ねこまた2−1


 狭い道を進む。ねこまたのステージは、道幅が非常に狭く、通気口くらいの文字通り「穴」の中を進んでいる感じだ。当然、這って進む形になる。精神世界のためか、体力的にきついというわけではないものの、それでもスムーズに歩ける他のステージに比べれば、どうしても進みは遅くなってしまう。

 ここでの敵は、猫の妖怪、ネコマタである。一匹ずつ登場し、そのつど狭いところで密着しながら戦うことになる。妖怪だけあって、テクニックも妖術も体術も相当のものだ。なんとか奇跡的に勝ち進んでこられたようなものである。

 最大の特徴は、やはりそのオンナの構造である。ヒダが弁のように逆さに突いている構造になっており、不思議な妖力も手伝って、一度ペニスを挿入すると、僕か相手のどちらかがイクまで二度と引き抜くことができないのである。一度入れたが最後、極上のオンナに翻弄されながら、しかし相手の一番感じやすいところを肉棒で責め立てつつ倒していかなければならない。

 とはいうものの、数多くの猫又たちを倒し続けた結果、そんな化け物のオンナにも耐性がつき、レベルも上がった。引き抜けなくなって揉みしだかれ、抜けないことをいいことにどんなに激しく動かれても、それだけで致命的なダメージを受けてピンチに陥ることがあまりなくなってきている。もっとも、気を抜くと負けそうになる戦いばかりだったけど。

 もう一つやっかいなことがある。ねこまたの呪い、そして魔法の舌である。彼女たちのざらついた舌は、一度舐められると、一定時間、それもけっこう長く、舐められた場所が性的に疼く。敏感にもなる。舌の攻撃はダメージになるばかりでなく、その場所の性感神経がむき出しになり、極端に感じやすくなってしまうのだ。

 当然、その舌は主にペニスに絡みついてくるわけだ。唇でしごかれながら全体がくまなく舐められ続けるため、ペニスや会淫や玉袋やアナルといった、もともと敏感な場所は相当弱体化させられてしまっている。

 そればかりでなく、すでにたくさんのネコマタを倒し、そのためほぼ全身くまなく猫舌の餌食になってしまっており、弱体化も甚だしい状態だ。彼女たちの肌ざわりも、おかげでますます心地よくなっていて、こすりあうだけでも少なからぬダメージになってしまっている…まるで女の柔肌を初めて触れるような新鮮な感覚が、いつでも伝わってくるようだ。

 さらに、ネコマタどもは魔性のささやきや妖しい視線などで「連続射精の呪い」をかけてくる。この呪いは、もともと呪う相手の男性を衰弱させるために、いくらでも射精ができるように精巣内の精子を四六時中パンパンに溜め込ませるものだ。ネコマタは呪い殺す相手のもとに夜な夜な訪れ、精を奪っていくわけだが、何度でも出せるようにしておくことで、どんどん体力を奪い、最後には快楽の中で殺してしまう妖怪である。

 精子を溜め込んでしまうってことは、しばらくオナニーもしていないのと同じ状態というわけで、当然快感刺激にめっぽう弱くなってしまう。通常の男なら、夜な夜なの快楽におぼれ、毎秒射精し続けてもおかしくない状態になるわけだが、当然、僕も相当に苦労させられていることになる。いつも以上に激しく感じてしまい、あっという間に出してしまいそうになる。

 この呪いを、すでに何十人分も受けてしまっている。これはさすがに危機的状況だ。そこへ来て、極上の肌ざわりを持つふとももや、一度ハメ込むとどちらかがイクまで決して抜くことのできない化け物まんこが、容赦なく襲いかかってくるのだ。戦闘のたびにイキそうになり、そのつどかろうじて勝ってきたにすぎない。

 勝ったあかつきには、すぐに自分で抜くのだが、ねこまたを倒しても呪いは残る。いくら自分で出しても、1〜2分で、また何週間分もの精子が溜め込まれてしまうのだ。僕に呪いをかけるねこまたの数が増えればそれだけ“復活”するまでの時間も早くなっていく。

