ドール2−1


 延々と続く細道。道幅は他のフロアと一緒なんだけど道の両端に棚が置いてあって、歩くスペースが狭くなっている。時々棚に人形が置いてある。これがこのフロアの敵だ。

 ドールはフランス人形のように小さいけれどもオンナは本物以上に極上で、男を快楽に導く魔の道具だ。その動力も魔力で、通常の攻撃は通用しない厄介な相手だ。

 だからこちらの対抗策は「魔法には魔法で」ってヤツだ。負の魔力が原動力ならこっちは相手に”回復魔法”を仕掛けてやる。そうすると相手の魔力が衰え、隠されていた性感帯を引き出す事ができる。そしたらオンナの感触に堪えながらドールをイカセテしまえばいい。

 最初の内はかなり苦戦したが、段々コツも掴めて来た。ドールは怒らせさえしなければ単調な攻撃なんだ。魔力で動くオンナの蠢きがペニスにピッタリ張り付いてむさぼり続けるけど、それでも出さずに攻撃すれば倒せる相手だ。こっちの攻撃を無化する魔力を白魔法で削り取れば後は大人のおもちゃ同然。

 相手はほとんどフリフリのフランス人形風で、妖しい色気はあったけどしょせん道具だと思えば大した事はない。たまーに日本人形のようなものや民族衣装のもあったけど、顔と服装が違うだけで中身は同じ装置だった。

 只怒らせると厄介な相手だ。怒ったドールは自分の魔力を消費して僕を人形に変えてしまう。そうすると能力は10分の1に下げられてしまい、かなり不利な状態に置かれる。一度そんな事があって苦戦の末何とか勝ったけどイク寸前だった。金輪際ドールは怒らせないようにしないとね。

 ドールで気をつける事って言ったらその位かな。気持ちにも余裕が出て来た僕はレベルを上げるべく棚に置かれた一体の人形を手にとっては犯して倒した。魔力は時間が経てば自動的に回復する。タイミングを見計らえば弱い白魔法を使い続けてドールを攻略できる。

 そろそろ自分も次のステップに行っていいかも。この調子ならドールが3人いても何とかなりそうだ。「全体回復」の魔法を使って、何人いようが一気に敵の魔力を下げればいいんだ。レベルが上がって最大MPも結構溜まって来たからな。

 僕は進路を変え、どんどんこのフロアを先に進んで行った。そろそろ棚に三体置かれるようになる筈だけど…何しろフロアの「通常の敵」はこの3人バージョンなんだから(一人バージョンはフロアの初歩)。

 「むっ!?」通路の真ん中に小さな影が見えた。間違いない、三体のドールが真ん中に立っている。3人バージョンになると棚に置かれてるとも限らないのか。いいだろう、相手に不足なし!

 「やっと来たね。」真ん中のドールがシルエットの中でしゃべった。今までのドールは無口だったけど(人形化は別)、三人バージョンは話すのか。相乗効果で魔力が上がっているのか?

 「入り口付近で随分うろついてたようだけど、ドールにそんなにてこずったのかしら?」「…おかげさんでな…」「あんなチャチなおもちゃにてこずっているようじゃあ、先は暗いわねえ。」「只の人形と萌え人形の差を教えてあげる。」「…試して貰おうじゃないか。」僕は戦闘体勢に入った。

 たしかに目の前にいるドール達はさっきまでと違う。今までは普通におもちゃ屋に売っているような人形の下腹部が改造されたような感じだったが、今度のはもっと高度なヤツだ。顔の中で占める目の面積がずっと大きくなっている。一人バージョンではもっとリアルで人間のパーツと同じ位だったが、今度のはアニメキャラのように見所がデフォルメされて強調されてる。

 ドールの目は描いた物ではなくちゃんとハメ込んだものだけれどもその大きさはずっと大きい。今までのドールの口は「へこみ」で表現されていたが今度はちゃんと穴になっていて動く。これがしゃべれるかどうかを分けてたんだ。髪の色も金髪だけじゃなくて緑とかもいる。可動部分もずっと多くなっていてしなやかに動く。

