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くのいち1−5


 逃げも隠れもしない。

 妙な手段に頼ることなく、このくのいち娘と一騎打ちだ。

 分かっている。敵は「幼少の頃からセックスの修行ばかりをしてきた強豪」という”設定”である。当然、普通の女の子だと思って見くびれば命取りだ。毎日様々な性感刺激を受け続け、これに耐え抜く努力を積み重ねながら、なおかつ手、胸、舌、足、性器、その他あらゆる部位で、男を性的に悦ばせ、ごく短時間で連続して射精に至らしめるテクニックの訓練を、日々厳しく積み重ねているんだ。

 さらに、彼女たちは、きわめて特殊な忍術をいくつも習得していると聞く。一般的な忍術の他にも、男をたらし込むために開発されたくのいち淫法を心得ている。その多くは、現代においてカラクリやネタが明らかにされ、暗示やトリックの類であることがほとんどなのだが、まれに科学では説明のつかない秘術を駆使することもあるという。

 そんなくのいちに真っ向から勝負を挑むなど、狂気の沙汰と言えるかも知れない。

 だが、それを言うなら、僕だって長い間、数多くの人間女性を相手に闘ってきた。若娘から熟女まで、そして様々なタイプや特性を備えた美しく可憐な性豪たちを、それこそ一度に10人相手にするなどの修羅場をくぐり抜けてきた。危ない場面もあったが、なんとかそれでも、彼女たちの肉体で一度も射精することなく、ここまでたどり着いてきたんだ。

 ペニスはひっきりなしに、しなやかかつやわらかな女体のパーツにしごかれ、オンナ内部に四六時中飲み込まれて、本来ならとっくに精子を吐き出してもおかしくない快楽の坩堝の中で、僕は必死に耐えてきて、テクニックと経験を重ねて、数え切れない娘たちを絶頂の逆襲に投げ込んできたんだ。

 修行の修練度という点では、決してくのいちに引けを取らないつもりだ。

 僕は身構える。むらさきしのめも、逃げも隠れもしない僕の姿勢に一瞬驚いたが、やはり自信があるためか、はっきりと応戦の構えを取ってきた。

 ひゅうっとちいさく風が吹き抜ける。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアーーーー!!!」
「ぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅぷぎゅうううう!!!!!」

 くのいちは超高速で愛撫攻撃。男の身体の感じるポイントを的確に、しかも素早くまんべんなく、指先でくすぐり、手のひらで撫でさすり、手の甲でスベスベしようとしてくる。

 だが、僕は自分の性感ダメージを受ける部位を知り尽くしているため、彼女の素早い手の動きを読むことができた。彼女の両手のラッシュを振り払いながら、同時に敵の乳房を中心に反撃を加えていく。

 しのめの方も、僕の手の愛撫攻撃をかわしたり、振り払ったりしながら、性感帯に僕の手が届かないように防御する。

 しのめの手は時折、僕の乳首やペニス先端に届き、一瞬触れるだけでも、小刻みで素早い動きをして、的確に快感を与えてくる!

 こちらも負けてはいない。振り払われてもしつこく猛スピードでラッシュをくり返し、その乳頭をつまんだり、クリトリスに触れた瞬間に機械的なバイブ振動を加えてやったりした。

 こちょこちょと少しずつではあるが、股間がくすぐったい疼きを強めていった。むらさきしのめの素早い両手の動きは、確実に僕の精力を奪い続けている。

 ここで気を抜いたり手を抜いたりすれば、彼女の小刻みの動きは、一気にペニスに集中し、瞬時にして亀頭先端を愛撫されまくって、大ダメージを被ってしまうかも知れない。

 くのいちは、熟練した男忍者でも手込めにできるよう、たとえすれ違いざまの一瞬であっても、素早い手コキで相手の精を抜き取る訓練を重ね、その技術はすでに完成されている。その技を遠慮なく発揮している相手に、隙を見せるわけにはいかない。