 つまり、戦えば戦うほど、このステージを長くさまよえばさまようほど、僕は感じやすく、イキやすい体となり、極端に不利になっていくのだ。

 それでも勝ってこられたのは、運の良さと、そのつどの作戦・機転が功を奏したのと、レベルが上がったことによる。ネコマタは、この近辺のフロアにしては経験値が高く、レベルも比較的上がりやすくなっている。ただ、弱体化も激しく、自覚としては「初めてネコマタと戦った時よりわずかに強くなっている」程度だ。油断をすれば、1分以内で負けてしまうような、ギリギリの戦いを毎回強いられていることに変わりはない。

 なんとかして呪いを解く方法を見つけないと、この先長きにわたって戦い続けるのは難しいだろう。レベルが上がる速度を、弱体化の速度が上回った時点で一巻の終わりだ。レベルというものは一定して上がるものではなく、レベルが上がれば次のレベルまでさらにたくさんの経験値が要求されるものだ。なかなかレベルが上がらなくなり、弱体化攻撃ばかりを受けるようになれば、強くなっていく以上に弱くなっていき、溜め込んだ精子を吐き出してしまうことになる。そして、レベルが上がるにつれて、徐々に次のレベルに達するまでの時間が、当然長くなっていく。つまり、弱体化が上回ってしまうのは時間の問題ということだ。

 途中の道で、小さな宝箱があったので、開けてみる。すると、一粒の乾燥マタタビが入っていた。このアイテムはネコ科の敵に対して功を奏する。これを使って呪いを解く方法を聞き出してみるか。

 しばらく進むと、またネコマタに遭遇した。僕はさっそく、マタタビを彼女に与える。すると理性で自制が利かなくなり、本能的にマタタビを食べてしまった。あっという間に彼女は真っ赤な顔になり、ごろんとひっくり返ってうつろな目になって体をくねらせている。よし、チャンスだ。

 「あー、ちょっと聞きたいのだが。」「んにゃー! 何でも聞くとイイぞよ〜」「…。」「あはー…いいきもちにゃー…ちにゃ」ねこまたはよだれを垂らして悦んでいる。そんなに効くんだな、マタタビ。完全に敵の戦意は喪失しており、このまま攻撃を加えたらあっという間に倒せてしまいそうだ。

 「ねこまたの呪いってどう解くの?」「かんたんにゃ〜。まずこのステージのあちこちにあるユリの花粉とチューリップを探すにゃ。見つかったら、大声で「ネコマタモード」の歌を歌いながら、ユリの花粉を全身に塗りたくり、なおかつチューリップを食え。以上。」「花粉、か…」「ネコはユリ科の植物が大の苦手にゃ。だからその淫呪を体から落とすのも、ユリが効果的ってわけ。」「…なるほど…」「ちなみに、花粉は舌による弱体化・敏感化を鎮める効果があり、精子を溜め込む淫呪の方はチューリップの花びらが効果的にゃ。がんばって探すよろしあるね?」「…よろしあるね?」「んじゃ!」

 酔っぱらいネコマタは去っていった。戦っていないけれども、なぜか経験値が増えている。マタタビを投与すると倒したのと同じ効果になるというわけか。

 まぁいいや。呪いを解く方法を教えてもらったのはラッキーだ。確かにユリ科の植物は猫にとっては有毒。これを手に入れれば、呪いを解くことができるわけだ。こんな不利な状態のまま戦えば、この先快感に負けていつかはイッてしまう。とにかく、ユリの花粉とチューリップを探すんだ。

 ここは精神世界だから、自分の思ったものを実際に具現させることができるけれども、このステージに限っては、マタタビもユリもチューリップも取り出すことができない。さすがに超有利に進められるアイテムは取り出せないんだ。そりゃあ、何でも思った通りのものが出るんだったら、はじめっから最強の武器や防具を手に入れられてゲームバランスが崩れるからね。まぁ当然と言える。

 幸いこのステージに少なからずあるらしいから、今度は見つけるつもりで注意深く進んでみよう。ユリもチューリップもなしでこの先進んでステージクリアが難しい以上は、血眼になって探すしかない。

