「…ッ…あんっ…」
兄がそれに触れた途端、先日観たポルノビデオに出ていた女優のような声が口から漏れ、出した本人が動揺してしまう。そんな弟の様子を横目で眺めながら、智哉は先を濡らしてそそり立っている搭を丹念に擦り上げ始めた。手が動く毎に蜜が溢れ出て手を濡らす。体液でぬめった手に弄ばれる感触は、今までに感じた事のない快感を光矢に与えた。
「はぁ、はっ……にっ、兄ちゃん……男とヤッた事……ある…ッ…? …はぁ…上手過ぎる、んだけどっ…」
「上手い? ただ、俺自身がこうされたら気持ち良いだろうな…ってのをお前にしてるだけだが?」
「んぅ……!」
激しく息を切らして喘ぐ光矢に反して呼吸を乱さぬ兄の唇が耳元に近付いて囁くと、それによって生じる息が光矢の身体を震わせ、同時に新たな蜜が漏れ出るのを感じる。側面と兄の手を濡らし続ける卑猥な液が雫となってシーツに落ちた。
「やっ…やだっ……やぁ…!」
両足が小刻みに振動し、腰が無意識に上下するのも構わずに兄の手は弟を弄び、時折搭の下部にある膨らみの中身の射出を促すように揉む。やだやだと子供のように首を激しく振る弟が横目に見えたが、敢えて見えぬ振りをして蜜が止まらぬ先端に軽く爪の先を押し込んだ。
「ひっ…そ、そんな事、したら……イッちゃ……ぁ…」
「怖がらなくて良いから」
蜜と同じく流し続ける涙を拭わずに、無意識の内に十字架を握る弟に優しい声をかける智哉だったが、その声色とは裏腹に余った手はシャツを掴んで捲り上げる。シャツの下から出て来た秀麗な身体は、華奢だったあの少年が成長した証。うっすら汗ばんだ胸元で小さく膨らんでいる突起に躊躇無く舌を這わせると、光矢の口から裏返った嬌声が飛び出した。
「…ぁ……あ…だ、駄目っ…も………イッ…イキそっ…!」
「我慢しないで、イッて良いからな」
切羽詰った涙声を出しながら下半身をガクガクと揺らす弟に優しく囁きつつも、その手は止めでも刺すかのように強く擦り上げて来る。弟の開きっ放しの口から漏れる小刻みの嬌声に耳を傾けながら、中を搾り出さんばかりに強く握ると嬌声が一層強くなった。
「や、やめっ……ぅあっ、あっ……ぃあああぁ……ッ!!」
シーツを掴んで大きく仰け反った光矢の胸からへそにかけてやや透明混じりの白が飛び散ると同時に光矢は目を固く閉じ、くぅっ…と小さく呻くような声を出して泣きじゃくりだした。
「コウ……」
「馬鹿っ………恥ずかしいじゃねぇかぁ…!!」
絶頂の余韻と羞恥に顔を赤らめながら起き上がり、そのまま勢い任せに抱き付こうと兄の首の後ろに腕を絡めた時、身体が一瞬小さく跳ねた。恐る恐る兄の両足の間に入っている膝元に目をやり、再度何かを確認するかのように其処を動かすと、顔を筆頭に瞬く間に身体が熱くなった。
「…う、嘘っ…兄ちゃん…硬くなってる…」
「お前、俺を何だと思ってるんだ。俺だって人間の男だから、勃つ時は勃つさ」
「え………あ…そ、そうだな……うん…」
あくまでも淡々と返す兄に半ば気圧され、口篭りながら間抜けに頷く光矢だったが、小さく唾を飲み込むと兄の瞳を覗き込みながら問いかけた。
「…じゃあ、やっぱり兄ちゃんも一人エッチとかするのか?」
「健全な男なら、する事だよな」
「…あの、気になるから聞くけど…やっぱりエロ本とかで?」
