姉6
挿入は避けておいた方が良さそうだ。
ただでさえ、姉は相当に男性経験がある。ただし、歪んだ形であって、それがいまや僕に不利な体験となって、姉を一層魅惑的な存在にしているんだ。そこへ来て、肉体強化が徹底されている相手である。挿入戦に持ち込めば、そのオンナの締まる心地よさに、どんどん精力を削り取られてしまう可能性が高い。
このまま、愛撫合戦で勝敗をつける!
僕は適度に姉と距離を取り、お互いの手が届く範囲を保った。姉さんはなんとかして、その自慢の生足を僕に擦りつけようとしてきたが、僕はスッと後ろに避け、彼女の太ももの感触に惑わされないよう細心の注意を払った。
とにもかくにも、姉さんとの勝負は、その下半身、とりわけ素足の攻撃とオンナの攻撃から身を守ることに尽きるだろう。僕が性に目覚めて以来、彼女はとくに、その脚を僕に見せつけ、自分をオカズにするよう、暗に誘惑し続けてきた。そのあこがれの脚がじかにこすれあい続けるなんてことになれば、昔から期待していた感触への願望が満たされてしまい、大きく精力を消費することにつながりかねない。
そして、姉弟でハメ込んでしまうという禁断の行為にのめり込めば、それだけで僕の方も強い興奮を覚え、こっちの世界でしか味わうことの許されない気持ちよさに負けてしまう可能性だってある。ここは安全策を採ってとりすぎるということはない。
僕は両手で姉さんのオンナ表面と内部を攻撃し始めた。指をバラバラに動かして、女性器の感じやすいところを的確に重点的に責めていく。僕だって長い間、この異世界で数え切れないほどの女性を相手に闘い、その娘たちの局部をどうかわいがれば彼女たちが大きく感じてくれるのか、ちゃんと分かっているんだ。
指の入れ方、深さ、タイミング……すべて計算どおりだ。同時に表面やクリを順序よく指先でくすぐっていき、女性が一番気持ちいいポイントを一番感じる時間に正確に責めていく。スピードとテクニックは、これまで勝ち残ってきた経験が物語る。
「ぅっく! さ、さすがだねっ……」
姉さんは身を震わせ、股間に襲いかかる強い快感に腰をくねらせた。自分が一方的にイかされることが悦びではなく、逆に自分の身体で男性がいち早く射精してしまうことに、この上なく興奮する性格だ。それによって、これまで数多くの男たちを虜にしてきた。それがいまや、僕の高い攻撃力の前に、想定外のダメージを受けてしまっている。
当然である。僕はこの両手だけで、あまたの女たちを絶頂させてきたんだ。強化されているとはいえ、くのいちさえ乗り越えてきた僕のテクニックに対し、姉に完全防御をする余裕はない。どうしても姉は精力を激減させていってしまう。
現実の姉だって、当然テクニシャンな男性に遭遇することはあっただろうけれども、彼女はたいてい、そういう男性には飽きてしまうタチだ。自信がある男たちを性的に籠絡していくことこそ、彼女の悦びにつながるんだ。
しかし、いまは、まったく状況が異なっている。イクことはこの世界では敗北なんだ。だから、飽きるかどうか、好みかどうかにかかわらず、快感を受け続けて絶頂するかどうかだけが問われることになる。
それにしても……。やっぱり、姉さんのオンナは触り心地が良いし、指を締める感触も非常に吸い付きの良いものだ。彼女の下腹部は全般的にぷにっぷにしていて、僕の指先にも吸いつくようにもちもちした弾力がある。若返っているだけではない、引き締まったきめの細かい肌触りは、強化された証でもあった。
地味な見た目で、ヘタをすると男性かと思われてしまうほど中性的な姉さんだが、一肌脱げば、これほどまでに淫靡で貪婪な性的衝動をかき立てる存在はない。とりわけその下腹部と生足は、どこまでも男たちを惹きつける。胸のなさをコンプレックスとしていたようではあるけれども、それを補ってあまりあるほどの下半身の成熟度だ。
あまたの男たちが、彼女の手や脚に果て、オンナ表面の感触だけでイかされてきたに違いない。「入れる」ところまでたどり着けただけでも上出来といえるほどの女体だ。