 ッと、思ったよりも早く、すぐに捜し物は見つかった。道ばたに青い小さな箱がある。意識していないと見つけにくくなってはいるが、探そうと思えば案外見つかるものだな。運がいいのかな。箱の中にはひとひらの赤いチューリップの花びらと、小袋に入れられた粉末が入っていた。僕は同時にチューリップと花粉を手に入れた。

 「…で、確か、…大声で歌いながら花粉を塗りたくるんだよな。」一人で、しかもあの甘ったるい南国風のBGMに乗せて、”ねこまたもーどでーす♪”ってやらないといけないのか。ものっそい恥ずかしいが、やらないと呪いは解けないんじゃあ、ヤルしかない。もともと呪いなんだから、こっちも呪術でこれを解かないといけないわけだ。ああ、いやだなあ。。。

 仕方ない。僕はチューリップを食べ、花粉を全身に塗りたくり始めた。そして…「ねっ、ねこまた! ネコマタモード! ふるふるふるちーん! 猫又もおどでーーーっす!!!!」僕は声を張り上げて、あふれる羞恥心と戦いながら全力で歌い続けた。もちろん思念したラジカセからBGMつきだ。泣きそうになってきた。

 「…何してんの?」冷静な声が近くでした。見ると、赤い髪の猫又があきれた顔でこっちを見ている。もちろん、さっき酔っぱらったネコマタとは別人だ。「いや、その…ねこまたの呪いを…」「はぁ?」「ネコマタモードとか歌いながら花粉を塗ってチューリップ食べると呪いが解けるって聞いたから…」僕はかなり涙目になっている。ネコマタは相変わらず冷たい視線を僕に浴びせかけ続けている。恥ずかしさで死んでしまいたい。

 「ばーか。呪いを解くのはユリ科の植物だけ。歌はいらん。」「え゛っ…!」「ダマされたな。ユリの花粉は、ネコマタによって敏感にさせられた性感神経を鎮める効果と、一定時間戦闘を避ける効果があるんだ。感じやすくなった場所に塗るだけでいい。歌う必要は全くない。」「…。」「あと、チューリップは体内の精子生産のピッチを鎮める効果がある。これも食べるだけでいいんだよ。」「う…」

 「ユリはネコにとって有毒だから、戦闘を避ける効果もあるんだ。本来ならネコマタはそのいやあな臭いを嫌って、お前には近づかんのだが…あんまり下手な歌がうるさいんで見に来てやったんだ。」「うう…」涙がこぼれ落ちる。

 「じゃ、そういうわけだから、うるさくすんな。じゃあな。」「…。」「とにかくその植物臭がなくなったら相手してやる。もうそばにいるのも臭くてかなわん。じゃ。」

 赤い髪の猫又は去っていった。しばらく僕一人取り残されてしまった。恥ずかしさが徐々に薄らいでいき、その代わりに燃えるような悔しさが全身から噴き出してくる。「くっそーー!」本当に悔しい。じたばた転げ回り、ばむばむ床を両手で叩いた。が、ユリのにおいを嫌ってか、敵に出会うことはなかった。臭いが消えるまでの一定時間、エンカウントを避ける効果というのは本当らしい。

 また、おかげで猫又との戦いによって体に染みついた数々の呪いも、半分くらい解くことができた。これまでにあまりにもたくさんのネコマタの呪いを受けてきたため、一回の解呪では、すべての呪いを解ききることはできないのだ。一発で全快というわけに行かなかったのは残念だが、ぼやいていても仕方がない。またユリとチューリップを探さなければ。

 「むっ…!?」進んでいく内に、通路がわずかに広くなった。ある地点を境に、通路(というより穴)が広がっている。周囲が20センチくらい幅が広がった程度だが、それでもぎりぎりやっと通路を通ってきた体からすれば、相当余裕のある広さだ。

 これによって、多少通りやすくなったが、僕は逆に警戒を強めた。広くなったということは、もはや1対1ではなくなったということだろう。ネコマタ1体相手なら、この広さで十分激しい運動ができる。しかし、早々僕に有利なステージが用意されているはずはない。3人相手にしてお互いに抱き合えば、前以上にみっしり密着して丁度いい広さである。