 顔つきだけはリアルではないがそれ以外の部分はかなり精巧だ。その動きは人間のそれと変わらない。アニメキャラが現実世界に出て来て、しかも普通に動いているみたいだ。まるで小型の人間と対峙している状態だ。表情も無表情ではなく妖しく微笑んだりしている。

 僕が人形化している時には一体ドールも似たような動きをしたが、それは魔力によるもの。今の敵は、動きはたしかに魔力によるけど、そのしなやかさは人形自体の造りが醸し出しているんだ。

 真ん中にいるのは女の子向けに売り出されている有名な金髪女性に似ている。着せ替えが可能な、アノ人形だ。目にキラキラ星が入っている。が、本物よりもしっかり作られていて、目はパーツハメ込み、指先まできちんと可動する。おままごと用の本物というよりパクリで作られた男性用のおもちゃって感じだ。

 右側にいるのは緑のショートカットの女の子だ。ミニスカのセーラー服がよく似合っている。両耳の所に通信機のような台形の突起が付けられていて頭の後ろに伸びている。左側は水色髪の女性でメイド服だ。右の子がキャピキャピしてる感じなのと対照的に癒し系のお姉さんの様だ。マ●チとかユ●さんとか伏字が面倒なので髪の色で識別しよう。

 「只見てくれが変わるだけじゃあないのよ。」「なっ!」ドール達は僕の方に歩く足を止めて自分の服に手を掛けた。そしてするりと服を脱いで全裸になった。真ん中の金髪ドールが着せ替え用なのでひょっとするとと思っていたが…

 一人バージョンは服とボディが一体になっていて着脱できなかった。しかし三人バージョンだと服も脱げるんだ。「脱いだのはこれを見せる為!」三体のドールは自分の胸や内股をさすったり揉んだりし始めた。「これは…」

 今までのドールの素材は特殊シリコン製のボディでたしかにやわらかかったが、今度の敵もやわらかそうなボディだ。でもどこか違う。潰れる肉の柔軟さや弾力は本物の女性に近く、只闇雲にグニグニしているだけじゃない。

 「私達のボディは精巧を期する為に骨格まで埋め込んであるの。肌触りも生身と同じかそれ以上。あなたの肌に吸い付いて細胞に食い込む位にきめが細かい。極上のボディの上に私達の魔力でメロメロにしてあげるからね♪」

 造りを徹底的に人間らしくして置いて、その顔だけをアニメっぽくするギャップが却って男心をそそっていた。流石に髪以外植毛してはいないみたいだけど、一人バージョンが「下半身デブ」のような造りになっていて、ペニスを飲み込むのに丁度よいサイズに仕立てられていたが、こっちのはスタイルもよく足も長い。

 「…そんな体でどうやって僕を受け入れるんだ。」「甘いわね。みて…」緑髪が大胆に股を広げてオンナ部分を見せて来た。ソコはあまりに小さく小指の先が入るかも分からない。だがドールは自分でオンナのヒダを掴んで引っ張り、謎を解いてくれた。

 ぐにいいいい…オンナ部分が相当延びる。「ココの伸縮性がゴム以上に優れているの。骨が埋め込まれているけど骨格を押し分けてぐんぐん伸びるようになっているんだよ。だからどんなに大きいモノでも入れられる。」「しかも…」青い髪のメイドがやさしい微笑を向けて来た。「私達は男の人を悦ばせられるようになっています。全身で。あなたもいっぱい癒して差し上げますわ。」

 「さて。」金髪が僕の顔を見上げる。「私達に服を着せて下さい。あなたの手で。」「なんだと?」「折角着せ替え機能が付いているのですから、この中からあなた好みの服を選んで私達に着せるのです。」「…。」

