第7章
志穂が帰宅したのは、正午近くになってからだった。義父は皺だらけの身体に宿った肉欲全てを息子の嫁にぶつけ、その息子の嫁は絶え間無く襲い来るオーガズムにただよがり泣くしかなかった。夫と誓った愛も、その後も本能に従うまま何度も叫ばされた「お義父さま」の言葉に霧散してしまった。義父に抱かれ涎を垂らして乱れ狂う女が、夫を心から愛していると誰が信用してくれるだろうか。
暗く沈んだ気持ちで自宅の居間に辿り着いた時、志穂はさらに打ちのめされた。居間には、再生され終わったテープを吐き出したビデオデッキと、その前でぽつんと寝息を立てている等がいたのだ。
閉じた瞳の端に、わずかに涙の筋が残っている。家を出たのが朝の7時半、アニメのビデオはわずか2時間。母親の「すぐ戻るから」という言葉を信じて2時間も健気に待ち続けた息子の、余りにかわいそうな姿だった。
「等……っ」
志穂は思わず息子の頭を抱き上げ、約束を違え快感を貪った自分の罪を詫びた。
「ゴメンね……ゴメンね……」
初めて義祐に犯された時も、志穂は等に詫びた。しかし、あの時とは状況が格段に違っている。犯され、その現場を見られたという負い目から流したあの時の涙。だが今の志穂は、そのレイプによって夫や息子への愛を確認し、しかもその息子と感動的な交わりを体験したというのに、老練で逞しい義父の肉体に自ら溺れゆく淫乱な女だと自覚していた。とめど無く流れ出る涙は、息子 等へ向けられると共に、本能に抗えぬ惨めな自分にも向けられていたのだ。
「あ、ママ……」
等が、母親の流す涙の粒に気づき、目を開いた。
「お帰り、ママ」
「……等」
「おるすばん、ちゃんとできたよ」
「ええ、えらいわ等」
「ありがとう……じゃあ、ごほうび、くれる?」
無理に笑顔を作っていた母親の顔に、等は無邪気な笑顔で問い掛ける。
「……え?」
「ほら、こんなごほうび」
等は戸惑う志穂の唇に軽く口づける。
「ねえ、またしてくれるよね?」
「……ええ」
「やったあ!じゃあ、お昼ゴハン食べたら、すぐにやってね」
破顔の笑みを残して、等は母親の躰から離れた。すぐに台所に駆けて行き、何やら自分で食事の支度を始める。
志穂はそんな息子の姿を眺めながら、心の底に裏寒いものを感じている。息子は自分の素直な欲求から、母親である志穂の躰を求め始めている。そして、本来ならば許されざる近親相姦に導いたのは、自分自身なのだ。義父と息子の嫁。実母と実息。どちらの肉の交わりが、より罪深い事なのだろうか……?
昼食を終え、等は風呂に入る準備のため、一旦自室に上がっていった。志穂はその姿を見送り、リビングでしばらく思いを巡らせていたが、やがて意を決したように階段へと歩を進めた。
『……どこかで、こんな事を断ち切らなきゃいけないんだわ。お義父さまとの事は、わたし一人が我慢すれば、秘密にしておく事ができる。でも……等との事は、やっぱり普通じゃない。実の息子と関係するなんて常識的に許されないし、等の将来のためにもならないわ。だから、だから……』
一段一段登るたび、志穂は決意を固めていく。もう、等との関係は断ち切ろう、と。
「等、入るわよ……」
小さく声をかけて、ドアノブを回す。
「……っ!」
ベッドにちょこんと腰掛ける息子の姿を見て、志穂は唖然とした。陽光まぶしい部屋の中で、幼い等の身体に唯一似つかわしくない、猛ったペニスが天に向かってそそり立っていた。
「ホラ見て、ママ……ママの事思って、僕のココこんなに大きくなってるよ」
「等……」
息子の無邪気な言葉と、視界の中心にあるペニス。志穂は混乱を深め、唾を大きく呑んだ。
「じゃあ、僕先にお風呂に行ってるね」
「ま、待って等……!」
立ち上がろうとする息子を、志穂は制止した。しかし、やはり視界から等の肉柱が離れない。
「どうしたの、ママ?」
「お願い等、少しだけママの話を聞いて……」
「うん、いいけど……」
