ」
男が腰を揺らし、突き上げる度に少年はガチャガチャと両手首の手錠を派手に鳴らして涙を散らす。少年の顔を跨いだ状態で一物を少年の口に捻じ込んでいた別の男が涙に濡れた赤い頬を押さえつけ、急速に律動を速めた。
「ホラッ……今度もちゃんと全部飲むんだぞ……っ!」
「ぅあ………んぐっ…ううぅ……んうぅうーーっ!!」
口内で熱い肉塊が暴れたかと思うと独特の苦味と臭いが一気に舌の上に広がり、少年の目を固く閉じさせる。少しでも吐き出そうと口を開こうとした時には男の巨大な手が口を塞いで吐き戻す事を不可能にさせ、飲み込む事を強制していた。
「……っく…うぐっ……」
身体を震わせながらも飲み込む事で喉が上下したのを確認した男は満足げに溜め息を吐きながら少年から離れ、黒髪をグシャグシャと掻き回した。
「はい、よく飲めました。エライエライ」
「…ぐっ……ゲホッ…ゲホッ……」
咳き込む自分の耳に聞こえるのは棒読みな誉め言葉。何時の間にか抱え上げられていた下半身はガクガクと揺さぶられ、無理な角度で捻じ込まれている一物が接合部や腰に強いダメージを与えて激しい苦痛を提供する。それでも、苦痛を快楽に変えてしまう被虐嗜好な身体は自分の意思を無視して淫らに反応し、雄としての象徴を立ち上がらせて性的快感を得ている証を相手の男達に見せつける事で周りの嘲笑を買った。
「んぁ……やっ………ひ…ぃ…」
「ハハッ、乱暴に犯られて勃てちまってんのか。そんな淫乱な子にはお仕置きしねぇとなぁ?…と言っても、中に出されるのはお前にとっちゃ仕置きじゃなくて御褒美か」
「……やぁっ………ぃ…やあぁぁ…!」
喉の奥から絞り出すように拒絶の声を上げても受け入れられる訳が無く、互いの下半身が大きく痙攣すると共にドクドクと精が少年の中に注ぎ込まれて行く。熱となって腹部を焼き払うような感触に少年は突如狂ったように暴れ、声を嗄らして叫び始めた。
「い、いた、い……苦しい…!!お願い!僕もイカせて……このままじゃ…僕、狂っちゃうよおぉっ!!!」
「あー、まだ許して貰ってなかったのか。だとしたら、苦しいだろうな。……でも、コレばっかりはなぁ。あの方の許可が下りないと駄目なんだ。もうすぐ来られるだろうから、その時に頼んでみたらどうだ?」
「そ、そんな……こ、と…言わないで……ほん…とに…僕……死んじゃう…」
「オイオイ、そう簡単に死ぬなよな。あの方がガッカリするじゃねぇか。俺達もお前のそのやらしい身体気に入ってんだしな」
誰一人として真剣に少年の訴えに耳を傾けず、ハハハ…と呑気に笑いながら寝台から離れて立ち去って行く。薄暗い部屋には手錠に繋がれたままの状態で泣きじゃくる少年のみが残された。
それから、どれ位経っただろう。寝台に固定されたまま動けず、虚ろな瞳で壁を見詰めている少年の耳に部屋の扉が開く重い音が聞こえて来た。
「さ、食事の時間だよ。良麻」
耳に入った名前らしき単語に少年の眼が一瞬、細くなる。そうだ、すっかり忘れていた……。良麻は僕。僕の名前は、早坂、良麻。
「と、とう…ど……くん…」
名前を呼んで来た同年代の少年の名前を何とか思い出し、何処か舌足らずな状態でその名を口にした瞬間、頬に鋭い音と熱に似た痛みが走った。
「この馬鹿猫!何回言えば分かるんだ。この方は“御主人様”だって言ってるだろうが!!」
「あぁ…良いんだよ、別に。ゆっくりと覚えてくれれば良いさ。それよりも、君こそ何回言えば分かるんだい?彼の顔には手を上げるなって何時も言ってるじゃないか」
「は……はっ!申し訳御座いません!護お坊ちゃま!!」