 さらに具合の悪いことに、彼女は性感刺激に耐性がある。並の防御力ではなく、ちょっとやそっとの攻撃ではノーダメージに終わってしまう。

 それもそのはず。彼女は物心ついてから、先輩くのいちたちの地獄のしごきをくぐり抜けてきたんだ。大勢の女たちに全身ありとあらゆる気持ちいいところをかわいがられ撫でさすられ、くすぐり抜かれ、様々な大きさや形状、機能を有したハリガタを用いてオンナ表面も内部奥底までも刺激され続け、それでも絶頂を許されず、耐え抜かなければならなかったんだ。快楽に対して強い防御力を誇り、我慢を重ねてきた結果身についた高すぎる精力は伊達ではない。

 徐々に、実力の差が現れ始めていた。

 僕のラッシュは、少しずつ疲労の度合いを増している。しかも、鍛え抜かれた女体に対するダメージは、こちらが計算したよりもはるかに少なく済んでしまっていた。

 高い精力を誇るため、ちょこちょこと責めていっても、まだまだたっぷり余裕があるし、そもそもなかなか感じてくれない。鉄壁の守りといっていいだろう。

 かてて加えて、むらさきしのめの手のラッシュは、いささかも衰えを見せない。疲労などという概念がないみたいに、正確に一定の最高スピードを保ち続けている。体力筋力ともに、訓練し尽くされた忍者の方がはるかに上なのだった。

 僕の方がはっきりと押され始めていた。

 しのめの手に振り払われる回数が、目に見えて目立ち始める。また、運良く女体に触れることができても、与えられるダメージがどんどん目減りしていった。触れた瞬間に小刻みに刺激する機会自体が減ったためだ。

 それに対して、明らかに彼女の手の攻撃が、勢いを増しているように感じる。触れる回数が多くなる、つまり僕が振り払える回数が減少し、敵の攻撃をまんまと受け続けるようになっていった。

 そうなると、むらさきしのめの両手は、徐々に下の方へとシフトし、だんだんとペニスへと集中するようになっていく。ぷぎゅぷぎゅと僕の全身あちこちに手を伸ばしていたのは、僕の手による防御を攪乱する目的もあった。だが、もはや自分の手が振り払われないと分かれば、彼女の手は自然と、僕の股間の方へと移動していくわけだ。

 愛撫合戦では、僕の方が完全に不利となった。敵の防御力の高さ、技術や手の素早さを思い知らされ、完全に押され気味となっている。

「ぷぎゅっ……フフフ、やはり私の方がパワー、精密さともに上だ!」
「ぐうっ……」

 このままではまずい……

 戦法を変えるしかない。愛撫合戦では勝てなかったが、それなら……挿入戦ではどうかな?

 僕が体勢を変えると、むらさきしのめはとっさにそれを察し、スッと身を引いた。どんな体位でも難なくこなすというくのいちの性体術、見せてもらおうではないか。

「ふふ……忍法、影分身!」
「むっ!?」

 次の瞬間、むらさきしのめの姿が複数人に増えた!

 しのめたちはバラバラに動き、僕の全身に群がると、すぐさま力ずくで押し倒してくる。2人のしのめが僕の両腕をがっしりと掴み、さらに2人が背後に回って、僕の足を取る! 直後に、僕は仰向けに押し倒されてしまった。

 そして、さいごの1人が、騎乗位でペニスをハメ込んでくる!

 5人に増えたしのめちゃんは、目にもとまらぬ早技でまんまと主導権を握り、挿入戦のスタートを制してしまう。

 何という不覚! まさか……分身までできるとは!

 僕の四肢は4人のくのいちに押さえつけられ、身動きできない。パワーもスピードも本物で、抵抗できずに一方的に挿入の責めを受けるッ! くそっ……

 5人目のくのいちは、悠々と僕の上で全身を上下させ、ゆっくりとだがじっくり、精力を削り取っていく。マズイ、一方的にダメージを受け始める!

