第3章
卑怯な事かも知れないと、義祐は考えていた。受話器を持っては置き、置いては持った。
志穂と躰をつなげた事実は、一日中白昼夢の如く思考を支配し、睡眠はおろか食事すら取る事ができなかった。酒だけが進み、それが一層想像の中の志穂を淫らに歪ませていく。
全裸で自分を受け入れる志穂。
唇を吸い、舌を絡める志穂。
自分の背に必死にすがりつく志穂。
下から腰を突き出す志穂。
果てた後も躰を離さぬ志穂。
『また、して……っ』と囁く志穂……。
妄想が広がるほど、昨昼バスルームで起こった現実は脆くも崩れていく。ならば、現実の方を妄想に少しでも近づけたい。股間に漲る力は、それが可能であるかも知れないと思わせるものがあった。
義祐は、ダイヤルを回し始めた。焼酎の呑み過ぎで喉が痛い。しかし、これは逆に幸いするかも知れない。再び淫らな決意をした義祐は、そんな計算さえできるようになっていた。
「……」
朝食の後片付けをしていた手を止め、志穂は居間に向かう。そのまま力なくソファに崩れ、瞳を閉じた。
何も手につかない。というのが現実だった。夫の父、そして実の息子と躰を交わした自分。昨夜の自慰で悟った、禁忌に抗えない自分。家事をしていても、気づけば義祐や等とくねり合う自分の姿が浮かんでくるのだ。
「ああ……」
溜息が洩れる。愛する夫に対する償いなど、できようがない。事実、義祐とセックスしたという禁忌を償うために、息子 等と躰をつなげてしまったのだから。今はただ、自分の淫らな肉体と本性を呪うしかなかった。
そんな時、そばの電話が鳴った。着信相手を見て、志穂は受話器を取るのを思わずためらう。相手は、義祐だったのだ。
(ああ、どうすれば……)
呼び出し音は、さらに志穂を惑わせるようにヒステリックに鳴り続ける。義祐が自分に何を語ろうとしているのか?そして、それに対して自分はなんと答えればいいのか?思考が頭の中を駆け巡る。
心を引き裂きそうな呼び出し音から逃れるために、志穂は受話器を取った。ゆっくりと、耳に近づけてみる。
「……もしもし」
志穂が呼びかけても、相手から返事はなかった。困惑はさらに増し、鼓動は胸を強く叩く。
「……ほ、さん……っ」
心臓が止まりそうになる。息が詰まったような、苦しげな声。言葉はそれ以上続かずに、ただかすかに低く小さな呻き声が聞こえるだけだ。
「もしもし、お義父さま!?もしもし!?」
強く呼びかけても、向こうに変化はない。呻く声すら、次第に小さくなっていくように思えた。義祐も六十代、昨日の出来事の前までは、志穂は夫 祐二と共に気力を無くしていく義父の体をいつも心配していたのだ。いや、昨日の事があっても、義祐の年齢が若返ったわけではない。志穂は、先程とはまるで違う不安に襲われていたのだ。
「大丈夫ですか、お義父さまっ!?」
もはや呻きさえ聞こえなくなった。志穂は一つ唾を呑み込む。
「お義父さま、今からすぐにそちらに行きますから!待って、待っていて下さい!」
受話器を置くと志穂は、エプロン姿のままで駆け出していた。義祐が住むアパートまですぐの距離、義父の命を案じる嫁として、志穂は走った。『待っていて下さい』の一言に、電話の向こうで義祐が喜びに打ち震えているとも知らずに……。
慌てる脚がもつれそうになるのを必死で耐えながら、志穂は古アパートの階段を駆け上がった。カンカンッと高く軋む音が、心の動揺を一層かきたてる。部屋のドアへと辿り着き、ノブを回す。鍵は、かかっていなかった。
「お義父さまっ!」
息も荒いまま部屋の中に声をかけてみた。反応はない。狭い台所と6畳一間しかないその部屋の窓はカーテンが閉じられ、光の入らぬ暗い空間となっていた。わずかに洩れる光を頼りに、志穂は頼りない足取りで義父の姿を探した。
「お義父、さま……?」
返事がないという絶望感。電話が置いてあるはずの、部屋の奥に進む数メートルがひどく長く感じられた。義祐が受話器を握り、畳の上に倒れている……。そんな最悪の光景を、志穂は振り払いたかった。
「……」
もはや声をかける気力すらなかった。暗がりの中でも黒電話が見える位置まで来る。
