俺と文哉と俺たちの母さん |
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「ほら、ね。気持ち悪いんでしょ?」 「うん。パンツの中が…なんか濡れてるし」 「じゃあほら、文ちゃん……早く洗わないと」 どーやら文哉はパンツ、ってかブリーフはいたまま腰カクふとももズリしてたらしい。 んで母さんは苦しげで痛そうなその文哉ブリーフに慌てて手を突っ込んで、その瞬間初射精を食らっちゃったわけだ。 そりゃパンツの中もべちょべちょで気持ち悪いだろうし、母さんの手もあんなにドロンドロンに。 「…ほら、早く。ね?」 「あー、気持ち悪っ」 「…しっ」 先に母さんが立って、気持ち悪いとか言いつつノソノソしてる文哉をムリヤリ引っ張り起こしてる。 これはまあ、日曜の朝とかによく見る光景。 それは見なくても分かるけど、いつもと違うのは、今の母さんの手は文哉の精液で汚れてる。 なんかムカつくし、それ自体は微妙にうらやまし…いや、まあ。 「ちゃんと立たないと…ほら、お父さん気をつけて」 「うん…うん」 「ほらぁ、危ないって」 薄目を開けて見てみたら…案の定あからさまに甘えだした文哉。母さんがひっぱってくれるのをいいことに自分は力入れずにだらーんと。 気持ち悪いってのはどうなったんだよ! 「…ふーみーちゃん」 「…わかった、いく」 少し怒ったトーンの母さんに、さすがの文哉も甘えなくなった、か? 一応父さんのイビキは安定期に入って、 それこそバカ文哉が頭蹴飛ばさない限り目を覚ますことはなさそう。 でも、俺はなぁ…。早く汚い文哉の精液を片付けてしまって、みなさんめでたく就寝ってことになってくれないと…。 そういや、トイレの前に洗面所があったか。あそこでならパンツ洗ったり他の後始末くらいならできるだろ。 「……じゃあ、先母さん手を洗うね」 「えー」 「えー、じゃないの」 俺の視界から消えた母さんと文哉。ちょっとしたら水の流れる音が聞こえて来た。 「ねえ、早く」 「まーだ、なかなか落ちないんだよ?」 「知らんよー、もー」 「……ほんとに落ちないな、もう」 ……落ちないんだよなー、ホント。アレと納豆の粘りはホント水で落ちん。 しかし文哉にムカつく。その気持ち悪がったり洗いにくかったりしてんのはお前の出した精液だよっ! 「気持ち悪ー、何か冷たくなってきたー」 「もうっ……ならパンツ先脱いじゃいなさい」 「あ、そっか」 なんかニヤけたトーンで文哉が笑う。こいつは完全に父さんと俺が起きないだろうと思ってやがる。 もう普段ウチにいる感じで母さんと話し中。相手してる母さんは気が気じゃないだろーなあ。 まあ……これはアレだな。ふだん、ってか生まれて初めてこんなに遅くまで起きてるからのハイテンションっぽい。 気持ちは分かるぞ。俺も友だちと初徹夜した時は超ハイテンションだったし。 しかしなんだ、やっぱりムカつく。コトがシモ関係ってのが。それも母さん巻き込んでるっつーのが。 |
「脱いだー」 「はい……うわー。これも洗わないと、ね」 「うへへ」 「なに笑ってんの、もうっ」 「ダメなん?ヘンなことなん?」 「……まあ、いいけど」 「またしたいなー」 「……」 「してもいいんだよね?また」 「……ちゃんと文ちゃんが自分で片付けできたらね。それまではしない」 水が流れる音が少し変わった。手を洗うのが終わって、多分文哉の精液パンツを洗い始めた母さん。 バカ文哉は、汚れたパンツを母さんに洗わせながら、またしたいとぬかしやがってる。 あのね母さん……文哉に甘いのはわかるんだけど、あんまり軽々しくそのへんを約束しちゃうと……。 「片付けってどーするの。こんなのおしっこと違うし」 「……ティッシュとかで拭くのよ」 「じゃあ簡単。出したら拭けばいいんでしょ?」 「……でもねぇ、文ちゃん。あんまりしすぎるのも……」 「じゃあまたしよ。ね?」 「だーかーらー……少し静かに。帰ったらまた」 「今でもできるよ、ほら」 「バカ言ってないで……えっ」 えっ?えっ?えっ?ってなに?母さんの素の驚き声。なんか……ヤな予感。 