後悔/

「ああっ……いいの、徹……?」
「すごいよ母さん……っ、ああ、柔らかくて、ぷにゃぷにゃで……あああっ!」

「そう、なの……もっと、気持ちよくなって……あ、あんっ」
 両端をぐいぐいとせばめ、挟んだペニスを愛撫する。その度に固い幹に
擦れる乳首が、甘い痺れを呼ぶ。息子にしてあげている行為。自らも悦びを
感じる、恥ずかしい行為。
「母さんっ……母さんのおっぱい、最高だよぉ……っ」
 今度は、徹が母親を見る番だった。母親は熱に浮かされた目で必死に、
ペニスを胸でしごき立てている。入浴などで見ていた母親の豊かな乳房。
普段もたまらなく魅力的なのに、手のひらやペニスによって美しくも醜く
歪んでいるそれも、徹には眩しかった。

「信じられないよ……母さんが僕のを、パイズリしてくれるなんて……
あ、くうっ!」
「ああ、徹……そんないやらしい言い方、しないで……ん、んふっ」
 徹は、漫画やAVなどで知った知識。
 美希子には、初めて聞く隠語。
 しかし二人とも、それを意識する事でさらにあらぬ興奮を感じていた。
「ああうっ……ダメだよ母さん……気持ちよ過ぎて、出ちゃいそうだぁ……っ」
「母さんのおっぱいで、気持ちよくなってくれてるのね……ああ、嬉しい……
ん、んふう」
 息子の視線に、気づいている。
 恥ずかしい。
 でも、もっと徹を悦ばせたい……

「ああ、と、おる……ちゅ、んんんっ!」
「ああ、母さん、そんな……っ!」
 豊かな乳房の間から、ほんの少し覗いた息子の赤い先端。そこに
美希子は、舌を差し入れた。
 数日前の自分がその光景を見たなら、あまりの猥褻さに卒倒して
しまったに違いない。胸で息子の熱いモノを挟み、先を舐めている女。
しかし今の美希子は、それをまるで当然のように行っている。それ
どころか無理な体勢を強いられるその行為に没頭する事で、自らの
中心をたまらなく悦ばせている事も自覚していた。

「気持ち、イイよぉ……!母さん、すごい、すごい……っ!」
 それは、徹も同じ事だった。白く豊かな双胸に自分の浅黒いペニスが
埋没し、さらにはその先端を眉を反らせて必死に舐めているのだ。
美しい母親が、甘く唸りながら。
「ああっ、母さん、母さん……っ。出ちゃうよ、僕出ちゃうよ!」
「とお、るっ……んちゅ……んふっ……!」
 高まる放出感に少女のような声を上げる息子。
 特有の膨張を、胸と舌先で感じる母親。
「出るよ母さん、出るよぉ……飲んで、飲んでねっ……ああ、あっ……
くうっ!」
 寸前に徹が叫んだ願望。命令?

「んふっ、んんん……っ!」
 昨夜あれだけ抗った、精液を呑み下すという行為。
 しかし、夜にはまだ遠いこんな時間に、美希子は自然に。
「あうう、う、うっ」
 笠が膨らみ、その先端から溢れ出るスペルマ。乳肉の戒めを解いた
美希子は、息子の熱い樹液を舐め、飲み、啜った。最後の一滴まで、
逃すまいと。
 女の鼻を鳴らす声と、荒い呼吸音が響く、明るい子供部屋。
 裸で、息子のペニスに従う女。感激する息子。
 女と、男。

 その異常さに先に気づいたのは、やはり美希子だった。
 はっとして、口を離す。わずかに口の端からこぼれた滴りを慌てて
舐め取り、躰を離す。ベッドの上でくしゃくしゃになっていたバスタオルを、
急いで巻く。
「かあ、さん……?」
 まだ甘い霞の中にいるような声で、徹が呟く。
……ダメなの。やっぱり、ダメ」
 早足でドアを開け、自分に言い聞かせるように、美希子が言う。
「ダメって……あんなに嬉しそうに、してくれたじゃないか……
……っ」
 答える事ができないまま、美希子はドアを閉める。追って来ない事に
安堵しながら、階段を下りる。
 一段一段降りる事で、さらに感じる、戸惑い。
 そう、気づいてしまったのだ。酔いにも似た、あの空間の中で。
 自分の芯が、どうしようもなく濡れてしまっている。男を迎え入れる
ための液体を溢れさせている事に。
 そしてその酔いに任せて、『それ』をしてしまったかも知れない、自分の
淫乱さに。

 シャワーを浴びた後にかいた汗。階段を逃げ、ドアを激しく閉め、息子の
怒張を乳房と唇で一心不乱に愛し、かいた汗。しかし美希子は、それを
流そうとはしなかった。バスルームに入ることが、怖かったからだ。
そのまま服を着て、2階から息子が下りて来ていない事を 確認して調理を始めた。
 徹が下りて来た午後6時。テレビの音だけが響く、母と子の無言の食卓。
もちろん、美希子の心の中ではさまざまな葛藤が渦巻いていたが、それを
見せる事が息子を乱れさせているのだと思うと、勤めて平静を装うしか
ない。ちらちらと徹の視線を感じたが、無視するよりなかった。ただやはり、
そのたびに鼓動が早まるのに気づく。

 自分の食事が終わり、美希子は立ち上がった。その時目にした、息子の腕。



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