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姉10


 ここはあえて……中学時代の妄想に賭けることにしよう。すなわち、姉の背後から座って密着し、手で彼女のオンナに触れて攻撃する戦法だ。

 リスクは高い。

 あのとき想像していたことが、それでオナニーして満足していた日々が、強烈に脳裏に蘇ってしまう。それはつまり、今の自分が攻防すると同時に、中学時代の未熟な自分までもが快感攻撃を受け続けることを意味する。過去の自分もまたダメージを受ける。それは、レベル的にほとんどゼロという状態で闘うことでもある。

 あのころの自分の、快感に対する弱さ、異性の身体に触れたことのない新鮮さは、いきなり強い姉に対峙したがゆえに瞬殺されてしまうほどに、圧倒的な差になっている。それが前面に出てしまったら負けだ。

 高校時代と違って、それよりもはるかに幼かった僕は、ペニスから精液が出ることを覚えたばかりであり、セックスの仕方もろくすっぽ理解しておらず、ただ異性の身体のパーツを思い浮かべながら、股間の刺激を続けて絶頂に至るばかりだった。もちろん、異性の性器の形状も何も分かってはいなかった。

 姉さんに対しては、見せつけてくる身体のきわどいパーツをあれこれ思い浮かべながら抜いていた。それでも、どうしても見せてはくれなかった恥ずかしい部分、乳房やオンナは、「きっとこうなっているだろう」という強い欲動と想像をかき立てた。

 また、異性の肌触りに対するあこがれもひときわ強く、姉さんの生足を触ったらさぞかし触り心地が良く、天国のようだろうと思い欲情していた。彼女は僕のそんな性癖をひそかに把握し、楽しんでいたのである。

 そんな未熟な状態なので、良くオカズにしていたのが、生足スリスリしあうことと、姉の性器を見たり触ったりすることだった。他の娘もオカズ対象だったけれども、姉の場合には、ストーリーや展開まで多少作り上げてからコトに及んでいた。

 その中でも一番多かったのが、姉の指摘どおり、背後から座って抱きつき、脚を開いた姉の股間に手を伸ばして、そのタテスジに指を這わせることだった。あこがれの姉さんのオンナをじかに触ることができるというだけで、興奮が極端に高まり、オナニーし始めて程なくして絶頂してしまうほどだった。

 もちろん、現実には、姉は視覚で女体の誘惑を日夜くり返していたけれども、ほんとうに触らせてくれるわけではなかった。一線は越えていない。そこはやはり、この社会に生きる常識人のボーダーラインは守っていたのである。

 しかしこっちの世界では、はじめからそういうボーダーライン自体が存在しない。それで姉は、中学時代と今の自分の両方を同時に犯して、射精させてしまおうとしているのである。

 それなら、姉の妄想どおりにしてやる。

 弟が自分の背中にはりついて、オンナを触ってくる。それに感極まって、たまらなくなっているところへ、一気に射精まで持ち込もうとしているのだろう。

 オナニーしているときも、姉のスジを撫でさすりながら感激し、腰をゆっくり前後させてペニスを姉のお尻や腰に押しつけこすりつける。姉も呼応して、腰をゆっくり左右させてペニスをこすってくる、なんて考えていた。

 そのやわらかでスベスベの感触を受け、僕は姉のオンナを撫でさすりながら、彼女の腰部分がこすれるペニスの気持ちよさに耐えきれず、そのまま彼女の背中めがけて白濁液を爆発させるのである。それが僕が幼い頃抱いていた、姉に対する性的空想だった。

 姉ももちろん、そんなことは百も承知なので、同じような攻撃を仕掛けてくることだろう。年上の、成熟した女の肉体の良さを存分に刻みつけてくるに違いない。

 だが、救いとなるのは、実際に戦闘するのが、いまの成長した僕だということである。

 身体もペニスも、中学時代の僕ではない。それに加えて、僕はこっちの世界で、ずっと女たちを大勢相手に闘ってきたんだ。射精させられることなく、相手を絶頂させ続け、長い年月かけて、ここまで勝ち残ってきたんだ。

 時間の概念が違うので、何年経っても僕は年をとらないけれども、それでも確実に、僕はこの性欲の塔で、快感に負けずにがんばってきた。レベルも格段に上がっている。

 同時に中学時代の想い出の僕自身が攻撃されることによって、思わぬ大ダメージを覚悟しなければならないが、手マン攻撃の腕前は、姉さんの想像を遥かに超えている。それを見せつけ思い知らせてやることができれば、この体勢のまま勝利を掴むことができるだろう。

