男の荒い息遣いが至る所から聞こえ、幾つもの手がハーフパンツから伸びている自分の足を撫で上げて来る。その感触から生じる悪寒に身体をゾクリと震わせる光矢に一人が耳元に口を近付けた。
「今日は俺達の為にサービスしてくれたのかな? 綺麗な生足見せやがって」
「肩や鎖骨まで見せちゃって……サービス精神旺盛なんだな」
「ち、違う…っ! 馬鹿っ、ベタベタ触るんじゃねぇよ!!」
  黒のタンクトップの上に羽織った大きめのパーカーを少しずらして肩を見せ、動き易さを重視して穿いてきたお気に入りのデニムのハーフパンツ。それは単にその日の気分で着てきた服なのに相手は都合の良い解釈をし、露出された肌を無遠慮に撫で、擦って来る。ザワザワと身体を小さな虫が這い回るような、決して心地良いとは言えない感触に眼を瞑って身を硬くする光矢の反応を舐めるように見ていた男達の内の一人がハーフパンツに手を伸ばした。
「っ!や、やめっ……やだっ…!!」
  両足をバタバタと派手に動かして空を蹴るが、すぐに別の腕が伸びて自分の両足首を押さえ付ける。数秒後、衣服が膝下まで擦り下ろされると同時に下半身に嫌な冷気を感じた。
「何だ、男かよ」
「あ? お前、ちゃんと話聞いてたのか? 写真見せて貰った時に男だって言ってただろ?」
「そうだっけ? 声も高いし、こんな顔してるから、てっきり言葉遣いが乱暴な女かと思ってたんだけどな」
「マジかよ! うわ、馬鹿だコイツ」
  聞こえて来る馬鹿話と笑い声に耳を塞ぎたくなるが、左手は押さえ付けられ、右手は母の助けを求めるかのように十字架を強く握り続けている。一瞬、目線を下半身に移動させ、即座に天井に戻して顔を赤らめた光矢の視界が滲み始めた。
「ま、男でも良しとするか。穴はあるんだしな」
「そうそう。こんな綺麗なガキをヤれるだけでラッキーと思わなくちゃな。……それにしても、こっちまで綺麗とはなぁ」
「やっ……!!」
  “こっち”と言う言葉と共に握られたのは、緩やかなカーブを描く肌色の中で慎ましく生えている薄桃色の小さな若芽。誰にも触れられた事が無い秘密の場所を蹂躙されている事に嫌悪の悲鳴を漏らすが、その声に男達は満足げな笑みを浮かべた。
「お前、幾つだっけ? まだ生えてねぇのかよ」
「ちゃんとオナニーはしてるのかな?」
「…お、オナニーって…」
耳元に囁かれる質問に戸惑う光矢に別の男が素早く口を挟んだ。
「しらばっくれんなよ。お前ぐらいの年頃のガキは毎日のようにしてるんだろ?」
「待てよ、こんなに成長遅いんだ。もしかして、アレもまだなんじゃねぇの?」
「まさか………」
「実際、扱いてやれば分かるんじゃね?」
「ぃやだっ、やだあぁっ!!」
  男の手にすっぽり入ってしまうサイズのそれが無骨な手によって握られて上下に擦りあげられると、望んでもいない快楽が男の手の中の其処に集中し、両足が小さく震えるのを感じた。
「お、硬くなって来た。何だ、やっぱりヤる事ヤッてんじゃねぇか。こんな事、何時覚えたんだ?」
「………」
「何時覚えたんだって聞いてるだろ!?」
「っ…!…ぅ……」
  男の質問に黙秘し、口を硬く閉ざして目を逸らす少年の頬に冷たい刃がピタリと当たり、頬に触れる冷たさが恐怖感を増長させる。光矢は暫く視線を泳がせていたが銀の刃の表面が頬に強く押し当てられると小さく啜り泣き始め、観念したかのように口を開いた。
「ひっく……中二の…始め頃に…」
「じゃあ、やり始めて半年位って訳か。よしよし、ちゃんと答えたご褒美にイカせてやるからな」
「そ、そんなの……嫌だっ…離せよ!……ぁ、あぁ…!!」
  拒絶の台詞は吐くが、その声は少女のようにか細く、男の欲望を逆に掻き立てる結果になった。その証拠に周りの息遣いが荒くなり、自分を支配している男もだらしなく舌なめずりをして、手を激しく上下させて来る。
「そうだ。その調子でもっと良い声出せよ」
「や、やめ、ろ……そんな、乱暴に……する、な…ぁ…!!」
「嘘吐け。ホント止めて欲しくないんだろ? 生えても無いガキの癖にいっちょ前に勃たせやがって。ほーら、先っぽ濡れて来たぜ」
