傷〜終局〜 2

 

 

 

競技のためのゼッケンをつけたままの文次郎の姿を見た刹那、伊作は、文次郎がどこかケガでもしたのかとドキリとした。
だが、救護所の中に向かって投げられた暗い視線に、すぐに己の勘違いを悟らされる。口元を引き結んだ固い表情、なにか剣呑な情を宿して暗い目。その目はまっすぐに伊作を捉えてくる。
文次郎のその視線をさえぎってくれる長次の背中は、今はない。
伊作は全身が固くなるのを、どうしようもなかった。


「来い」
腕をつかまれた。
「…だめだ…ぼくは、ここに…」
いなきゃならないから。
あっさりそう拒もうと思うのに、声が震えてしまう。
「おい」
文次郎は腕を放してはくれぬまま、周りの保健委員たちにあごをしゃくる。
「伊作は借りるぞ。おまえたちだけでなんとかなるな?」
その問いに、無邪気な下級生の声が、
「はい。大丈夫です」
答える。
いやだ。ぼくはおまえと行きたくない。
そう思うと同時に、下級生達の見る前で、無様な揉め事を見せたくない気持ちも働いて、伊作はますます強張りつく。
「なにかあったら、新野先生に聞きまーす」
これは元気な一年生の声が言う。
その一瞬、自分はどんな表情を浮かべてしまったのか。
「でも、潮江先輩」
横合いから、ひどく落ち着いた声がした。
友人に付き合って救護所に来ていたツリ目の一年生が、自分達を見上げている。
「善法寺先輩とどこ行くんですか? 委員長の居場所がわかんないと困るんじゃないですか」
その正論に対して、文次郎は一言、
「うるせえ」
低く返した。
六年生の、凄みをきかせたその言葉にそれ以上の反論ができる一年生などいない。その一年生が黙る。
「おう。後はまかせたぞ」
文次郎はそれですべてを片付けた。
指が食い込むほどに強く腕を握られたまま救護所を出て行く間際、伊作は先ほどの一年生を振り返った。
……黙って、こちらを見ているその瞳に。
この子は勘付いている。
絶望的に、伊作は思った。

 

 

 

ぐいぐいと腕を引かれ、誰もいない教室へと連れて行かれた。
無人の教室に入るなり、文次郎はつかんだ腕ごと抱き寄せてしゃにむに唇を重ねようとしてくる。
「は、放せっ…!」
抗い、伊作は思い切り文次郎の胸を突いた。腕を振り払う。
「もう…もういやだって言っただろっ!」
だが文次郎は無言で、再び間合いを詰めようと歩み寄って来るのだ。
「寄るなっ」
伊作は腕を振り回す。
「ぼくは、いやだっいやだっいやだっ!」
叫ぶ自分の声が悲鳴のような高さになって、伊作は耳を覆いたくなる。なぜ、こんな……こんなみっともないことになるんだ……。
眉間に皺を寄せ、口元を引き結んだ文次郎が、初めて口を開く。
「…そんなに、あいつのほうがいいのか」
「…え?」
なにを言われたのか、瞬間、本当に伊作がわからず問い返せば、
「あいつがそんなにいいのかっ」
ほとんど憎々しげに文次郎が繰り返した。
……あいつって? 口には出さず、しかし伊作は当惑して文次郎を見返す。それが白々しく見えたのだろうか。文次郎の唇がゆがんだ。
「…あいつは、優しいか?」
「……………」
「ちゃんと気持ちよくしてくれんのかよ」
「文次郎…なにを言って…」
「あいつならいいのか? あいつならおまえは喜んで…っ」
じりじりと二人の間の距離が縮められていたことに伊作が気づいた時は遅かった。不意に伸びてきた腕に伊作は再び捕らえられていた。
「言えよっ! あいつならいいのかっ!」
「放せって!」
伊作が放った平手打ちが文次郎の頬で高い音を立てた。が、文次郎の瞳の狂ったような光は消えない。ばかりか。それが合図でもあったかのように。
文次郎は伊作の躯を己の躯の下に巻き込んで、床の上に押し倒した。