どうも、あの冷静沈着で無表情な兄が自分を慰める姿が想像出来ないらしい弟が顔色を窺うように上目遣いで質問をすると、智哉は何故か小さく笑った。
「お前の裸を想像しながらしてた………って言ったらどうする?」
「えっ…」
予想だにしなかった答に固まる光矢に智哉は改めて微笑を浮かべ、未だに赤い頬を丁寧に撫でて言った。
「…信じるか否かはお前に任せるけどな」
「じゃあ、信じる。想像すると何か面白ぇし♪」
ニッと歯を見せて笑った弟の答を聞いた智哉の瞳が、ほんの一瞬だが丸くなった。
「本気か? 普通、嫌だろ。自分の兄貴が弟の裸想像してナニしてたとか言ったら……」
「俺は嫌じゃねぇよ。大好きな兄ちゃんが、何時も俺の事考えてるって思うと嬉しいから」
「…変な奴」
無垢な笑顔で繰り出す弟らしいストレートな愛情表現に智哉は苦笑を浮かべたが、それはまんざらでもない笑顔にも見えた。
脱いだシャツをベッドの下に放り投げながら何気なく兄の方を見た光矢の胸が大きく脈打つ。シャツを脱ぐ事で露わになった兄の背中は、学生時代に世界史の資料集の中で見た精巧な彫刻(アレは何と言う名前だっただろう。姿は浮かぶが、名前が思い出せない。確かギリシャかどっかの国の奴だった気がする)のように整っており、同性から見ても素直に憧れる筋肉も付いていた。別に醜い傷がある訳でもなく、充分に自慢出来る身体をしてるのに何で肌を出したがらないんだろう?
兄の半裸を眺めながら、普段から露出を避けるような服に身を包んでいる事を思い出して首を傾げる光矢だったが、彼の性格を考えると同時に一人で納得した。血の繋がりのある者以外には、決して自分を晒そうとはしないその性格――
「…何だ? ジロジロ見て」
視線に振り向き、怪訝な顔を浮かべる兄に光矢は慌てて首を振り、何でもないと一言付け加えて目を逸らした。弟の視界の外で兄は小さく息を吐き、未だ半裸の自分に対して生まれ立ての姿を晒している弟の肩をそっと抱き寄せた。
「もしかして、これ以上するのは怖いんじゃないのか? …怖いなら、もう止める」
「……えっ…で、でも…今、止めたら……兄ちゃんは、その………。そ、それに…さっき、制御出来そうに無いって…」
「まだ何とかなる。まぁ、ここでストップになったら、部屋に帰って自分で何とかして寝るかな」
「そんなの、空しいじゃん。…俺は平気だよ」
最初は自分で自分に言い聞かせるように呟き、
「…うん、兄ちゃんだから平気」
そのまま確信したかのように大きく頷きながら強く言う。そのまま兄の瞳に自分を映した光矢は、ゆっくりと兄の顔に手を伸ばして口付けをした。
「ほら、続きしよう?」
「……後悔しても知らないからな」
儀式のように口付けを返し、そのまま弟を横たえながらズボンのポケットに手を突っ込む。直後に其処から出て来た手の中には見慣れぬ小瓶があった。
「? …何だ?それ」
蓋が開かれた小瓶の中から手の平にトロリと落ちる液体を不思議そうに見詰めて来る弟に膝歩きで近付きながら、兄は手の平から零れ落ちそうな液体の正体をアッサリと口にした。
「ローション。お前の場合、殆ど濡れないからな」
「…ゥんっ……冷てッ…!」
両足の間に兄の手が滑り込んだ直後に感じた不慣れな冷感に身体を小さく震わせつつ、光矢は内心で小首を傾げた。こんなモノを何時の間に入手したのだろう? やっぱり兄ちゃん、俺が知らない間に彼女(彼氏だったり?)がいたとか?
