俺と文哉と俺たちの母さん |
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「……」 「……」 ……ん?少し落ち着いてみると、なんか少しさっきと違ってる。 なんか少し……あ、俺の頭にある母さんの手が片手になってるわ。まあ、あんまり意味は……。 「……んー」 「?」 「……ねんねんねんねんねんねんよ、ねんねん……」 ……おいっ!子守唄はないわー。和ちゃんよりないわー。 「……そんなんじゃ寝れねぇ」 「あ……そう?」 「……あたりまえじゃん」 「んー……まあいいけど。ねんねんねんねんねんねんよー」 頭に当ててた手のひらを。優しくぽんぽん叩きながら。すっげぇ昔に聞いてた記憶がある子守唄歌唱中の母さん。 「だーかーらー……恥ずかしいから、やめて」 「……っていうか、ねえ」 「何よ」 「自分に向けて、なんだわ。これ」 「……はぁ?」 「……ヤバイ、から。匂ってたりしてたら」 「……何言ってんの?」 素で。 本当に母さんが言ってる意味が分かんなくて。カッコはマヌケなくの字ながら、素で聞き返した。 「……どーしよ」 「……はぁ?」 「……色々、思い出しちゃった」 「……昔とか?」 「違う、かな……ヤバイな。どーしよ?和樹」 「……さっぱり、わから……」 分からん、って言おうと思って。同時に少しだけ顔上げて、母さんの意味不明な言葉を少しでも探ろうと顔見ようとして。 「……っ」 母さん、俺をじっと見てる。超マジメ顔。 「……ね」 「う、ん……」 「和樹、は……まだ子供だよね」 答えられん。怒られてるわけでもないのに、頭が考える事をやめちゃったみたいに、なって。 「子供じゃないと、困る……はあっ、どーしよ」 顔近いから、そのためいきが俺の鼻筋にふわっと当る。ぞくぞく、しちまう。 |
「子供、なのに……ね。匂いとか、嗅いじゃだめだぁ……は、ああっ」 「かあ、さん……?」 まばたき、しねえし。まだじっと見てるし。 「……ね。和樹」 「な、に……」 「……つらい?」 「……っ?」 「……母さんね、つらいな。もう、ヤバイ」 ……・ひやあああッ! な、な、な、な、な、何で、ソコ、触るッ!? 「ちょ、ちょ、ちょッ!」 俺がめいっぱい引いてた腰の中心……ち、ちんこあたりに母さんの手が突然! 慌てて腰引いて……って、もう引きようがなかったんで、よじった上で手でガード。 「……何してんの!ちょッ」 「……んー、固いじゃん」 「固く、ないッ!」 「……声、大きい」 「あっ……」 「……思い出した、って言ったじゃん」 「……?」 「今日の、昼間の……車の中。何でだろ?匂い嗅いでると、あの時のことばっかり、で」 「……っ」 「……だから、子守唄とかでごまかそうって。でも、ダメだぁ……ヤバイ、よ和樹ぃ」 俺が握ってる母さんの手が、なんかゆるゆるすこーしだけ動いてる。俺の手を握ろうとしてるのか、そうじゃないのか。 ……ってか、このシチュは……俺的にも母さん的にもヤバイんじゃね?や、母さんは自分で「ヤバイ」って言ってるけど。 車の中の事思い出したって……あのフェラの事でしょ?ほーらー、ヤバイじゃーん! 「そ、そ、それ……母さん、って!」 「邪険に、するなー……分かんないんだよ?自分でもどうしてか……ね、ね、ね、和、樹……」 下半身付近での、母さんの手と俺の手のちっちゃなちっちゃな攻防。同時進行で母と息子の謎会話。 少しだけ力入れて、俺のほうに手を出そうってする母さん。それはいかんと押し返す俺。 はたから見りゃ遊びみたいにじゃれあってるんだろうけど、顔はもうお互いに真剣ー。 ……いやらしい母さんを見てる自分が、めちゃめちゃ戸惑ってるのが分かる。正直どうしていいか、全く分からん。 そしたら、そしたら。母さんは別の攻撃を。俺の弱点を、的確に。 |
