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16.番外編1 吸精鬼の報復

 

 館の外側では、大騒ぎになっていた。

 ある日の出来事である。

 田舎の閑静な住宅街に、1人の少年がふらりとやってきたのである。

 彼は、何も身につけていなかった。戸籍もなく身元も不明の、全裸の少年が、突然、街の中に姿を現した。

 少年はすぐに保護され、ことのいきさつをたずねられた。少年は嘘偽りもなく、あの館の中で行われている出来事を、洗いざらい話した。

 初めのうちはまるで信用されない、信じられないような話ではあったが、すぐにマスコミとインターネットを通じ、大ニュースとして世の中に広まっていった。

 外部から閉ざされ、固く侵入を拒んできた、崖の上にそびえ立つ西洋風の館。外から閉ざされ、誰が、何の目的で建設したかも、いまや不明となっている。もちろん、内部でどんなことが行われているかなど、人々の知るよしもなかった。むしろ大勢の人が、無人の館であるとさえ、信じ込んでいた。

 しかし、少年の話によれば、そこでは人間の三大欲求の一つ、性欲を活用して、徹底的な洗脳が試みられる、悪魔の実験施設だったのである。

 その館には、狂ったメインコンピューター「ハードコア」が君臨しており、彼女が館全体に放つ怪電波に毒された人間は、その精神を完全に乗っ取られ、有無を言わさずコントロールされてしまう。

 その電波をただ受けただけでは、人間はそこまで理性を失う木偶人形になるわけではないものの、ある精神状態にある時に、その電波を受けた場合、コントロール下に置かれてしまうのだという。

 その精神状態こそ、射精やアクメといった「絶頂状態」であり、その状態に入って怪電波を受けると、たちどころに精神を乗っ取られてしまう。

 そのために、館の内部では、若娘や女の怪物たちが多数配備され、至るところでセックスが強制的に行われる。ハードコアの力により、配下の女たちと遭遇したら特殊なバリアで覆われ、逃走することは不可能になる。唯一、敵の女が自分から逃げ出すのでなければ、どちらかがイクまで、延々と性交が行われるのだという。

 そうした快楽の罠に満ちあふれた館で、働かされていた研究員たちはすべて射精させられ、ハードコアの傘下に入った。

 怪電波のみならず、魔性の性転換まで自動的に行われ、敵の女はますますその数を増やし、甘い罠の力はどんどん強まっていった。

 のみならず、女子高校生や看護婦、風俗嬢や外国人など、現存の女性がワープ装置で、突然この館に転送され、そこでレズ攻撃を受けて絶頂させられ、敵側へと多数寝返ったらしい。

 少年はクローン技術によって不完全な形で“モルモットルーム”から生誕した。その部屋だけは安全装置が施され、怪電波の影響がなかった。

 そこで毎日、クローンが作られては、館からの脱出を試みたのだという。

 しかし、おとなになりきれない14歳の少年ばかり再生産されているため、すぐに年上の女性やモンスター娘たちの毒牙にかかり、あっさり射精させられてしまう。

 この少年だけが、機転を利かせて、かろうじて魔の研究所から脱出できたのだという。

 にわかには信じがたい話ではある。

 重装備した大勢の捜査員が館を破壊しつつ強行突入し、内部を調べたところ、電波の探知はできず、内部もほとんど誰もいない状態であったばかりでなく、問題のハードコアも、地下室から発見されなかった。

 そうしたことから、初めの段階では少年の狂言が疑われた。

 だが、館の上階にて十数人の女性が保護され、彼女たちの身元を確認したところ、全国で行方不明になっている高校生や大学生、20代女性や外国人女性たちであることが確認された。少年の話は一気に信憑性を増していった。

 残念ながら、彼女たちは、全員例外なく、精神に異常を来しており、セックス中毒になってしまっていて、全員入院を余儀なくされた。まともな会話はできず、研究所で何が行われていたかの証言を引き出すことはできなかった。