等は再びベッドに腰を掛ける。志穂はその息子に近づきその前に跪いて、今度はあえて息子のあの部分から視線を逸らすようにして話し始めた。
「ねえ、等……今ママが等にして上げている事、あるでしょ……?」
「うん。おちんちん舐めてくれたり、ママの中におちんちんを入れさせてくれたりする事でしょ?」
余りに当たり前のように話す息子の口ぶりが、余計に志穂の心を掻き乱していく。鼓動はどんどん早まり、喉は渇いていく。しかし志穂は、等に話さなければならなかった。
「いい?等……本当は、あんなことはしちゃいけない事なの。だから、だから……もうやめましょう。お願い、ママの言う事を、聞いて……」
口から途切れがちに出る言葉に説得力が無い事は、誰よりも志穂本人が分かっていた。『してはいけないこと』……。何故、してはいけないのか。すでにそれを等と交わし、義父 義祐とそれに溺れている志穂が、目の前で黙って聞いている等にどうやってそれを納得させる事ができるというのだろうか。
「……」
「ああ、うまく言えないけど……とにかくダメなの、分かって……」
普段から『とにかく』だとか、そんな言い方で幼い息子を窘めたりする事など無かった。頭ごなしに『ダメ』だと叱るのは子供にとって良くない事だと、以前から教育に関心の高かった志穂は知っていた。表情が明らかに曇っていく等を見つめながら、志穂の心の痛みはさらに強まっていく。
「……ママ」
「……」
等の呼びかけに、今度は志穂が沈黙する番だった。
「……おじいちゃんと、してるから?」
「え……?」
「ママとおじいちゃんが、そういうことしてるから?」
「ああっ……」
等の言葉の先端が、志穂の心の中心をチクッと刺す。
「ち、違うの等……」
「今日もママ、おじいちゃんとしたんでしょ?」
「違うの……違うっ……」
「ほんとにいけないことなら、おじいちゃんとだってしないはずでしょ……?」
「ああ……っ、許して、等……」
否定は、贖罪の言葉へと変わっていた。淡々と、思った事をそのまま口にする等。その言葉一つ一つが、志穂をさらに打ちのめしていく。
「ねえ……してよママ。いけなくないことなら、僕のおちんちんを舐めて、それを証明してよ……」
等が立ち上がった。跪いている体勢の志穂の眼前に、目を逸らそうとしても逸らすことの出来ない、息子の勃起があった。
「ほら、舐めてよ。舐められる、よね……?」
グッと、幼い息子に似合わぬ逞しいが差し出される。行為を否定する唇とは裏腹に、喉の奥が禁忌の歪んだ興奮に乾いていく。
母親の苦悩する顔に、等がそのペニスの切っ先を何度も押し付ける。透明の粘つく先漏れ液が鼻脇、頬、口元に糸引いた。
頭の中で構築したはずの、常識や決意などというものが砂のように崩れていく。義祐に強引に躰を奪われても、等の無邪気な欲望を前にしても、志穂の淫らな熱い肉体はすぐに本能に呑まれてしまう。
「だ、め……っ」
たった一つ、最後の否定の言葉を発した唇に、実息のペニスが滑り込んだ。舌の先端が、先漏れ液の味を感じる。
「……舐めて」
それからはもう、止まらなかった。くぐもった声と共に、息子の猛ったペニスに舌を絡め舐め始める。義父との関係を等に悟られたその贖罪の心が、息子の性器を舐める舌や口内粘膜に熱い温度を与えていた。
「ああ、ママ……いいよっ」
母親が自分の性器を舐め始めた事で、等の声はいつもの幼いものに戻っていた。直前に口淫を迫った時の空恐ろしさは、フェラチオに感じ入る素直な笑顔の中に消え失せた。舐めれば、体を震わせて悦ぶ。息子が悦べば、心にわだかまっていたはずの暗い霧は少しずつ晴れていく。その刹那の晴れ間がたとえ、更なる深い霧を呼び込むとしても……。
「ん、んっ、んふ、うっ……」
そして、志穂はすぐに酔った。あれほど勃起していたはずなのに、自分の口の中でさらに力を増していく、愛する息子のペニスに。
(何度も舐めていれば、おちんちんも大きくなるのかしら……)場違いな感動と疑問は、母親としての志穂と、女としての志穂を同時に熱くさせている。