座り込んだ志穂にははっきりと見えた。受話器は、しっかりと置かれていた。息を飲む志穂に追い討ちをかけるように、玄関の方から小さな音がした。それは、トイレのドアが開く音、そして玄関ドアの鍵がカチリと閉まる音。やがて、数歩の足音と人影。
「……志穂さん」
義祐だった。その表情を見、志穂の全身に冷たい空気が流れ込んで来る。何かに衝き動かされたような瞳。そう、昨日のあの時と同じ瞳。
「ああ……っ」
美しい唇から、絶望の吐息が洩れた。義祐はそんな弱々しい志穂を冷たく見下ろしながら、ゆっくりと近づいてくる。そして右手には、細いビニールの、縄。
志穂は力のこもらない体で、何とか義父の横を通り抜けようとした。しかし、やはりそれは叶わなかった。狭い部屋、志穂はすぐに足をすくわれ、みじめに床に倒れ込んだ。
義祐はその機会を逃しはしなかった。うつぶせの若妻にのしかかり、後ろ手をビニール縄で縛り上げる。細い縄で素早くしっかりと、しかし傷をつけぬよう余裕を持たせて縛る。生業としていた林業への従事で身についた技が、女を犯す事のために生かされるなどとは、義祐自身も思ってはいなかった。
「お義父さま……やめて、やめて下さいっ!」
か細くなった声で、志穂は背の義父に懇願する。しかし息子の嫁の手を縛り終えた義祐は、そのまま無言で志穂の顔を眺めていた。自分に考え直してもらおうと、必死に首を後ろに向け叫び続ける志穂。その恐怖に歪んだ表情さえ、猥褻な思考に支配された義祐にとってはこの上なく美しいものに思われた。
「志穂さん……」
義祐はそう言って二つほど溜息をつくと、すぐに行動を始めた。自分のすぐ後ろにある、豊かに膨らんだ肉の丘に、ゆっくりと手を伸ばす。そして、ブラウンのスカートの滑らかな表面を、さわさわと撫でた。厚い布の上からでさえ、志穂のヒップの豊かな感触は確かなものだった。
「やめ、て……っ、お義父さま」
恥ずかしさで次第に艶を帯びてくる志穂の声を、義祐は心地よく聞いていた。自分の手がスカートの布の中に侵入した時、志穂の呻きはさらに艶やかになった。
ぷりぷりとした感触が、ショーツの上からでもしっかりと感じられる。上に引っぱれば戻り、下に引っぱれば戻る。志穂の尻は素晴らしい弾力で義祐の手のひらを悦ばせた。
「……やめて、お願いですお義父さま。お願い……っ!」
志穂は脚や腰に力を込め必死に抗った。しかしいくら腰や両脚をばたつかせても、その動きが余計にヒップの弾力を引き立たせ、義祐の欲情の火に油を注いでいた。
「ひっ……!」
志穂は息を呑む。ショーツのゴムの部分から、義祐の手が直肌に侵入して来たのだ。
「おお……っ」
スカートの表面よりも滑らかな感触が、そこにはあった。皺が刻まれた義祐の手にさえ、しっかりとくっついて来るような張り。ゴムマリのように柔らかいその尻は、志穂の意思とは関係なく、まるで義祐を歓迎するように豊かな魅力をたたえそこに存在していた。
「ああっ、やめ、て……お義父さま、お願いですっ!」
志穂は再び激しく懇願した。自ら悟ったのである。これ以上義父の手が尻を撫で続けるならば、また自分が望まない『自分』が、躰の奥底から現れて来るだろうと。
それに、義祐の最終目的が、このままヒップを愛撫する事ではないであろうという不安もあった。不安?志穂は自分の頭に浮かんだおそろしい考えを振り払おうとした。尻の愛撫に体温を上昇させている自分が、義父の最終目的を本当に不安だと思っているのだろうか、と。もしかして自分は、本当はそれを望んでいるのではないか、と……。
「ああっ、んっ……お義父さ、まっ……だめっ!」
義祐の指がはっきりと意思を持ってヒップの谷を這い始めた時、自分の声が上ずったのに気づいても、それが抵抗ゆえの興奮なのか、心の内部からの昂ぶりなのか、志穂には判断できなかった。
対する義祐は、志穂が感じている疑問の答えを、指先でしっかりと感じていた。まだ自分の指先は志穂の淫裂に辿り着いてはいない。しかし、汗なのか別の液体なのか、尻の谷間を這い回る自分の指は、しっとりと濡れ始めているのだ。