全体的に小柄で、すらっと引き締まった肢体である。ふくらはぎもシュッと細くてキレイだ。それでいて、内股の膨らみ方は甚だしく性的であり、異性を惹きつけて止まない肉付き加減を具えている。
そんな彼女のオンナをじかに触ることができたということが、しかも弟の身でそれを行っているということが、僕を強く淫欲の海に沈めていく。だが、それに負けて我を忘れてしまうようでは、これ以上勝負にはならない。あくまで、ペニスは感じないようにして、できるだけ短時間で、オンナをアクメまで追い詰める闘いなんだ。それを忘れたら勝てない。
姉さんも、ペニスに両手を伸ばし、先端から根元、玉袋まで、心地よいタイミングで撫でさすり、しごき立て、指先であちこちをコチョコチョくすぐった。
彼女は僕の攻撃に対して、ぐっと手を止めて自分の快感でいっぱいになってしまうものの、すぐに気を取り直して、反撃に出てこようとする。
姉さんのしなやかでやわらかな手。指も細く長くて、ふにふにしている。そんな女手が、強化されたテクニックを駆使して、両手でペニスをちょうど良くいじくってくる。そのタイミングの良すぎる手触りに、ペニスも想定以上のダメージを受け始めている。
姉さんは、自分の肉体で堕ちてしまう男性のありさまを悦びとしていた。きっと、声をかけた男たち、陵辱して従わせてやろうと目論む野卑な男たちを、挿入にさえ持ち込むことなく、そのなまの手で精を抜き取って、完全敗北させてきたのだろう。
そのことは、姉のいやらしい手つきが物語っていた。自分の快感で手が止まってしまう側面もあるが、明らかに彼女は意図的に、手を動かしたり止めたりをくり返している。
右手で筒を作って、ペニスの上半分をしなやかな手でしゅっしゅっと軽くしごいたかと思うと、亀頭先端を握りしめ、尿道口を重点的に指先でねぶってくる。そのあいだに、彼女の左手は、ペニスの付け根と玉袋をツンツンとくすぐるように素早くこすっていった。
そうして急激に、彼女は手を離し、数秒ほどじっくり待って、ペニスの反応を見ているんだ。ペニスは、姉さんが触っていない間も、じらされている快感にヒクヒクと小刻みに震えている。僕の性感神経は、お尻の奥までキュンと突き抜け、玉袋に入っている白濁液を放出させようとする生理的な本能へと積極的に結びつけてきた。
こちらの性的衝動が冷めないタイミングで、彼女はまたじっくりとペニスをしごき、時に優しく軽く、時には強く素早く、スベスベの手コキ攻撃を続けていた。
手コキ対手マン対決。良くあるパターンだ。そして、僕が何度も味わい、勝利し続けてきた戦闘でもあった。つまり、このまま行けば、確実に僕の攻撃の方が功を奏し、姉さんといえどもこちらのテクにガマンしきれず、快楽の淵にどこまでも堕ち込んでしまうに違いない。
オンナへの一点集中攻撃も、僕に有利に働いていた。全身へ拡げる愛撫攻撃方法ももちろんあるけれども、いまは局所集中型の攻撃の方がダメージが大きい。それは、相手が姉さんであり、彼女が想定以上のテクニックで快感を与えられ、それまでの性的籠絡を覆すような動きに翻弄されるからでもあった。
姉は数回ペニスを優しくしごき上げ、ぱっと手を離して、僕の股間に余韻を楽しませてくる。そうだ、そうやって彼女は、多くの狼藉男たちを手だけで果てさせてきた。大人の熟練男性であっても、こんな責めをじっくり受けてしまっては、触れられていない状態のまま白濁液を尿道口から吐き出してしまったに違いない。しかも姉の攻撃力は、僕のレベルでも大ダメージを受けるくらいまで強化されている。
僕はお尻の奥にぐっと力を込めて、感じさせられないよう、射精に近づかないよう、防御にも気を配った。その状態で、なおかつ両手でオンナを攻撃し、性感神経をとことん刺激するんだ。僕も姉さんの手で感じてしまって、じわじわ精を消費しているけれども、やはり姉さんの側の方が、こちらの勝ち残ってきた攻撃力の前に、少なからぬダメージを受けてしまっていた。