「あ、ママ……ちょっとまって!」
等が、母親の唾液でびちょびちょの分身を唇から引き抜いた。
「あっ……」
「僕だけ気持ちよくなったら、悪いからね。ママも、服を脱いでベッドに寝よ、ね?」
「……ええ」
前は放出させてあげるだけで満足していた等。しかし、いまは淫らな要求さえサラリと言ってのける。そして志穂は今、その変化に怯えるどころか、歪んだ悦びを覚え躰を震わせている。ブラウスのボタンにかける指も、誰に抱かれる時より熱かった。誰に、抱かれる時よりも……。
「は、あ……っ」
熱い吐息と共に、最後の小布であるブラウンのショーツが床に静かに落ちた。子供を産んでいるにも関わらず、同性でさえ羨むほどの魅力的な肉体が、子供部屋に差し込む真昼の強い日差しに美しいシルエットとなって浮かび上がっていた。
「うわあ。ママ、きれい……」
幼い息子の、それもまた本能の囁きだった。志穂は息子の、喜ぶべき素直な笑顔と股間に嘶く不釣合いな性器を交互に見つめながら、その心をさらに羞恥と困惑に彩らせていく。
「じゃあママ、僕のベッドに寝ころんでよ。でも、ちょっと狭いかな?」
他愛ない悪戯をした時のように舌をぺろっと出して、等は母親に笑いかける。志穂はそれにつられ、微笑みながら子供用のベッドにゆっくりと美しい裸身を横たえていった。
「……これでいい?」
「うん!じゃあさっそく……」
はしゃぎながら、等が裸の体を母親の躰の上に飛び乗らせた。
「ふうん……お風呂じゃよく分からなかったけど、ママの躰、すごくスベスベだあ」
遠慮なく小さな手を母親の全身に這わせ続ける等。その指先が不用意に腰、腹、尻、乳房に触れるたびに、志穂は少女のように甘い喘ぎを洩らしてしまう。
「ん、んふ……っ」
「あ、ママ気持ちいいの?じゃあ、もっと触ってあげるね」
今度は手の平に力を込め、つまんだり掴んだり、柔らかい肉を縦横無尽にこね始めた。
「あ、あんっ!」
その攻撃は当然、手の平をあてがうのに最適な乳房に辿り着く。息子に触られて躰を高められている志穂にとっては、乳房を力を込め揉まれ、その先端に息づく乳首を摘ままれれば、高い声を上げるしかない。
「うん、やっぱりおっぱいが気持ちいいみたいだ……もっともっともみもみしてみるね」
「あん……、ひと、しい……っ」
中指と人差し指の間に乳首を挟み込み、素晴らしい弾力を持った乳房を揉みしだく。経験豊富な中年男のするような胸への愛撫を、等は自然にやってのけた。漣のように打ち寄せてくる緩い快感を、志穂は目を閉じ、等お気に入りのクマさんシーツを指先で掴み耐えている。
「……じゃあ、また舐めてね。ママ」
「……?」
志穂は声に目を開けた。目の前に、またあのいきったこわばりが差し出されていた。胸から沸く快感に、等が体を半回転させた事など気づかなかったのだ。
「ん、あむ、んっ」
無論、志穂はそのこわばりを嬉々として咥え、そして舐め始めた。
「あっ、いいよママ……」
等は小さく可愛い声を上げ、しかしすぐに胸への愛撫を再開した。息子が母親の乳房を揉み、母親が息子のペニスをフェラチオする。傍から見れば歪んでいても、その行為は二人にとって当たり前のように続けられている。
「んっ、んふっ、んん、ん……っ」
等のペニスに、志穂はやんわり唇を宛がっている。このまま口の中で放出させる気は無くなっていた。根元、血管の走った幹、皮にまだ覆われているくびれ、そして同じように皮が半分被っている先端。唇の中の舌はその各部分をチロチロと優しく這い回っている。
「あ、忘れてた……ママ、こっちのほうがずっと気持ちよかったんだよね」
突然、等はそう言って体を上にずり上がらせた。等の頭は、母親の脚と脚の間に辿り着く。先程まで豊かな胸を激しく攻撃していた右手は、母親の草叢の奥底に息づく秘裂へと向けられた。
「ん、んくう……っ!」