「ああん……っ、だめ……あんっ!」
六畳一間の薄暗い部屋に、志穂の甘ったるい声が響き渡る。自分が乗っかっている女は、もう自分に美貌を向けるのをやめ、目を閉じあらぬ方向に向かい吐息を発し続けている。おそらく普段自宅の家事をしているだろうそのままの格好、薄いピンクのサマーセーターとブラウンのスカート、そして草色のエプロン。しかし、自分はその『普段の息子の嫁』の尻を剥いて指を這わせているのだ。
そして、自分は間違いなく、この女を抱くのだ。昨日のバスルームでの強姦よりも、明らかに抵抗を弱めた、この女を。
「あ、あうんっ!」
じらされていたからだろうか?指が触れてしまった時、切なげな声を上げる。志穂の熱い場所は、義父の指に刻まれた皺の一本一本さえも感じたように思われた。瞬間、キュウンと躰が硬直し、鈍い電流のような小さなオーガズムに襲われる。あまりに感じやすい若嫁の淫汁を指先に触れ、義祐は感激した。
「はあっ、はあっ……は、あ……っ」
志穂は荒い息を畳に吐きつけた。また、イッてしまった。愛する夫の、実の父親の愛撫で。しかし、哀しい感傷は長く続かなかった。
「……え?」
突然、自分の腰が床から浮き上がった。誰あろう義祐が、逞しい両腕で志穂の腰を抱えたのだ。そう、義祐は志穂が絶頂の余韻に浸っている間に、すでに志穂の尻を抱えられる後背に移動していたのだ。
志穂は、形だけでも抵抗するべきだった。そして、それが最後の抵抗の機会だったのだ。義祐は素早くズボンとパンツを下ろし、志穂のスカートをまくり、パステルピンクのショーツを剥がし、真っ白なみずみずしいヒップを抱えた。あっという間に、男と女の性器が相対したのだ。義祐のペニスは収まるべき場所を求め、びくびくと鼓動に合わせいななき、志穂のヴァギナは受け入れるべき物体を待ち焦がれ、ぬめ光る愛液を滴らせている。
「い、や……っ」
そんな言葉など、無駄だと分かっていた。自分のヒップを抱えた義祐の指は、まるでその尻肉に食い込まんばかりに力が込められていたからだ。自分は、床に顔を擦りつけたような惨めな格好で、義父に、後ろから犯されるのだ。
「志穂……っ」
何かを意図したのか、義祐は息子の嫁の名を初めて呼び捨てにした。だが志穂はそれに気づかず、たった一つの事に思いを巡らせていた。昨日バスルームで見た、黒く、太く、逞しいあのモノは、自分のあの部分にどれぐらい近づいているのだろうか、と。
「あう……んっ!」
触れた。恐怖と困惑、恥辱と性感が、複雑に交じり合って志穂の心を直撃する。そして圧力を増していく義父の怒張を、その心と裏腹に誘うように受け入れている自分の肉体に、心底慄然としていた。
(これが、女の躰なの……?わたしは、お義父さまのペニスを嬉々として受け入れてしまうような、淫乱な女なの……?)
初めての時、眺めて失神してしまったほどの義祐の怒張。心に葛藤を抱えつつも、躰は打ち震えながらその逞しい怒張をじわじわと咥え込んでいく。淫乱な躰を持つ女は、常識よりも本能が時として勝る事を、今嫌というほど教えられていた。
「くおっ……し、ほっ!」
対する義祐は、もはや息子の嫁を犯すという罪悪感など捨ててしまっていた。そうでなければ、志穂を騙して罠にかけたり、このように屈辱的な体位をとらせて悦ぶなどという事は出来るはずがない。無論、義祐にも罪悪感はあった。バスルームでの交歓を、孫である等に見られた事に、さすがに一時は冷静ではいられなかった。しかし、志穂の躰を奪って感じた(死んでもいい)という快感は、老いて消え行くしかない運命の義祐にとって、何よりも優先されるべきものとなったのだ。
「あ、ううっ……や、め……あんんっ!」
「おお……志穂、志穂ぉ……っ」
男の固い肉が、女の柔い肉に包まれていく。男はその弾力に歓喜し、女は不本意ながら躰を昂ぶらせている。義理の父、息子の嫁。
義祐の肉棒が志穂の奥底まで収まりきった時、二人はまるで申し合わせたかのように、同時に熱い吐息を洩らした。互いに禁じられた枷を背負っているからこそ、つながりきった瞬間この上ない充足感を感じたのだ。
