酸いも、甘いも - 6

 だが、快楽を感じたのは締め上げられた側だけではなく。

「……ッぁ……ひぅ……」

 締め上げた側も、中にいる力強い存在をしっかりと感じ、背筋を震わせ仰け反った。

 密着した二人の間に、白い蜜が散る。

「……ふ、ぁ……ぅ……」

「置いていくなよ」

 放心しながら微かな痙攣を繰り返す華奢な体に笑い、セナドールは熱い吐息を目の前の耳に吹き込んだ。

 その呼気の熱さに未だ芯に燻る劣情を煽られながらも、セナは戸惑いと罪悪感に今にも泣きそうな顔を見せる。

「……すまな……ぁ、ひッ!」

 謝罪の言葉を皆まで言わせず、セナドールは体を弾ませた。受け入れたままの楔に中を擦られ、達したばかりの体は敏感に反応する。

「謝らなくていい」

 欲しいのは、謝罪でも、後悔に歪む顔でもない。

 息を呑んで背筋を震わせる愛しい青年に、金髪の青年は口端を上げる。少し暗い物を感じさせるそれは、無意識にセナの視線を釘付けにする。

 酷くされるかもしれないという不安と……期待。

「その分、楽しませろ」

「……ひぃ、ぁ!」

 追い上げるような激しい突き上げに、上に乗るセナの体が大きく上下する。体重が掛かって、いつもより深く飲み込む内部は、強い刺激に収斂を繰り返した。

 背中に回した細い手に力がこもり、逞しい背に赤い爪痕が残る。

 痛みを感じているのだろうが、セナドールは動きを止めることなく、緩急をつけて華奢な体を蹂躙し続ける。

 セナの豊かな銀髪が波打つように揺れて、部屋の中の僅かな光を反射して煌いた。

「ぁ、ふっ……せな、どーる……ぅ、あぁッ、んッ」

 声を出せば甘やかな悲鳴に変わり、かといって、口を閉じることも出来ず。セナは、促されるままに卑猥な嬌声を上げ続けるしかない。
 男として恥ずかしいことなのだろうとは思うが、それを堪える術などなかった。

「……、やぁぁッ!!!」

 再び閃光と共に部屋に飛び込んだ轟音に、セナは悲鳴と共に体を強張らせる。

 今度は、セナドールも我慢などしない。

「……ッ、くぅ…」

 深く深く、繋がる。

 それでも届かない最奥へと侵略しようとするかのように、セナドールの熱い滴がセナの中に放たれる。

 互いの呼気を、熱を、鼓動を、存在を、幸福を噛み締めるように、腕の中から零れてしまわないように。

 二人は、余韻に震える互いの体を抑え込むように力を込めて抱きあい、無言で深い口付けを交わした。


  
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