全身で、伊作がその文次郎の拘束から逃れようと暴れた、その時。
「もうやめろと、言ったろう」
節のしっかりした手が、後ろから文次郎の肩をつかんだ。
振り返った文次郎の目が、またギリッと釣りあがるようだ。
「…だんな…」
これ以上の無体は許さないとばかり、文次郎の肩をつかむ長次。
「あんたもこいつがそんなにいいのかよ…」
文次郎の呟きのような声に、伊作は最前の文次郎の言葉の意味にようやく思い当る。…嫉妬? 長次への? 自分と長次の間を疑って?
長次の無表情にかすかに痛みの色が混ざった。
「もう、やめろ」
静かに長次は繰り返した。

 

 

だが――文次郎はもう長次の言葉を聞く耳も持てないのか。どんな思いで友がやめろと言うのか、その胸中を察する余裕も持たないのか。
「……るせえ」
低く唸るように言うが早いか。
文次郎はつかまれた肩を振り払う動きと同時、上体を反転させて左の拳を長次に向けて繰り出した。身体をひねる動きにきれいに体重を乗せた、手加減も容赦もない、本気の一撃。
至近からの打撃を、長次は顔面間近まで押されはしたが、開いた手の平に受け止める。
チッ! 鋭い舌打ちの音を響かせ、文次郎は今度は下から抉る動きで長次のみぞおちを狙って、右の拳を鋭く突き入れようとする。
長次が飛びすさりながら、その腕を叩き落とす。
腰を低く落とし、文次郎が長次の次の隙を狙う。長次が、構える。
ほんの数瞬のうちにたちまち闘気を全身に漲らせた二人を、伊作は半ば呆然と見上げ、はっと気づいて身を起こした。
「やめろっ! 文次郎っ! 長次っ!」
必死の伊作の声も、「敵」を前にした…少なくとも文次郎の耳には届いていないようだった。
気合いと共に長次の顔面を狙った蹴りが、飛んでいた。


拳と、それを防ぐ腕が、ぶつかる。蹴りと、それをかわそうとする足が、交差する。どちらも手加減なし。
本気で相手の急所を狙い合う友人の姿に、伊作は唇を震わせる。
二人が、戦いたいなら、いい。どうしても相手が許せぬと、拳を交わすなら、それもいい。
でも。こんなふうに。己に無体を働こうとする文次郎と、それを止めようとした長次が争うのは。見ていられなかった。
自分は守られるだけの女じゃない。勝手をされるだけの女じゃない。
文次郎と戦うなら、それは長次ではなく、自分自身でなければならないはずで。こんなふうに、二人が本気で殴り合う必要はないはずで。
たまらず、伊作は宙に身を躍らせた。
文次郎の腰に飛びつく。
その瞬間、なにかがものすごい速さで視界に飛び込んで来た。なんだろう。その正体をつかむより早く、伊作はなにか温かく柔らかいものに、頭部を抱え込まれていた。

 

 

その、視界に飛び込んできたものの正体が文次郎の腹を狙った長次の蹴りであったことと、頭を覆ったものが自分を庇おうとした文次郎の身体であったことに伊作が気づいた時には、文次郎は脇腹を押さえて床に転がり、呻いていた。
――ぼくを、かばって……?
「うぅ…」
呻く文次郎は眉を寄せている。
「…すまん」
ぼそりと声が上から落ちて、長次が傍らに膝をついた。
「あそこまできれいに入れるつもりはなかった」
きつかった蹴りを詫びる長次に、文次郎はそれでも剣呑な瞳を向ける。
「…手加減なんか、いらねえ。口出しも、いらねえ」
長次の顔に、また痛みに似たものが走った。
「…伊作を、これ以上、苦しめるな」
そして長次は深く息をつくと、改めて文次郎を見据えた。
「これ以上…狂うな、文次郎」
その声には、非難や怒りは毛ほどもなくて。いっそ哀しげですらあって。
友の一人に対して非道なマネを繰り返さずにはいられぬ、やはり大事な友を案じる長次の心情が込められているように、伊作には聞こえた。
なのに。
「け!」
文次郎は吐き捨てる。
「なんでおまえが俺を責められるんだ。俺ばっかりが悪いのか?」
長次が眉を寄せた。
「だいたいおまえに俺のことが言えるのか。仙蔵に好き勝手した挙句、自分のお古を小平太に押し付けたおまえが……」