「はあっ、あん……っ」
上半身は普段の格好なのに、下半身は剥かれた尻だけを高々と抱え上げられ、男の楔を打ち込まれている。まるで獣の交尾だ。志穂はそれを意識し、美貌を紅く染めた。体温は躰中の血を熱く滾らせ、鼓動は胸を突き破らんばかりに高鳴っている。
「だ、め……っ」
かすかに唇から抗いの言葉が洩れたが、その唇以外は、義父 義祐のモノが体内でどのように動いてくれるのかを期待して待つ、ただの淫らな女の肉体となっていた。
「……はあっ!あふ……んんっ!」
ヒップに食い込む指の力が増したと感じた瞬間、志穂は高らかに喘いだ。義祐は腰をゆっくりと引き、そして強く早く押し入れたのだ。
「ひい……いっ!ふうん……っ」
それのくりかえしだった。志穂の濡れた洞内をゆっくりと優しく逆進した怒張は、今度は暴徒と化して柔壁を蹂躙する。引かれる時はじわじわとした切ない感覚に囚われ、その空虚感を、激しく突進してくる肉杭が電流を伴って満たしてくれる。優しく愛してくれる『だけ』の夫とのセックスでは到底味わえない悦びに、志穂の淫乱な躰は淫らに反応していく。
「ふあっ、く、あ……っ!あんっ、ああんっ!」
「おお、おおうっ!」
若い時に覚えた突き入れに、こんなにも志穂が感じてくれるとは義祐も思ってはいなかった。自らの肉幹を包んだ熱い粘膜は、腰を引いた時は未練そうに蠢き、強く突いた時はそのこわばりを逃がすまいとして収縮する。先端、えら、首、幹、根に至るまで、義祐のモノの全てを、志穂の女柔肉は食い尽くそうとしているようだった。しかし、志穂の猥褻な内部に感動しながらも、義祐は志穂の次の変化を待っていた。ゆっくりと引き、強く突く。この動きは女の内部を味わうためだけのものではない。本意は、『じらし』だ。
「ふ、あんっ!あ、ああう……ふあっ!」
激しく突き入れられるのは一瞬。だからこそ、腰が引かれる時間は女にとってこの上なく長く感じられる。どうすればその切なさを満たす事ができるのか、何をすればもっと強く、もっと深く悦びを感じられるのか。
その答えを、志穂の本能は悟った。そして、それこそが義祐の待っていたものだった。バスルームでの交わりもさらに大きく、さらに淫らに、志穂の腰が動いたのだ。
「ひあ……っ!あうっ……はああっ!」
志穂は自分の淫らな動きをまだ知っていない。しかし、打ち込まれた杭の角度が突かれるたびに変わり、そのため自分の声が淫らに艶を帯びていくのは分かっていた。引かれれば引き、突かれれば押す。義父に向かって差し上げられた魅力的なヒップが、そのようにいやらしく振舞っているのを知った時、志穂の理性は本能を非難する事ができるだろうか。
志穂の腰がくねるたび、義祐もまた喜びに打ち震えた。志穂のヴァギナは奥に行けば行くほど、自分の陰茎をしっかりと食い締めてくる。えらの張った先端はその粘膜を荒々しく突き回り、志穂の淫動をさらに大きくしていく。
(そうだ志穂さん、女はいやらしく乱れたほうがいいんだ……もっとわしのち○ぽを喜ばせておくれ……)
義祐は肉体を乱し始めた息子の嫁をさらに乱れさせようとする。後ろ手に縛った志穂の手を左手で持ち上げた。
「あうっ……!あんっ、はんっ、はあん……っ!」
手首の痛みと共に、志穂は新たな快感に襲われた。顔と同じように、畳に押し付けられている自分の胸。その豊かな胸の先が、上半身がさらに押し付けられる事によって畳に強く擦られ始めたのだ。エプロン、サマーセーター、そしてブラジャー三枚の布に押し込められていても、志穂の乳房に息づく美しい蕾は、床との接吻に固くしこり始めていた。もちろん乳房自体も、まるで激しく揉みしだかれているような錯覚の中で快感を発生させている。
「くおっ!おおう……っ!」
「ふ、うんっ!うんっ……ひ、は、あくっ!」
胸だけではない。義父の突きも変わった。若々しい青年の如く、連続して怒張を突き入れ始めたのだ。しかし動きが変わっても、志穂の尻は淫らに揺らめき続ける。志穂の肉体は男の激しい躍動を受け入れ、さらに昂ぶろうとしていたのだ。
その時急に、尻をずっと抱え続けていた義父が、自分の背中の上に上体を寄り添わせた。
