10.ビューティフルオーガー
研究所内を進む。
とにかく運がいい。これまでの蓄積から、レベルあげも比較的簡単になったし、女体への耐性も少しずつついてきた。
5階を攻略したあたりから、自分に自信がついてくるのを感じている。
4階には敵が出ない。5階の次は3階となるわけだ。
だが、3階がいかに強敵であるのかは、行ったことはないけれども、知識としての蓄積が教えてくれている。何も知らずに向かえば、思わぬ人外娘に出会ってしまい、瞬殺されてしまうのである。そうやって瞬時に追い詰められて果てていったクローンを知っている。
必要なのは、3階に進んでも大丈夫なレベル感である。そのためには、たとえ弱くても、5階の敵を倒しまくって、もっと自信をつけた状態に持ってこなければいけない。
自分のセックス能力に自信がついたからといって、安易に先に進むのは命取りとなる。
警戒には警戒を重ね、まだダメかもという念の入れようで進まなければ、この研究所を突破することはできないのだ。
そうやって、5階のザコどもは瞬殺できるくらいになってから、3階に進むことに決めている。時間はかかるが、弱い相手でも倒し続ければ、少しずつ経験値になるからね。
「ん?」
ずいぶん長い間5階のフロアを探索しているが、そういえばここの扉をくぐったことはないな。プチボスの部屋でもないし、もちろん「精力が1になるホログラム」のトラップでもない。
まるで、ついさっき突然出てきたような扉だ。
行ってみるか。
5階なのだから、何らかの罠だったとしても、それほど強力な敵が出てくるわけでもないだろう。
下の階に降りるには自信がないが、このフロア内であれば、何が起っても大丈夫だろう。
僕は扉をくぐってみた。
「!!!」
ぶわあっ! 周囲が白く光る。なんだよこれっ!?
光は一瞬で消えたが、僕の目の前の光景が変った。
「これは……」壁が……赤い……
目の前には、迷路のような通路があちこちに拡がっている。一体ここはどこなのだろう?
数歩、足を進めてみる。壁が赤い以外は、特段変ったところはない、が……
壁が一面真っ赤だというのは、とても気になる。
まさか、5階以外の別の場所にワープしてしまったとでもいうのだろうか。
だとすると、それは大変なことだ。ワープトラップに引っかかって、3階よりも下に来てしまったということになったら、それこそ命取りになりかねない。
とにかく、元の場所に戻る方法を探さないと。
「地下1階へようこそだっちゃ!」
「ええっ!?」
ち、地下1階、だって!?
一番最後のステージじゃないか!
最高にレベルを上げた男がこのフロアに挑み、人間の能力を遥かに超えた神界魔界の化け物たちが大勢うろついて、あのラスボスのハードコアが控えているフロアだ。
なんてことだ! 3階にも行かれない僕が、いきなり地下一階に飛ばされるなんて!
絶体絶命の大ピンチだった。
目の前にいるこのお姉ちゃんは、僕よりすこし年上の10代の風貌をしている。だが、その実力は計り知れない。
ビューティフルオーガー。別名ラ●。宇宙より飛来した鬼娘で、いまは魔界に住んでいるという。魔界においては格下の存在ではあるが、それでもセックスの実力は相当に高いはずである。
逃げなくては!
だが、チェリーボムは一個しかない。すぐに5階への道が見つかればいいが、そうでなければ、最後の一個を使い果たし、次のエンカウントがあれば終了である。
いずれにしても、ここで使わなければ瞬殺されてしまうかも知れない。僕はチェリーボムを発動させようとした。
「先手必勝!」
●ムちゃんはいきなり空を飛んだ。そして僕をがっしり捕まえると、いきなり挿入に持ち込んできた!
「ひゃあああ!」空中で身動きがとれない!
そこへ、人間の女性の名器を遥かに超えたオンナが襲いかかる! 包茎ペニスはあっさりと膣内に取り込まれ、空中ファックが始まってしまう!
空を飛びながらという不安定な恐怖感があって、瞬殺だけは免れた。だが、レベルの低い僕が、最終ステージの敵にかなう道理などあるはずもない。空中で安定したとたんに、ペニスは射精直前まで追い詰められてしまった。
「ひい!」
とっさに僕は回復薬を飲み、惨事を免れた。
だが、そんなものは付け焼き刃、気休めにしかならない。
「あはははっ! 瞬殺だっちゃ!」
ビューティフルオーガーは、僕を空中に持ち上げながらも、力強く小刻みに腰を上下させてくる!
ひとコスリする度に、まるで初めて挿入しているみたいな絶大な快楽が流れ込んでくる! 僕は反撃もできず、回復し続けることで手一杯だった。
すこしでも気を抜いたり、薬が切れたりすれば、一巻の終わりだ。
若くてハリのある肌触りが密着しては、激しく全身を揺り動かして、女の情念をぶつけてくる。そのつど、瞬殺レベルのオンナが未熟な皮かむりペニスを責め苛み続けた。
なんとかして脱出しなければ。なんとかして逃げなければ。
最後の賭だ。ここでチェリーボムを使って、脱出するしかぬわいっ!
「しぶといっちゃ! これでもくらえー」
どばばばばば!!!
「ぎゃああああ!!!」
びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅくびゅく
突然、全身に衝撃が走り、脳が焼き切れてしまうのではないかと思えるほどの快楽の波が一気に襲いかかった!
次の瞬間、射精が始まり、止まらなくなってしまう!
ビューティフルオーガーは、最小限の力で、未熟な僕を瞬殺するよう、楽しんでいたらしい。本気ではなかった。
地下一階の敵であれば、手を抜いて戦っても、5階フロアを彷徨っている14歳など、赤子の手をひねるようなものだ。●ムちゃんにはその自負があったらしい。
だから、軽い力で瞬殺を楽しもうとして空中ファックに数秒間持ち込んだが、回復して逃げようとし、生き延びてしまう姑息な僕の態度にしびれを切らしたらしい。
高レベルの男性をも一瞬にして葬り去る大技、プレジャーボルトをかましたのだった。
ちょっと本気を出しただけで、僕などひとたまりもなかったのだ。
肉体改造され洗脳されて再び研究所を回る……などということにも、なりそうになかった。
快感が強すぎて、脳と全身の神経がすり切れてしまったみたいだ。
何も考えられない。僕は本当に文字どおり命を失うことになる。
このあとの死体が改造され、ゾンビか何かにさせられるのだろうか。
意識が薄れ、何も分からなくなっていく。ただ、一つだけ分かっているのは、次に気がついた時には、僕の魂は魔界に落とされ、ビューティフルオーガーの群や、それ以上の実力者たちに、永遠に精を絞られ続けることになるだろう、ということだ。
###こうしてまた一人、クローンが犠牲になった###