俺と文哉と俺たちの母さん 




 <7>

「……ふふふっ。赤ちゃんみたい」

母さんの声。あんまり慌ててる感じがしない、どっちかっていうと優しい声。そして。

「んーっ……赤ちゃんじゃない。王様」

文哉の、小さいけどよく聞くちょっと怒った感じの声。この、んーっ、がくせ者だった。
俺には。妄想過多かも知んないけど今の俺には。
……それがなにかを咥えてて、そのタイミングで口を離した音みたいに聞こえてしまって。
赤ちゃんってキーワードが、ますますそれっぽく感じさせて。

「ふふん……じゃあ、文ちゃんは赤ちゃん王様だ」
「違うっ……あ、むっ」

うへっ。
もう完全に、なにかを口で咥えた声に聞こえた。ってか絶対、そうじゃん!

「お母さんは、文ちゃんが赤ちゃんでもいいよ。だって少し前は赤ちゃんだったんだもん」
「……む、んちゅ」

母さんは優しく、確かに数年前までは赤ちゃんだった文哉に声をかけてる。
対照的に文哉は、そのまま黙って変な音だけ小さく響かせながら声出さない。
家のリビングでの会話とあんまり変わらない。ふてくされた文哉をなだめる母さんっぽい感じ。
でも、俺が見てる光景は全然それっぽくない。
母さんの浴衣の襟はますますこっちに見えて。
文哉の少し水音っぽい声は母さんの胸のあたりから聞こえ続けてて。
さっきまで見えなかった、布団がかけられてるあたりが少しゴソゴソと動き始めてて。

……ここで、俺の妄想を語っちゃう。
文哉は、母さんの生おっぱいを舐めてて。
ちんこを母さんのふとももにさっきより激しく擦りつけてる。

ノド渇くし、胃も少し痛いけど……妄想じゃなくて、これ現実だよね?

さっきまでトイレのオレンジ色の灯りの中にある、ただの黒い影だった母さん。
でも、俺の目が慣れちゃったせいなのか、もうほとんどが分かる。
何してるかのきっかけになった浴衣の襟もと。
すこーしだけ動いてて、もしかしたら文哉の頭でも撫でてんじゃないかっていう上半身。
布団かけられてて、上半身よりもう少し大きく動いてる下半身。
この布団の中でなにやってるのかは、さすがに分からない。
文哉が母さんのふとももにちんこ押しつけてヘコヘコしてるのだけは多分……事実。
……もしかして、俺いらんこと言っちゃったか?
酔っ払った母さんに「文哉は多分まだ甘えたい」とか「照れ隠しで王様ゲーム」とか。
だから眠いのをガマンして、必死におっぱいとか求めてくる文哉に久々に母親モードになっちゃって。
……でも母さん、ちんこ擦りつけてんすよ?ぶっちゃけ、オナっちゃってるっすよ?
それは、ほら……違わない?なら、甘え得じゃないっすかー!

 

「……ん、んーっ」
「ちょ、どうしたの?文、ちゃ……」
「んー、ん、うっ……あ、んむっ」

俺の気持ちが大混乱に陥りかけた時に聞こえた、母さんと文哉の静かな会話。
えっと……母さんには分からんだろうけど、俺には分かるんですよ。悲しいけど。
恥ずかしいのか、見事なおっぱいから口離すのがもったいないのか。うなったり濡れ音発生させてる文哉。
その息継ぎのタイミングが、露天風呂での自然発生的手コキの時とおんなじ感じ。
あの時俺がムリヤリ止めなかったら、文哉は人生初射精してたはず。
で……今のバカ弟は、自分の手よりも多分ずっとずっとイイ感触の豊満ふとももで射精寸前のハアハア。
う、うらやましいけどさすがに今度は寝てるってことになってる俺には止められないわー。