 僕は姉さんの背中にはりつき、後ろからギュッと抱きしめた。

 姉は首を後ろに曲げて、頭部を僕の首スジのところに、きゅっとねじ込んでくる。密着の度合いが高まる。

 僕も姉も尻餅をつき、脚を前方に投げ出す体勢だ。僕の脚が姉さんの優しい素足にぴったり密着する。つまり姉は大きく脚を開いて、オンナを丸出しにしている格好だ。このあと僕がそこを触ってくることを、十分に理解している証拠だった。

 背中をすっかり預ける姉。こうしてみると、本当に彼女の身体は小さくて華奢だ。胸を反らすような体勢になっているので、胸板もまっすぐになっている。それでも女性らしい出っ張りははっきりと感じられた−ただし、こっちの世界に転送されたときに少し盛っているようで、現実よりも大きくなっているようだが−。

 密着してみると、本当に肩幅が自分よりもずいぶん狭いことに、あらためて驚かされる。それだけ、自分の心の中では、姉は大きな存在になっていたのかも知れない。精神的に大きな存在は、その身体も大きく感じるものだからね。

 そしてやはり……スベスベの姉の背中は、密着するほどに、やわらかで心地よい感触であることも、あらためて思い知らされた。

 しっとりしていて吸いつくようなみずみずしさは、背中だけでなく全身ありとあらゆる部位がそうなっている。これが女の人の身体なんだと、急激にドキドキが高まる。

 いや、その胸の高鳴りは、想い出時代の自分が感じているものでしかないはずだ。女体のこんな心地よい感触は、これまでさんざん身に受け続けてきたではないか。

 中学時代の自分が、実際にこんな感触で密着されたら、それだけで急激に射精直前まで興奮してしまうに違いない。その部分が、僕を弱体化させて、初めて異性に密着したみたいに、僕を高めてしまっているんだ。

 ここで気を抜いたら負けだ。この塔での経験をフル稼働させて、自分自身の中に巣くう「中学生男子」を追い出すんだ!

 僕は即座に、両手で姉のオンナを攻撃し始めた。中学時代なら、あちこちを興味本位でランダムにいじくって、その触り心地の良さ、不可思議な器官のビラビラした部分や、きゅっと湿る内部の圧力に酔いしれていただろう。しかし今は違うんだ!

 指先を高速で動かしながら、指をバラバラに分担させて、オンナの感じやすいポイントばかりを付け狙うようにしてくすぐり、撫でさすり、いやらしい突起を執拗に刺激してやる。同時に他の指をタイミング良く出し入れし、スピード、深さ、指を交代させるちょうど良い瞬間を、的確に把握しながら責め続ける。

「ん! あ!」

 姉は小さく鳴きながら、ぶるるっと大きく身震いさせた。そう……姉が考えていた中学時代の幼い僕とは、この点が決定的に違うんだ。姉にとってみれば、思わぬ快感攻撃力を誇る弟に、予期せぬ大ダメージを受けてしまって驚いている、といったところか。

 子供時代の僕なら、「初めて触れる」女性器の感触を指先に受け、そのやわらかさ、男性にはない器官の異質さ、新鮮すぎる感触が、僕の指にガンガン入り込んできて、心の奥底まで痺れさせたことだろう。

 そして、少し指を入れただけできゅっとしなやかに締め付けてくる感触を味わって、その器官の快楽機能に急激に驚かされ、僕の興奮は一瞬でピークに達していたに違いない。実際にそうすることを想像しながらオナニーしていたんだ。

 その高まりすぎた興奮を、姉の腰やお尻に擦れるペニスが敏感に反応して、お肌の柔らかでスベスベの感触に密着したペニスは、あっという間に射精まで追い詰められてしまうことだろう。あのころの僕は、そうやって腰を少し前後させて包茎ペニスを姉さんに押しつけこすりつけて、そのままイクことを想像していた。

 しかし、この塔の世界でとても長い間、女敵たちと戦い続け、オンナを愛撫した回数は数え切れない。触り慣れているどころの話ではない。この指先だけでペニスを使わずに勝利した相手も数知れずなんだ。

