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「美味しかったよ」
落とされた透明な雫をそっと唇で掬い、アイゼイヤはそう評する。
それを聞いたユーデクスは、呼吸がある程度整うと身を起こし、位置の交代を所望した。
快く了承した友を寝台に座らせ、彼はまだ微塵も乱れていない下半身の衣に手を掛ける。
「ユーデクス?」
「私にも、やらせてくれないか? アイゼイヤ」
ふんわりとした無垢な微笑を見せながら、なんとも卑猥な要求を口にする。
その様子に複雑な笑みを零しながら、問われた側は頷いた。
「どうぞ」
衣服の間から取り出した硬度を増しつつある友の性器を、ユーデクスは興味深そうに僅かな時間眺めた後、躊躇うことなく口付けた。
薄く開いた唇が先端を咥え、先程された行為を思い出しながら辿る。
ゆったりと口内の亀頭に舌を這わせ、咥えきれない竿の部分を手で扱いて。
清らかな中に僅かに……だが確かに混じる、恍惚とした顔色。その何とも言えない淫靡な表情で口淫を続けるユーデクスを、アイゼイヤは与えられる刺激に息を上げながらも優しく見守る。
「美味しいかい……?」
「ん……、楽しい、よ」
少しずつ手の中で硬くなっていく友の物が、愛しくて堪らない。
己の黒い髪に手櫛を通すアイゼイヤの手がいつもより暖かいのを感じて、ユーデクスはさらに口内の動きを大胆なものにしていく。
「……、……」
「! ……アイゼイヤ……っ?」
突然、肩を押されて距離を取られた。
驚く……というよりは、不思議そうな表情を浮かべたユーデクスの顔にかかるのは、熱い飛沫。
黒い髪を、白い肌を、飛び散った白い雫が彩る。
とろりとしたその液体を指で掬い、ユーデクスは躊躇うことなく口に運んだ。
先程アイゼイヤの物を咥えていた名残だろう。口内で動く赤い舌が雫を舐め取る動きは酷く淫猥で、見るものの目を釘付けにする。
「ん……本当だ。少し苦味があるけれど、美味しい」
精に彩られながら、ふわりとあどけなく微笑む智天使。
無意識の色香に苦笑を零しながら、アイゼイヤはその頬に口付けた。
瞬間、掃われる穢れに、ユーデクスは笑う。
「そのままで良かったのに」
「汚した責任は取らないとね」
ふふ……と楽しげに笑う友を再び寝台に押し倒し、アイゼイヤは窺うように問うた。
「続けても、いいかい?」
「勿論」
迷うことなく笑顔で頷くユーデクスに、彼はふっと笑みを深めて、殆ど用を成していない衣服を全て剥ぎ取る。
眩い程白い裸体が、アイゼイヤの眼下に全て晒された。
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