 それでも、状況証拠から、研究所で行われていた快楽装置は本当だったと断定されることとなった。

 館を建設した責任者、すなわち、魔の研究所の支配者が指名手配されたが、杳として行方は知れていない。もしかしたらこの研究所で、すでに……という声まで囁かれた。

 どうしても、ハードコアやモルモットルームは痕跡も残さず消えてしまっていて、肝心の手がかりを掴むことはできないのだった。

 一体、ハードコアはどこへ行ってしまったのか。そもそもハードコアは実在したのか。また、転送装置も見つからなかった。少年が言っている、魔物娘たちも見つからない。

 事件は闇に向かっていく。行方不明の高校生女子や20代女性たちもまだまだ多数いて、この研究所に来た可能性も指摘されたが、保護されたのはごくごく一部だけなのだった。

 その真相は……





 ここは……

 一体、何が起こっているのか……

 何回……気持ちよくなっているんだろう。

 話が……ちがう……

 そう思いながらも、僕は快楽に負け、またもや精液を、アンデッドモンスターの膣内に吸い取られていく。

 しかし、いくら射精しても、疲れることも、痛むこともなく、ますます快感に敏感になり、性欲は高まる一方なのだった。すぐに急ピッチで精液が玉袋に溜め込まれ、すぐにでも放出したい衝動に駆られる。

 そんな中で、ペニスは常に誰かのオンナの中に飲み込まれており、魔性の快楽で包まれ、あえなく射精してしまう。

 そんなことが、もう……数え切れない年月にわたって、延々と続けられるのだった。

 話が違う。

 モルモットルームから誕生した僕は、あらかじめコンピュータによってインプットされていた使命を知る。

 すなわち、この魔性の研究所から脱出し、快感に負けず射精せずに館の外に出て、この研究所で行われている違法かつ残酷な研究を、世の人々に暴き立てるのである。

 そうすれば、必ず捜査の手が入り、ハードコアも破壊され、拉致された女性たちは解放され、モンスターどもは魔界へと帰還する……そのはずだった。

 そして、破壊が進めばクローン生産も行われなくなり、完全に研究所は破壊し尽くされて、問題は解決する。そのはずだったのだ。

 だが今、僕が受けている、快感に満ちた異様な光景は、インプットされた情報とはまったく違うものだった。

 クローンの一人が脱出したという情報までが、僕の中にインプットされている。ということは、僕はモルモットルームで誕生するはずがなかったんだ。生産はストップされるはずだったんだ。

 しかし実際に、僕はクローンとして生み出され、モルモットルームの外側に出てみるしかないのだった。

 目の前に開けた光景は、予想とまったく違っていた。

 真っ赤な壁の、一本道だった。部屋もなく、ただまっすぐな通路が延びている。どこまでも伸びていて、奥行きが分からない。

 あかい、かべ……それは、研究所の地下1階、女敵も一番強い部類が出現する、危険すぎるエリアにほかならなかった。

 そうして、僕はすぐに、この3人のバンパイアに捕まり、有無を言わさず快楽に晒された。

 レベルは1のまま。徐々に力をつけ直して、脱出のチャンスを図るはずだったのに、いきなりバンパイア族という強敵に晒されてしまった。しかも、出現するのは1人のはずなのに、いきなり3人に取り囲まれてしまったのだ。