 たしかに、この体勢に持ち込める相手はそう多くはなかった。背後から抱きしめられて「ご奉仕愛撫」なんて許したら、敵精力が一方的に削り取られることが明白だから。

 しかし、姉さんの場合、中学時代の僕の妄想を見抜いているだけに、わざわざこの体勢を選ばせたのである。それによって僕の方も、あのころの興奮が蘇ってきて、簡単な攻撃でもダメージを受けてしまうようになっている。さすがに完全に中学ペニスにまで弱体化はしていないが、相当弱くなっているのも確かだ。姉はそこを突きたいのだ。

 それでも、こちらの指のテクニックは、逆に姉さんを驚かせ、想定外の性感ダメージを与えているのも確かだ。これは姉にとっても誤算だっただろう。

 僕はゆっくりと腰を前後させてしまう。姉さんの腰やお尻にペニスが当たり、こすり、やわらかくめり込んでいく快感がたまらない。僕の下腹部全体にじわりと拡がる心地よさは、あの頃思い描いていた妄想が実現してしまったことによる興奮があるためだ。

 姉さんを包み込むように背中から密着している僕は、彼女の臀部と腰回りにペニスを押しつけ続けるだけで、むにむにっとこすれていく刺激だけで、極端に気持ちよくなってしまっている。相手が姉だからこそ、こちらの弱体化もここまで進んでしまっているみたいだ。

 しかし彼女の方は、弟による性的な攻撃が、まさかここまで強烈であるとは思っていなかったようで、ビクンビクンと全身を反応させながら、噴き出すように愛液を吐き流してしまっている。

 彼女は背中を完全に僕に預け、半ばのけぞるようにして、頭部を僕の首筋に強く押し当てながら、オンナに加えられる強い快楽に酔いしれてしまっていた。男性を射精させることを至上の悦びとしていた彼女にとって、一方的に気持ちよくさせられてしまうことは屈辱のはずだ。

 実際に現実世界でその屈辱を味わったこともあった姉さん。しかしその相手とは長続きしなかった。現実なら、そういう選択もできるだろう。しかしこっちの世界では、イったら負けという厳然たるルールがあるんだ。姉の思いどおりのイキ方である必要はないのだ。

 どんどん敵精力を奪っていく。こちらの消費も思った以上だが、こちらの攻撃の方がはるかに優っている。これなら、精力を十分温存させて、次の部屋に行くこともできるかも知れない。

 ぐにゅにゅ!

「なっ!?!?!?」

 姉は突然、腰を浮かせ、さらに僕に密着してきたかと思うと、いきなりペニスをオンナに飲み込んでしまった。お互いに脚を拡げたまま背中向けの座位に持ち込まれたのだった。

 お尻や腰の肌にペニス先端を押しつけるだけでも十分な快感だった。しかし、それをはるかに凌ぐ強い気持ちよさが、いきなりペニス全体に襲いかかったのだ!

「ね……どぉ? 私の膣、すっごいキモチイイでしょ? あこがれのお姉ちゃんのナカだから、しっかり味わってね。」
「うあぁ……!!」
「中学時代のアンタは、ホンバンソウニュウの気持ちよさを知らなかったし、想像もしてなかった。でも、ホラ……本当に入れちゃったら、こんなにいい気持ちになれたんだよ? 知らなかったでしょ?」

 しらなかった……はずはない!

 しかし、ペニスはこの感触を……知らなかった! いや、”知らなかった状態にされている”んだッ!

 本番挿入だって、数え切れないくらいにくり返したペニスなのに、まったくハジメテ挿入したときのような新鮮な快感が、あらためてペニスから下半身全体へと、心地よく拡がっている!

 いま味わっているのは、間違いなく、中学時代のペニスが本当にオンナに初めて入れてしまったときと、ほとんど同じ快楽なんだ。

 あのときは、挿入して果てるなんて、まるで想像もしていなかった。ただ相手のオンナを両手指先で触り、生足の感触を味わいながら、未発達のペニスを姉の腰部分に押しつけ続けるという想像だけで満足できた。そのくらいペニスも想像力も未熟だったんだ。

 もし、そんな男子中学生のペニスに、いきなり可愛い姉のオンナが挿入してしまったとしたら、ペニスをすっぽり包み込んでしまったとしたら……新鮮という言葉さえ生ぬるい。

 根元から先端までをきつく締め上げる搾精器官のなまなましい快感が、急激に股間全体を覆い尽くし、数秒以内には射精まで高められてしまっていたことだろう。

 それとほぼ同じ快感が、ペニスに襲いかかってきている!