 いよいよ、ここから先が、3人相手の戦いとなるのだ。一刻も早くユリなどを見つけ、できればストックしておいて、呪いを抱えたまま進むことをせず、どんどん力をつけなければならない。快感に負けて、射精してしまったら一巻の終わりなのだ。気を引き締めねば。

 進んでいくと、さっそく3体の猫又に遭遇した。「くすくす…」「こんにちはー…」「呪ますよ〜(ペカー)」すでに怪しい微笑みと、脳天に響くような甘い声が始まっている。これまでの呪いだって解けきれていない状態で、やはり3人相手は無謀かも知れない、という気がしてきた。

 くすくすとかわいらしく笑う娘ねこさんは、青いショートカットにかわいらしいねこみみで、ぱっちりした上目遣いで僕を見ている。

 「こんにちは」と挨拶した大人びた猫は、長めの黒髪を後ろで束ねているおねえさんタイプだ。

 もう一匹は常にペカーッと笑顔。落ち込んだ時も目はニコニコ閉じたまま。黄緑色の髪にウェーブがかかり、ふにふにしたほっぺで、ときおり見せるカワイイ八重歯。ハンカチのようなフリフリリボンを頭部両脇につけている。しっかりした腰回り、まるっこい靴、天然ボケで犬語もしゃべるが、おにぎりの開け方は分からないドジ娘。他の二人の猫又がレオタードなのにコイツだけメイド服+白手袋だけは体育の時も外さないのがメイドのたしなみ。丸顔。ドジっ娘だが将来は獣医さん志望。

 「…お前だけヘンだな。」「えーそんなことないですよー。」ニコニコしている。「ねこまたぢゃないじゃん。メ●ィアだろ?」「えっとですねー、ねこまたの●ディアですよー」「ねこみみもないし。もしかしてその髪飾りが耳の代わりってわけじゃあないだろな…」「あ、よくわかりましたねー」「…。」

 まちがいない、コイツは猫又じゃあなくて、ぱに●にの萌えメイドキャラだ。なんでこんなところに…

 「なんですかージロジロ見ないでくださいよー」「…。」「折りますよ?」「…すいませんでした。」そういえば昔メイドか何かのフロアで変なの混じってたことあるよな。今回もそんな感じか。

 「とりあえずイロイロ聞いとこう。何でお前はここにいるんだ。」「ねこまただからですよー(ペカー)」「何でネコマタなの?」「知りませんよーそんなことー」「…。」「…?(にこにこ)」「時々ちんちんが大きくなるんですけど、病気ですか?」「あ、それボッキ。(ニコニコ)」「子供はどこから生れてくるんですか?」「あーそれね、おまんこ。(ペカー)」「…。」「…?(ニコニコ)」

 だめだ、これ以上聞いても有意義な答えは返ってきそうにない。とりあえず全員倒しちまえば問題ない。ネコマタたち3人とこれから戦うとなると、実物を前にして、多少広くなったとはいえ、やはり狭っ苦しいな。

 ねこまたたちの瞳が光ると、体が熱くなってきた。早速きやがった。一度に3人分の呪いだ。激しく弱体化し、体が疼く。性欲に負けそうになるのを必死でこらえ、数秒で平静を取り戻したが、危険な情勢に変わりはない。やはりこの状態で戦わねばならないのか。

 狭く密着する戦いになるため、複雑な体位も激しい動きも難しい。それでいて全方向から女体と密着し包み込まれてしまうのは火を見るより明らかだ。苦しい戦いになりそうだ。

 ねこまたたちは全裸になった。メデ●アたんだけ手袋を外さない。今にも僕を取り囲んで抱きしめてきてしまいそうな勢いだ。呪いもじわじわ体をむしばんでいる。ここで怖じ気づいてもダメだ。覚悟を決めねば。

−選択肢−
ねこまた2−2 ショートカットの娘から倒す
ねこまた2−3 おねえさん猫から倒す
ねこまた2−4 メディ●たん もへ
ねこまた2−5 全員まとめて相手する


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