 敗北は確実だった。いや……そもそも、敗北という概念さえも、もはやなくなってしまっているのかも知れない。

 僕はすぐさま3人の手で抜かれた。お姉さんたちの悩ましい太ももが僕の両脚を滑りまわり、ゾクゾクする快感の中で、急激に生産された生殖細胞をもてあましていく。

 そこへ3人の女手が、ちいさな包茎ペニスを握り、しごき、先端もくすぐる。玉袋もお尻の穴も女手の餌食となった。乳首まで白魚のような細くしなやかな指先でくすぐられた。

 イキたくてたまらない体になっている、しかも性的に未熟すぎる14歳にとって、この刺激はたまらない心地よさだった。

 あっという間に高められ、僕は未熟な体液を一気に放出した。

 だが、バンパイアたちは僕を解放しない。さらに手や舌、太ももで精液を抜き取ると、僕を優しく寝かせ、すぐさま挿入に持ち込んできたのである。

 熟練した大人の男性でさえ、あっという間に最後の一滴まで絞り取られて腎虚にするほどの性豪である吸精鬼を前には、ほとんど歯が立たないんだ。

 それが3人も、未熟な僕1人めがけて、徹底的に精を絞り続けてくるのである。

 挿入した瞬間から、僕は絶頂し続けた。

 それでも解放されず、僕は変則正常位の体勢のまま、何度も何度も精液をぶちまけてしまう。

 横からも眷族に抱かれ、スレンダーな肉体ながら豊かな乳房を僕の顔に押しつけてくる。

 さらに下側の吸精鬼は、その細く引き締まったきれいな脚で僕のお尻を押して、無理矢理にでもピストンさせようとしてくる。

 その結果、1分に4回以上射精するという状況に追い詰められ続けていた。

 後ろからも別のバンパイアが手を伸ばし、玉袋と会陰、アナルを犯し続け、直接前立腺が刺激されると、脈打ちが一秒も休まず続いてしまうのだった。

 それだけ出し尽せば枯渇し、疲れ、痛みさえ感じるはずなのに、それがない。射精した直後に、急ピッチで精液が溜め込まれ、体がどんどん弱体化して、性欲に全身がくすぐったく疼いてしまう。

 そこに極上の快感が与えられて、僕はイキ続けるしかなかった。





「さあ……どんどん出しなさいね。」「もっと気持ちよくし続けてあげる……」「ほら、もっとしっかり私のおっぱいしゃぶりなさいよ。」

 お姉さんたちの動きがいやらしさを増す。

 下から突き上げるようにしつつ、腰を左右になまめかしく動かし、魔族の膣で小さなペニスをこれでもかとかわいがり、蠕動し、揉みしだいてしごき立てる! 熟練の男性淫魔でも精液祭りに上げるほどの実力があるオンナだ。

 そこへ、右側からのサポート、背後からのピンポイント責めが加わり、僕は射精した直後にまたイキそうになるのを堪えきれない。

 脱出しようとしても、お姉さんの細いふくらはぎが、がっちりと僕のお尻をガードし、ぐりぐり動かしては僕の腰を操るようにピストンさせる。しごかれる快楽で、僕はすぐにでも高められてしまう。

 もう何日、何週間、眠らず休まずに、この状態が続いているのだろうか。それで疲労もなく、快楽一辺倒なのはなぜなのだろう。

「あはっ、また出てるね。」「その調子でどんどん出してね。」「ココは永遠の快楽の世界なんだから、安心してイキ続けなさい。」

 お姉さんたちは手も脚も膣も休める気配を見せなかった。

 快楽に気が狂うこともなかった。怪電波も発せられておらず、僕は洗脳されずに残っているし、女モンスターに改造されることもなかった。

 だが、いくら絶頂してもすぐにぶり返し、また精液を吐き出すという異常状態は、延々と続くのだった。

 どうやら、この世界は時間が進んでいないらしい。ただ肉体だけに時間が与えられているが、老いることも疲れることも眠ることも空腹になることもない。その時間は死んでいるようだった。

 だんだん、様子が分かってきた。

 ここは……すでに現実世界ではない。魔界の中なんだ。

 どうやら転送装置で、モルモットルームと地下の一本通路が、丸ごと魔界に転送されたらしい。

 その際、モルモットルームと地下通路が結合されてしまい、解除されるはずのクローン生産が、延々と続けられているのだ。

 さらに、異世界であるがゆえに、この一本道がパラレルに分岐し続け、一日1人生産されるクローンごとに、別の地下通路が用意されていることも分かった。クローンであるがゆえに、一定程度の情報共有ができるからである。

 そのクローンたちも、それぞれの一本道で、女モンスターたちに、延々と絞られ続けているようだ。

 一体、なぜこんなことになってしまったのか。

 魔界へと転送されたのは、モルモットルームや地下道といった「空間」だけではなく、すべての女モンスターや、人間の女性も転送されているらしい。そして、そこではセックス以外の変化はなく、永遠の時間が流れる。あとは……ただただ、女たちによってクローンが射精させられ続けるばかりである。





「ほぉら、気持ちいいでしょう?」「ずっと女体の快感に包んであげる」「これはね……我々の“復讐”なのよ?」

 ふ、復讐……?