姉の精力が激減。それに比して、僕の方はまだまだ余力が十分にある。手によるこの対決は、僕の方に軍配が上がった。このままいけば……僕の勝ちだ。
「んあ! も、もう……」
姉は内股になりながら腰をグラインドさせ、僕の手に酔いしれている。姉にとっては大ピンチだろう。いつも僕を性的に誘惑し、姉の身体でオナニーすることを勝ちとしてきた姉さんにとって、その弟にじかに手マンされてイキそうなくらい高められてしまっているんだ。
屈辱的な敗北。姉の嫌う快感の絶頂が、もうすぐ訪れようとしている。このまま、悪姉を懲らしめてしまおう。優位に立ち続けてきた姉さんに、圧倒的な快楽を押し流して、思わぬ天国を見せつけてやる。
姉にとって想定外となる女体の快楽に、自分でもどうしたらよいか分からないようだ。そのはず、彼女は男をイかせることはしっかり考えても、圧倒的に自分がイかされてしまうパターンは、ほとんど意識していなかった。悔しいけど気持ちいい、そんな新鮮な感覚を、よくその身に叩き込んでおいて、強気な姉を逆に籠絡しきってやる。
「んくっ!」
姉さんは突然しゃがみこんだ! 「あ! しまっ……」そうつぶやいたときには遅かった。彼女は膝をついて座ってしまい、僕の両手攻撃から逃れながら体勢も同時に整えてしまう。
これは僕もよく使う手だ。やられた!
僕もピンチになれば、スッとしゃがみこんで、同時に体のバランスも取る。一番いいのは、尻餅をついてしまうことだ。そうすれば体幹が安定し、しゃがんでも押し倒されることがない。そうしてバランスを保った状態で、手などで反撃すれば、立っている女性を快感の淵に堕とすことができる。これは極めて有効な反撃手段だ。
それを姉さんにやられてしまった。僕がそれを想定し、先回りできなかったのがミスだ。彼女は膝をついているので、即座に仰向けに倒してマウントポジションを取ることができない。そして、そのあとに待っているのは……
くちゅっ……ちゅぱっ……ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ!!
「んくっ!」
姉は身を乗り出してペニスに吸いつき、とつぜん激しいフェラチオに持ち込んだ!
両手を僕の脚の付け根に滑らせながら、彼女は先端から根元まで唇でしごき立て、強く吸引しながら舌を大きく動かして、先端の敏感な部分ばかりを執拗に舐め続けた。
ああっ、しまった……すんごい気持ちいいっ!
姉の舌は裏スジの感じやすい部分を付け狙うように舐めつけ、同時に口腔内で吸引を続けて、ペニスをどこまでも奥へ奥へと飲み込んでくる。ちゅうっちゅうと音を立てながら、彼女は首全体を前後させて、ペニスを口から決して離さない。
ぷるんとした唇が強く棒部分に絡みついて、根元から先端までを丹念にしごき立てる。手のしごきとはひと味もふた味も違うふにふにした弾力が、ペニス全体に絡みついてきた。やわらかそうな口だと思っていたけれども、まさかこれほどとは! 女性の口のまろやかな弾力が、そのまま100%ペニスに集中し、ジュッポジュッポとしごく動作をくり返す。
その間じゅう、ペニスの一番感じる先端部分に姉さんの舌がはりついて、ぐにゅう、ぐにゅうと強く舐め回している。首を引いても押しても、舌の位置を変えないよう、姉さんの強化されたテクニックが威力を発揮しているんだ。
ま、まずい! フェラチオのテクニックも相当に強化されているのは分かっていたが、これまでたくさんの女性の口を味わってきたはずのペニスが、姉さんの口だけは特別といわんばかりに、大きく性感ダメージを受け、その心地よさに、いつ精をぶちまけても構わないほどの強烈な衝動を味わってしまっている。
僕は腰を引いて姉の口を引き剥がそうとしたが、そのとき僕のお尻が硬いものにぶつかった。は、柱! すかさず姉さんは僕のお尻や背中に手を回して、ぐいっと前のめりになり、これ以上僕が身を引けないようにしながら、どこまでもしつこく口を奥までねじ込んでくる!
