お花シリーズ - すすき5

 先生が、冷たい。

 怒っているわけじゃない、みたい。



 放課に職員室を覗いても、温室を覗いても、先生は居なくて。

 いつもなら、笑って僕を手招きしてくれるのに。

 学年が違うし、先生には教えてもらっていないから、廊下ですれ違うことも無くて。



 待ちわびたお昼放課、先生は温室に来なかった。

 いつもなら、植物に囲まれながら他愛も無い話をして、一緒にお昼を食べるのに。



 友達の真弥に励まされて、あっちこっち探して、ようやく見つけた笠寺先生。

 だけど、声を掛けても曖昧に笑って、殆ど話をしないまま、逃げるように行ってしまった。



 その時、気付いた。

 忙しいんじゃない。あれは、僕を避けていたんだって。



 何が悪かったんだろう。

 昨日は、先生、普通だったのに。

 優しく笑ってくれて、ちょこっと僕をからかってきて。



 あのお花のせいかな。

 余計なお世話だったのかな。



 先生、僕のこと嫌いになったのかな……。


  
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