最後まで文次郎は言い切ることができなかった。
だんっ!
高く足音を立て、小平太が文次郎をまたいで仁王立つ。
「小平太!」
いつの間にと驚く伊作が見る間に、小平太は文次郎の胸倉をつかみ上げると、思い切り、その頬を殴りつけていた。
大きな音とともに、再び文次郎が床の上に転がる。
「今のは、ムカついた」
拳を開いて振りながら、小平太が言う。そこへ、
「別にムカつくほどのこともないと思うが」
涼やかな声が割って入ってきた。仙蔵だった。
ほとんどにこやかといえる笑みを浮かべて、仙蔵は文次郎へと歩み寄る。
「長次から小平太で『お古』になるぐらいなら、長次の前に、わたしはすでに骨董屋に並んでいなければならないが?」
転がる文次郎の顔をのぞきこむ、その唇は変わらずあでやかに笑みの形のままだ。
「長次も小平太も骨董趣味のジジイだとでも言いたいか、文次郎」
ん?と小首をかしげる仙蔵から、初めて気弱く、文次郎が視線をそらした。
「…悪かった。言い過ぎた」

 

 だが、その程度で仙蔵が引くはずもなく。
白い手が横を向いた顔を両側から挟んで、上へと向かせる。
「それにな、文次郎」
今や仙蔵の笑みはいっそ優しげですらある。
「長次とわたしの間にあったことと、おまえが伊作にしたことの違いもわからないなら、おまえ、100万回ほど死んでこい」
なんなら、と続けた仙蔵の手には、いつの間にやら小刀がしっかりときらめいていて。
「最初の一度目は手伝ってやろうか、ん?」


小平太と長次が、仙ちゃん! 仙蔵。と止めに入るのを、伊作はぼんやりと目にしていた。
――わかっていたことだったが。
ああ…やっぱり、みんな、知ってたんだ……
改めてそう思い知って、伊作は鋭い痛みが来る前の無感覚で、ぼんやりと友人達の騒ぎを見ていた。
みんな、知ってたんだ……
長次が文次郎から庇ってくれるようだったのも、もちろん、全てを知っていればこそだとわかってはいたけれど。わかっていて、あえてその事実を直視せずに来ていたのだったのに。
仙蔵も、知っていた。『文次郎が伊作にしたこと』を。
あの一年も……ああ、なんと言う名前だったっけ……乱太郎の友達のあの子……あの子も知っているみたいだった、気づいたみたいだった……
長次も知ってる、仙蔵も知ってる、当然、小平太も。そして、あの子も。
自分が文次郎になにをされていたのか。なにがあったのか。男の身で、友人の情欲の捌け口にされていた情けない自分の姿を。そして。いやがりながらも浅ましく、震えた腰を。こらえようとするのに漏れた喘ぎを。
みんなが知っている……
手が勝手に震えだして、伊作はぎゅっとこぶしを握った。
…みんな、知ってる、知ってる…みっともなくて、いやらしい、自分のことを……
もうこのまま消えてしまいたいと思った。…このまま、いっそ……
「伊作」
しなやかな指が肩にかかって、伊作は落ち込みそうな谷間から引き上げられた。
仙蔵の黒くきらめく瞳が憂いを含んで、静かに自分の瞳をのぞきこんでいる。
「だいじょうぶか」
「あ…うん」
気遣ってくれる友人に、伊作はなんとか笑顔を返した。
そこへ、
「ねえ、もんじさあ…」
文次郎のそばにしゃがみこんだ小平太の声が耳に届いた。
「こーんな無茶やるのもいいけど、ちゃんといさっくんに好きだって伝えた?」
え。
思い切り不思議な言葉を聞いた思いで伊作は目を見開く。
文次郎もまた、床の上で固まったようだった。



