俺と文哉と俺たちの母さん 




 <16>

「くうっ、うううっ……あ、うっ」
「んふっ、ん……んッ、んちゅ、んふッ、ん」

もう声はガマン放棄。あまりの気持ちよさに目を閉じそうになっちゃったり、でももったいないんで目を必死に開けて。
母さんのそんなに長くない黒い髪が、かなり激しく動いてる。前髪の間からほんの少しだけ、顔とかが見える。
俺のちんこを熱心に舐めてくれてるから、ずっとそれを見てる。でも、まつげとか鼻筋とか、少し尖らせた唇とかが見える。
普段当たり前に見てる、母さんの顔。コドモっぽい笑顔でいっつも笑ってる母さんの顔。
それが……息子である俺のボッキちんこを深く呑み込んでしゃぶったり、きつく舐めたりしてる。
あとは……おっぱい。動きが大きくなったんで、顔の下……俺のちんこと母さんの唇の下で揺れてる。
ムリヤリ揺らしてるんじゃないのに、いやらしく揺れてる。ぶるんぶるんじゃなくて、乳首が印象的に……うん、ヤラしい。
ああ。女の人ってAVみたいにわざとらしい振る舞いしなくっても十分いやらしいわ。おまけに相手が好きな母さ……おっと。

単純に、文哉の傍若無人バカ行動に腹立てて、何でかこうなっちゃったわけだけど。
母さんが、ヤバイ。何かいろいろ考えてしまう感じが、最高に興奮する感じと相まって、ヤバイ。
 

「あ、ううッ……母さん、これ、ちょっと」
「んッ、んッ、うッ……んんッ」

彼女とキスのみの経験しかない童貞の俺が、駐車場に停めた車の中で、母さんにフェラチオ受けちゃってて。
体に感じる感覚や、目に見える光景全部が超ヤバイ状況。だから、更にちんこはでかくなって……気がつきゃもう爆発寸前。
昨夜文哉がバカ会話を交わしながら旅館のトイレで経験したフェラでの発射が、俺にも近づいてきてる。

「母、さん、って……ちょ、ちょッ、ヤバいよ」
「ん、んんッ、ん、ふうッツ……んッ、ちゅッ、ん、ふうッ」

そろそろアレだと、一応慌てた声で知らせてるつもり。でも母さんは、何か知らないけどこっちを一瞬も見ずにちんこしゃぶりに集中。
俺は(ぶっちゃけ目を離せないんで)後ろ手で、後ろの背もたれの上にあるはずのティッシュの箱を探った。
助手席にもあるんだけど、こっちのほうが早い。後ろ振り返ればすぐ分かるんだろうけど。まぁこの状況を止めるのはもったいないし。

「母さん、ってば……おおうッ、出……あうッ、ちょ、ちょ、出るってば」
「……ん、ふうッ、んんんッ。ちゅ、ちゅッ、んふ、んんッ、んふ、ンッ」

ヤバイ。出る。もうちゃんと「出る」って言葉も大きめに出しちゃったけど。母さん、って!出ちゃうよ!
何が出るかって分かんないわけないよね!?今咥えてる息子和樹のちんこから、その……精液がいっぱい、出ちゃ……!

「……あッ!」
「……ッ」

結局。
ティッシュは俺の指先では見つからず。
暗い駅裏の立体駐車場に停めた、堤家自家用車ストリームの後部座席で。
俺は母さんの口の中に大量の精液を噴き出して。
母さんは、それを、外に出さずに、全部飲んじゃった。おい。おい。おいー。
 
 
「……遅いー!」
「ゴメンゴメン。でもそんなに時間たってないでしょー?ねぇお父さん、お風呂はいつ出た?」
「ついさっきや。文哉は大袈裟言ってるんよ」
「ほらー」
「違うー!」

あの温泉の前の広場で、文哉と、父さん母さんがいつもの調子で会話してる。
文哉はブーたれながら、恥ずかしげもなく母さんが渡した服をその場で着替え始めてる。
それを見て父さんも笑ってる。
母さんも。
さあ……俺はちゃんと笑えてるかぁ?
 
