8.エンジェル
僕は運がいい。
研究所内をここまで長く彷徨うことができたのは、僕だけだろう。
初めのうちの無様な負けの連続からようやく脱出することを覚え、射精を我慢して女体をイかせる術も心得た。
1000は下らないはずの、死屍累累のクローンたちが、僕に情報を伝えてくれたおかげで、女体に慣れさえすれば、レベルとともに相当強化できることを知ったのである。
確かに、この体は敏感で射精しやすく、一日に何度も精液が玉袋を満たすような、不慣れな男子中学生のままだ。
それでも、適切に回復し、モルモットルームで抜いてスッキリさせ、敵との戦闘では心を鬼にして女体を責めることだけに専念すれば、どうにか勝ち進むことができるのだ。
もはや、女たちとの本番行為におよんだ程度では射精しなくなった。簡単にはイかないように我慢する方法もある。
モルモットルームのある6階はすでに攻略し、僕は3階にまで達していた。地図によれば……この研究所は、地上6階地下1階の巨大施設。4階は研究所の司令室で、そこだけ壁が白い。
そしてなぜか、そこにはまるで敵が出現しないことも分かっている。また、クローンにすり込まれた記憶により、その場所で手に入る情報はすでに頭の中に入ってしまっていて、攻略の必要がないのだ。
5階の敵もたいしたことがなかったし、4階はすっ飛ばして、一気に3階に来たというわけである。
クローン情報により、地下1階のキーナンバーまで分かっている。書き換えられてはいたが、その新しいコードも記憶の中にあったのだ。だから、体がしっかりしてくれば、下の階まで自由に行くことができるのである。1階の出口の情報を掴みさえすれば脱出できる。その情報はハードコアだけが握っているはずだ。
ともあれ、強豪といわれるバルキリーを倒すこともできたし、一度セックス慣れをしてしまえば、滅多なことでは射精などしないはずだ。
しかも、ついさっきモルモットルームで自分で抜いて、精巣を空っぽにしたばかりだ。誰に遭遇しても、負ける気がしない。
むっ……こいつは……!?
始めて見る敵だ。
背中に羽が生えているところを見ると、人間の女性ではないことが分かる。一瞬、妖精かとも思えたが、髪は短く灰色で、やはり始めて見る風貌だ。
はじめから裸の女は、胸はあったけれども、幼児体型に近い。ふくらはぎも太く、全体に若々しい印象を受ける。
天の聖なる使いでありながら、肉欲に溺れてしまった天使だ。堕天使だろうと女は女。快楽に抗う術を心得た僕なら、この新しい敵も手込めにできるだろう。
僕は心にスイッチを入れ、快感を味わうことのできない神経に切り替えた。性的な興奮も少なく、刺激に対しても鈍感になる。そのくらいできるようでなければ、このセックスの宴は脱出できないのさ。
「なっ!?」
僕がエンジェルの背中を捕まえてバックに持ち込もうとした次の瞬間、信じられないことが起った。
いつの間にか、エンジェルは僕の背後に回り、両手でペニスを掴み、優しくしごき始めたのだ!
「はうあぅあ……」
電撃のような快楽が全身を駆け巡る!
そんな……なんだこの攻撃力は!
包茎ペニスを右手で掴み、左手でやわらかく締め上げただけだ。それなのに、心地よさがぎゅんぎゅんと拡がっていく。
天使はワープでもしたのだろうか。
いや……彼女たちは、時間の概念が、人間と違うんだ。違う時の流れを生きていると言ってもいい。だから、僕が気づけないほどのスピードで、突然背後に回り、しかも瞬時にしてペニスをしごきに入ることができるほどの強豪だったのだ。
また、ただ包まれ、機械的にゆっくりと、しかし女性らしいしなやかな優しさで、滑らかにペニスをしごくだけなのに、人間の女性では決して出せないような、脱力するような気持ちよさが、股間から全身に拡がっていく。
「私は長い長い年月、神のペニスを扱い、その精をいただいてきました。だから、この指と口には神性が備わっています。」
「うあっ……そんな……」
エンジェルは無表情のまま、機械的に小声でそういうと、表情を変えないまま両手を滑らかに前後させ続けた。
「精液を出し切って枯渇していたのですね。でも、私の手が触れている間、生殖細胞はどんどん、どんどん溜め込まれていきます。ほら……もうパンパンです。」
何ヶ月も抜いていないのと同じような、くすぐったい疼きが全身を苛む!