「ねえ。ちゃんと伝えてあるの? 好きだって」
重ねて聞く小平太の声だけが、教室に響く。
伊作はもちろん、文次郎も長次も仙蔵も虚を突かれたふうに黙り込んでいる。
「あー」
小平太が両手を打ち合わせる。
「やっぱりだ。肝心なこと、もんじ、やっぱりいさっくんに伝えてないんだ」
「…肝心って、なんだよ」
もそりと文次郎が身を起こした。
「好きってなんだ。なんでそんな話になる」
「えー! やっぱ大事じゃん? 気持ちが伝えてあるのかないのかって」
文次郎は不機嫌そうに眉を寄せる。
「好きとか嫌いとか…そういうんじゃねえよ。…たぶん」
そうだよ…伊作は心の中だけで文次郎の言葉に同意する。好きとか嫌いとか、そういうことではないのだ、自分と文次郎の間にあることは。
「そうかなあ」
小平太は不満そうだ。「もんじ、いさっくんのこと、好きじゃん」
「ちげーよ」
うるさそうに文次郎は手を振る。
「じゃあ聞くが…長次、おまえ、仙蔵のことが好きだったのか。仙蔵、おまえは長次のことが好きだったのかよ」
二人は揃って沈黙を守っている。ほら、と文次郎は片頬をゆがませ、笑う。
「やることやってたって、恋とか関係ねえだろ。小平太が仙蔵好きなのはまちがいないだろうけどな、おまえだけだよ、そうやってちゃんと相手のことが好きなのは」
ちがーう。小平太が胸を張る。
「仙ちゃんだって、おれのこと、好きだもんね」
文次郎の眉間に深い皺が寄った。
「おまえは…おまえらは、そうなんだろうさ。…でもな…おれはちがう。おれは…伊作が幸せになればいいなんて思えねえ。伊作が誰かと話してるとぶちのめしたくなる。伊作がほかのヤツ見てると、その目をえぐってやりたくなる。伊作が…いやがってるのをわかってても…めちゃめちゃにしてやりたくて…」
震える息とともに、文次郎はうつむいた。絞り出すように、低い声が続く。
「こんな…こんなのは…好きって言わねえ……言えねえよ……」


誰かが、ほうっと長く溜息をついた。


重い空気のなか、
「そういうのも、しかし、恋のひとつの形ではあるがな」
仙蔵が淡々と口にしたが。
ちがうと伊作は思う。あんなみじめなことが……
「…恋なわけない」
気づけば、伊作は声に出していた。
「文次郎は…友達だった。友達としか、思えなかった」
でも、と伊作は顔を上げた。
「今は友達だとも思えない。大嫌いだ」
一息に言い切った。

 

