ねこまた1−2
 

 ここは慎重に戦う道を選ぼう。敵の魅了攻撃を避けようとか、抵抗しようとしても、相手はその道のプロ。抗うことなどできはしないだろう。それなら、完全に克服しようとすることに躍起になるのではなく、彼女の魅了攻撃を受けながら効果を半減させ続け、自分をしっかり保ちつつ反撃を加え続けたほうがいい。魅了に抗うことばかりに集中して失敗すれば一巻の終わりだからだ。

 それに、敵の体液に触れれば触れるほど、精子がパンパンに溜め込まれ、ずっとオナニーをガマンしているのと同じになってしまうのだから、挿入は避けたほうがよさそうだ。入れてしまえば敵の愛液をダイレクトにペニスに受けることになってしまうし、そうなれば溜め込まれるスピードが急に上がるばかりでなくそのあまりに甘美な刺激に、短時間でイッてしまうことにもなりかねない。禁欲させられて敏感に出しやすくなっている中で挿入の刺激を受ければ、股間の疼きが最高潮に達してしまう。

 また、ねこまたがさらにどんな奥の手を持っているかわからないからな。さっきのラジカセは、最近開発して試してみたのだろう。それは失敗したようだが、長年培ってきた、もともとの魅了攻撃もあるし、別の熟練した攻撃や秘密があるかもしれないからね。初めての対戦である以上は、慎重に越したことはない。

 あとは、魅了と体液に気をつけながら、チャンスをつかんで倒していくのがいいだろう。もともとこんなせまっ苦しいところで戦うんだし、どんな不利な状況が待っているかわかったもんじゃないからね。

 「うなーん♪」ねこまたは僕をつぶらな瞳で見つめ、甘えたまま体をくねらせた。なんてかわいらしいんだ。…だめだ、こんなことで心を奪われては。

 彼女は天井に後頭部をくっつけたまま、器用に足を前に持ってきた。体をくの字に折り曲げ、滑らせるように生足を投げ出す。「うっわ、その体勢きつそうだ」狭い空間の中で向き合っていたのに、体を折って足だけを前に投げ出すというのは、相当無理な動きである。少なくとも僕にはできない。「猫の体はとっても柔らかいんだよ?」ああ、そうだった。それで彼女はこの空間の中であっても簡単に体の方向を変えたりできるんだ。

 ともかく、彼女の太い生足が僕の目の前に突き出された。そして大きく足を開き、仰向けに倒れる。首だけを持ち上げて、僕のことを頼る目つきでじっと見つめている。その瞳はまん丸だった。

 女子高生並みの太さだ。しかしその若々しい質感と肉付きのよさが、かえって男の情欲を駆り立てる。「ねえ、はやく触ってえ?」キャットモンスターは自分の内股を手のひらでさすり、僕の手を促す。「うぅ…」僕は思わず彼女の内股に手を伸ばした。

 「ああ…すごく触り心地がいい…」ねこまたの生足は、僕の手のひらでも余ってしまうほど太かったが、その肌触りは恐ろしくなまめかしかった。すべすべで、きめが細かく、吸い付くような若々しさがあった。僕はさわさわと彼女のふとももを撫でさすり続けた。こっちが愛撫しているはずなのに、興奮度が高まり、心奪われると同時に性的なダメージを受けてもいる。

 僕の手は自然とふとももの奥、毛の生えていない化け物マンコのほうへと伸びていく。こいつは福マンどころの騒ぎじゃあないぞ。どうあっても挿入は避けるべきだ。指が勝手に割れ目のほうに吸い込まれていき、まるで別の生き物のようにくわえ込んで奥に導こうとしていたからだ。僕はとっさに我に帰り、手を引っ込めたから、指への快感ダメージを受けずにすんだ。

 やっぱりねこまたの魅了攻撃は絶大だ。絶えず気を引き締め続けていないと、なんでもない相手のしぐさや、こちらのたいしたことない攻撃だけで、どんどん相手の魅力に引き込まれ、心が犯されてしまう。相手に心底惚れてしまったら最後、ねこまたに飛びついてすぐに精液を提供してしまうだろう。それだけはなんとしても避けなければ。

