俺と文哉と俺たちの母さん 




 <3>

「あ、の、なあ……」
「……」

しかし、兄としてどう声かけていいかなんて正解が出ないよな。さすがに言葉が詰まる。
つまりは、さっき部屋でも母さんにちんこ触らせててふいにおっきくなったんで恥ずかしくなって突き飛ばして。
今もなんか知らんけど、母さんと一緒に風呂入ってて、思わず勃起しちゃって。
それを母さんに見られたんで恥ずかしくて叫んじゃった、と。
母さんが必死で「しょうがないから」って連呼してたのは、この事だったわけね。
まあ……しょうがないわなぁ。勃起の対象が母さんってのがちょっと引っかかるけど。

「……なんか、急に」
「あ?」
「おっぱい触ってたら、さっきみたいに」
「お、おう」
「んにゃ……さっきよりずっと、こうなっちゃった」

洗い場の母さんに聞こえないくらい、めちゃめちゃ小さな声。バカ声が武器の文哉には珍しい。
……っておい!おっぱい触ってた!?お前、母さんのおっぱい今の今まで触ってたのかよっ!?
うらやましい、とはさすがに言えずに固まってた俺。耳真っ赤にして恥ずかしがってる文哉。
そんな2人が同時に聞こえた音のほうに顔を向けた。シャワーの音……母さんが髪を洗い出したんだろう、方向。
簡単に言うと……母さんは向こうを向いてた。
俺らのいる外に面してるじゃなく、かといって洗い場の鏡のほうじゃなくって。
俺が入って来た脱衣所のほう。要は俺らに完全に背を向けてる状態。
まあ、さっきも言ってた通り、恥ずかしいからって理由だろう、と思う。
しかし、しかしだ。
洗い場用の低い木のイスに座って、あっち向いて、髪にお湯かけて今からシャンプーしようとする女を想像してみ?
それがほら、こっちに見られてるの知ってか知らずか無防備に裸の背中を晒してる。
それも、さっきまで意外としっかりと巻かれてた白いタオルが、どうも外されたらしい。
いや、見えることは見える。木のイスのすぐ上、ふとももの上にうっすらと。
とりあえずタオルは、股間を隠す事だけのために使われてる様子。
って事は、上半身は完全に裸。裸ー。

「……」
「……」

文哉の勃起に気づいて、その理由がおっぱい触り王様ゲームの続きだったと分かり、微妙にうらやましかった俺。
でもそんな事はすぐに忘れ、俺はその母さんの白い肉々しい裸の背中を黙って見ちゃってた。
どうやら文哉もそうらしい。こそこそ声も消え、黙ってしまった。同じほう向いてる事も確定。
あ、シャンプー、使った。どっちかって言うと太い、失礼だけど細くはない腕で、髪に泡立ててく。
……うわあ、ヤベえ。いろんなとこが気になっちゃう17の俺。

木のイスのすぐ上でなんか微妙にくにくにと左右に揺れる尻とか。
尻が横にいい具合に広がってるから、意外と細く見える腰まわりとか。
その細く見える?腰の上で、ほんの少しだけ見える……おっぱいの丸い線だとか。
髪洗うためにけっこう大きく動いてる腕の、二の腕辺りの揺れる肉とか。
首筋にはりつく何本もの濡れた髪とか……って俺、おっさん趣味か。
なんか素直に、エロいって思っちゃってる。その裸の女は、母さんなのに。
でもさ……昔はあの裸を自分ちの風呂場でもっと近くで見てたんだよなー。
もっともっと無防備で、俺としては見放題だったわけだ。ヘタすりゃ触り放題?
向こう向いちゃって隠れてるおっきなおっぱいだとか、タオルに隠れてる毛だとかも。
文哉が、無意識に母さんのおっぱい触りたくなったのも、少し分かる気がする。気がするだけだけど。
今でも細い女より、微妙にぽっちゃりな女が好みなのも、母さんの影響かもなー。
細い女はいかん。腕ひしぎかけて折られない程度に太くなって挑戦して来いっ!
……思考が混乱してきてるな。とりあえず彼女に謝っとこ。歩美ごめんっ!
しかし……これはイカンなぁ。なにがイカンって、俺も文哉と同じ状況に陥りつつある。
ここで勃っちゃダメだろ!って時、例えば授業中だとか。ああいう時に必死に抑えてモヤモヤする時あるじゃん?
今、アレの最大級の奴が俺に襲いかかって来てる。少しでも気を抜いたらもう、そうなっちゃう。
俺は今、とにかく文哉に見られてしまったら終わり、っていう兄貴としての最後の砦を守ってる。
……ああああっ!

