lucis lacrima - 4-7

 包んで欲しかった。この指が感じる暖かさで、己の欲望を。この無垢で穢れを知らない青年に。

「多少痛くても、我慢しろよ」

「んぁ……?」

 汗で額に張り付く髪を剥がしてやり、男は耳元で優しく囁く。

 指が埋められていた入り口に、指とは違う硬い感触を覚えて、ハクビは驚いて背後を振り返った。フェイがしようとしている事に気付いたのだろう、怯えた目をして首を左右に振る。

「や、むり……そんな、入んない……」

「大丈夫。ちゃんと入る。指と変わんねぇよ」

 そんなハクビの頭を安心させるようにポンポンと軽く叩き、強張った頬に口付けを落として、身体の力が抜けるタイミングを計る。

 あやす手はやがてシーツにしがみつく手を包み込むように握り締め、少しずつ少しずつ、気の遠くなるような時間をかけて、奥へ奥へと先端を進めていった。

「……、ぅッ……ん、は……ッ」

 初めて男を受け入れる感覚。その苦しさに眉を寄せ、汗を噴出しながら、それでも握られた手を支えに男を最後まで受け入れようとする。

 健気なその様子に堪らない愛しさを覚えながら、フェイにしては珍しく、苦しめないように最大限の気を遣ってその全てを狭い体内に埋めた。

 動きを止めて、深い息をつく男に、ハクビは首を軽く後ろに回して不思議そうな顔をする。

「フェイ……?」

「痛くないか?」

 苦しいだろうに、気遣う素振りを見せるハクビに、彼は笑みを浮かべて問うた。その笑みに、受け入れた側は首を左右に振って答える。

「はいっちゃ……全部、はいっちゃった……?」

「あぁ。ちゃんと入っただろ?」

 軽く腰を揺すれば、体内を圧迫されて苦しいのだろう、眉を寄せてシーツを握る力を強める。だが、痛みはなさそうだ。

 と、不意に笑みを浮かべたハクビが、フェイの手の添えられていない空いた手を緩慢に動かし、自分の腹部をそっと撫でた。丁度、受け入れたモノの形を皮膚の上から辿るように。

「なんか、すご……」

 うっとりと。愛しげに。満足そうに。

「おま……ったく、動くぞっ」

「え?……ぁあッ、やっ……んぁっ!」

 同じ男とは思えないほど妖艶な仕草が、一気にフェイの欲望に火をつけたらしい。

 今までとは一変、荒々しく中を突き上げる男の動きに、ハクビは今までになく激しい嬌声を上げた。


  
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