感じ過ぎる淫裂に指先を感じても、志穂の声はまだくぐもったままだった。等が背伸びしたため、志穂の唇の中には、かろうじてペニスの先端が残っただけだった。しかし、志穂はその先端を逃すまいと、必至に唇に力を込めた。舌撫する場所が少なくなった代わりに志穂は、その先端を今までより激しくしゃぶり始める。淫裂への愛撫に対する、それが最大の対抗策だった。
「うわあ……僕も気持ちいいけど、ママも気持ちいいんだね。このあいだみたいに、ここがどんどん濡れていくよ」
指先を素早く動かし、肉の泉を遠慮なく探る息子、それに応え幼くも逞しい肉茎の頭を舐めまくる。
「んふ……っ、ん、んっ、んふーっ!」
等の指は激しくもアバウトに母親の蜜溢れる秘裂を弄る。それが余計に、志穂の昂ぶり続ける肉体を震わせていく。けして息子のこわばりを離さぬ唇からも、抑え切れぬ喘ぎが絶え間無く洩れ出でる。
「あれ……これ、何?」
「あ、あ、あくん……んっ!」
息子に、指でイカされた。義祐に犯されたあのバスルーム、その時一番触れられたくなかったあの隠れた肉豆を、等の中指と親指の先が、肉の襞が重なる端に見つけ出してしまったのだ。不意にクリトリスを強くつままれた志穂は、それまであれほど離せなかった息子のペニスを、思わず口から逃して大きく喘いだ。
「えっ、あっ、ママどうしたの!?」
下にいる母親の全身が激しく痙攣し、目の前の淫裂からはさらに多量の液体が溢れ出る。等は志穂の見たことも無い変化に慌てた。
「はあ……っ、んん……ひ、としぃ」
絶頂の余韻に煽られて、しばらく言葉が出てこなかった。
「い、いいの等、気にしないで……ママ、とても気持ちよかったの……だから、続けて……っ」
そう言って母親が再び自分の先端を舐め始めたのを感じ、等は安心して淫唇への愛撫を再開した。珍しいおもちゃを弄くるような手つきは、相変わらずだ。
「ねえ、等……」
志穂がまた、唇を開く。
「ん、何ママ?」
等は指先の遊戯を止めぬまま、母親の声に応える。
「ママのそこ……舐めて、欲しいの……」
「え、舐める、の?」
「舐めるの、いや……?」
母親の声がいつもと違う事を、等はすぐに悟った。いや、幼い等の中にも存在する、乱れた女を感じ取る男の本能がそうさせたのかも知れない。
「ううん、舐める。ママの躰、どこもキレイだもん」
心の底から喜びを感じる言葉に続いて、熟れ切った熱肉に愛息の舌が触れた。
「ああ、んっ……いいわ、ママすごく気持ちいいっ!」
「うん。ちょっと、ヘンな味だけど……ママが気持ちいいなら、舐めるね」
「……あうんっ!」
息子の舌にあらぬ声を上げながら、志穂は思いを巡らせている。義父 義祐とは違う、等の舌に。
まるでそれ自体が生き物のようにうねり、ざらついた表面で巧みに女自身を愛撫する義祐の舌。
好奇心いっぱいにそれぞれの肉の部分を辿り、女の核心にまで届く事無く表面だけを舐め上げる等。
義父の舌の方が感じる快感は大きいはずなのに、今志穂はたった六歳の息子の舌に絶えぬ喘ぎを上げ続けている。確かに、たまらなくもどかしい。だが、たまらなくもどかしいからこそ、これから起こるそれ以上の快感に期待することができるのだ。
「あん……っ、ん、んふっ、ん、あ、んっ!」
たまに陰阜に触れる舌先が、志穂の性感を限りなく高めていく。小さな絶頂が次々と襲い、そのたびに全身を細かく痙攣させている。
志穂はもう、我慢できなかった。
「ああ、等……っ、ひとしっ!」
声高な実母の声に、等は自分の生まれた場所から舌を離した。
「ん……何、ママ?」
自分の躰越しに見える息子の口の周りに、自分の淫汁がぬめ光っていた。それさえも志穂に卑猥な悦びを感じさせている。
「等、もう……もう、ママに……ね、分かる、でしょ……?」
絶え絶えの声。
「え……?何、僕……分からないよ」
等がきょとんとしている。普段通りの、息子の顔。しかし志穂は一瞬、思う。もしかしたら、息子 等は目の前の女を弄んでいるのかも知れない、と。義父 義祐のように、性感を求め悶え苦しむ女を弄び愉悦しているのでは、と。