そんなばかな……こんなことって……
抜いたばかりで体勢がついていたはずなのに、心にスイッチを入れて快楽に負けない強靱な精神が身についたはずなのに、それをあっさりと打ち破るほど、天使の指は神性を具えていた。
彼女の指先からどんどん神通力が流れ込み、僕の心のガードを突き破ってとろけさせる。そして、精液がほんのわずかな時間でパンパンに溜め込まれるほど、急ピッチで生産されてしまったのだ。
「若いんですね。老神なら、このピッチで数分はかかりますが、14歳なら、瞬時にしてイキそうになるのです。」
エンジェルは機械的にペニスをしごきながら、無表情で囁く。
特別なテクニックがあるわけでもないのに、触れられているだけで、じわじわと射精感が高まり、快楽の内に追い詰められていくのが分かる。
堕天使にとって、神の性欲を処理するのは“仕事”だ。
だから、抜く作業はあくまで、事務的に処理される。従って彼女たちのセックスに表情はない。
しかしそれが、かえって僕の興奮度を高めてしまう。心がこもらないのに、怒濤の神がかった快感がぎゅんぎゅん押し寄せてくる。
ただ処置されているだけなのに、快楽が強すぎて射精してしまいそうになるという倒錯した感覚が、かえって僕を追い詰めてしまっているのだ。
高校生に匹敵する太い生足が密着し、豊かな乳房が僕の背中にはりついてくる。その吸い付くような感触からも、じわじわと少しずつ神通力が流れ込んでくる。
普通の男子であれば、握りしめられた瞬間に射精してしまいそうな攻撃だった。
熟練した僕であれば、瞬殺まではされないものの、それでもまったく歯が立たないほどの実力の差があったのだ。
5階までの女は本当にたいしたことがなかった。だが、3階からの敵は、侮ってはいけなかったんだ。
急に敵が強くなるフロアだった。
というより、人外娘の割合が格段に高まり、特殊な魅力と快感能力を備えた相手ばかりになるということか。
エンジェルは神通力によって、男の性感神経をくすぐり、天国にいるのと同じ快楽に陥れてしまう。
すでに神々の精をたっぷり子宮に受けているその膣に入れてしまったら、一体どうなってしまうのだろう。
そんな恐ろしさと、せっかくここまで来たのに死んでたまるかというプライドが、かろうじて僕を押しとどめた。
僕が反撃に出ようと、手コキを振り払って向き直った次の瞬間、また時間の感覚が変った。
気がついた時には、エンジェルの大きなお尻が、しっかりとペニスをとらえ、挟み込み、むぎゅっと圧迫していたのだ!
「うわあっ! なんだこれ……!!」
「すごいでしょう? 私のお尻は……やわらかくて、振動する。」
お尻のワレメに包まれたペニスは、どんなに腰を引いても、磁石でくっついているみたいに決して離れなかった。
それだけではない。臀部全体が、バイブ振動しているのだ!
軟らかい肉に包まれ、しかもペニスの奥に届くようにバイブし続けていて、そのこまかすぎる振動がペニスを一気に快楽へと駆り立ててくる。
さらに彼女は、両手で横尻を押して、強くペニスを圧迫してくる。両手を小刻みに操作して、ヒップのワレメで包茎ペニスを、小さく素早く変幻自在にしごき立て始めた!
そしてダメ押しに、エンジェルがゆったりと腰を前後左右上下させ、尻ズリの形式を毎秒毎秒、予測不能なように変化させてきたのだ。
これによって、四六時中新鮮な快楽とともに、バイブ振動が股間の奥の前立腺まで甘く震わせ、ヒップの柔らかさに股間が包まれて、彼女の腰の動きとともに気持ちよさが跳ね上がり続けたのである。
「出してください。」
エンジェルの機械的な処理に、僕はのけぞって身を震わせる。
エンジェルは両脚をスリスリ左右交互に内股でコスリ始めた。するとお尻の肉の形がさらに千変万化し、快楽が質を変えながら襲いかかってくるようになった。
「私のお尻に耐え切れた男性はいません。さあ、あなたも天国に行きましょう。」
さらに振動が激しくなる!
エンジェルの両手がさらにぐっぐっと左右から押しつけられ、それによってお尻の柔らかさをもっともっととペニスに押しつけてくる。
その上で両手を上下させれば、ワレメが上下してペニスを小刻みにしごき上げることになる。振動と、足の動きと、腰の動きと、手の動きがそれぞれバラバラなため、決して慣れることのない刺激が、一秒も休まず押し寄せることになるのだ。
「お尻に出してください。そうすれば、あなたはこの先、この快感をずっと味わい続けることができるのです。」
無表情なまま、エンジェルはさらに包茎ペニスを悦ばせた。
「んあっ! も、もう……」
僕は何とか脱出しようとしてもがいたが、どんなにエンジェルが激しく動いても、僕がどんなに暴れても、ワレメの間にホットドッグされたペニスは、その柔らかい肌にめり込むようにひっついて離れなかった。
イク直前の強い快楽が股間を突き抜ける!
するとエンジェルは、ぎゅっぎゅっと左右の腕に力を込め、機械的にお尻の肉でペニスを強く圧迫し始めた!
「ああああ! 出るう!」
どばどばどばっ!
神通力によって無理矢理短時間で作られた子種が、一気に彼女のお尻の間から吹きだしていく!
「いっぱい出ていますね。 気持ちいいでしょう。」
お尻の振動が止むことがなく、射精は数分以上続いた。
その間中、絶頂の快感が一秒も休むことなく続いた。股間のくすぐったさがピークに達し続け、さらに強まっていく。
快感電波が流れ込んでくる。僕はこのまま自分を失うのではなく、ただ天国を味わい、天界の快楽を永久に身に受け続けるだけであることを、はっきりと感じ取った。
それをすべて受け入れた時、射精の脈打ちが終わった。だが、その頃には、自分がオスではなく、女の怪物になりはてていることも分かった。
あとは、男を射精させる道具として、このエンジェルと同じように、研究所内を彷徨うことになるのだ。それも気持ちいい。
###こうしてまた一人、クローンが犠牲になった###