「う……うっ」

すぐ隣で文哉が久々に上げた小さな唸り声に、顔を向けると。
まさか、まさか、まさかっ。文哉お前……そりゃイカン!そりゃ、さすがに、ヤバいって!

「う、うん……うっ、うっ」

多分生まれて初めての経験のはず。さっきたまたまやった王様ゲーム。勢いに任せて言い放ったバカ指令。
結果、母さんがしてしまった、文哉への動き。意味も分からず恥ずかしくなって突き飛ばしちゃった、動き。

「う、んっ……く、ううう……っ」

握ったりとか、擦ったりしてるわけじゃない。なんか自分のを包み込むようにしてるだけだ。
それを本能的に、少しだけ母さんの部屋での動きを参考にして、上下に動かしてるだけだ。
でも今、文哉はオナってる。母さんの裸のエロいうしろ姿を見て、人生初のオナニーをしてる。

「お、おい……文哉っ」

この状況はさすがに兄貴としても焦るっ!めいっぱい声を抑えて、でも強めに声をかける。
でも文哉はやめない。気づかずに相変わらずいろんな肉をふるふるさせてる母さん見て、シコり続ける。
……もし、出してしまったら。そこを母さんに見られたら。
うええっ、想像したくねえっ!これはもう止めなきゃ!兄貴として止めなきゃ!
生まれて初めての弟のオナニーを、なぜかすぐ隣で見てる俺。
自分が初めての時はどうだったっけな……確か小5くらいだったか。
なんか友だちんちに行ってあったポケ○ンの同人誌を借りて……ベッドでうつぶせで見てたら……。
そんな事はどーでもいいっ!今マジでヤバい状況なんだよっ!

「くう、うっ……うう、うう、うううっ」

俺が声かけても、全く気にせずに洗い場の母さんを見て、手のひらで不器用にシコってる。
さっき気づいた生っちろい包茎勃起が、さっきより少しだけ大きくなってる。息も荒いわ。
出す気、満々だコリャ。まあ、母さんの裸見て、興奮して、触ってりゃ自然にそうなっちゃうわけだ。
しかしそれを恥ずかしい事と思わずこのまま出して、それを母さんに見られたら……。
俺はいいけど、そっから起こる母さん周辺の混乱を想像するに……やっぱマズイわ。

「おい、文哉、やめろって……おい」

俺はお湯の中で、文哉が動かしてる手をやんわりと握った。あ、もちろん上のほうだぞ?

「……やっ、なんで、やめんといけんの……うううっ」
「いや、だから……擦ってると、その、色々起きんだ」
「知らん、よ……うっ、うっ、母さん……っ」

名前呼び出しちゃったよ!恥ずかしい思いするのお前なんだぞ、文哉!

「いいから、やめろって……それに、母さん見てするのもやめろっ」
「いやだ、気持ちいい、もん……う、ううっ……母さん、母さんっ」

全くやめる気配ナッシング。手の動きも本能的にか、手のひら擦りから握りパターンになって来てる。
止める声も大きくなりかけてる俺。どうもそのまま出すつもりの文哉。弟のある意味危機。
……少し、強硬手段をとるしかなさそうだなこりゃ。動き止めるために腕の上のほう握って……うりゃっ!
俺は、その手を思い切りお湯の中から引き上げた。湯船内での射精絶対阻止っ!

