俺と文哉と俺たちの母さん 




 <22>  

「……」
「……」

……ん?少し落ち着いてみると、なんか少しさっきと違ってる。
なんか少し……あ、俺の頭にある母さんの手が片手になってるわ。まあ、あんまり意味は……。

「……んー」
「?」
「……ねんねんねんねんねんねんよ、ねんねん……」

……おいっ!子守唄はないわー。和ちゃんよりないわー。

「……そんなんじゃ寝れねぇ」
「あ……そう?」
「……あたりまえじゃん」
「んー……まあいいけど。ねんねんねんねんねんねんよー」

頭に当ててた手のひらを。優しくぽんぽん叩きながら。すっげぇ昔に聞いてた記憶がある子守唄歌唱中の母さん。

「だーかーらー……恥ずかしいから、やめて」
「……っていうか、ねえ」
「何よ」
「自分に向けて、なんだわ。これ」
「……はぁ?」
「……ヤバイ、から。匂ってたりしてたら」
「……何言ってんの?」

素で。
本当に母さんが言ってる意味が分かんなくて。カッコはマヌケなくの字ながら、素で聞き返した。

「……どーしよ」
「……はぁ?」
「……色々、思い出しちゃった」
「……昔とか?」
「違う、かな……ヤバイな。どーしよ?和樹」
「……さっぱり、わから……」

分からん、って言おうと思って。同時に少しだけ顔上げて、母さんの意味不明な言葉を少しでも探ろうと顔見ようとして。

「……っ」

母さん、俺をじっと見てる。超マジメ顔。

「……ね」
「う、ん……」
「和樹、は……まだ子供だよね」

答えられん。怒られてるわけでもないのに、頭が考える事をやめちゃったみたいに、なって。

「子供じゃないと、困る……はあっ、どーしよ」

顔近いから、そのためいきが俺の鼻筋にふわっと当る。ぞくぞく、しちまう。
 

「子供、なのに……ね。匂いとか、嗅いじゃだめだぁ……は、ああっ」
「かあ、さん……?」

まばたき、しねえし。まだじっと見てるし。

「……ね。和樹」
「な、に……」
「……つらい?」
「……っ?」
「……母さんね、つらいな。もう、ヤバイ」

……・ひやあああッ!
な、な、な、な、な、何で、ソコ、触るッ!?

「ちょ、ちょ、ちょッ!」

俺がめいっぱい引いてた腰の中心……ち、ちんこあたりに母さんの手が突然!
慌てて腰引いて……って、もう引きようがなかったんで、よじった上で手でガード。

「……何してんの!ちょッ」
「……んー、固いじゃん」
「固く、ないッ!」
「……声、大きい」
「あっ……」
「……思い出した、って言ったじゃん」
「……?」
「今日の、昼間の……車の中。何でだろ?匂い嗅いでると、あの時のことばっかり、で」
「……っ」
「……だから、子守唄とかでごまかそうって。でも、ダメだぁ……ヤバイ、よ和樹ぃ」

俺が握ってる母さんの手が、なんかゆるゆるすこーしだけ動いてる。俺の手を握ろうとしてるのか、そうじゃないのか。
……ってか、このシチュは……俺的にも母さん的にもヤバイんじゃね?や、母さんは自分で「ヤバイ」って言ってるけど。
車の中の事思い出したって……あのフェラの事でしょ?ほーらー、ヤバイじゃーん!

「そ、そ、それ……母さん、って!」
「邪険に、するなー……分かんないんだよ?自分でもどうしてか……ね、ね、ね、和、樹……」

下半身付近での、母さんの手と俺の手のちっちゃなちっちゃな攻防。同時進行で母と息子の謎会話。
少しだけ力入れて、俺のほうに手を出そうってする母さん。それはいかんと押し返す俺。
はたから見りゃ遊びみたいにじゃれあってるんだろうけど、顔はもうお互いに真剣ー。
……いやらしい母さんを見てる自分が、めちゃめちゃ戸惑ってるのが分かる。正直どうしていいか、全く分からん。
そしたら、そしたら。母さんは別の攻撃を。俺の弱点を、的確に。
 

