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ずるり、と入り口を擦って出てゆく指に背を戦慄かせ、ユーデクスは乱れた呼吸を零しながら友の顔を振り返る。
「アイゼイヤ……?」
不安げな問いかけに優しい笑顔で返し、アイゼイヤは再びユーデクスの体を仰向けにさせる。
そして、割り広げた膝の間に滑り込ませるように体を密着させると、先程まで指に溶かされていた場所に、起立を押し当てた。
「ユーデクス、力を抜いて」
「……?」
ユーデクスは不思議そうな顔をしつつも、友の言葉に従って体の力を弛緩させる。
彼とて、智天使だ。人間の性行為の大まかな知識は持っている。
故に、これから何をされるのかは分かる……分かっているつもりだ。
だが、経験がないせいか、言われた言葉の理由が分からない。
そんな彼の顔を慈愛の眼差しで見下ろしながら、アイゼイヤはゆっくりとその先端を潜りこませた
「……っ!!」
激痛。
指で慣らし、甘い蜜で溶かされても、やはり質量が違う。
「……、は、ぅ……くぅっ……!」
力を抜くとは、こういう意味だったのか。
無理矢理体を広げられる痛みに、ユーデクスの瞳から雫が零れた。
それを当然見逃さないアイゼイヤは、動きを止めて改めて問いかける。
「痛いならやめるかい、ユーデクス?」
無理をさせたいわけではない。無理をする必要もない。
だが、ユーデクスはその問いに、微笑さえ見せて首を左右に振る。
「愛を、確かめあう行為、なのだろう……? なら、最後まで……君を、受け入れたい……、っ」
「……わかった」
そこまで言うのなら、もう躊躇うまい。
時折結合部に蜂蜜を垂らしながら、アイゼイヤは、ゆっくりと時間をかけて、ユーデクスの中に自身の一部を埋め込んでいく。
喘ぐような呼吸を漏らす喉。小刻みな痙攣を繰り返す翼。
だがその内部は、強い締め付けの中で、ヒクヒクと扇動してアイゼイヤを刺激する。
「……ッ、アイ、ゼイ……ヤ……?」
長い長い時間の果て、止められた動きに、ユーデクスは痛みに閉じていた瞼を開く。
視界一杯に広がる、少し苦しげなアイゼイヤの微笑み。
「入ったよ、ユーデクス」
「はい、った……全部……?」
「入った」
繰り返される言葉。
ユーデクスは痛みが引くのを待つように暫し沈黙した後、徐に微笑を零した。
「……ふふ……」
「ユーデクス?」
「私の、中が……君で、いっぱい、だ……アイゼイヤ……」
痛みを絶えながら、それでも幸せそうに……満たされた表情でユーデクスは笑い、最愛の半身へと腕を伸ばす。
事実、幸せだった。
隙間さえないほど、体内を満たされて……アイゼイヤと繋がったのだと、そう実感して。
まるで、あるべき姿に戻ったような錯覚を覚えるほど、身も心も充足していた。
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