それとも…まさか、何時かこんな事になる日が来るって予想してた? 其処まで考えた所で、突如思考が途切れた。物を考えるのもままならなくなった原因は、潤滑剤を塗られた其処を襲った久方振りの異物感。
「ッ! はぁっ……あ、ぁん…」
「痛いか? …思ったよりすんなり入るんだな」
やっぱり、あの時に無理矢理開発させられたからか? 一瞬、脳裏をよぎった愚かな言葉を頭を軽く振る事で振り払い、滑る指を奥まで進めると弟の半ば裏返った嬌声が聞こえ、シーツを顔近くまで掻き寄せるのが見えた。
「…っく……ぅ…うぁ…あぁ!」
「下手に力入れたら痛くなるだけだ。ゆっくり息を吐いてみろ」
情けない顔で泣きじゃくりだした弟の髪を撫でる兄の手と幼子に語りかけるような静かな声色に少し安心したのか、光矢は恐る恐るながら言われた通りに静かに息を吐き出した。震える吐息の長さと比例して、食い千切らんばかりに引き締めていた其処も少しずつ落ち着きを取り戻したのか兄の指を柔らかく包み込んで来る。
「ほら、痛くないだろ?」
「…んっ…」
光矢の表情が微かに落ち着き、シーツを握る手の力が弱まるのを確認した智哉は密かに安堵の表情を浮かべて指をそっと引き抜いた。
「お前、女みたいに濡れてるぞ。…まぁ、ローション塗ったからだけど」
「……あっ…」
例の潤滑剤も手伝って細く光る糸を引く兄の指を見た瞬間に光矢の顔が改めて燃え上がり、その熱が瞬く間にある部位に集まるのを感じて恥ずかしげに顔を覆った。
「? …コウ?」
突然の弟の行動に眉間に微かな皺を寄せる智哉だったが、何気なく視線を別の方へ向けた瞬間に唇を小さく吊り上げた。
「何だ? さっき出したばかりなのに、もうこんな事になったのか」
「…ひっく……だ、だって……だってぇ…!」
早くも硬度を取り戻した本体を一瞥した後、弟の顔を隠していた両手を取って赤い顔を覗き込むと、本気で恥ずかしがっているらしい彼は涙をポロポロと流して啜り泣き出した。恥ずかしがらなくて良いよ。心も身体も純粋で正直な弟をこの上なく愛しいと思った兄が優しく囁き、涙に濡れた頬に唇を当てる。
「…それだけ感じてるって事なんだろう? 俺は光矢のそう言う素直な所が羨ましくて、愛しいって思う」
「………!」
兄から与えられた愛の言葉(と言うのは自惚れだろうか?)に顔や胸が別の要素で熱くなり、涙が別の要素で瞳から零れる。予想以上に過剰な反応をしている弟に兄は珍しく照れ臭そうに頬を微かに赤らめて視線を逸らし、その場を誤魔化すかのように逸らした視線の先にあった搭の先端にそっと触れた。
「ひぁ…っ…!」
軽く触れただけなのに鋭敏に反応し、じわりと男の愛液を滲み出す弟のそれを指先で意地悪く弄ぶ智哉だったが、ふと自分の指と弟の先端の間に架かった体液の橋を見た時、何かを思い出したかのようにベッドの隅に手を伸ばした。
「はぁっ……はっ、な、何? 兄ちゃっ……ゃ…ぃやあぁぁっ…!!」
突然自分から離れた兄の反応に不安を覚えて、息を荒げながら身を起こそうとしたのも束の間、派手な声を上げて忙しく寝台に倒れ込む。兄が伸ばした手の先にあったのは、無造作に転がっていた例の小瓶。その中身をたっぷり湛えた手の平が、無防備な肉搭を擦りあげて隠微な水音を部屋に響かせる。数ヶ月前に初めて知った官能的な感触――女の中に入っているような感触に似たそれは光矢の理性を蹴り飛ばし、ただただ快楽に喘ぎ、兄の手の内で踊らされているような密かな恐怖に似た感情に涙を流すばかり。その後に続いた別の部位の異物感も今となっては快楽を掻き立てる薬の一つに過ぎなかった。
