スーパーマリン・スピットファイア(グリフォン・タイプ) 

   スーパーマリン・スピットファイア(グリフォンタイプ)

 

  1939年、9月に始まったスピットファイアメッサーシュミットBf109の戦いは中高度での戦いの大勢は、スピットファイアに軍配が上がっていました。両軍とも主力機の改良に明け暮れ、太平洋で日本海軍がミッドウェーで惨敗した1942年当時、ヨーロッパ戦線では主力戦闘機の最大速度はすでに650㌔を越えていました。
 中高度以上での戦いではメッサーシュミットを圧倒していましたが、超低空飛行での戦いではドイツに遅れを取るようになっていました。1942年頃から登場したJABO(爆弾搭載型戦闘機)はイングランド東南部に超低空飛行で来襲し、「ヒット&ラン」攻撃でイギリスの神経を尖らせる存在になっていました。現代のジェット戦闘機に比べると、爆弾搭載量は知れていましたが超低空ではスピットファイアといえどJABOに振り切られてしまうケースが多発しました。

 そこでイギリス空軍は2000馬力級のエンジンを搭載できるスピットファイアの開発指示を出しました。この当時、海面上で1700馬力相当のパワーが出せる「グリフォンⅢ」と呼ばれたエンジンが実用化の域に入っており、早速生産ラインの一部を変更して作られた100機足らずが先行して戦線に投入されました。先行した「グリフォンⅢ」搭載型の実戦データでは大きな問題は見られず、本命として開発していたエンジン「グリフォン60」を搭載したスピットファイアが登場しました。


 さすがにマーリンタイプよりも大型のグリフォンエンジンをそのまま既存の機体に搭載するわけにはいかず、エンジン架の改修や、主翼、プロペラ、冷却機回りなど細かい設計変更が必要となり、従来のスピットファイアとは一線を画する機種となりました。量産機が登場し出したのは、1944年に入ってからですがこの当時は既にドイツ空軍の衰退は明らかでジェット戦闘機などを除くとマーリンタイプのスピットファイアでも充分に対応できました。 さらにイギリス空軍省の後押しで高性能のグリフォンタイプのスピットファイアの試作機も開発されていましたが、量産機が日の目を見る前に第二次大戦は終結してしまい、グリフォンタイプはわずか900機程度しか生産されませんでした。


 性能諸元(Mk.XⅧ)

 全長; 10.14m
 全幅;  11.23m
 全高; 3.86m
 正規全備重量; 4222kg
 エンジン; グリフォン66(離昇出力:2035馬力)
 最大速度; 708km/h 
  武装;  20㎜機関砲×2 ブローニング12.7mm機銃×2      
      爆弾:ロケット弾×2~4



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