 僕はさらに手を伸ばし、猫又の乳房を優しくさするように揉みはじめた。決して巨乳とはいえないが、仰向けなだけで肉付き自体は決して悪くない。吸い付くような肌触りは健在で、手のひらにおっぱいの肌が密着するようにもちもちしている。それでいてしっかり乳房の質感があり、手に余るくらいに柔らかい肉の感触が伝わってきた。

 猫又は上半身と下半身を別々にくねらせ、僕を誘惑し続ける。こっちが攻撃を仕掛けているというのに、相手は自慢の媚態で僕を誘い続け、こっちが追い詰められてしまっている。胸を揉みさすりしていると、敵のほうも胸部分だけを上に持ち上げて強調し、もっと揉んでと甘い声で懇願してくるのだ。つい我を忘れて手を早めてしまう。

 それにたいして、敵のダメージは思っていたほどではない。さすがに高レベルの妖怪だけあって、防御も鉄壁というわけか。女体の感じやすいところを的確に攻撃しているというのに、猫又は平気な風でいて、ますます誘惑を強めてくるばかりだった。

 そもそも相手は僕を恨んでいる。理由はともかく、男性に対する恨みの感情が、精を奪う原動力となっているのが猫又という妖怪だ。当然、セックスに感情移入するはずがなく、男を性的に攻撃することで恨みを晴らすことしか頭にはない。僕も今まで、性的な戦闘に専念して、セックスを楽しんだら負けということで気を引き締めてきたが、今の敵がまさに、そうした”仕事人”の風体なのだ。

 だから、相手の女の性的な攻撃は熾烈を極め、誘惑や魅了妖気も半端ではないし、男の側からの攻撃にもほとんど鈍感なのだ。発情はしているけれども、自分が快感を楽しむ気がまったくない相手では、ほとんどダメージを与えられはしないのだ。

 それでいて、女性だけにその肢体のすべてが強力な武器になる。ダメージを与えにくく、こちらのダメージがどんどん大きくなるというのでは、なかなか勝つことができない。

 「にゃーん!」突然猫又は体を僕のほうに滑らせた! ツルツルの女体は床を簡単にすべり、僕の真下に自分の体をねじ込む。「しまった!」このまま正常位に持ち込むつもりなのか。そうはさせるか!

 僕は必死でほふく前進し、猫又と抱き合わないように体を大急ぎで前に動かした。猫又が僕のほうに体を移動させ、同時に僕の方は猫又とは逆方向に体を移動させる。おかげで正面きって抱き合って大ダメージを受けることは避けることができた。こんな狭いところで密着しながら抱き合ったら、それこそ致命的だ。

 むちゅううう! 猫又の顔がちょうどペニスの前に来た。ピンチはまだ脱してはいなかったのだ。彼女は僕の腰を持ち上げるように顔を押し付けつつ、ペニスをぱっくりとその口の中に飲み込んでしまった。

 「あふ…」強烈な快感と安心感が僕を襲う。これはただのフェラチオではない。そう、彼女の唾液が僕の精子生産を高めているのだ。快感にさらされているのに、禁オナニーをし続けるのと同じ感覚が襲う。キスのときと違って、直接ペニスが彼女の唾液に浸されているので、連続射精の呪いも強烈なものとなる。もし性器結合だったら、こんなのは比ではないほど急ピッチで溜め込まれてしまうのだろうな。

 僕は脱力し、上半身をだらしなく床に投げ出してしまった。腰だけを上に強く突き出し、猫又の舌に悶絶する。僕のお尻は天井でつぶれ、前面には彼女の頭がこれでもかと押し寄せている。つまり腰を固定されてしまったのだ。

 そのうえ、猫又の舌がざらざらしているのが心地よかった。彼女は狭い空間だけに激しく頭を動かして唇でしごくということはしてこなかったが、その代わりゆっくり出し入れしながら、口の内部で激しく舌を動かし、ペニス全体を満遍なくなめ続けてきた。