「あ、あっ、ぁ、ぅんっ…はぁ…ぁんッ……!」
滑る手に前を扱きあげられ、滑る指(途中から、何時の間にか本数が増えていた)に後ろを掻き回されて途切れ途切れの嬌声を躊躇い無く出す光矢の赤い頬に、閉じる度に涙を零す瞼に、半開きの唇に唇を当てる智哉だったが、相変わらず表情を余り崩さぬ彼の身体の中でも熱が渦巻き、それを冷静に抑える事に限界を感じ始めていた。それに気付いているのかは知らないが、弟は兄の背中に両手を回して涙混じりの喘ぎ声を漏らす。
「だ、駄目ッ……ぃ、イクっ…イカ、せてぇ……!」
「…まだだ」
呆気なく解放を求める光矢を兄は鋭い声で嗜め、弟の腕を丁寧に解いて寝台に寝かせた。
「お前ばかり気持ち良くなってないで、お前も俺を何とかしろ」
「…な、何とか……って………あっ」
兄の言葉に戸惑い気味に眉を顰める光矢だったが“何とか”の意味が分かった瞬間、身体を僅かに緊張させた。兄は何も言わずに見詰めている。自分も無言で見詰め返す。兄は待っているのだ。自分のある一言を。その一言を口にする決意が固まるのを待っているのだ。
「……い…」
決意を口にする声が震える。深呼吸。息を吐くと共に不思議と緊張感も薄れる。改めて兄の顔を見る。漆黒の髪。珍しく上気している頬の横を何時の間にか滲んでいたらしい汗が伝い落ちるのが見える。凛々しい眉に自分よりも切れ長の眼。…眼。見詰める。自分の顔が映っているそれを。穴が開くぐらいに。胸が高鳴る。そうだ、この人は好きな人。子供の頃から、ずっとずっと自分の傍にいてくれた人。気が付けば、足が自然と広がっていた。
「入れて……良い…よ」
言った途端に頭の辺りが爆発し、シーツで真っ赤な顔を覆う光矢だったが、智哉の方は別に気にする様子も無く小さく笑って頷いたかと思うと自分に背中を向け、ズボンのベルトを外した後にポケットから銀色の何かを取り出す。銀色を破る兄の手元を横になったまま盗み見ると、自分もかつての恋人を抱く時に世話になったそれが銀の中から出て来た。
「……ゴム?」
それの名を口にする自分の方を振り向かずに軽く頷く兄に光矢は眉間に小さく皺を寄せた。
「何で? 別に妊娠する訳じゃないし…。……あいつらだって…誰一人、そんなモノ着けずに俺を」
「俺をそんな獣と一緒にするな。男同士でも着けるモンなんだよ」
微かに声を震わせながら過去の悪夢を口に仕掛けた弟の言葉を遮るように自分の言葉を乗せた兄が振り返り、横たわる弟の上に乗って覆い被さるように抱き締める。温かい体温に自然と光矢の肩の強張りが解れ、恐怖や悲しみとは違う一粒の涙が耳の後ろに流れ落ちた。
「くぅ……んっ…うぅっ…!」
膜に覆われた兄の先端が進入を進める毎に兄の背中に回した指の先に自然と力が入り、奥歯の辺りを食い縛る。力抜けって。何処か遠く聞こえる兄の声に促され、さっきと同じように大きく息を吐いて緊張を緩めようとする。緊張と共に解れた其処の一瞬の隙を突いて、腰を大きく前進させると弟の叫びが耳を貫いた。
「やっ……ぃ、痛ぁっ……!!」
「すぐ慣れるから我慢しろ」
痛がる光矢にその場凌ぎの台詞を吐いて腰を掴んで抱え上げ、改めて自分の腰を突き出すと息を詰まらせたような声が聞こえたが、それにも構わずに律動を繰り返すと、少しは慣れて来たのか弟の声に艶が混じってきた気がした。
「はぁっ…あぁ……んっ…ふぅ……」
胸が触れ合う位に身体を密着させて時折両足を痙攣させる弟の中は温かく、肉壁に本体が擦れる度に言い様の無い快楽が智哉を包み込む。やがて、単純に前後する事につまらなさを感じて弟の腰を軽く上下に揺さぶってみると、弟の口から破裂音のような嬌声が飛び出すと同時に背中に鋭い痛みが走った。
