お花シリーズ - 椿7

「脱いで欲しい?」

 脱ぐということ。

 それはつまり、素肌で触れ合うことに他ならなくて。

 同時に繋がった瞬間をリアルに思い出させて、二人を興奮させる。

 問われた側は、熱に浮かされたように微かに喘ぎつつ、頷いた。

「……脱いで、欲しいです。

 僕をあげます。だから……」

「じゃぁ、俺も美味しく食べてもらおう。彩の……ココで」

「っ、んッ」

 まだ乾いた指先で軽く引っ掻くように奥まった場所に触れられ、彩は息を呑む。

 そんな初心な様子に笑いながら、司は自分のスーツに手を掛け、素早く脱いでいく。

 引き締まった躰が露わになっていくのを、彩は興奮と期待に熱を上げながら見蕩れていた。

「あ、先生、待って……っ」

 脱いだ途端、伸し掛かってくる熱い体を制して、彩は脱ぎ散らかされた上着に手を伸ばす。

 掛けられた静止の言葉に大人しく従う司は、その様子を眉を顰めて見守る。

 焦ったような手つきで上着のポケットから出されたのは、水色のリボン。

 光沢の強いそれは、素材こそ違うものの、彩の今首にしている物と良く似た色をしていた。

「動かないでくださいね」

 そう告げると、彼は慣れない手つきで司の首にリボンを掛ける。けれど、そのリボンは成人男性の首をラッピングするには短すぎた。

「うー」

 口惜しそうに唸る彩に、彼は笑って腕を差し出す。

 意図に気付いた彼はどこか納得のいかない顔つきながらも、不器用な手つきでそのリボンを差し出された腕に結んだ。

 それでも、結び終わったその表情は嬉しそうで、司も湧き上がる喜びのままに微笑む。

「プレゼントにされたな」

「えへへ」

 改めて抱き締めあえば、その体の熱さと互いを求める昂ぶりが重なって、さらに心身が昂揚してくる。

「もう、頂いてもよろしいですか?」

「……はい」

 問われ、彩ははにかみつつしっかりと頷きを返す。

 深く深く口付けを交わし、二人は互いの想いを伝え合った。


  
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