「…はぁ、はっ…あぁ…!!」
  自然と開きっ放しになった口からはぁはぁと荒い息を吐き出した少年の顔を覗き込みながら、べた付き出した先端を親指で軽くマッサージするように撫でると小さく震えていた足がビクッと大きく跳ね、何かを拒むように少年が顔を横に向けて眼を硬く閉じた。
「ん、ぅん、あっ…や、やぁ…!」
「コイツ、もうイキそうだな」
「ほら、イク時の顔も見せるんだよ!!」
再度、天井の方へと無理矢理顔を向けられた際に恐る恐る眼を開けると、欲望まみれの瞳をした男達の顔が視界を埋め尽くしている事に気付き、慌てて目を閉じ直す光矢だったが、下半身の方は既に限界に達していた。
「あ、あ…も、もう……だ、駄目……み、見るな…!!ひっ、あ…あぁぁ!!」
  身体が強張り、腰が大きく弾けた瞬間、熱が例の箇所から小刻みに飛び出していくのを感じ、後に続く脱力感に息を激しく切らす少年を男達は無遠慮に笑い飛ばす。まだ幼い少年には余りにも酷な恥辱を受けた光矢は赤い頬に涙の粒をポロポロと零しながら十字架を握り直し、心の中で呟いた。
―――死にたい。

「お兄ちゃん。コウちゃん、いつ帰るのぉ?」
  不安げな声に振り向くと、中心で二匹のウサギがチョコンと座って笑っているパステルピンクの寝巻きに身を包み、首にリボンを着けた熊のぬいぐるみを大事そうに抱えた妹が声と同じ表情で立っていた。
「うん…多分、もうすぐ帰ると思うから、有花はもうお休み?」
「わたしもコウちゃん待つもん」
「駄目。もう遅いから寝るんだ。明日は朝礼があるから、早く学校に行かないといけないんだろ?」
「でも……ふわぁぁ…」
「ほら、欠伸が出てる」
  眠そうに眼を擦る妹の背中を軽く押して寝床へと誘うと、実は強い睡魔に襲われていたのだろう彼女は思ったよりも素直に布団に入った。枕に頭を埋める妹に笑いかけ、丁寧に布団を掛けてあやすように軽く叩く。
「大丈夫、兄ちゃんが有花の代わりに光矢を待ってるから。有花は何も心配しなくて良いんだ」
「…コウちゃん、帰って来るよね…?」
「帰って来るに決まってるだろう? 光矢が有花を置いて何処かへいなくなるもんか。さ、もうお休み」
「……そうだよね…おやすみなさい………」
  兄の返事に安堵の微笑を浮かべ、ゆっくり目を閉じると数分も経たぬ内に穏やかな寝息を立て始める。妹が寝た事を確認した智哉は小さく溜め息を吐き、妹の枕元に置かれた目覚まし時計を一瞥した後、部屋を静かに後にした。
 施設内の居間への扉を開けると、不安げに掛け時計を見上げていた寮母が智哉の方を振り向き、口を開いた。
「あぁ…智哉君…。有花ちゃんは?」
「今、寝かせました。……光矢は?」
  智哉の質問に寮母は小さく首を振り、顔を覆って悲痛な声を上げた。
「…私が悪いのよ! 光矢君から電話があった時に、今誰と何処にいるのか、何処に行くのかを聞いておけば、こんな事には…」
「…………」
  自分を激しく責める寮母に智哉は無言で首を振り、掛け時計を見上げながら言った。
「アイツの事だから、時間も忘れて遊び呆けてるだけかも知れません。…後三十分待って、それでも帰って来なかったら、俺が探しに行きます」
  コチコチと鳴きながら二人を見下ろす掛け時計は、既に十時半過ぎである事を知らせていた。

「どうだ、気持ち良かったか?」
  既に何本目なのか分からぬ缶ビールを煽りながら、今となっては優しかった父親の面影など微塵も無い父親が自分に近付き、樹液を吐き出した後もまだ小さく震えている薄桃を軽く指で撫でる。そして、顔を赤くして泣きじゃくる息子に鼻で笑いかけ、周りの男をチラッと見ながら冷酷な声で言った。
「お礼に今度はお前がお兄さん達を気持ち良くしてやるんだ」
「!!」
  その言葉が合図だったかのように周りの男達は獣と化し、至る所から手が伸びる。誰かが服を捲り上げた。誰かが膝下まで下ろされていた衣服を乱暴に脱がせて後ろ手に放り投げた。誰かが自分の手を掴んで、面妖な感触がする何かを触らせた。誰かが自分の両足を掴んで痛みを感じるまでに左右に派手に広げ、晒された其処に辺りが馬鹿みたいに盛り上がり、口笛まで聞こえて来た。
