lucis lacrima - 7-5

「おいおい、お楽しみだったんだろ? フェイ中隊長と、さ」

 フェイ。

 自分のもとから去って行った男の名に、胸が疼く。

「こんな事をして、あいつが黙っていないだろう」

 あの、義理人情に厚い男が。

 弱っている相手は敵でも倒せないと言うような、妙なところで優しい男が。

 捕虜を陵辱するこの行為を、許すとは思えない。思いたくない。

 だが、ハクビの思いを裏切り、彼を組み敷く兵はあざ笑った。

「あの中隊長がヤレって言ったんだよ。

 好きにしろってな」

「……な……」

「安心しろ、大人しくしてれば、痛い思いはしなくてすむさ」

 そう言う男の声は、もうハクビには聞こえていなかった。

 傷はつけないという言葉通り、男の手は優しくはなかったが、手馴れていた。

 萎縮した体を巧みに解し、十分に柔らかくした後、容赦なく欲望を捩じ込んで来る。

 それは、痛みを与えないものの、陵辱に違いなかった。

 己の欲を満たす事だけを目的とした、陵辱。

 痛みが無い分、それは残酷な見えない刃となってハクビの心を引き裂いた。

「……ぁ、ぅ、……はぅ、んぁ……」

 揺さぶられるままに、捕虜は声を上げる。

 そこに、彼の意思などない。

 体は感じている。感じすぎて、感覚がおかしくなりそうなほど激しく快感に喘いでいる。なのに、傷ついた心は何も感じない。

 自分に素直な小悪魔のようで明るく元気だった青年が、良くできた愛玩人形へと変わっていく。

「綺麗にしろよ」

 中に欲を吐き出され、先程まで中にねじ込まれていたものを今度は口腔に押し込まれても、ハクビは何の抵抗もしなかった。

 食事を運んだ男が遅いことを気にした別の兵が部屋に入ってきて、この陵辱に参加しても、されるがままだった。



 どうして。



 たった一つの、答えの出ない疑問だけが、彼の脳内を埋め尽くしていた。


  
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