『……はあッ』
『ちょッ……の、飲んだ、の?』
『う、ん……あはは、飲んじゃったね』
『飲んじゃ、ダメじゃん……ダメでしょ?』
『んー?どうかな。ダメかな。まあ、ダメかもね』
『……なんで、飲んだの』
『……ほら、そんなのいいじゃん。服着て、ほら』
『いやいやいやいや』
『ほーらー。早くしないと文ちゃんがまたアレだよ?』
『……』
『王様の言うこと、聞けー……って、王様ゲームだったねこれって。忘れてた、あははっ』


そう言って笑って。すぐブラ着けてシャツ着て、普段通りのカッコに戻った母さん。俺もまぁ、戻って。
またタクシーに乗って温泉に戻ってきてこの状態。母さんの普段通りの感じが、俺には不思議すぎちゃって。
もう少し海のほうに歩いて行って、なんかいろいろ見てもう1本の大きな通りをいろいろ見ながら歩いて上って。そしたら駅で。
その間もずっと、俺は3人の少し後ろで、何かいろいろぼんやりと考えちゃって。
それが最高潮に達したのは、車に戻った時。そりゃそうでしょ?だって小1時間その中でフェラされて出しちゃったんだもん。
匂いとか、雰囲気とか……でも別に何も不自然はなくって、家族4人がフツーに乗ったストリームは、出発して。
家に帰る車中で、母さんは文哉とずっとしゃべってた。父さんがそれにたまに参加する感じ。
俺はもう……海ばっか見てた。正直、空気が読める長男キャラを作ってる余裕がなくなってて。
父さんが「さすがの和樹も疲れたかー」って笑ってた。ある意味、正解です。

1泊2日。
由布院泊の久々の家族旅行。
……なんで、こんなふうになっちゃったんだっけ?
……ああ。バカ文哉の王様ゲームからか。
とりあえずは、あと10数分で市内の家に着く。この旅行も終わり。
俺が経験した、気持ちよかったけどモヤモヤした奇妙な時間も、もうすぐ、終わり。
父さんの言う通り、疲れたわー。帰ったら俺速攻で寝るなこりゃ。
車の中でも、少し、寝るか……。

「……あ」
「……ん?どうしたの文ちゃん」
「……思い出した。母さんあとでちょっと」
「……ふーみーちゃん」
「あ……そっか、分かった。あとでね」

……ヤなこと思い出させる、文哉と母さんのコソコソ話が聞こえたのは、俺が眠りに入りそうな時だった……危ねえ危ねえ。

 

帰宅後の展開は、意外に早かった。っていうか、文哉がまたあのテンションに戻ってた。あいつだけ1回寝てるしな……。
父さんが疲れてソファーに座る。俺も食卓の椅子に突っ伏す。文哉はリビングの床にベタ座り。
母さんだけがカバンを開いてテキパキと洗濯物とかお土産の整理。元ヤリ手OL現主婦堤(旧姓佐々木)香織、さすが。
そんな母さんを眺めながら、文哉は「ねー」「ねー」と少し抑え気味の声で連呼。母さんは作業しながら、そっちを見たり見なかったり。
父さんが最初にそのやりとりをウザく感じたのか「俺、ちょっと寝るわ」と寝室に。
そうすると今度は文哉は俺と母さんを交互に見だす。まあ、俺に「早く寝ねえかな」と思ってるんだろうなぁ。

「……俺も疲れたから、部屋で寝るわ」

俺は、ちょっと大きめに言ってみた。文哉はどーでもいいけど、母さんを見ながら。
母さんは……笑ってるようで、笑ってない表情。まあ、微妙に不安なんだろうなー、とは思う。
でも、俺は階段上って部屋に戻る。俺と父さんがいなくなった時に、2人が何をするか。ってか、母さんが、どーするか。
んで、20分後。まあ、多分文哉がガマンできなくなってきた頃。音立てないようにドア開けて、2階から聞き耳立てて。

「……」
「……」
「……ゃん」
「……いでしょ」
「……と思ってた」
「……うの。そのたびにクジ引かないと」
「……いいや。じゃあもうクジいらない。王様じゃなくていい」

バカ文哉は、テンション上がるとすぐ声が大きくなる。母さんは控え気味だけど、文哉に伝えようと言葉ははっきり。
また王様ゲームがらみの会話っぽい。エロ展開を経験して、よっぽど気に入ったらしい。まあ……そうだよなぁ。
声の場所からして、まだリビングにいるっぽい。

「そ、じゃあ、他のゲームし……」
「して」
「ん?」
「してよ。して」
「……もう、文ちゃん」

……直球が来たな。


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