 分身の術は、魔法ではない。猛スピードによる残像と、一種の暗示効果によって、5人に増えているように見せかけているだけだ。同じ顔、姿のむらさきしのめ、本物は常にひとつ。だが……それを見破れないでいる。

 全員が本物のように見える。本物はひとつであると同時に、全員が本物だ。1人が本物で、他がただの見せかけ、陽炎のようなもので、すり抜けるニセモノ、というわけではない。その証拠に、全員が加えてくる力は紛れもなく本物であり、手も足も動かせないでいるのだから。

 何らかの心理トリックも働いて、僕は押さえつけられていると思い込んでいるんだ。ほんとうの姿は、まさに挿入しているしのめちゃんただ1人なんだ。分かっているのに……脱出できない。

 くのいちの騎乗位は、強豪忍者でも数コスリと持たない威力を持っている。並大抵の男では、挿入した瞬間に、その鍛え抜かれたオンナの具合に酔いしれ、やわらかで心地よいけれどもどこまでも締まりつける勢いに負け、その場ですぐに射精を始めてしまう。さらに彼女が特殊な絞め技を使えば、ペニスは悲鳴を上げる気持ちよさに根底まで浸され、急激に締まる力技にとことんまで追い詰められてしまうという。くのいち淫法の代表的な大技、筒枯らしだ。

 弱い男では、一瞬にして絶頂に追いやられてしまうが、あまりにも締まる力が強すぎるために、尿道を精液が通ることさえもできずに、玉袋から出てきた体液は押し戻され、さらに脈打って吐き出そうとするがそれも押し戻され、何分でも何時間でも、絶頂時の多幸感が持続して、いつまで経っても射精し終わることなく、延々と脈打ち続けてしまうという。

 さすがに、弱体化でもしていない限り、僕に限ってそこまでの失態は犯さない。瞬時にして果ててしまわないよう、渾身の防御で彼女の膣圧に抗う。

「フッ……時間切れだ。」
「あ!」

 急に手足が軽くなった。

 四肢を押さえつけ、僕の身体を固定したくのいちたちが消え去った。腰の重みもなくなり、反撃が可能となる。

 いや……この体勢での反撃は危険すぎる。僕は腰を引き、身体をひねって、相手が主導権を握りっぱなしの騎乗位結合から脱出した。

「……もしかして……お前の分身は制限時間つきか?」
「うっ……うん……。5秒くらいしか持たないにょ。本当の分身の術は別にあるんだけど、こっちはすぐ消えちゃう“影分身”ね。」
「……やっぱりお前はバカだ。」

 松葉崩しに持ち込み、猛スピードと的確なポイント責め、胸愛撫を併用させて、一気に反撃を加えていく。

「ひゃ! なんで……」

 いくら訓練されたくのいちだとしても、この攻撃は効くだろう。ニンジャではないけれども、こっちだって百戦錬磨、相手の女性をいきなり絶頂させるくらいの大技はいくつも知っている!

 むらさきしのめは、思わぬ快感に上半身をのけぞらせ、自信の性器から全身に拡がった快楽に対し、おっぱいをいじる手でそれをしっかり受け止める僕の愛撫攻撃に震えた。波状攻撃のように全身を駆け巡る快感を、いくらくのいちでも完全に防ぎきることはできない。

 分身が制限時間つきというなら、まだまだこっちに勝機がある。

 しかも、そういう手の内を正直に言っちゃうところは、やはりアタマが……かわいそうでさえある。

 こちらの精力を温存させながらも、受けたダメージ以上の反撃はしっかりとお見舞いしてやった。

「おのれ……影分身!」
「なっ……またしても!」

 僕はまたもや、しのめの分身に取り囲まれた! そしてこちら主導の体位は強制的に外され、ふたたび騎乗位に持ち込まれると、さらに一方的な責めが開始される。

「ううぅ……」

 ふたたび押さえつけられての騎乗位攻撃。

 ぎうううう!!!

