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「……アイゼイヤ……?」
 ふと、手の動きを止めたアイゼイヤは、初めての快楽に煩悶する友の頬にそっと口付ける。そして、体をずらしてその視界から消えた。
 突然、愛しい姿を見失った不安に、ユーデクスが怯える間もなく。
 勃起し敏感さを増した性器が外気に晒され、彼は小さく体を震わせた。
「……、ふぁ……ぁっ」
 直後、何か濡れた暖かいものに包まれて、思わず声が漏れる。
 驚いて少し上半身を起こし下腹部に視線を向ければ、そこには己の性器を咥える友の姿。
 白い容姿に映える赤い舌が、蛇のようにチロチロと亀頭を舐める。かと思えば、幹をその白く美しい手で揉みしだかれ、優しく先端を甘噛みされて。
 ユーデクスの背筋が、背に広がる4枚の翼が、初めての強い快楽に小さく痙攣した。
「ん、っ!……あいぜい、や……、ぁぁ……っ」
 何かが、体の底からせり上がってくる。
 全身を熱くして尚、逃しきれない熱が、下腹部に集まっていくような錯覚を覚える。
「はな、してくれ……何か、が……っは、ぁぁ……」
「このまま出してくれて構わないよ」
「……ッ、でも……ぁあ、ぁっ……!!」
 愛しく美しい友を汚したくないと必死に首を振るユーデクス。  その様を、アイゼイヤは手を止めぬまま軽く顔を上げ、柔らかい微笑みを浮かべて見やる。
「大丈夫だ。そのまま、快感に身を任せて」
 私が、全て受け止めるから。
 そう囁くと、彼は再び元の体勢に戻る。そして、熱の解放を求めて震える欲望を愛しげに口に含み、絶頂を促すようにきつく吸い上げた。
「…………ッ!!!!!!」
 声にならない悲鳴。
 ユーデクスの手が、シーツをきつく握り締める。
「っ、……あぁぁ、ぁぁぁぁっ!!」
 掠れた声で啼きながら経験する、初めての射精。
 頭の中が、視界が、真っ白に染まり、足のつま先から頭の先、翼の先端まで、電撃にも似た衝撃が駆け抜ける。
 ビクンビクンと意思とは関係なく痙攣する体。吸い上げられた先端から放たれる粘度を持った雫を、アイゼイヤは躊躇いなく飲み下した。
 そして、初めての激しい快感に放心する友の顔を覗き込む。
「大丈夫かい、ユーデクス?」
 虚空を見上げて荒い呼吸を繰り返していたユーデクスは、問いかけに反応してゆっくりと瞬きする。
 苦痛でも不快でもなく、ただ快楽に潤んだ瞳から涙を一滴落としながら、笑みを零した。
「君、こそ……そんなものを飲んで、大丈夫かい?」



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