「……っ!」
密かに奥歯を噛み締めるが、表情を乱さぬ智哉の背中に光矢の爪が食い込んで、痛々しい赤線が数本描かれていた。無計画に実行した自分の“悪戯”の代償に智哉は自分自身に対してそっと舌打ちをし、八つ当たりでもするかのように相手の最奥を突き上げる。背中の例の赤い線が伸びた気がした。
「ぃ、嫌ぁっ……!! や、あぁんッ…!」
忙しく声を出す光矢だったがその声は既に掠れ気味で、時折乾いた咳さえする。咳を聞く度に心配そうに光矢の顔を見る智哉だったが、身体の方は相変わらず狭くも熱き中を抉り、強欲に貪っていた。激しく身体がぶつかり合う接合部は潤滑油と本体を包む膜も手伝って泡立ち、智哉が腰を後退させる度に卑猥に粘る白い糸を引く。
それから、どれ位経ったのだろう。先に音を上げたのは弟の方だった。
「ひっ…に、兄ちゃっ……だ…駄目…も、駄目ぇ……!!」
裏返った声を聞き、視線を弟の本体に向け、溢れ続ける蜜で濡れた其処を見て小さく微笑を浮かべ、それに手を伸ばして包むように掴む。それだけでも腰を大きく上に掲げて小刻みに息を吐く弟の頬に智哉は軽く触れる程度に唇を当て、そのまま手に少し力を加えて扱き上げた。
「ひあっ、あん、あっ……イ、イクぅ…! ぅあ、ぁあああぁ……!!」
未だ中にいる兄をも巻き込むかのように接合部を収縮させた後、さっきと同じように背中を逸らして兄の手の中で達した光矢の腹部に先程よりも透明度が少し増した白が散り、絶頂の余韻に浸るかのように息を大きく吐いて落ち着こうとしたが、その休息すらも許して貰えそうに無かった。
「……はぁっ…」
絶頂を迎えた直後だからか、何処かボンヤリしている弟に気付かれぬように一度大きく息を吐く。自分も既に限界に近かったし、先程の弟の激しい極点への誘いが興奮を更に高め、射出を促していた。自然と汗に濡れた弟の頭を抱えて律動を速める。それに合わせて息遣いも小刻みになって来る。…ふと、腕の中から自分を呼ぶ声が聞こえた。
「…兄ちゃん…」
「…?」
返事をする余裕も余り無く、無言で抱えていた頭を少し離して眼を合わせると光矢はニコッと笑いかけた。不可解な笑顔に微かに眉間に皺を寄せる兄に弟は艶っぽい声で言う。
「身体にかけて? …兄ちゃんのイクとこ見てみたい…」
「……えっ…」
思わぬ言葉に瞳を僅かに見開く兄に光矢は改めて笑い、女が誘うかのように自分の胸の上に広げた手を乗せた。何時もの純粋無垢なそれとは違う、魔性さえも感じる妖艶な笑顔に智哉は操られたかのように腰を抜き(彼自身、既に余裕が無かったのも原因かも知れない)、膜を外した自分自身に手を添えて、自分を解放するのに一番具合が良い速度で手を前後させると、自分自身でも呆気ないと感じるほどに絶頂へと攫う快楽の波が押し寄せて来た。
「……うっ…」
小さく呻いた後、口の中で何かを呟いた(“イク”って言ったのだろうと、とりあえず光矢は思った)兄の先端から、自分のそれとは少し違う気もする白濁が飛び出して鎖骨から胸の辺りに降り掛かった。普段の彼からは余り想像し難い位に顔を赤らめて荒い息遣いをしている兄を面白そうに眺め、生温かい精を指にとって糸を引かせる。ヘヘッ。何故か照れた笑いが込み上げた。
「やっぱ、兄ちゃんのと俺のって微妙に質とか違うんだな」
見慣れぬ物を与えられた幼児のように指先で種を弄って遊ぶ光矢の腕を智哉の手が掴んで来る。どちらからともなく視線を合わせた二人は、どちらからともなく笑みを浮かべ、どちらからともなく唇を重ね合わせた。