「っ……」
腰の突きは相変わらず激しいまま。志穂が荒い吐息を吐きながら戸惑っていると、突然耳に義祐が囁きかけた。
「……志穂、さん……」
今度はわざわざさんづけして、義祐は志穂の耳元に囁き続ける。
「っ……?」
「まだ、気づいておらんか……?」
激しく淫らなセックスに、志穂の躰は絶頂への坂を駆け上っている最中だった。うつろになるばかりの思考能力で、志穂は必死に義父の問いの答えを探そうとしたが、やはり快感の波に浚われ答えを見つける事はできずにいた。
「……そうか、分からんか。なら教えよう……実はな」
攻撃に耐えながら、志穂は待つ。
「……わしはもう、あんたの手を縛ってはおらんのだ……」
「……っ!」
志穂の美貌が最大限に紅潮した。気づけば、すでに自分の両手首の縄はほどかれている。その自由になったはずの両手は、自分を陵辱しているはずの義祐の手を、しっかりと握り締めていたのだ。
「そうだ……もう遠慮する事はない。わしにすがりついて、躰を乱れさすといい。わしはあんたをもっともっと乱れさせたいんじゃ……」
その言葉と同時に、義祐はさらに腰の躍動を強めた。志穂の奥の奥に、義祐の固く張ったえらの感触がある。自分の淫乱さを辱められたはずなのに、いや辱められたからこそ、志穂の膣は義祐のペニスをさらにきつく締め上げ始めた。
「あんっ!あんっ……お義父さまっ……あふ、うっ!」
義祐の右手はいまだ白い尻を掴んで離さない。だから、志穂が必死に掴んでいるのは、左手一本に過ぎない。振り払おうと思えばできたはずだ。しかし、志穂はそれをしなかった。そこに義父の左手があったからこそ、それにすがっているのだ。もしそれを解かれ、両手が自由になった時、乱れに乱れた志穂はもっと恥ずかしいものにすがっていたかも知れない。
「おお……っ、志穂、し、ほ……行くぞ、わしはもうすぐ……おおう」
「あ、あうう……お、お義父、さまっ、あん……っく、うんっ!」
答えはしなかったが、喘ぎそれこそが答えだった。志穂ももう耐えられなかった。義父がいくと同時、いやそれよりも早く絶頂に至ってしまいそうだった。ヒップは義父のエキスを一滴洩らさず受け止めようと、最大限にくねっている。熱い内部もまた、それを絞り上げるため生物のように蠢き続けていた。
「お、おうっ!志穂、しほっ!」
「あんっ!だ、め……お義父さまっ……わ、たし……もうっ、もう……っ!」
そして、やはり志穂が先に果てた。その美しい躰全身を痙攣させ、膣内に存在している男の逞しいペニスに、絶頂の証である淫液を熱く浴びせ掛けた。
「あ、ああう……っ、う、うん……」
畳にしみを作るほど荒く息を吐きつける志穂。その姿を見て、同じように絶頂に至る寸前の義祐は、ほんの少しの余裕を持った。果てた後も、美しい嫁を乱れさせるのには、どうしたらよいか……?
「お、お……っ、くう……」
駆け上ってくる放出の予感に、義祐は決断した。まだ未練を持って自分の放出を待っている志穂の膣内から怒張を引き抜いた。
「あ……っ」
精を待ち受けていた志穂は、その義父の動きに戸惑う。
「おお……うお、おっ!」
息子の嫁の愛液にぬめ光ったペニス。そのペニスの先端から、熱い樹液がついに放出された。放出が向けられたのは、志穂の美しい尻だった。
「あ、あ……っ」
自分の尻が、義父のスペルマによって汚されていく。びゅくびゅくと何度も感じられる熱い液体は、志穂の心情までも汚していった。体内に無秩序に放たれるよりも、相手に全てを支配されたという感情。義父 義祐と躰をつなげ、二度までもオーガズムを味わってしまった。近親相姦という事実。そして例えようのない、屈服感。
ずっと背後に感じていた義祐の低く荒い息が、足音と共に移動した。力の抜けきった志穂が、ゆっくりと上げた瞳に映る、影。
「志穂……」
義祐は、志穂の顔の真横に正座していた。瞳に映ったもの。それは、放出した直後、だがしっかりと勢いを主張して女に向けられている、自分の愛液に濡れたペニス。
それを志穂は、誰に命ぜられたわけでもなく、舌を出して、舐めた。