 姉のオンナは、強化されているだけでなく、弟である僕のペニスに最も相性の良い造りになっていた。一番感じやすい先端部分に無数のヒダが絡みつき、もぎゅもぎゅと締め付けながら、股間の奥底、お尻の穴の奥まで、きゅ〜んとくすぐったい気持ちよさを怒濤のように送り込んでくる。

 急激な性感ダメージが、僕の側にぎゅんぎゅん与えられている。一瞬で射精してしまわずに済んでいるのは、このペニスが中学時代の未成熟なものではなく、一定のレベルと精力を保つことが、まだできていたからに過ぎなかった。

 ずりっ、ずりゅっ、ぬちゅっ……

 姉さんはちいさな全身を上下させて、オンナでペニスを激しくしごき立て始めた! 強い締まりは変わらないまま、お尻の肉を僕の腰に強く当てるように、パンパンパンとスピーディーに上下し続けている。

 中学時代のペニスだったら、姉が動かなくてもイかされていた。しかし、この塔の世界で経験を積んだペニスでは、それもままならない。そんなことは姉もよく分かっていたので、さらにペニスを射精させようと、積極的に動き続けているんだ。

 ペニスは徹底的に搾られてしまっていた。オンナの感触なんて、長い年月ひっきりなしに味わってきたはずなのに、その耐性がほとんど消え去っているのは、想い出の部分で僕の方が姉に対して、極端なまでに感じやすくなってしまっているためだろう。

 小さなお尻が跳ね上がる。ペニスをしごく度に感触が変わっていく。その快感刺激に伴って、大きく上下する姉の背中の肌が、僕の胸に強くこすれていった。

 どんなにしごいても、姉のオンナは、僕の一番感じやすい先端や裏スジ部分をしっかりと刺激し、くすぐり、揉みしだき続けている。気を抜けば、あっという間に精を絞られてしまいそうな勢いだった。

 このままではマズイ! 僕はとっさに腰を引き、姉の挿入から逃れた。ここは僕の経験が物を言ったようだ。同じような体位で追い詰められたときに、脱出した経験も数知れない。それが今回も生かされた形だ。

 だが、ペニスを引き抜いても、姉はしつこく密着をやめてくれなかった。

 さんざん高められたペニスに、姉さんのお尻が襲いかかる。臀部のワレメに挟み込んで、グイグイ強く押しつけたまま、やわらかくペニスを尻ズリでしごき続ける。どこまでもめり込んでしまいそうなお尻の肉の感触が、今度はペニスをいたぶっている。

 そして、背中の肌がスリスリと僕の上半身をこすっていて、僕の性的興奮を一向に下げさせないよう、細心の工夫が施されている。姉の反撃は収まる気配を見せない。彼女にとって、中学時代の僕が自分を性的快楽で追い詰めるなど、あってはならないことなんだ。

 僕も反撃を忘れない。さっきよりも手早く、両手で後ろから姉のオンナを攻撃し続ける。彼女の受けているダメージも、彼女自身を限界まで追い詰めるくらい深刻なものとなっている。

 ギリギリの攻防が続けられた。

 姉は再び、座位での挿入に持ち込んできた。このまま、”子供時代の僕”を射精させる腹づもりなのだろう。

 僕は姉の下腹部を重点的に、両手で愛撫し続けた。全身への愛撫に切り替えることも可能ではあったが、オンナへの集中攻撃が奏功していることを考えれば、別の部位への浮気はしない方が得策だろう。

 姉さんのオンナは、上下するたびにいちいち新鮮な刺激をペニスに送り込んでくる。

 ぎゅうぎゅう締め上げて、ペニスのどこもかしこもを快楽一色に染め上げながら、なおかつ先端の敏感なところへの刺激を延々と続けてくる。そして背中とお尻と生足の肌触りをしきりにこすりつけ、姉の女体としての魅力を存分に、僕の全身に味わわせている。

 僕の方も、挿入中のオンナをまんべんなく両手で刺激する。彼女にとって、挿入の激しい上下ピストンは、捨て身の攻撃に近い。自分が大きく素早く上下に跳ね上がり続ければ、ペニスはオンナの奥底までを性感刺激に晒すことになる。

 その上で、僕の百戦錬磨の両手がキッチリサポートしているので、姉はすぐにでも絶頂してしまいそうなほど、追い詰められている。

 ペニスと指先のダブルパンチは、姉さんのオンナをイク寸前まで追いやった。しかし、姉はその快楽をガードしない。激しい上下運動を緩めたり身体をこわばらせたりするそぶりを見せない。このままだと、あと数秒程度で姉はイッてしまうはずだ。自分の身を守るのではなく、ペニスに快楽を与えることだけを考えているようだ。

