甘受/

「もう、たまらないんだよ……母さんが好きで、だから追っかけたり
して……好きだから、こんなに、なるんだ……

 強く躰を掴んだりしようとはしない。ただ泣き入りそうな声で、
母親の顔を見つめながら語る、息子。

「ああ……と、おるっ」

 指から赤い唇を離す。伏せて揺れる瞳が、息子の顔も怒張も見る事が
できない不安定な心を示していた。


「だから、お願い……して。ゆうべとおんなじように、舐めて……

 その言葉に誘われるように、美希子は息子の分身を見る。明るい、

息子の部屋。夏の陽射しに浮かんだそれは、女の芯から揺り動かされる
迫力だった。

 まだ生赤い先端は、固いえらを強調させている。
 太く長い幹は、肉の凹凸や血管を纏いいななく。
 まだ濃くも無い陰毛は、母親としての道徳をかき乱す。

 その全てが、圧倒的な存在感を持って、鼓動に合わせてひくひくと
振動している。収まる場所を、探して。


「ああ……っ、す、ご……

 すごい、という熱い囁きは、かろうじてのどの奥に飲み込んだ。しかし

言葉が消えても、女としての欲求はその自我の抵抗を上回る。
 美希子は、自分が知らないうちに、その逞しいペニスに顔を近づけて
いたのだから。

「つらいよ、かあさん……っ。早く、どうにか、して……

 唇の戒めから解かれた右手が、その怒張に辿り着く。我慢できない

風情で、その熱い幹を擦り始めた。母親の口の中に消えていた血が、
すぐに傷口から流れ始める。


「やめて、徹っ……ああ、だめ……母さんが、してあげる、からっ!」

 その叫びは、たまらなく熱く。つい言った言葉なのか、ついに言えた

言葉なのか。今の美希子には分からなかった。

「して、くれるの
……?また、舐めてくれるの……?」

 まだ、右手の動きを止めない、徹。


「舐める、から
……徹の、舐めてあげる、からっ」
「ああ……嬉しいよ母さん」

 その時やっと、血の玉を滲ませた右手が離れた。再びそれが動き
出さないように、美希子の唇は息子の中心に添う。

「ああ
……っ」

 たまらない。数センチ先にいななく、男のモノ。わずかにバスタオル
一枚だけ巻いた躰が、たまらなく熱くなっていく。


「ああ、早く……なめ、て」

 いいわ。徹のおちんちん、舐めて、あげる
……
 ごめんね。私の事思って、こんなふうにしてくれたのね……
 嬉しい……

「あ、ああっ!」

 それは、まさに喜びの声。母親の濡れた唇を感じた徹から溢れた声は、

その美希子の唇や舌に、あらぬ力を漲らせ始める。

「ん、んっ……ん、ちゅ」

 赤い先端に、何度も口づける。その度に、息子の体がぶるぶると
小さく痙攣する。気持ち、いいのだ。

「ん、ふ……ちゅ、ちゅっ……んっ」

 男の反応が、女を少しざわめかせた。キスを続ける唇。その中の、舌。


「あ、あく……っ!」

 鈴口に、男の先端のわずかな開口に、美希子の舌先が差し込まれる。

徹の腰が細かく震えるのを、美希子は感じた。

「ああっ……母さん、いいよ……気持ち、いいっ」

 息子が全身を使って表わす、口淫の悦び。してあげているほうの女に

とって、これほど嬉しい事はない。だから、舌は、さらに熱く。

「ちゅ、んん
……っ、ん、んふ……んふっ」

 差し込む。

 舐める。
 舐めまわす。
 吸う。
 えらを滑る。
 そして、唇は、そのえらを越えて。


「あっ、いい……っ!」

 切なげな、徹の呻き。先端だけではなく、シャフトも、母親の唇に柔らかく

包まれていく。血流の、増す、感覚。

「んふう……っ、ん、く、んん……っ!」

 閉められた唇から、洩れる吐息。逞しい分身を、舐めしゃぶる、行為。

女として心昂ぶる、往復運動。
 美希子は、また別の悦びに辿り着く。それは、自分の唇の中で、さらに
逞しく変化する、息子の、ペニス。
 自らおなかを痛めて産んだ子の成長を、口の中で、感じる母親。
 そしてその事実は、さらに、美希子を。
 口でさえ、そうなのだ。
 なら。



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