「今からお子様なお前を立派な大人にしてやるからな」
「な、何するんだよ……」
  男の言葉から、自分が何をされそうなのかは何となく想像は付いていたし、自分だって性に興味を持つお年頃。悪友にその手の雑誌を借りて読んだ事はあったし、彼の家で同じ類のビデオを鑑賞した事もあった。だが、それは異性同士での話。男同士でそれをする際のシステムに関する知識までは頭に入っていない。やっぱり、アレとアレをお互いに擦り合ったりして無理矢理イカせたりするのかな。自分なりに予想をし、それをされる自分を頭に描いて 背筋を震わせる光矢だったが、相手の男の口から飛び出したのは想像以上の事だった。
「決まってるだろ。お前の此処に入れるんだよ」
「えっ……」
  指さされた場所と想像だにしなかった言葉に息を呑み、硬直してしまった少年の反応に獣達は下品に笑い飛ばした。
「何だ、知らなかったのか。今時のガキはそう言う事の知識ばっかあるから、てっきり野郎同士のヤり方も知ってると思ったのに」
「し、知らない…そんなの……やだっ…やめろぉ……!!」
「すげぇな、お前。こんな所まで綺麗なのかよ。ま、処女だからかな?」
「ぅあっ……ゃ、やぁ…汚い……!」
  高々と両足を抱え上げられ、晒された静かな蕾に男の舌が伸びて周りを舐り、舌先が幾度も出入り口を突いて舐め啜る。相手の行動が信じられない光矢は嫌悪感に身を震わせ、吐き気を覚えた。
「そんな嫌そうな顔すんなって。初めてのお前に気を遣って濡らしてやってんだろ?狭くて小っちぇ穴しやがって」
「!…痛っ……!!」
  突如、無遠慮に侵入して来た太い指に痛みと異物感を覚えて奥歯を食い縛る光矢を舐めるように見ながら、相手の男はヘヘッとだらしなく笑った。
「痛いだろうなぁ? 小さい上にすっげぇ引き締まってやがるからな。俺の指を食い千切らないでくれよ?」
「や、やだっ……マジで、痛っ…抜いて……」
「そんなに痛ぇのか? 仕方ねぇなあ……」
「はぁ、はっ……ぁ…」
  中に入っていた異物を抜かれて密かに安堵するのも束の間、微かに濡れた男の指が少年の足や辺りの床に散っていた白濁を丁寧に掬い取ったかと思うと、またしても狭き目的地へと戻って来て白を周りに塗り込み始めた。
「なっ……何を…」
「お前が痛がるから、こうして濡らしてやってんだろ? なぁ。お前、自分の舐めた事あるか?」
「そ、そんなの……ある訳ねぇだろ!?」
「あ、やっぱり? じゃあ、ついでに味見も初体験してみるか」
「っ……ば、馬鹿…!そんなの、したくな……ぅえっ…!」
  言葉を言い終わる前に、別の指の上に乗った自分自身の種を無理矢理口に含まされ、未体験の独特の味と臭いに舌を出して嘔吐きかける光矢に追い討ちをかけるかのように、またあの異物感が襲った。
「ひっ……駄目…もう、やだっ………やだぁぁ…!!」
  勝手に本数を増やしたのか、さっき以上に強い異物感に首を激しく振りながら泣き出した光矢に他の男達の瞳の異様な光が一層強くなった。
「おい、ダラダラしてねぇでサッサと入れちまえよ。後がつかえてるんだぞ?」
「へいへい、分かりましたよ。…正直、あんま解れてねぇけど…ま、良いか」
「…えぐ……うっ、うぅぅ…!!」
  これからされる事の予想が大方付いたらしく、泣きながらも何とか逃れようと暴れるが、細い少年の身体は男達の腕にアッサリと押さえ付けられ、限界まで広げられている両足の間に男の腰が入って来る。指とは全く違う、だが指以上に恐怖を感じる太さを持つ何か(それが何であるかは頭では分かっていたが、直視する事は出来なかった)の濡れた先端が白濁で濡らされた蕾を幾度か撫で上げたかと思うと、強い圧迫感が少年の身体を少しずつ襲い始めた。
「やだっ! 嫌だっ!! …兄ちゃんっ……!! …お母さんっ!! お母さ……――――――っ!!!!」
  未だ手放さぬ十字架を痛みを感じるまでに強く握り締めて、無意識の内に兄と亡き母の助けを叫び求める光矢だったが、その声は直後の声無き叫びによって無残に途切れた。