 僕の方は腰やお尻の奥を力ませ、精力消費を抑えながら、落ち着いて両手の愛撫攻撃を早めた。この心理戦は……僕の勝ちのようだ。

「ぁぁぁ……お、弟の……クセにィ……」

 姉さんは動きをピタリと止めた。オンナが激しく反応しているのがペニスに伝わる。そして強い絶頂感が、姉の女体全部を覆い尽くし、彼女は何もかもを一瞬忘れ去った。

 勝負は、僕の勝ちだった。

 姉さんは僕の反撃によって、ペニスを射精させる前に、自分がイッてしまったのだった。

 それにしても……勝負はついたものの、こちらの精力消費も甚だしい。辛うじて姉を倒すことができた、と言っても差し支えない。

 姉さんはペニスを引き抜くと、その場にうつ伏せになるようにがっくりと身を落とした。気持ちいい刺激が続き、怒濤のように押し寄せた強制的な絶頂感覚が、彼女を完全に脱力させてしまったのだった。

 僕の方も、危ないところだった。姉の座位攻撃で、いつイッてしまってもおかしくない状況だった。精力は……辛うじて残っている。だが、この状態での連戦はきついかも知れない。かなり心許ない状態になっている。回復さえできれば良いのだが……この次の部屋は五重塔の最終ラウンド。そう簡単には回復させてもらえそうにない。

「あ、そうだ。」

 がばっ!

「!?!?」

 急に姉は、我に返ったように身を起こした。もう少しで僕にぶつかりそうだった。ぐったり脱力した姉さんはどこへやら、すっかり気力も体力も回復して、汗も引いてしまっている。若い元気な精力や活力もすっかり元通りになったように見える。

「えっ!!?? アレッ!!!!???? き、消えるんじゃ……」
「あー、私急用を思い出したっ! んじゃっ!」

 そそくさと立ち上がって、隣の部屋に脱兎する小さな姉。じゃかじゃかっと小刻みな足音を残して、隣に入ってしまった。

 茫然自失。しばらく何が起こったのか分からなかった。ぼくが・・・かったん・・・・だよな!?

 こちらの肉体改造はない。間違いなくセックスバトルは僕の勝ちだった。だが、姉さんは消えることなく、立ち去ってしまった。

「あーっはっは〜! これでアンタもおしまい! こっちが本領発揮、”少女遊戯”の部屋なのだわさ〜! さあ。こっちで瞬殺してあげるよ! 早く来なさ〜い!!」
「えっ……ちょ、……おま……」

 姉のオレンジ色の元気な声が聞こえてくる。通常、召喚されてきた女性は、イクとともに消える。元の世界に返されるんだ。そして現実世界では、こっちの世界での出来事を夢として認識し、しかもその夢をすっかり忘れるはずなのだった。

 だが、姉さんは消えなかった。それどころか、隣の部屋で高笑いをしてやがる。

 ええぇ……

 倒したはずの姉が瞬時にして回復して、隣の少女遊戯の部屋で再戦するの〜???

 ズルじゃんこんなの! さっきまでの闘いはなんだったんだ……完全にナカッタコトなのか!?

 いや、おそらくそうではない。姉にとって、言うとおり少女遊戯こそが本領発揮なのだろう。そこでは、十中八九、ナカマがいるはずだ。その少女たちの中でリーダーシップを発揮することこそ、こっちの世界の姉にとって本領発揮という意味だ。

 姉さんなら、この異世界で、2回イクことができる。2回倒さないと、消えてくれない存在というわけなのか。

 しかし……こっちは辛うじて勝っただけであり、このままの連戦は厳しい。瞬殺はないにしても、極端に不利な戦闘を強いられることは間違いない。

 イッても消えなかった姉のズルに対する不満よりも、いまはそっちの方がはるかに深刻だった。どうしよう……回復剤もないし、このまま連戦で勝ち残れないかもしれない。しかもいまの闘いよりも、はるかに気持ちいい思いをさせられることが分かっているなんて。勝てるかどうか、不安しか残らない。

 それでも、ここで休んでいても、確実に相手勢が押し寄せてくるだけなので、連戦するしかなくなっている。次のステージでの選択は、小さなミスでさえ命取りになるくらいの、危機的状況である。

 仕方ない。進むしかないんだ。僕は吸い寄せられるようにして、隣の部屋の扉を開けるのだった。



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