「ぬおおお……」

 来た! これがくのいちの必殺技のひとつ、地獄の筒枯らしだ。ま、まけるか……

 僕は必死で踏ん張り、なんとか大ダメージには至らずに、むらさきしのめの攻撃を耐え抜いた。だが、少なからぬダメージが股間に直撃する。ペニスがオンナに包まれている感触など、いくらでも味わっているはずなのに、まるで性に敏感な少年が初めて名器に入れられてしまったみたいに、きゅんと気持ちいい波が股間を痺れさせ、神経を伝って脳に直撃すると、射精せよという司令となってペニスに跳ね返ってくる。その指令に全身の力と精神力で抵抗することで、性感ダメージをできるだけ小さく留める。これまでの攻防で身につけてきた戦い方だ。

 たしかに数秒ほどで、影分身たちは消える。そうすると僕の身体は自由になり、さっと騎乗位から脱出できた。くのいちなら、男が騎乗位から抜け出さないようにする方法はいくらでも知っているが、僕は同じようにして強制騎乗位の憂き目に遭い続け、独自に、そこから脱出する方法を編み出している。くのいち秘伝の騎乗位からの脱出も、難しい話ではなかった。

 そうして反撃に出て、こちらに都合のよい体位に持ち込んで、しっかりとダメージを与えてやる。鉄壁の防御力なので、簡単には精力を削れないし、残り精力も高いけれども、それでも、女体を快楽漬けにする反撃は、確実にむらさきしのめを追い詰めていった。

「おのれ……かげぶ」
「オラア!!」
「むぶう!」

 とっさに僕は、しのめちゃんの口を手で塞いだ。

 影分身は現れない。

 分身はスピードやトリックの他に、心理的な効果も併せて発動される。”影分身の術”と口にすることで、その効果を発動させる。そのくらいは見抜けるさ。

「もがー! もがー!」

 彼女はもごもごと口ごもるだけで、連続して影分身を発することができない。

「よしよしイイコでちゅねー。悔しかったら、”チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグ”って早口で十回言ってごらん? はっはっは。」
「チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグ」
「えっ……」

 僕の身体は無数の影分身たちに押さえつけられた! 騎乗位と極上の地獄締めで激しく前進を上下させてくる! そのとたんに、ペニスは内部の奥やお尻の穴、前立腺に至るまで、きゅ〜〜んとすさまじい快感に包まれた。

 できもしないだろうと踏んで、手を離したのが失敗だった。くっそ……

 “失敗した”という思いは、こちらの精神的な隙となった。くのいちは心理戦のエキスパート。そこを突いてこないはずはない。

「ぷぎゅう! おかげで普段の倍の人数、時間も11秒と長く保たせることができる! にゃはは! これでもくらえー!」
「うゎあああ!!」

 玉袋が2人がかり、4本の手と指先で集中攻撃される。別の1人が内股を撫でさすり、さらにもう1人が僕の足の裏をくすぐる!

 僕の両胸は2人のしのめちゃんのやわらかな舌でねぶられ続け、同時に脇の下までくすぐられる。2人が僕の両腕に跨がり、スベスベの太ももとオンナ表面をしきりにこすりつけてきた。残り1人は、仰向けの僕と濃厚なキスを交わしている。

 最後の一人、ホンモノのむらさきしのめは、トドメといわんばかりに、騎乗位でしきりにオンナを締め上げながら、訓練された動きで全身を上下させ、ペニスを根元から先端まで強くやわらかにしごき上げ続けた!

「むぐうう!」

 口が塞がれて、くぐもった声になってしまう。

「ふははっ、今度はアナタが口を塞がれた番ね!」

 やばい……精力が……尽きる!

 だめだ!

 こんなところで、しかも自分の油断が原因で、快感に負け、敗北を喫するわけにはいかない。

 たった11秒でも、互角以上の強豪であるくのいち10人に責めまくられ、一気に絶頂まで高められてしまう。そのくらいの瀬戸際まで、一気に追いやられてしまった!

「チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグって言ってごらんよ! あははは!」
「もがー! もがー!」

 むらさきしのめは注意深い。挑発しておきながら、フレンチキスの嵐を止めてくれる気配はない。

 こうなったら、全身全霊で抗い、なんとか射精だけは食い止めたい! イクギリギリの多幸感の快感に包まれながら、ペニスが脈打つことだけは、どうにかこうにか押しとどめる。だが……一時しのぎだ。このまま責め続けられれば、すぐさま同じ……いやそれ以上の快楽が押し寄せてくる!

「射精なんかさせてあげないもんねー! くのいち一流の膣圧で、延々と律動だけさせて、精液が尿道を流れないようにしてあげる!」

 しのめの攻撃はさらに執拗に続いた。ほんとうに……いつまで耐えきれるのか、自分でも分からなくなってきた。

「チッ……時間切れだ。」

 ふっと体が軽くなった。

 影分身の効力が切れたんだ。

 これが最後のチャンスとなる! 僕はあえて、騎乗位を解かずに、自由になった腰を振り上げて、急激に反撃に転じた。

「あぅ! ぇ! そんにゃ! ふなy!!」

 彼女にとって、この反撃は想定外だったようだ。しのめとしては、影分身の時間が延びてもいずれは終わりを迎え、そこに僕が反撃に転じることは読めていたはず。だが、”脱出してから”別の体位に持ち込むと予想していた。そのときにタイムロスがあるので、その隙にこちらの残り精力を根こそぎ奪ってやろうと踏んでいた。

 ……悪いが、僕としてはその予想の斜め上を行かなくては、勝てないんだよ。

「ひあ! いやゃん?」

 幼少の頃から耐えてきた訓練の牙城が、一気に瓦解したようだ。

 こちらの残り精力も底をついていたが、むらさきしのめの方も、どうやら限界だったようだ。

 あとは、タイミングの問題だった。

 僕の突き上げ攻撃を受け、彼女は一気に精力を消費してしまう。僕の方はギリギリで射精を堪える術を心得ているが、しのめの方も同じ手は使えるはず、やはりそこも、斜め上をいかないとね。

「うああ! ……こうなったら、ホントウの分身の術を見せてあげる! きゃうん!」

 少女は上体をのけぞらせたまま、ついに耐えきれなくなって、イッてしまった。その身体はすぐに半透明になり、やがて消えていく。

 なぁにが分身だ。何も起こらないではないか。

 きっとこれだけのドジ萌え娘なんだ、きっとどこかで、何食わぬカオをしてふたたび登場してくるんだろうなあ。まったく……

 戦闘を終えた僕は、重い体を起こし、ゆっくり立ち上がった。

「うぐ……」

 股間がくすぐったい。イク直前の感覚がこみ上げた。誰にも触れられていないのに、もう出しそうになっている。そのくらい、こっちも追い詰められていたんだ。

 周囲を見回す。忍者庭園は変わらない。

 どこかに、次のステージの出口があるはずなんだが……

 それにしても、大ピンチの状態だ。このまま次の部屋で闘うとしても、次の敵は……むらさきしのめの3倍の力か3人分ということになっている。精力がほとんどゼロの状態で、そんな相手にタチ向かえるのか……甚だ心配だ。

「ふっふふふ……」
「!!!?」

 どこからともなく、少女たちの笑い声が聞こえてくる!

「この忍者ステージは、この広い空間で連戦するのですぅ!」
「むうっ!!」

 つまり……次の部屋に行って闘うのではなく、この場でこのまま、次の敵が襲いかかって連戦、ということか。少しの休むヒマも与えてはくれないらしい。いよいよ、敗色濃厚だ。一体どうしたら……

「これがくのいち忍法最高の秘技! 分身の術です!」
「あっ!」

 そこには、複数のくのいち少女たちの影が、僕の前で腕を組み、立ちふさがっていた。分身……つまり、こいつらはむらさきしのめの分身体とでも、いうのだろうか……徐々にシルエットが明かされるにつれて、少女たちの姿が見えてくる。

「こ……これは……」深い絶望感が漂った。



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