魔王と救世主 - 5-11
「……あ、はぅ……んぁっ」
下半身の衣服を脱ぎ捨て、上半身の衣服を乱した神父が、長机の上に腰を預け、足の間に男の頭を挟んで淫らな嬌声を上げる。
日はとうに沈んでしまい、大部屋の中は静かな闇と、それに浮かんでは溶ける乱れた息だけが支配している。
「……やぁ……イク……も……」
「早いな。そんなに興奮してるのか?」
いつもと違う状況に。
揶揄を含む声音に、銀髪の青年は自分を乱す金髪の青年を睨み付ける。誰のせいだ、と。
対する魔王は口での愛撫を止めて、顔を上げた。
「そんな目で睨んだって、可愛いだけだぜ?」
そして、ちゅ、と、愛しい欲望の先に口付けて、彼は嗤う。暗闇の中、目を凝らして見るその楽しげな表情に、これから与えられる快楽を想像して、華奢な体が震える。
すべすべとしたビロードのような手触りの太ももに頬を、唇を、擦り寄せて、快楽を与える魔王は目を細めた。
「いい眺めだな」
魔王には暗闇など関係ない。下から眺める銀髪の青年の様子は、まるで日に照らされているように、はっきりと見える。
先程まで口内に転がしていた、今にもはち切れんばかりの欲望。
その向こうには、上気して僅かに唇を開いて物欲しげに見てくる、類稀なる美貌。
銀色の髪は僅かな光を反射して、闇の中でも微かに発光しているように見える。
そして、上半身の乱れた神父服の間には、つん、と尖る赤く小さな果実の粒が鎮座している。
潤んだ赤い瞳が、自分だけを映している。それを、金髪の青年は満足げに見上げた。
中途半端に快楽を投げ出されて辛いのだろう。セナが見せる、縋るような視線と強請るような腰の動きに、まだ衣服を乱してもいない魔王の体が熱くなる。
そして彼は愛撫の手を止めると、息を乱す細い体を反転させて、机に両手をつかせた。
そして、自分はその背後に立ち、手触りの良い双丘を撫でる。
「ちゃんと立ってろよ?」
命令しながら、閉じた蕾に指を突き入れれば、途端に甘い吐息が闇に響く。
銀の髪を振り乱し、両腕を一杯に伸ばして机にしがみ付きながら、神父は必死に快楽に堪える。
「……ん、……ぁふ……」
机の辺に、欲望が擦れて痛い。なのに、興奮して溢れた蜜が木の机を湿らせる。
「……熱い……」
背後から、吐息交じりの声が聞こえる。
自分だけではなく、相手も欲を感じているのだと知って、指を食む内壁が締まった。
しっかりと感じる、根元まで銜え込んでいる指の質量。それ故に、物足りなさに奥が疼く。
本当に欲しいのは、もっともっと深い場所。
「……も、欲しい……」
「ん?」
「奥……入れて……ほしい……っ」
蠢く指に、走る快感に、耐え切れずに強請る。
低い嗤いが聞こえたかと思うと、内壁を広げられた。
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