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真っ白なシーツに、豊かな長い髪が、黒い川のように流れ波打つ。
アイゼイヤの部屋に作られた寝台に、ユーデクスは促されるまま仰向けになっていた。
柔らかなマットは、翼を背にして横になっても、苦痛は感じない。
体を預ければ、ふわりと香り立つ部屋主の気配。愛しいそれに包まれるだけで湧き上がる幸福感に、ユーデクスは酔いしれるように陶然と目を細める。
「怖くないかい?」
覆いかぶさるように向かい合うアイゼイヤの問いに、彼はその顔に焦点を合わせ、にこりと微笑んだ。
「怖くなどないよ」
目の前に君が居て、どうして怯えることがあろうか。
むしろ、胸中はこれから知るであろう未知の世界に期待し、胸躍らせているというのに。
「なら、良いけれど」
アイゼイヤは、ふっと笑みを落としてそう言うと、ユーデクスの衣服の隙間に手を差し込む。
白い緩やかな衣は簡単に肌蹴て、きめ細かい肌が澄んだ天界の空気に晒される。
黒く長い彼の髪と並んだ、その肌の白いこと!
眩いその肌の感触を楽しむように、アイゼイヤはその首筋に唇を寄せる。吐息で辿るように、鎖骨、胸元へと、僅かに触れる指先とともに降りていくと、ユーデクスは溜まらず身を捩った。
「ふふ、くすぐったいよ、アイゼイヤ」
クスクスと笑いながら、そう訴える。
アイゼイヤが動くたびに、彼の白い柔らかな髪が肌を滑る。その刺激は、快感と言うよりもむず痒さの方が先にきて。
笑いが止まらず肩を震わせるユーデクスに、アイゼイヤも笑いながら顔を上げた。
「人間は、この行為に快感を覚えるらしい。だが、貴方の感覚は少し違うようだね」
「私が、慣れていないだけかもしれないよ」
慣れていたら、それはそれで、問題かもしれないが。
「なるほど、確かにそうかもれない。
では、此方はどうかな」
するりとアイゼイヤが布越しに撫ぜたのは、ユーデクスの陰部。
瞬間、ぴくりとユーデクスの体が震えた。
「……、ん……」
笑みが引き、僅かに漏れる、今までとは色の違う吐息。
まだ力のないそこを緩く刺激され続けると、ユーデクスは先ほどとは違う意味で身を捩り始めた。
背筋を走る、甘い痺れ。呼吸が乱れ、徐々に全身が熱を帯びてくるのが自分で分かる。
「アイゼイヤ……ッ」
「流石に、直接的な刺激には反応するようだね」
触れる側にも、その変化はわかりやすく伝わっていた。
何故なら、触れている部分が硬度を増しているから。
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