 猫の舌はざらついている。が、本物の猫のようにトゲトゲしているのではなく、まるでオンナのヒダのようにペニスの敏感なところに絡みついて、強く刺激しているのだ。無数の突起は確実にペニスの性感帯だけを刺激し、いやらしい舌の動きで根元から裏筋から先っぽまでをすばやく滑りまわっている。どうやら猫又の舌は男の性感神経だけを刺激することができるらしい。極上のテクニックに加えて、妖怪ならではの舌の特殊性が、僕の精力をどんどん削り取っていく。おまけに精子はどんどん溜め込まれ、早く出したいと疼いている。玉袋は精子で膨らみ始めた。精神力が衰えたらいつ出してしまってもおかしくはない。

 しまった、ここへきて、猫又の魅了攻撃なのだ。このピンチな状態で、最後の砦である精神力を奪う力が、猫又にはある。魅了だ。ちくしょう、さすがに男を文字通り昇天させる仕事人だ。精を奪う手筈は完璧だった。

 いや、ここで負けるわけにはいかない。何とかしてこの体勢から脱出しなければ。僕は必死で体を前に動かし、固定フェラチオ攻撃からの脱出を試みた。

 ちゅぽ。ふんばると、あっさりとペニスが彼女の口から離れた。…というより、猫又のほうがわざと口を離した感じだ。今の隙に脱出だ。

 猫又は僕の背後でくるりと体の向きを変え、僕と同じ四つんばいの体勢になった。狭い通路では、背後に位置することが絶対的に有利だった。彼女は僕のお尻をあちこち、ざらついた舌でなめてきた! お尻のあちこちがくすぐったい。やはり魔性の舌は性感神経だけを刺激できるようにできているみたいだ。

 彼女の細い右手指先がペニスをつまんだ。軽く、それでいて棒をしっかりと包むようにペニスを握り締めると、牛乳を搾るようにペニスをすばやくしごき始めた。時折力を入れて、女手の感触を刻み付けつつしっかりと精力を削っていく。

 彼女の舌はついに僕のアナルをとらえた。ざらついた舌がお尻の穴のくすぐったいところをぐりぐりとすばやくなめ、右手はリズミカルにペニスをしごき、左手は玉袋を包んでやさしくさすってくれている。精子を早く搾り出そうとしているんだ。

 「くっそ!」僕はうつぶせになり、ペニスとアナルと玉袋という、猫又の三重苦股間攻撃から脱出した。さすがに床に腰をつけてしまえば、猫又も手を離さざるを得ない。

 「もっと楽しんでよ…」猫又は僕の上を滑り始めた。お尻に、背中に、首筋に、猫又の胸やおなかやふとももの感触が滑りまわる。彼女の頭部が僕の頭に来ると、猫又は甘い声で何かをささやく。脳天をしびれる誘惑の声と、吸い付くような若い肉体の感触で、もう少しで理性が飛んでしまいそうだった。だが、誘惑に負けてしまえば彼女に体を預けることになってしまう。そうすればあっという間に天国イキにさせられてしまうだろう。負けるわけにはいかない。

 僕はほふく前進で脱出しようとした。しかし、僕が前に進んでも猫又もその上を確実についてくるので、逃げることはできなかった。そして相変わらず自分の体をこすりつけ続けている。

 「うう…」僕は何とかして彼女の動きを止めようと、手を背中のほうに回し、猫又の首を探るとその首根っこをがっしり掴んだ。

 「きゃう!」猫又はビクッと体を震わせ、体を止めたまま動かなくなった。ネコは首が弱い。…はっ、もしかして!?