「ほら、ね?」 「なんで……ウソでしょ……」 「母さんのお尻うしろから見てたら、こうなったよ。すげえすげえ!」 「静か、に……どうしよ、困ったな」 うわ、あ。ヤな予感ってすぐ当たる。これはまさしく、再ボッキ宣言。 マジかよ……そんなに早くできるようになったっけ?文哉さんってば絶倫っ!? ……いやいやいや。そんな場合じゃない。これはさすがに……いかんでしょ? 「ほら見て見て。形がすげえっ。なんでおっぱいとかお尻とか見てたらこうなるんだろ?ね、ね」 「文、ちゃん……黙って。お願いだから」 「なんでー?しょうがないじゃんなっちゃったんだから。またしてもいいんでしょ?ティッシュもそこあるし」 「や、だから……帰ったら、してあげるから。今はガマンして……ね?」 「ムリだよー。こんなのガマンのしかたわかんないもん」 「でも……文、ちゃん」 「さっきの出したら終わるんでしょ?気持ちよくなったらすぐ出るし、ティッシュで拭けばいいって言ったじゃん」 「……」 「母さんがしてくれたらすぐ終わると思うよ?ねえほら、さっきみたいにー」 母さんの声からわかるほどの動揺と、まるでそれがわかってない文哉の無邪気極まりないバカ発言連発。 マジかよー……また文哉の勢いに巻き込まれちゃうわけー? 俺は父さんのいびきがBGMに流れるこの部屋で、また文哉と母さんの再開エロ行為をガマンしながら聞かされちゃうわけー? 「どうしよ……和樹に聞いとけば……」 「ねー。兄ちゃんのことはいいからさー……して。して。ほら、擦ってよー」 「……わかったから、じっとして。静かにして……」 「……あっ」 「……」 「あ……っ」 「……静、かに」 ……。 水が止まった。母さんの言ったとおり、文哉も黙って静かになった。 静かになったってことは。静かに、と一言発したあと、ほんとに静かになった母さんと文哉は。 ……「あ……っ」じゃねーよ! 「……」 「……」 「……」 「……」 「……いっ」 「しっ……」 いびきの大音量の中だからこそ、それ以外の音とか声とかが逆にわかる。 ホントは気持ちイイって感想述べたい文哉と。それを絶対的圧力で黙らせてる母さんと。 それに混じってごくたまーに聞こえる、チッ、チッ、チッって聞こえるナゾ音。 これは……俺自分の時でも聞いたことある音。 擦ってて、少しなんか先から漏れてて、それが皮とかに微妙にまみれて鳴っちゃう音。っぽい。 ……あー。 これはもう、怒っていいよね?邪魔しちゃっていいよね。 なんで文哉の顔色ずっと見て、母さんのエロシーンをあいつに独占されなきゃいけないんだってハナシ。 このままアレですか?また擦ってあげて出しちゃうわけですか? エスカレートしてその先ももっともっと頻繁にさせちゃうことになっちゃうんですか? ……冗談じゃねえ。もう絶対起きちゃる。 |
「……」 「……もう」 「……うっ」 「……」 「……」 ほーれ、ごそごそ寝返りうっちゃうぞー?長男が起きちゃうぞー? あんたらの母子エッチ遊びが、マジメな長男さんにバレちゃうぞー? 「……」 「あっ……へへへっ」 「こ、ら……」 「う、うっ……」 「……」 「……」 ほーれ、布団が暑い感じだから、思わず蹴脱いじゃうぞー? 音もけっこう大きな感じで、バフンって鳴っちゃうぞー? 「……」 「……」 「……」 「……」 「……」 「……っ」 「……っ」 ……気づきゃしねえっ! なんだこの状況は。あんまりバカにしてないかおい。 こっちは……まあ自分がチキンな部分もあるけど、一応は気を遣って気づかせようとしてんだ。 なのに母さんとバカ文哉はアレか。その俺の気遣いオール無視か。 そもそも母さん、アレだけ「静かに」とか「しーっ」とか「起きちゃう」とか言いながら今はなんすか。 それはアレですか……今はもう俺や父さんに構わず、文哉のちんこシコりに熱中っすか。 マジでバカバカしい。 これじゃ、バカやってるほうが得。マジメな長男は、損するだけ。 少なくともワガママ放題のバカ弟は、母さんのエロ行為をしてもらってる。 バカバカしい。ああバカバカしい。正直、全部ブチ壊してやりたくなる。 |