「……じゃあ、ほら」

下半身に接近してる左手じゃなくて、頭にあったほうの、右手。その右手を母さんが、ぐいっと。

「ここ……好きだよ、ね?」

頭は、ってか顔は完全に、その弱点に接触した。意識して、これはマズイと思って、子守唄あたりでちょっと飛んでた、その。

「う、ぐっ」
「……ほら、好きじゃん和樹。近いと、色々分かるでしょ?」

おっぱいは、好きだ。異論はない。でもぶっちゃけ、このシチュでどーしたらいいのか分からんし。
母さんが、おっぱいに俺を引き寄せて「好きでしょ?」「色々分かるでしょ?」……え?どうしたらいいわけ?
雰囲気では、色々してもいいって感じ、だよね?色々する……あの、触るとか、も、揉む、とか、す、す、すう、とか。

「ふふ、ん」
「……っ」

……いや、ダメでしょそんな事したら。ああ、ダメだぁ。ダメだぁ!ちょっと妄想しただけで……ヤバイいいい!

「昔、みたいにってか、文哉みたいにして、いいよ……あ、文哉の事は、今いいか」

文哉みたいに。
最初、旅館の部屋で王様ゲームで。んで次は露天風呂で。更に夜中の暗い部屋で。文哉は母さんのおっぱいを触った。んで多分吸ったし揉んだ。
悔しいけど、何度も。

なんかこう……文哉の事が一瞬でも出ちゃったから、俺の心もなんかこうモヤモヤしちゃって。
やっぱり俺はチキンで、母さんがこんな感じにしてくれても、文哉みたいにワガママに振舞えない気配が自分でして。
また、ほんの1時間前みたいにヤな気分に陥りそうになってた、俺。
ところが。

「和樹」
「……」
「……甘えてくれるだけで、いいから。あんまり考えないで。今日だけ、ね。母さんが、そうして欲しいし」

それが、きっかけ。
俺は、バカみたいに素直に、顔に押しつけられてる母さんのおっぱいに、ぐいぐいと頬ずり、した。
うん。柔らかい。

「……あはは。いい、よ和樹。それでいい」

笑ってくれたから、心も落ち着いて。さっきの母さんの「すんすん」じゃないけど、ぐいぐい頬ずりを続行&強化。

「うん、うん。和樹……和樹……」

さっき見たパジャマの胸元。その中のおっぱい。
エロマンガじゃ「ゴムマリ」とかよく書いてるけど……ゴムマリよりは跳ね返してこない。代わりに柔い。
まぁじかに手で触ってるわけじゃないからアレだけど、若い娘ならちょっと違うのか?
……ってか、この感想は母さんに対して無いわー。無いわー。

「うん……うん……そう……」

母さんは、ずっとその調子で小さくつぶやいてる。さっき引き寄せるために使った右手は、俺の後ろ頭をまた撫でてる。
俺は……母さんが勧めたから、おっぱいに顔埋めてる。母さんも嫌がってない。
柔くて、いい匂い……な気がする。まあ、この2日間あれだけ風呂に入ったし、そーいう感じの匂い。
あー、母さんが俺の頭の匂いを色々言ってたけど、ちょっとだけ、ちょっとだけ分かる気がする。
このままずっと、顔うずめて鼻を鳴らし続けてたいような、懐かしい感じ。陳腐だけど「懐かしい」がしっくりくる。
甘えていい、って言ってたよな……じゃあ、いう通りにするのが一番、か。男は黙って、これ以上混乱を起こさず。
……あれ?何か忘れてる気がする。俺、なんでおっぱいに最接近したんだっけ?
なんかこう……さっきまでちょっと激しい攻防があった気が……。

「……いい、よ。もっと、して」

うううっ。もっとして、と来たよおい!
もっと強く、って意味なのかもっと大胆に、って意味なのか。分からんぞー!……あ、もっと甘えて、って意味もあるか。
どれが正解の選択肢だ……?

「あっ……これ、じゃまか」

頭にあった手が、ふっと離れて。その手が密着する俺の顔とおっぱいの間に滑り込む。思わず距離とる俺。
開いた隙間で、ありがたいことに、母さんの指先がちょいちょい、と動く。ああ、ああ……マジっすか!?


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