「むっ、ん、んうーっ」
「ちょ、文ちゃん……なにか痛いの?えっと、皮、とか……」
「んっ、うーんっ、んっ!」

意地でおっぱい(そして多分乳首)から口離さないエロ王様文哉。なのにうなりはどんどん高く大きくなってく。
母さんはますます混乱して「静かに」とか「しーっ!」とか言えなくなってる様子。
そりゃ、まあ……消防のガキの初射精の真髄なんぞ、分かりようがない、よなぁ……。

「う、むー、んっ、ちん、こっ……ん、んうっ!」

もう完全に直前!なのにマヌケな単語のみを発して再度おっぱいむしゃぶりつき攻撃。やるな。

「え、あっ、やっぱりちんこ痛いのね……ま、待って……っ」

下半身のゴソゴソが、その瞬間少し大きくなった。母さんの体が動いて、なんかした。のか?
まあ、文哉のちんこを心配して……なんか、する、んだ。

「う、んっ……あ、触、った……なんか、出るっ……!」
「え?え?……え?」
「う、あ……っ!」

……さすがにその瞬間は、おっぱいから口離したか、文哉。
まるでマンガみたいな「なんか出る」発言を小さく叫んで、どうやら祝初射精。あーあ。

「あっ、文ちゃん……う、わっ」
「あ、あー……母、さんっ。なんか、ううー……っ」

母さんがどうやらその現象を確認したご様子。うわっ、とか言っちゃって。
ただまあ、その瞬間。2人の動きは止まる。小さく色々動き続けてた母さんの体は、静かに停止。

「うっ、うっ……は、ああ」
「……文、ちゃん」
「……ん」
「……なんか、出ちゃったね」
「な、なにが……?なにが出たとか、分からん」

自分になにが起きたか理解できず、正直気恥ずかしくて、性格的に強がろうとして失敗してる口調だな、こりゃ。
でも、面白いのは母さんの反応。さっきまで、あんなに混乱してたっぽいのに。
今はもう、あの優しい母親モードの口調に戻ってる。
……だって自分にすがりついて腰振ってた消防の息子が、その……出しちゃったわけでしょ?
おっぱい触らせて、あるいは舐めさせて、最後にゃ手を添えてまで射精されちゃったわけでしょ?
母さんはそりゃ「甘えんぼ息子にしかたなく対する優しい母親」って気持ちだったろうけど……文哉は、さー。


「か、母さん……母さん」
「ん、んー?文、ちゃん」

な、なんだその囁き合いはっ!ええっ!?

「……ねえ、なんか気持ち悪い」
「あ、まあ……そうだね」
「気持ち悪いよぉ、ねえ、ねえってばぁ」
「こら、文ちゃん……しーっだってば」
「だって、だって超気持ち悪いよ……ヌルヌルで……もう、母さんってばぁ!」
「……手だけ洗っても、ダメだし……」

小さい声だけど、気持ち悪いだなんだのとウダウダ言い続ける文哉。なんとか解決策を探す母さん。
俺はすでに起きてるけど、さすがに父さんまで起きちゃうんじゃないかって心配になるテンションだし。

「……ふう」

母さんがひとつため息ついた……さあ、どうするんだ?

「……文ちゃん。ちょっと起きよ?」
「えー」
「起きなさい。とりあえず起きて、パンツ脱ご?」
「……脱ぐの?」
「うん。脱いで、パンツと母さんの手と一緒に洗うの。恥ずかしくないでしょ?」
「恥ずかしい、かも」
「……一緒に洗うから、いいでしょ?いい子だから、ね?」
「……」

文哉の返事待たずに、母さんが動き始めた。体起こして、どうやら座り直すみたい。
……って、それじゃ母さんの向こうにいる文哉と目が合う可能性アリっ!
慌てて目を閉じる俺が最後に捉えた光景は。
母さんの手。一瞬だけオレンジ色の光にかざした感じになった母さんの手に、ベットベトの液体。
……文哉の精液、かぁ。こいつ、マジで母さんのふとももでコイて、母さんの手の中で出したんだー。ちっ。


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