「……なにすんのっ、兄ちゃんっ!」

当然文哉は俺に向かって、顔真っ赤にして怒鳴り始めた。まあ、当然だわ。

「何って……遊んでんじゃんか。遊び」

俺としては、とりあえず文哉のオナニーを中断させて、母さんが気づいても「兄弟で遊んでた」とごまかす気だった。
文哉が怒るのも想定済み。家じゃよく遊びのエスカレートで文哉が怒る事もよくあるし。
……ってか、怒ったままの文哉さん。俺の目の前にぴょんっ、と例のアレが……すぐには収まらんか。

「どうしたの、和樹!?」

母さんは、さすがに俺らの声に振り向く。まあ、体全体じゃなくって、顔だけだけど……ちっ、惜しい。

「……もう、嫌だっ!」

あ。文哉キレる。俺の顔に思いっきりお湯をかけて、湯船からザバザバと出て行き始めた。

「ちょっとー、どうしたの!?」

母さんの声。少しトーンが上がり気味。そんな、真横を。

「……っ!」

裸の文哉が駆け抜けていく。母さんの真横を、文哉の勃起ちんこがぴょこぴょこ跳ねながら。

母さんの顔が、瞬間的に真っ赤になっていく。
母さんの裸見て勃起した文哉、文哉のちんこを見て真っ赤になった母さん……なんじゃこの状況。
乱暴に扉を閉め、勢いのまま文哉は脱衣所に消えた。母さんは、なんか慌てたそぶりで鏡のほうに向き直る。

「な……何が、あったの?和樹」
「……いや、なんというか……見たとおりだよ」

母さんが、そこでひとつため息ついた。後れ毛、真横の肉々しい濡れた悩む母さんの裸。う、色っぽいなぁ……。
文哉の事を気にしてか、母さんは俺が見てるのも気にしないでなんか悩んでる。
だから俺は……遠慮なく母さんの裸を眺める。
真横向いてる母さん。一応軽く腕組んでるから、おっぱい自体は全部見えない。
でも逆に言えば、乳首以外は丸見え。前にも言ったとおり、下乳マニアの俺歓喜っ。
丸い。とにかく丸い。色は白いほうだと思ってたけど、その丸さが完璧だぁ。

「……ねえ、和樹」

ん?なんですかお美しく色っぽい堤さんちのお母さま?

「フツーの男の子って、ああなっちゃうものなの?」
「……ああ、って?」
「ほら、今みたいに……その、おちんちんがさ」

不思議ー。母さんは、俺を全く見ずに、恥ずかしそうな顔してしゃべってる。
何が不思議って、俺としゃべる時は改まって「おちんちん」だって。
さっきまでの旅行的ハイテンションでは「ちんこ」だったのに。何使い分けてんだ。
……それに母さん、それは今の俺には素直に答えられない質問です。なぜならっ!

「あ……まあ、しょうがないんじゃない?ちょっと早い気がする、けど」
「……さっきもお部屋でね。ほら、王様ゲームの時。触ってたら、ああなっちゃって」
「うん、それは知ってた」
「あ、そう……それで、今さっきその湯船でも、あの……うん、自然に、立っちゃってたし」

……男は自然に立つもの、ってか勃つものなんですよ。色っぽい女の人の裸見てると、自然に。
それが、その……母さんであっても、ねー。だから、その、今の俺も。

「あんまり、気にしないほうがいいよ。ちょい状況がアレだっただけで」
「……そう」

俺の言葉尻がなんか怪しいのは、正直それどころじゃないから。今俺の最優先事項は、縁に置いたタオルを取りに行く事。
このままじゃ俺の超恥ずかしい姿を母さんに見られちまうっ!ひいっ、母親に勃起する変態高校生息子っ!
もう、俺の股間のアレは非常にヤバイ状態になってしまってる。
母さんがこっち見ないのをいい事に、俺ってばずっと好みの丸白下乳を凝視してるし。
いや、おっぱいだけじゃなくって。微妙に緩んだおなかの肉とか、イスに座って歪んでる尻とか。
ふとももに濡れて引っかかってる白いタオルにすらコーフンしてる。
そこにいったい何が隠されているのかっ……!?的バラエティ煽りみたいに。
彼女いるけど非常に全うにお付き合いしてる(まだキスだけ)の俺には、たまらなくアレな真横の光景。