「ああ……っ!」
しかし、その一抹の不安も、本能より出でる欲求にすぐに押し流される。
「……等の、おちん、ちんっ……この、おちんちん、ママに、ママに……入れてっ!」
志穂は目の前で勃立する肉柱をしっかりと掴んでしごいた。その先端を舌先でれろれろと舐めた。これを、すぐに入れて欲しかった。
「……うん、いいよ!」
飛び上がるようにして等は母親の上から離れた。そして、初めて躰をつなげたバスルームの時をなぞるように、小さな手で母親の太腿を掴んで腰を進めた。
「はあっ、来て……ひと、し……っ」
もう、手でその場所に導かなくても、息子はしっかりと先端を触れさせる。それが志穂には頼もしくもあり、空恐ろしくもあった。
「あ、あ、ん、くうっ!」
「ああ、ママ……入って、いくよ」
幼くも熱く固いペニスが、生まれ出でた母親の場所に呑み込まれていく。
母親は息子の逞しさに歓喜し、息子は母親の柔らかさに酔った。女は男の肉の張りに悦び、男は女の粘膜の温度に感じ入った。
全身に電流のような痺れが幾度も弾ける。志穂はもう、一度目のエクスタシーに昇りつめようとしていた。
「んっ、あっ!あ……ひと、しっ……だ、ダメっ!」
「え、ダメなの……ママ?」
等がペニスの進行を止め、それを引き抜こうとする素振りを見せた。
「だ、ダメっ……抜いちゃ、ダメぇ……っ」
駄々をこねる少女のように、志穂は濡れた声を向ける。
「ママ……分かんないよ。入れちゃダメなの?それとも、抜いちゃダメなの?」
「ああ……んんっ」
あまりにも無邪気であまりにも淫猥な息子の疑問に、志穂の顔が羞恥に火照っていく。それでも、答えなければ肉の悦びを得る事が出来ないのだ。志穂は一度息を飲み込んで目の前の息子に語りかけた。
「……抜かないで、等。そのまま、ゆっくり……最後まで、入れて……っ」
等は、その母親の淫らな声に返事をしなかった。その代わりに母親の言う通り、いきり立った肉茎をゆっくりと突き進めて行った。
「ふあっ、くうっ、んふ……っ」
皮を被ったままであるはずなのに、その中に内包されている固く開いたえらの感触さえ、志穂の熱く滾った粘膜は感じ取っていた。それを性に打ち震える心にすぐに変えられるのも、志穂の淫乱な本能のおかげだ。
「ああ……ママ、入ったよ。僕のおちんちん、ママの中に入ったよ……」
幼い喘ぎが、つながりを果たした母親の心をいやらしく掻き乱す。
感じている。自分の息子の逞しいペニスが完全に埋まりきって、興奮に震えているのを感じている。胎内の粘膜が、そのペニスの攻撃を期待して蠢動しているのを感じている。肉体中の細胞が、血を分けた息子の濃いスペルマを待望して熱くなっていくのを感じている。つい先程まであれほど断ち切ろうとしていた近親相姦の愉悦に、志穂は呑みこまれようとしていた。
「ふうんっ……動いて、等……お風呂でやった時、みたいに、あっ……ママの中で、動くのっ」
「うん!」
それは返事とほぼ同時だった。突然腰が引かれ、母親の熟れた粘膜を擦り取るような勢いで、等のこわばりが逆進したのだ。
「ああう……んっ!」
幼いペニスが、ただ一度逆進しただけで、志穂はイってしまった。挿入前の舌先でのクリトリス攻めで煽られたオーガズムの引き金が引かれてしまったのだ。
「あっ……ママの中、僕のおちんちんをぎゅっ、って締めてきたよ。何だか、気持ちいい……」
絶頂から来る肉体の変化が、等のペニスにも伝わる。淫らな女の膣壁は内部のペニスに愛液を浴びせながら、一度の絶頂に飽き足らずに次なる快感を得ようと蠢く。
「もっと気持ちよくなりそうだから……動くね、ママ」
「ひとし……ああ、ふうんっ!」
本格的な腰の躍動が始まった。そのグラインドは直線的で、義祐のように女の内部を巧みに擦る事は無いが、むしろ今の志穂には、愛する息子 等の肉柱がヴァギナを元気に動き回っている事だけで、限りない幸せを感じる事が出来た。等は、自分を悦ばせるために、こんなに一所懸命体を奮ってくれているのだ、と。