“主人”である少年の笑顔から発せられる氷の声に“猫”を打った若い男は上ずった声をあげながら、腹に額が付きそうな勢いで深々と頭を下げると、少年はフンッと鼻で軽く笑って寝台に近付いた。
「おやおや、仕方が無いなぁ。今日の飼育係は誰だったかな?また可愛がっちゃって…。ま、手を出したくなるのも分かるけどね。こんなに可愛い猫なんだから」
「…ぃ……いぁ……あああぁぁ…」
“猫”と言われる早坂良麻の両足の間に主人――藤堂護が慣れた様子で手を伸ばし、中心部を指で広げると多量の白濁が溢れ出てシーツを濡らし、その感触に早坂はだらしなく開いた口から人間には理解の出来ない言葉を吐きながら、力無く手錠を鳴らした。
「あぁ、手錠付けっ放しだったら餌が食べられないよね。仕方ない。食べる間だけ外してあげようか」
「て、てじょ……も、だけっど……さき………こ、れ…はずし……ぉねがいっ…」
異常なまでに滑舌が悪くなっている早坂の声に藤堂がわざとらしく視線を動かすと、破裂寸前の屹立が血の管を派手に浮き上がらせた状態で震えていた。その塔の根元を見た藤堂がクッと小さく笑う。
「そうそう。それ外して無かったね。苦しかっただろう?出したくても出せないんだから」
舐めるように見詰められる早坂の本体の根元は革のバンドで堅く締め付けられ、精を吐き出す事を不可能にしていた。辛うじて滲み出たらしい汁でベタ付くそれを指でピンッと弾くと甲高い悲鳴が響く。
「でもね、良麻が悪い子だからお仕置きしたんだよ?ちょっと無理強いした位で…」
一旦言葉を切って間を置いた後、ゆっくりと藤堂が指差した広いシーツの片隅にあるのは液体で描かれた何かの地図とその中でポイントのように散っているのは赤い水玉。
「粗相しちゃったんだから」
「…………って……だっ…て………」
「だってじゃないだろう?…ま、一気にに二人相手…二本挿しを連続でさせたら血も出るし、怖くもなるか。でも、粗相はいけない事なんだよ。分かった?」
「わ、わかっ………から……はず、してぇ…!」
「…ホントに分かったんだか…」
余り話を理解していないようにも見える早坂の反応に大きく肩をすくめながら、藤堂は口の端を吊り上げた。
「外してあげても良いけど…ちゃんと僕の言う事を聞くんだよ。言う事を聞かない悪い子には、またお仕置きするからね」
「…き、くっ……ききっ…ます………」
首の鈴を大きく鳴らして何度も首を上下させると主人は大きく高笑いをして黒いバンドに手を伸ばす。パチンッとそれを外し、指で舐めるように筋を辿ると獣のような叫びが聞こえて来た。
「ほら、君の此処がドクドク言ってるよ良麻。…派手に出してごらん?」
「あっ……ぎっ……あああ、あっ、あぁぁあああーーっ!!!」
体内の熱と言う熱が中心に集まって塊と化し、一気に塔の天辺へと駆ける。自分でも信じられない量の精が幾度も激しい勢いで噴き出して辺りを汚していき、それは暫くの間止まりそうには無かった。
「やれやれ、かなり溜まってたんだね」
吐き出す瞬間に先端を手で覆う事で受け止めたそれを見てクッと笑い、顔を赤くして泣きじゃくる早坂の眼前に精の付いた手を見せ付ける。時間をかけて漸く藤堂の手から早坂の頬へとポタッ…と一滴零れた雫は白ではなく、卵黄に近い色をしていた。
「こんなに濃くって大量の精液…女の中に出してたら、ほぼ完璧に妊娠させちゃいそうだね」
言いながら自分の言葉に何かを思い付いたらしく顔をパッと輝かせて手を広げ、手の平を汚している早坂の種を眺めながらクスクスッと笑う。
「あぁ、そうだよ。こんな勿体無い出し方させずに上質な女と交尾させて妊娠させれば良かったんだ」
「……な、なんっで?…なん、で…そんな……」
「何でって……僕は優秀な人材が欲しいんだ。将来の僕の部下に相応しい人材がね」
