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13.壁際ヴァンパイア

 


「しまった……」

 研究員は、逃げ場を失った。


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 敵の女たちから逃れ、安全地帯をめざし、そこに避難する途中だった。

 女たちの位置情報まで映すことのできる端末を駆使し、女敵から身を守るしかない。彼女たちは、自分たちの精を奪おうと、女の肉体のすべてを用いて、男性研究員を快楽の坩堝に堕とす。

 その誘惑に負け、彼女たちとのセックス戦闘で敗北し、精液を出してしまおうものなら、そこに快楽洗脳電波が押し寄せる。さらに、肉体改造が施され、彼女たちの仲間の、女の怪物にさせられてしまうのだった。

 それは、性的快楽だけを求めてかけずり回る、理性のない存在に、自分たちが貶められるということである。

 何としても、それだけは避けたいと思っていた。そしてそれは、生き残っている研究員たちの共通の思い出もあった。

 だが……彼は、その望みを絶たれそうになっている。

 壁際に追いやられ、開くことのない窓辺に、彼は絶望的に手を打ち付ける。もはやそこから、外に出ることは不可能であった。

 無論、そんなことは研究員たちも知っていて、窓から逃げようなどという考えは始めから捨てていたのではあるが、部屋の中に追い詰められ、逃げ場を失った彼は、本当に文字どおり一縷の望みをかけ、壁際に立ったのである。

 すぐ後ろから貼り付いてきたレディヴァンパイア。

 控えめではあるが、しっかりと膨らんだスレンダーな乳房を、すかさず研究員のお尻に密着させる。

 そうして、これまでさんざん逃げ回り、少女やレディの裸体に追い回され、時には抱きつかれるなどして、きわどい道を逃げてきたおかげで、ペニスはすでに、ギンギンにはち切れてしまっていた。

 捕まったが最後、あとはやわらかで細い指と、精を絞ることに特化してしまっている女手の餌食となるばかりなのだった。

 彼女の右手は、しっかりと肉棒をしごき立て、左手は玉袋に添えられている。


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 吸精鬼にとって、男性の精液は、まさしく食事そのものである。体液に宿る生殖細胞やタンパク質というより、射精時の男性の精神波そのものが、彼女たちの魔力の源になっている。

 これによって永遠の生命を受けているアンデッドであり、ペニスをしごく彼女の表情は、どこまでも冷たく鋭利だ。

 親指を使って丹念に亀頭先端をこすりあげながら、やわらかで優しい手つきで、しかし高速きわまりなく、バラバラに動く指に包み、根元から先端までをスリュスリュし続ける。


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 前方は壁。

 後方にはしっかりと吸精鬼が貼り付いている。

 その手で、その口で、その性器で、太ももで、おしりで……何もかもが、精液を奪い取るために必要十分な攻撃力を具えている。

 細めの体つきもまた、モデル体型のように余分な脂肪がないのに、男好きのするいやらしい膨らみは、完璧に発達したおとなの肢体にほかならない。

 研究者に背後から抱きつき、寄り添うようにして、しかし一気に精を絞り取ろうと、彼女の両手が悩ましく動き続けた。こちょこちょとくすぐるような左手の指先は、確実に精巣内の精子をかき回し、放出を早めるようにくすぐったく攪拌し続けている。


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 細い体つきであるにもかかわらず、やはりそのヒップはどこまでも魅力的で、男性の性欲をとことん刺激する甘美な誘惑に満ちている。

 これまで、彼女たちは、数多くのペニスを、その手で、お尻で、オンナで……ありとあらゆる部位で脈打たせてきた。

 だからこそ、この男を絶対に快楽地獄に突き落とせるという、確固たる自信が、彼女の全身からにじみ出るのである。

 ゆったりとお尻を左右に揺らしながら、バンパイアはペニスを一方的に責め抜いてゆく。


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 研究員は、前後挟まれた格好であるため、そもそも脱出が困難な立ち位置に、追い詰められていた。

 しかし、ほんの僅かなアリの一穴さえも、研究所は絶対に許さない。

 すぐさまオトコのニオイをかぎつけた、たくさんの吸精鬼仲間が、一斉に周囲を取り囲む!

 仲間のバンパイア、スペースバンパイアに、キョンシーまで揃っている!

 スペースバンパイアが、研究員の脚にしがみついて、さらに脱出を困難なものに仕立て上げると同時に、その性欲開発のオーラによって、射精感をさらに高め続ける。

 他のバンパイアやキョンシーにも取り囲まれ、彼は左右に逃げるあらゆるチャンスを失った。


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 触り心地の良さそうな、スベスベの太ももが8本。

 それらすべては、この研究員のペニスを脈打たせるためだけに存在し、そこに立ち尽くしている。

 スペースバンパイアの特殊能力は、男性の性欲を格段に高め、女体の魅力を際立たせ、セックスのことしか考えられないように仕向けることができる。

 普通の男性なら、彼女とキスをしただけで、精魂すべてが抜き取られ、一瞬にして一生分の精を奪い去られてしまう。

 そんな彼女が近づくだけでも危険なのに、いまや、じかにしがみつかれているのである。

 彼女は、バンパイアの手コキで発射されるはずの精を、いまかいまかと顔面受けを待ち焦がれている。

 彼の脳には、容赦なくバンパイアたちの裸と太ももとおっぱいの群が、テレパシーでダイレクトに送り込まれ、延々と彼の頭に繰り返される。

 そこに、捕まえた吸精鬼が、極上のテクニックで精を絞りにかかっている。彼女たちは本気だ。


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 だ……だめ……だ……イッちゃ……だめ……うあ!