 僕は両手を背中に回し、猫又の頭や首をスベスベとなでさすった。「にゃああ…イイ…はうぅ…」彼女は僕の耳元に暑い息を吹きかけながら、びくびくと体を震わせている。

 わかったぞ。なぜさっき内股や胸やオンナを責めても、ほとんどダメージを与えられなかったのか。猫又の性感帯は、普通の女性とは違うんだ。ネコだけに、人間に触られて弱いところこそ、この戦いで責めるべき部位ということだ。すなわち、頭、首、おなか、そして尻尾の付け根だ。

 問題は、この体勢からどうやって、有利な体勢に持っていくかだ。狭い空間の中で、あまり自由に動くことはできない。僕と彼女の体の位置を上下逆にするだけでも、相当苦労しそうだ。敵もそう簡単には性感帯に手を伸ばさせないだろうし。…こうなったら、賭けてみるしかない。

 「もうガマンできない、出させて…」「や、やっとその気になったか。じゃあ上を向いて?」僕は言われるままうつ伏せから体をひねって仰向けの体勢になった。猫又は体をできるだけ上にして僕が回転するのを助けてくれた。

 「背中を滑るよりずっとキモチイイよ?」そういうと猫又はまたスベスベの肢体をこすりつけ始めた。だが、今度は向き合っての攻撃だ。快感も半端ではない。精力が危険水域に入ってくる。

 しかし、このチャンスを待っていたのだ。僕は手を彼女の背中に回し、お尻の方に滑らせた。そして尻尾の近くに手を滑らせた。「なっ…そこは…」

 こちょこちょこちょこちょ…「にゃひゃああっ!」ネコマタは動きを止め、僕の上で激しく悶絶し始めた。尻尾の付け根はネコにとって性感帯。しかもかなり強いらしい。それにネコマタの尻尾は二本ある。それだけ神経も集中していて、快感も倍増というわけだ。

 「や、やあん、にゃあん、だめえ…」ネコマタはぶるぶる震えながら快感に悶絶している。胸を触った時の反応とは明らかに違う。この調子なら勝てるかも。

 今度は握りこぶしを作って、とんとんと尻尾の付け根を強くこすり付け、尻尾に当てていった。「あひいいいい!」ネコマタは攻撃することを忘れ、尻尾とお尻を高く持ち上げて快感にもだえ続けている。僕は彼女のふとももに足を絡め、彼女が逃げられないように押さえ込んだ。そしてすばやく手を動かしてやる。

 「ああっ、もうガマンできないい…!!」ネコマタは腰を落とした。ペニスがあっさりとオンナに飲み込まれる。が、それは彼女にとって逆効果だった。激しくトントンされながら、同時にペニスを飲み込んでしまっては、外からも内側からも激しい快感にさらされてしまう。このままイッてしまえ!

 「〜〜ッ!」猫又は大きく体を震わせたかと思うと、一気に脱力してイッてしまった。耳元でため息交じりの彼女の息がこだまする。

 「にゃああ…良かった…ありがとう。そしてごめんなさいです。恨んだりなんかして。」「気にするな。猫又はそうしないと実力のほとんどを発揮できないんだろ?」「…。気をつけてね。この先にも私と同じように、恨みで凝り固まった妖怪たちが大勢たむろしているから。ネコだから、この狭い通路を地の利として最大限活用しつつ、あなたに挑みかかってくるはずだから。」「ああ。肝に銘じておくよ。」「また会えるかな?」「OLステージであった縁だ。きっとどこか出会えるだろうよ。」「…。」

 猫又はにっこり微笑んだ。そして僕の上で強く抱きつきながら消えていった。

 やはり強敵であった。地の利というのもあるが、素で強い敵だった。ちゃんとレベル上げにいそしまないと、いつ負けてもおかしくない状況だ。気を引き締めないと。

 狭い通路というのも厄介だ。このステージをさまよっている限り、しばらくは這って進むしかない。後ろを取られるなど、狭い空間ならではの罠も数多くあるだろう。まずはこの屋根裏のようなステージの形に慣れないといけない。松葉くずしなどの激しい体位も使えないし、密着攻撃も厄介だ。この不利を逆に有利に展開できるくらいにしておきたいものだ。これからもがんばろう。

 僕は再びこの狭き門を這って進んでいくのだった。

ねこまた1 クリア

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