殆ど身動きが取れない早坂の枕元に腰を下ろして手を突き出すと、濡れた舌が伸びて来て汚れを舐め取って行く。己の精を舐め取って行く猫へ向ける笑顔に冷酷の色を加えながら、藤堂は言葉を続けた。
「君の遺伝子を引き継ぐんだからIQの高い子供が生まれそうじゃないか。後は生まれた時から徹底教育すれば、その子は僕の忠実な下僕…おっと、部下になって働いてくれる。どう?素晴らしいと思わない?」
「………………………」
何も答えず…答えられずに主人の手の汚れに舌を這わせ続ける早坂を見た藤堂は小さく肩を震わせて笑った。
「…まぁ、今の君を見てるとそんな優秀な子供が出来るのかどうか不安にもなるけどね。すっかり馬鹿になっちゃって……。言葉遣いもたどたどしくなって来てる辺り、もう人間としての言葉も忘れかけてるんじゃない?数ヶ月前まで学園創立以来の天才と言われて、何時も小難しい事ばかり言ってたのにさ。……ねぇ、今僕が言ってる事少しは理解出来てる?アハハハハハッ!!」
秀才と呼ばれていた少年から知性を奪い取った事に対する優越感から生じる高笑いが響く部屋の片隅で控えめに鳴っていた食器の重なる高い音が止まり、若い男が寝台に近付いて深々と礼をした。
「失礼致します、護お坊ちゃま。猫の餌の準備が出来たのですが…」
「あぁ、そう。悪いけど、此処まで持って来てくれるかな。……さぁ、良麻。餌の準備が出来たよ」
首輪に鎖を付け、手錠を外す間に男が数枚の皿を床の上に並べて行く。湯気の無いスープの皿。千切ったと思われるパンの欠片や小さな肉の欠片を雑多に集めた皿。一目でそれは残飯である事が判る。
「おや、今日は思ったより量が多いじゃないか。そう言えば、掃除係の女の子がダイエットを始めたとか言ってたっけ。良かったね。暫くは多目のご飯が食べられるみたいだよ」
「………………………」
ベッドから降り、床に座り込みながら並べられた皿の料理(と言えるほど大した物ではなかったが)を凝視する。使用人達の食い残しか安く売られていそうな缶詰が自分に与えられる食事だった。栄養とか味などは殆ど考えていない、ただ飢えをしのいで命を繋ぐだけの食事。それでも口にしないと主人の仕置きが待っているので左手をゆるゆると皿に伸ばすと鋭い音が手の甲に響き、痛みがじんわりと広がった。
「お行儀が悪いよ、良麻。良麻は猫なんだから手なんか使っちゃ行けないって言ってるだろう?食事はどう言う風にするんだったかな?」
「…………ぁ……」
口から小さく声を漏らし、痛む手を擦りながら表情に迷いを見せるが、主人の笑顔から感じる威圧感に恐怖を感じた早坂は床に手を付き、冷めたスープの皿に顔を突っ込んでピチャピチャと音を立てて舐め取り始めた。
「そう、それで良いんだよ。………おや?」
満足げに頷きながら猫の食事を眺めていた藤堂の眉が微かに上がり、瞬きすると共に手を伸ばす。伸びた手は先端がスープの中で泳いでいる髪の毛に触れた。
「ほら、良麻。髪の毛がスープの中に入っちゃってるよ。……そっか。此処に来て大分経つんだね。髪もこんなに伸びちゃって」
髪を掴んでクイクイッと釣りでもするように上に引くと、皿に突っ込んでいた顔がゆっくりと上がり、口をポカンと開けたまま主人の顔を虚ろな目で見詰める。以前はさっぱりと短かく切られていた早坂の髪は今では肩までだらしなく伸びていた。
「仕方ないなぁ。食事が終わったら洗ってあげるよ。毛をスープで汚した汚い猫なんて嫌だからね……洗ってる間に例のアレを準備しておいてくれたまえ。ちゃんとシーツも変えるんだよ?」
伸びた黒髪を手櫛で梳きながら背後にいる若い男に声をかけると、男はハッ…と短く返事をし、深々と頭を下げた。