 研究員は必死で堪えた。

 快感に負け、射精してしまえば、その場で自分が壊れてしまう!

 本来なら、取り囲まれる前に、つまり一人のバンパイアに捕まった時点で、ただちに研究員は昇天させられたはずである。そのくらいに、バンパイアの能力は高い。

 肌で触れ合うだけでも、触られていないペニスから律動を引き出すことも可能だ。さらに、近くに寄ってこられただけでも、イク直前の多幸感に包まれる男さえある。

 そんな女バンパイアが、十数秒で片付くペニスを、とことんまでじっくり追い詰めている。

 死にたくない、そんな思い一筋で、彼は平静を保っている。ギリギリの状態だ。

 しかし彼女たちは、絶対の自信を持って、たとえ必死で堪えきろうとしても、それを難なく打ち破る快楽の刺激を与え、手でも口でも太ももでも搾精できる肢体を、存分に発揮し続けるのだった。

 研究員は壁際に囚われたまま、絶望的なまでに追い詰められているのだった。


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 すべてはむだだった。

 優しく素早い左手が、玉袋をとことんくすぐり、かき回し、こねくって、むりにでもドクドク言わせるつもりでスベスベの手を動かしている。

 さらに左手は、彼の内股や会陰にも攻撃範囲を拡げ、研究員の足と股間の境目でさえ、女手の餌食になっている。

 あとは時間の問題だった。

 彼女たちの魅力が細胞レベルで研究員の随まで染み渡り、その全てが、男の精を放出させる刺激のみに向けられている。

 身じろぎしないキョンシーは、万一研究員がこの密着状態を離れたときに、すかさず挿入に持ち込もうと、すっかり体勢を整えている。

 一見、そんな風には見えないけれども、彼女たち全員が、瞬時にして根元まで挿入できる体術を心得ているのだった。

 スペースバンパイアの視線は、ペニスのさらに先端に集中している。そのため、先っぽは、指や手のひらの刺激以上に、内部の芯まで強い快楽に晒され続けている。

 内側から性感神経をすべて刺激される。なおかつバンパイアの素早い手や指が、外から絶妙なるテクニックで滑り続けている。彼女たちにローションなど不要で、もはやなまの手だけで十分、この研究員を圧倒することができた。


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「うあああ! いやだあ!! 死にたくないッ!!」

 強すぎる多幸感。こみ上げる脈打ち寸前の気持ちよさに、思わず叫んでしまう。

 だがその叫びは、アンデッドどもの勝ち誇る自信をさらに深める以外、何ら役には立たないのだった。

 レディバンパイアの右手は、もはや先端だけをコショコショと高速でしごいている。スペースバンパイアの刺激と合わせ、裏スジの敏感なところを掘り当ててしまったのだ。

 その分のサポートは左手で十分まかなえている。

 あとは、丹念に気持ちいいポイントを重点的に狙うだけであった。

 それは、彼女たちが送る視線にも、よく現れているようだった。

 彼がイク直前に腰を引いても、吸精鬼の控えめでやわらかなおっぱいがこれを阻止する。ぎゅみっと圧迫が加わり、彼は腰を引いてもペニスの快感をいっさい抑えることができなかった。

「……ッ!!」

 びゅくん! どばあ!

 なやましいくぐもった声とともに、研究員のペニスはあえなく、女の怪物たちの快感攻撃に敗北した!

 玉袋を重点的にくすぐりながら、右手でヤワヤワした弾力で先端を丹念にしごき、最後の一滴まで容赦なく絞り取っていく。

 彼女の手に感じるペニスの脈打つ感触がなくなっても、その手はしつこくまとわりつき、徹底的に先っぽをしごき立て通けた。

 スペースバンパイアの鋭い視線が玉袋に向けられる!

 すると、絶頂した瞬間であるにもかかわらず、さっきよりもはるかに強い快楽が彼の股間を襲った!

 本来なら、僅かでも精巣に体液が残るはずが、再び性的な刺激に悪魔的に晒された結果、彼は絶頂中にもう一度イッたのだ。

 文字どおり、まったく残らず最後の最後まで、ペニスから粘っこい白濁液を、無理矢理にだって絞り出すのが、彼女たちのやり口だった。

 本当に出なくなるまで、周囲の女性たちの快感攻撃は終わってくれなかった。

 彼女たちが離れるのは、肉体改造が終わり、研究員が女性になって、他の男子から精を絞り取ろうとする“仲間”になってからである。

 壁際に追い詰められた青年は、通常では味わえない気持ちよさに、死の恐怖さえ投げ捨てざるを得なかった。

 そのくらいには魅力的な、一対多数のセックスの園に、この研究所は仕立て上げられてしまっていた。

 どこに居ても、どこへ行っても、男性である限り、女たちは取り囲み、気持ちよくしてくれる。

 研究員のような若者も、ある程度熟達した中年も、たまたまそこに居た少年や、外部からテレポーテーションで送り込まれた子供でさえも、一人も例外はいない。

 部屋の中でも廊下でも、男たちのうめきと、快感の溜息と、女たちのあえぎ声が、研究所内のあちらこちらで、例外なく続けられた。

 精液を出すまで、彼女たちはオンナだろうが手だろうが口だろうが胸だろうが、どこをとっても美しくいやらしい肉体を駆使して、男たちを追い詰めていく。

 もはや逃げる場所はない。安全地帯は、徐々に侵蝕を受け続けている。



###こうしてまた、一人の研究員が消えていった###


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