「じゃあ、さ……」

だからもう、ヤバイ俺。絶体絶命俺。
何とかゆっくり湯船を移動して、アレになっちゃったアレを隠すために、縁のタオルに手をかけた。
その瞬間。

「……和樹も、そうなの……?」

タオルに気が行ってて、一瞬だけ母さんのエロ裸から目を離した時。
その一言で、もう一回母さんのほうを見たら。
……母さんは、なんか表現できない表情をして、俺をじっと見てた。
多分俺は母さんから見たら、湯船でなんか変なカッコしてタオルを取ってる、マヌケな姿だったんだろうけど。
 
 
「和樹も、その……相手が母さんでも、あんなふうになっちゃうの……?」

うえっ?何だその質問!このマヌケな格好で、どう答えりゃいい?って母さん、一瞬だけあっち向いてお願い!
その間に体勢立て直すからっ、タオルで隠して何事もなかったように「物わかりのいい長男」に戻るからっ!

「え、あ……俺は、その……別に」

何とか搾り出した、よく分からない答え。正解だったか、失敗だったか……どうだっ!?

「……そ、う」

短くそう言って。母さんは立ち上がった。え?え?タオルを手にとって、ゆっくり前を隠して……え?え?ええっ?
なんで?なんでっ!?何で母さんはこっちに向かってきてるわけ!?
俺は相変わらず体を伸ばしたマヌケなカッコでそれを見ちゃってるけど。
母さんは、タオルを巻いてない。いや、隠してはいるんだよ?前は。
ただ、濡れたタオルを前にだらんっ、と垂らしておっぱいと……その、前を隠してる。

「そう、よね……」
「……」

あ、え、ちょっと……母さん、それ以上近づくとさすがにいろいろヤバイっすよ?
だって、タオル濡れてるから、ビミョーに透けて見えるわけですハイ。
おっぱいの部分は、大きく盛り上がって、その……はっきりとじゃないけど、先っちょがポツンとふくらんでて、それで……。
下は、一応手を添えてあるのでよく分からん……ただ、なんとなく、なんとなくだけど、添えてある手の下が、黒い。
だーかーら。俺はマヌケな体勢の下、お湯の下で、アレがヤバイ事になっているのだ。さっきよりずっと。
もう正直文哉の事とか考えてる状況じゃない。母さんがもう少し近づけば、多分、それを見られちゃうのだ。

「……こんなおばさんだし、和樹くらいの歳になっちゃうと、ナシだよね」
「あ……えっと、その」

答えに困る俺。あやふやな言葉でお茶を濁したら、母さんが立ち止まる。

「……母さん、もう出るね。文ちゃんの事心配だし。和樹はゆっくり浸かって来なさい」

あっ、そう。
で母さんは、そのままくるっと振り返って、少し急ぎ足で露天風呂を出てった。1人残されちゃった、俺。
なんか、マヌケ。急に静かになった露天風呂で、マヌケなカッコを元に戻して。
……うわー。ちょっと勘違いしちゃった俺は、目を閉じる。落ち着こうとしても、もうダメでしたー。
そこには全部、母さんのエロい体が浮かんで来ちゃう。出てった時の後姿のお尻さえ妄想にプラス。
下乳も。タオルに隠されてた乳首も。濡れた肌も。毛も。ぷるんぷるん揺れた尻も。
結局……俺はダメ男になる事を決めたわけ。さっき思いっきり文哉に対して止めろと言ってた事。
情けなさ全開の気持ちの中、俺はお湯の中の自分のちんこを握った。擦った……んで。

「……う、うっ……ふうっ」


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