ああっ! さっきの、手コキ手マン対決に移る前の、身の移し方だ! 姉さんはその自慢のふとももを味わわせようと、しきりに生足を出して絡みつけようとしてきた。そのとき僕は、不注意にも”後ろに”逃れていた。おかげで姉の素足によるダメージは避けられたが、いつの間にか僕は、硬い柱の真ん前に来るように誘導されていたんだ。もし僕が背後に逃れようとしても、柱に邪魔されて動けないように。姉さんは、最初から僕をその立ち位置におくことまで計算に入れていた。
僕がいくら腰を引いても、柱に当たってしまい、それ以上は逃れることができない。かてて加えて、姉さんが両手を背後に回し、ぎゅっと僕の下腹部を強く抱きしめることで、ますますどこにも逃げられなくなった。そして、彼女は上半身を乗り出すようにして頭部をペニスに押しつけ、しつこく唇でしごき立て舐め続けるのだ。
うああ……せ、精力が……姉さんのフェラ攻撃の快感に、僕はあっという間に追い詰められていった。精力も温存されていたはずなのに、それをガッツリ削っていく口腔攻撃だ。このままでは、精液を丸ごと姉さんの口に吸い上げられてしまう。
さっきまで形勢有利だったのが、一気に逆転してしまう。なんとかしなければ。
とにかく、このフェラチオ体勢から逃れなくては、このまま姉の口に出してしまう。脱出が最優先だ。
背後は柱で塞がれている。左右にも、姉の腕が絡みついて容易には逃げられない。その間じゅうも、姉さんの舌はひっきりなしに裏スジ亀頭を舐め回し続けた。
脱出するには、前方に動くしかない! 僕は身を乗り出し、あえて股間を張り出すようにして、姉の頭部を押し返した。すると、姉さんは身をのけぞらせるような体勢になって、フェラチオ攻撃がかえって難しくなってしまった。
一瞬の隙を見て、僕は姉の口からペニスを引き離し、ようやくギリギリ限界で、射精してしまいそうになるところを押しとどめることができた。
こうなったら一か八かだ。僕は立ち上がろうとする姉の背後に回り込み、しっかりとその小さな身体にしがみついた。股間の先には、さっきまで僕の手でイキそうになっていたオンナがある。ここに活路を求めるしかない。
僕はペニスをバックの体勢で挿入し、性感神経を波立たせないように気をつけながら、ぐいっぐいっと腰を振ってオンナを悦ばせた。
ちいさな背中が僕にはりつく。姉の体は小柄だ。僕の大きな体躯は、すっぽりと姉の背中を覆ってしまう。僕は上から姉を抱き上げながら、バックで腰だけは前後させ、パンパンパンと激しくペニスを出し入れさせてやる。
姉のオンナは僕にとって抜群の相性で、根元も先端もどこまでもしっかり締め上げながら、ぎゅうぎゅう絞り抜いてくる。出し入れし前後するたびに、ヒダの絡みつく部分がいちいち僕の感じやすいところに集中してくる。
姉さんのお尻のはじける弾力に押し返されながらも、僕は懸命にペニスを出し入れし腰を前後し続ける。
こっちも追い詰められていたが、姉さんもさっきの愛撫攻撃で相当にまいっていた。フェラチオに移って少しの休息が得られたものの、それもほとんど効果はなく、挿入によって再び、彼女のメスとしての身体反応が激しく燃え上がったようだ。
こんどは上からがっしり抱え込んでいるので、彼女は腰を引くなどの逃げ道を持たない。そのままダイレクトにペニスの攻撃にさらされてしまう。ここが勝負どころだ。
さのみ時間を要さず、姉はぞわぞわっとイク快楽に我を忘れた。姉さんにとって、弟のペニスを受け入れるという禁断の行為は、僕以上に強い性的興奮をかき立てるものだったんだ。
禁じられたものほど、それを破ったときの快楽は強く大きい。もちろん、現実に破ってしまえば、それ相応のペナルティが待っているので、誰も破ろうとしないだけの話だ。こっちの世界では、そういう性的なタブーは存在しない。そこに先に酔いしれたのは、姉の方だった。
「んあ! そんなぁ!」
びくびくん!