「……じゃあ、ほら」 下半身に接近してる左手じゃなくて、頭にあったほうの、右手。その右手を母さんが、ぐいっと。 「ここ……好きだよ、ね?」 頭は、ってか顔は完全に、その弱点に接触した。意識して、これはマズイと思って、子守唄あたりでちょっと飛んでた、その。 「う、ぐっ」 「……ほら、好きじゃん和樹。近いと、色々分かるでしょ?」 おっぱいは、好きだ。異論はない。でもぶっちゃけ、このシチュでどーしたらいいのか分からんし。 母さんが、おっぱいに俺を引き寄せて「好きでしょ?」「色々分かるでしょ?」……え?どうしたらいいわけ? 雰囲気では、色々してもいいって感じ、だよね?色々する……あの、触るとか、も、揉む、とか、す、す、すう、とか。 「ふふ、ん」 「……っ」 ……いや、ダメでしょそんな事したら。ああ、ダメだぁ。ダメだぁ!ちょっと妄想しただけで……ヤバイいいい! 「昔、みたいにってか、文哉みたいにして、いいよ……あ、文哉の事は、今いいか」 文哉みたいに。 最初、旅館の部屋で王様ゲームで。んで次は露天風呂で。更に夜中の暗い部屋で。文哉は母さんのおっぱいを触った。んで多分吸ったし揉んだ。 悔しいけど、何度も。 なんかこう……文哉の事が一瞬でも出ちゃったから、俺の心もなんかこうモヤモヤしちゃって。 やっぱり俺はチキンで、母さんがこんな感じにしてくれても、文哉みたいにワガママに振舞えない気配が自分でして。 また、ほんの1時間前みたいにヤな気分に陥りそうになってた、俺。 ところが。 「和樹」 「……」 「……甘えてくれるだけで、いいから。あんまり考えないで。今日だけ、ね。母さんが、そうして欲しいし」 それが、きっかけ。 俺は、バカみたいに素直に、顔に押しつけられてる母さんのおっぱいに、ぐいぐいと頬ずり、した。 うん。柔らかい。 「……あはは。いい、よ和樹。それでいい」 笑ってくれたから、心も落ち着いて。さっきの母さんの「すんすん」じゃないけど、ぐいぐい頬ずりを続行&強化。 「うん、うん。和樹……和樹……」 さっき見たパジャマの胸元。その中のおっぱい。 エロマンガじゃ「ゴムマリ」とかよく書いてるけど……ゴムマリよりは跳ね返してこない。代わりに柔い。 まぁじかに手で触ってるわけじゃないからアレだけど、若い娘ならちょっと違うのか? ……ってか、この感想は母さんに対して無いわー。無いわー。 「うん……うん……そう……」 母さんは、ずっとその調子で小さくつぶやいてる。さっき引き寄せるために使った右手は、俺の後ろ頭をまた撫でてる。 俺は……母さんが勧めたから、おっぱいに顔埋めてる。母さんも嫌がってない。 柔くて、いい匂い……な気がする。まあ、この2日間あれだけ風呂に入ったし、そーいう感じの匂い。 あー、母さんが俺の頭の匂いを色々言ってたけど、ちょっとだけ、ちょっとだけ分かる気がする。 このままずっと、顔うずめて鼻を鳴らし続けてたいような、懐かしい感じ。陳腐だけど「懐かしい」がしっくりくる。 甘えていい、って言ってたよな……じゃあ、いう通りにするのが一番、か。男は黙って、これ以上混乱を起こさず。 ……あれ?何か忘れてる気がする。俺、なんでおっぱいに最接近したんだっけ? なんかこう……さっきまでちょっと激しい攻防があった気が……。 「……いい、よ。もっと、して」 うううっ。もっとして、と来たよおい! もっと強く、って意味なのかもっと大胆に、って意味なのか。分からんぞー!……あ、もっと甘えて、って意味もあるか。 どれが正解の選択肢だ……? 「あっ……これ、じゃまか」 頭にあった手が、ふっと離れて。その手が密着する俺の顔とおっぱいの間に滑り込む。思わず距離とる俺。 開いた隙間で、ありがたいことに、母さんの指先がちょいちょい、と動く。ああ、ああ……マジっすか!? |