すっと文次郎の表情が強張った。顔の色が失せていく。
「…そりゃ…あれだけのことしてんだから…」
嫌われて当然だとうそぶいて、皮肉な笑みのひとつも浮かべようと、文次郎はしたのだろうか。実際には、その声は途中で震えて途切れ、口元は持ち上がりもせず妙な形に歪んだだけだった。
伊作は、いつも居丈高にそびやかされている文次郎の肩が、今は力なく下がっているのを見つめた。
「…別に…わかってんだし…」
精一杯だろう呟きとともに、ついにはうなだれてしまった文次郎を見つめた。
胸が、痛かった。
だから、伊作はもう一度、それを口にした。
「大嫌いだ。おまえなんか、大嫌いだ」
うなだれた文次郎に向かって。
胸が痛かった。だから。どうしても、吐き出さずにはいられなかった。
それでもやっぱり、胸は痛くて。もっとひどい言葉があふれそうになった、その時、肩に柔らかく手が回されてきた。
「行こう、伊作」
仙蔵だった。そのささやきは優しくおだやかに伊作を促す。
長次が仙蔵に向かって、ひとつ、うなずいて見せたのは気づかぬまま、伊作は仙蔵に肩を抱かれて部屋を出た。
小平太がついてくる。
「おまえは競技に戻れ」
校舎を出た所で仙蔵が小平太を振り返った。
「わたしと長次は怪我で脱落だ。保健委員長はその手当に忙しい。そう、伝えておいてくれ」
「了解」
明るい声で答えて小平太が走り出す。
「いさっくん、元気出して!」
ぽんと気軽く肩をたたいて。
伊作は励ましに、なんとか笑顔を作った。


が、すぐ甦る胸の痛みに伊作の笑顔はしぼむ。
うなだれていた文次郎の姿が目に焼きついて消えない。強がりを言う震えた声が耳について離れない――
「別に、悪いことを言ったわけじゃない」
まるで伊作の心を読んだかのように、傍らを歩いていた仙蔵がそう言った。
「小平太が、好きだのなんだの持ち出して問題を単純にするから逆にややこしいんだ。おまえは文次郎を嫌っていい」
嫌っていい。そう、最前の伊作の言葉を肯定してくれる仙蔵の瞳は、おだやかに澄んでいる。
その黒目がちな綺麗な瞳を伊作は見つめ返す。
「嫌え。あんな馬鹿。わたしが許す」
雅に美しい友人の、高慢で優しい言葉。大人びて落ち着いた友人の、あたたかな肯定。
「さ、最初の何回かは…」
気づけば伊作は話し出していた。
誰かに話すつもりもなかった、話したいと思ったこともなかった。なのに。言葉が勝手に仙蔵に向かってあふれだした。
「最初の何回かは、血、血が出たんだ。痛くて痛くて、無茶で、苦しくて…」
仙蔵はほんの一瞬だけ、目を見開いたが。堰を切ってあふれる勢いの伊作の言葉を、変わらぬ表情で受け止めた。そんな仙蔵に、自分でもなにを言いたいのかわからぬまま、それでも止まらなくて伊作は早口に続ける。
「あいつが悪い、絶対悪い、ぼくはそう思ってた。痛いんだから、苦しいんだから、だからあいつが悪いんだって、恨んでいいんだって、ぼくは思って…」
そうだ、血が出た、傷ついた。だから悪いのは文次郎で……
「…な、なのに…」
「うん」
うなずいてくれる、仙蔵の瞳が優しい。本当に、優しくて。
「…なのに…ぼく、ぼくは…」
ためらいながらも伊作は、もうさらけださずにはいられないそれを、その優しい瞳の前に投げ出した。
「ぼくは…気持ちよくなるように…なったんだ…」
「うん」
仙蔵の表情は変わらない。
じわっと、その優しい友の顔がにじんだ。
「あいつが悪いのに…そのはずなのに…ぼくの躯は喜んで…。ひ、ひどいことをされてて、ぼく、ぼくは絶対、いやなのに…なのに、き、気持ちいいんだ……」
「うん」
熱いものが頬を伝って、にじんでいた友の顔が本格的にぼやけだしたが、伊作は言葉を続けた。
「最低なのは、ぼくだ…ぼくが嫌いなのは、ぼくだ…! ぼくが大嫌いなのは…!」
「伊作」
優しい手が肩にかかる。
「ぼくは、ぼくが、大嫌いだっ…!」
伊作は悲鳴のように叫びをあげた。

 

 

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