「えっと、それから前と後ろの繰り返しだね……よいしょ、よいしょっ」
「ん、あっ!ひと、し……、そ、そうよっ、ああ、イイっ……あ、くう、んんっ!」
小さな躰に組み敷かれて、志穂の躰が快感にうねる。それでも瞳を閉じる事はせずに、息子の無邪気な往復運動を優しい眼差しでぼんやりと眺め続けている。
「ふうんっ……ママ、すごく気持ちいいの。等も、あうっ……きもち、よくなって、あんっ、気持ちよく、なって……」
「うん……ママの中、あったかくて、やわらかくて……動かしてると、すごく気持ちがいいよ。ああ、すごい……っ」
「嬉しい……等、もっと、もっとママの中で気持ちよくなってね……あふ、んっ!イ、イイっ!」
母子だからなのか、よく似た質の声を子供部屋に響かせて二人喘ぎ入る。冷房が効いているはずなのに、志穂も等も激しい運動と快感に全身汗しながら、互いの体を愛し、ぶつけ合っている。
「んふ、んっ、ん……ひ、としぃ……っ」
志穂が、下から自分の腰を緩やかに突き上げ始めた。この交歓が長く続いて欲しいと願う一方で、志穂の淫乱な肉体は男の熱く固いこわばりから受ける歓喜を味わい尽くそうと猥褻に振るわれる。愛する幼い息子との禁じられた関係は、それほどまでに素晴らしく甘美なものだったのだ。
「ま、ママ……そんなふうにすると、あん……っ、僕、また、出ちゃうよ……ああっ」
「んっ……大丈夫……ママに、任せて。等は、そのまま、あうっ……そのまま、腰を動かしていて……ああ、あんっ!」
少しだけグラインドの勢いを抑え、その代わりに腰を左右に巧みに振る。そうすれば、息子の先端が暴れ、膣壁の粘膜を心地よく擦り上げてくれる。息子と一緒に絶頂に駆け上るため志穂が選んだ、乱れた振る舞いだった。
「ああん、はあっ!イイっ、すごいっ……ひとしっ、も、もっと……強くつい、てぇ……っ!」
自分から進んで躰を揺らめかせる事は、こんなに気持ちいい事なのだと、志穂は浮かされる思考の中で考えていた。義祐に何度も荒々しく抱かれた時は、自分の肉体が無理矢理割り裂かれて行く被虐の悦びに、本能のおもむくまま腰を義父の激しい突きに同調させた。今、等に対しては、何も知らぬ無垢な息子に、母親が全身を使ってふしだらな事を教えるという悦びに浸っている。
(わたしの躰、すごくいやらしい……お義父さまにも、等にも、こんなに乱れてしまってる……でも、いい。この瞬間、等とつながっていられるなら……)
腰の動きが、さらに巧みになった。瞳は、ついに閉じられた。今はただ、息子と同じ快感を共有している事を感じながら、躰の中心から滾々と湧き出してくるオーガズムの波に見を任せていたかった。
「……ママぁ、僕、ま、また……来ちゃうよ……ああ、ママ……っ」
「ひとし……っ、もっと、もっと……ああんっ、強く、きつく……ひとし、っ……ママ、もう、もう……っ!」
等はその小さい体にある全ての力を、母親の熱くぬめった内部に注ぎ込んでいた。
志穂は腰をこれ以上ないくらい繰り出し、ヴァギナで息子のペニスを限りなく締め付けた。実の母子が辿り付いてはいけない場所に、二人は望んで辿り着こうとしていた。
「あ、あ……くうっ!もう、ダメ……っ。ママ、イクの……等、ママ、もうイッちゃう……あん、あ、ああんっ!」
「僕も……ママの中、気持ちよすぎて……あううっ……もう、もうっ!」
夏の日差しが強く差し込む子供部屋で、二人の躰・動き・喘ぎがぴったり同調した。26歳と7歳の情欲が、頂点に達する瞬間だった。
「ママぁっ!あ、あ、うう……くうっ!」
「ひとし、ぃ……っ、あ、あう……あん、あは、ぁ……っ、い、イクぅっ!」
等は膨張し、志穂は収縮した。等は放出し、志穂は痙攣した。大量の若々しい樹液が胎内を満たしていくのを感じながら、志穂は長い長いエクスタシーに浚われていった。