「いい恥をかいたわ。クローンの1人を脱出させたのが、よりにもよって、我々ヴァンパイアの眷族だったなんて、本当に腹立たしい。」「吸精鬼はプライドが高い。そのプライドがずたずたになり、高潔な精神が汚されたわ。」

「そん……な……」

 ドクドクとペニスを脈打たせながら、女体に包まれた僕は真実を知った。その情報は、他の世界に分岐している、他のクローンたちにも伝わったようだ。

 これは……バンパイアたちの、いや、研究所の主、ハードコアによる報復攻撃なんだ。

 情報が暴露され、研究所が破壊されていくことが明らかとなった瞬間、ハードコアが、他の魔族たちと共謀して、研究所の一部空間を、丸ごと魔界に転送したのである。

 そうして、特にヴァンパイア族がクローンを逃がしたということで、一族としてのプライドを傷つけられたお姉さんたちは、きわめつけ復讐心が強く出ているのだった。

 淫魔の復讐は、淫行を専らとする。

 研究所内の怪電波も性転換も行われなくなったが、この場所は淫魔界であり、淫気の影響を受ける。

 そのため、射精した直後であっても、精巣に精液がすぐパンパンに溜め込まれることになり、いくらでも射精し続ける体にさせられてしまったんだ。

 もちろん、老いることも疲れることも痛みもない。空腹も睡眠も不要となる。

 永遠の快感天国である。

 研究所から魔界に転送され、その魔界からも女モンスターたちが、クローン少年目当てに入り込んでくる。

 毎日クローンは生産されるので、淫魔たちはエサが1人ずつ生産されることで狂喜乱舞し、次々と少年を毒牙にかけていくことになる。

 研究所を崩壊に追いやったクローン少年は、魔族たちの報復を受ける。それは、延々と休むことなく精を搾り取り続ける、快楽処刑にほかならなかった。

 徹底的な快感で精を一秒も休まず奪い続けることこそ、魔の研究所の、僕たちクローンに対する報復なのである。

 熟練の手技が、玉袋をこねくり回し、前立腺を直接ぐりぐりして、溜め込まれた精を留まらせないようにくすぐってくる。そこへお姉さんの腎虚化するほどの具合のよいオンナが、ペニスを優しく締め上げる。

 そして無理矢理ピストンさせられて、もぎゅもぎゅうっとしごかれてしまえば、未熟な少年の性などひとたまりもなく蹂躙され、あっという間に次の射精が訪れてしまう。

 心地よい柔肌に包まれ、アンデッドモンスターの乳房を吸わされながら抱きしめられる。太ももの快楽に酔いしれ、悩ましい膣圧に悲鳴を上げたペニスが、ガマンできずに律動していく。

 ここは……永遠のとらわれの地だ。この異世界で捕らわれたペンギンは、もはや快感に抗う手段のすべてを失い、ただひたすら、生産され続けるクローンが増えて、その分だけ着実に、精液を抜き取られ続けていく。脱出はまったく不可能なのだった。

 こうして今日も、どこかでクローンが生み出される。そして、外に出て、いきなり魔族の洗礼、若娘の洗礼を受け、1分以内に射精が始まることになる。そうして、あとはひたすら、脈打ちが続くばかりとなるのである。永遠に。

 この僕も、もはや快感から抜け出すことができなくなり、しかし理性や思考を残したまま、気持ちいいお姉さんたちの体をむさぼり続けるしかないのだった。



###囚われたクローン###


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