お花シリーズ - すすき8

「そんなことない!!」

 思わず叫んで、僕は自分の声の大きさに驚いた。

 生徒会室が完全に沈黙する。

 立未先輩が、宥めるように僕の肩に手を置いて笑いかけてくれた。

「うん。大丈夫だよ。僕達はちゃんと知ってる。

 けど、先生は……勘違いはしないまでも、悩んでいるかも知れないね」

「そんな……」

 僕は、先生のこと、大好き……なのに。

 だれよりも、近くに居たくて……先生にも、好きになってもらいたくて……!

 どうしよう。どうしたらいいんだろう。

「……彩ちゃん……」

 胸が痛くて、痛くて、どうしたらいいかわからなくて、僕は俯いてしまう。

 そうしないと、泣き顔を先輩たちに見られてしまいそうで。

「嶋津ー、いっそのこと、告白しちまったら?」

「え?」

 思いもよらない言葉に、僕は顔を上げる。

 金山先輩が、僕を見ていた。

「言葉に出せねぇなら……そうだな、あぁ、良い方法がある」

「…………?」

 金山先輩の言いたいことが解らなくて、僕は立未先輩の顔を仰いだ。けど、先輩も困惑した顔で僕を見てきて。

「もうススキでてるんじゃねーか?」

「ススキ? ススキなら、中庭に生えてたよね」

 金山先輩の言葉に立未先輩が答えて、僕が頷く。ススキなら、少し前に中庭を手入れをした時に沢山……雑草のように生えていた。

 けど、先生が月見に使えるからって言ったので、抜かずに取っておいたのだ。

 そう、その時は先生、僕に対して笑ってくれてたんだ……。

「さて問題。

 ススキの頭を取ったら、何になるでしょう?」

 僕の思考を中断するように金山先輩がナゾかけを出す。

 みんなで悩んで……出てきた答えが、僕の向かう道をくれた。



 そして、僕は先生を探すために、生徒会室を飛び出したのだった。


  
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