姉の体が反射的に震えたのが分かった。心臓の鼓動のような強い脈打ちが、姉さんの全身を支配する。強化されていても、精神的にガマンしきれなかった姉は、僕の攻撃で強制アクメという、彼女にとっては悪夢のような快楽天国にさらされ、何も考えられなくなったようである。
「あふう……」
ぐったり。
僕も射精直前までになってしまっている。あと数十秒でもタイミングがずれていたら、姉の肉体という禁断の魔術で、僕の方が先に射精させられてしまっていたことだろう。
僕はこみ上げる多幸感を抑えつけ、出してしまいたいという欲動もしまい込んで、快感を耐え抜いた。ゆっくりとペニスを引き抜き、その場に座り込む。姉も同じように疲れ切って、四つん這いが前のめりになったようなだらしない格好で脱力している。
これで……僕の勝ちだ。
姉は消え、次の扉のロックが外される。ああ……そうだ、僕には休息がなく、矢継ぎ早に連戦を強いられるんだった。マズイ、残り精力は限りなくゼロだ。連戦どころか、このまま姉の裸体を見ただけで再び欲情して、消える前の肢体にペニスをこすりつけてイッてしまいそうだった。
「あ、そうだ。」
がばっ!
「!?!?」
急に姉は、我に返ったように身を起こした。もう少しで僕にぶつかりそうだった。ぐったり脱力した姉さんはどこへやら、すっかり気力も体力も回復して、汗も引いてしまっている。若い元気な精力や活力もすっかり元通りになったように見える。
「えっ!!?? アレッ!!!!???? き、消えるんじゃ……」
「あー、私急用を思い出したっ! んじゃっ!」
そそくさと立ち上がって、隣の部屋に脱兎する小さな姉。じゃかじゃかっと小刻みな足音を残して、隣に入ってしまった。
茫然自失。しばらく何が起こったのか分からなかった。ぼくが・・・かったん・・・・だよな!?
こちらの肉体改造はない。間違いなくセックスバトルは僕の勝ちだった。だが、姉さんは消えることなく、立ち去ってしまった。
「あーっはっは〜! これでアンタもおしまい! こっちが本領発揮、”少女遊戯”の部屋なのだわさ〜! さあ。こっちで瞬殺してあげるよ! 早く来なさ〜い!!」
「えっ……ちょ、……おま……」
姉のオレンジ色の元気な声が聞こえてくる。通常、召喚されてきた女性は、イクとともに消える。元の世界に返されるんだ。そして現実世界では、こっちの世界での出来事を夢として認識し、しかもその夢をすっかり忘れるはずなのだった。
だが、姉さんは消えなかった。それどころか、隣の部屋で高笑いをしてやがる。
ええぇ……
倒したはずの姉が瞬時にして回復して、隣の少女遊戯の部屋で再戦するの〜???
とてつもない精神ダメージ。もーぅイヤだ!
ズルじゃんこんなの! さっきまでの闘いはなんだったんだ……完全にナカッタコトなのか!?
いや、おそらくそうではない。姉にとって、言うとおり少女遊戯こそが本領発揮なのだろう。そこでは、十中八九、ナカマがいるはずだ。その少女たちの中でリーダーシップを発揮することこそ、こっちの世界の姉にとって本領発揮という意味だ。
姉さんなら、この異世界で、2回イクことができる。2回倒さないと、消えてくれない存在というわけなのか。
しかし……こっちはかろうじて勝っただけであり、このまま連戦は不可能だ。やろうとすれば、文字どおり瞬殺されてしまう可能性が高い。
イッても消えなかった姉のズルに対する不満よりも、いまはそっちの方がはるかに深刻だった。どうしよう……回復剤もないし、このまま連戦で勝ち残れない。100%ムリだ。しかもいまの闘いよりも、はるかに気持ちいい思いをさせられることが分かっているなんて。負けに行くようなものだ。
それでも、ここで休んでいても、確実に相手勢が押し寄せてくるだけなので、連戦するしかなくなっている。本当に絶望的だ。
僕は吸い寄せられるようにして、隣の部屋の扉を開けるのだった。
(少女遊戯へ)