 人形達は本気みたいだ。ここで断って全裸で戦ってもいいけど相手に服を着せた方が多少はマシかな。服を着ている分肌が擦れる面積が小さくなるからな。それにヘタに断って怒らせるのはまずい。人形界に引きずり込まれるのだけは何としても避けなくては。

 仕方ない。言われた通り着せ替えしてあげる事にしよう。「じゃあ、私からお願いします、ご主人様。」メイド人形が前に進み、小さな袋からメイド服一式を取り出した。女物の服なんてわかんないよ。どれも同じようなメイド服に見える。色違い位だな。

 「よくご覧になって?こっちは薄い水色で短いでしょう。さっきのロングの青とどっちがいいですか?」んー、フリフリのロングスカートでもいいけどミニも悪くないね。「上はおそろいで、2タイプあります、こっちの薄い方と分厚い生地の方ですわ。」上着か…なんか小さな布きれだけど細かく装飾されていて本物みたいだ。そりゃそうか、本当に着れる服のミニチュアサイズなんだから。そういうのを注文して作ると高くつくんだろうなあ…趣味ならいいけど。

 「じゃ、じゃあ、これとこれで。」僕はできるだけこっちに有利になる身持ちの硬い服を選んだ。スカートはフリフリのロング。上着は同じ青色の厚めの生地。ミニだと足が露出されてしまうし薄いYシャツよりフエルトのような厚い生地の方が肌が触れる距離が遠くなるからね。

 「では下着を選んで下さい。」「しっ…下着!?」「えぇ。もちろんつけなくてもよろしくてよ?」「う…つけよう。」「色は?」「…白。」こういうおねえさんタイプで黒とかはヤバイ。「形は?」「かぼちゃパンツ。」「そんなのありませんわ?」「うぐ…」

 結局女学生がつけるような白のパンツとブラジャーになった。「では着させて下さい。」自分で着ないのか。仕方ない。僕は全裸のメイド人形にブラジャーを付けてあげる。指先がドールのボディに触れるとその肌が本物以上の吸い付きでスベスベの感触だった。ドールは着せ替え中は人形らしく直立のままだ。

 サイズが小さいので付けやすいように簡単な造りになっている。精密に作る事もできるだろうけどそれだと細かい作業になってしまうからね。取り付けるのは簡単なボタンだった。ブラを付け終わるとパンツも穿かせた。1センチ位のピンクがかったオンナが丸見えになる。こんなのが僕のを入れてしまうのか。

 続けて上着に手を掛けた。「あら。普通は下が先ではなくて?」…そうか。僕はフリフリのスカートを穿かせた。これで太ももは隠せた。次は上着。「ふふ…」袖を通して背中のボタンをはめる、と。

 「あっ!」厚い生地のメイド服上着は奇抜なファッションだった。フリルが肩から腰に伸びているけど真ん中が大きく開いてブラが露になっていたのだ。前のボタンを留めるシャツもない。「最初に着ていたYシャツタイプなら標準的なメイド服でしたのに、わざとエッチな服を選んだのですね。」「うぐ…違…」

 着せるまで気付かなかったんだ。まさか胸元が全開になる位に開いてるなんて。これでブラを取ったら乳房が完全に出てしまうぞ。普通はこの下に何か着るものなのか、よく分からない。クソ、厚い生地でこっちに有利になるように選んだけどワナだったとは。

 「最後に頭を。」小さな布キレを差し出す。僕はこれをメイドの頭に飾り付けてあげた。「ようやく完成ですわね。どうでした?」「どうって言われてもなあ…」「まだ着せ替えの魅力にお気づきではないのですね。残念です。」メイドはくるりんと回転して僕に着せて貰った服を嬉しそうに見せるのだった。

 「じゃあ次はあたしですぅ。」緑髪のショートカットが近づいて来た。「このセットから選んでくださぁい!」「…。」小さな袋から取り出されたのは全部学生服。「実在する学校の制服もあるんですよ?どんなのがいいか選んでね☆」

 とにかくスカートが長いのがいいな。二昔前のスケバン風にしちゃおうかな。最近のスカートはみんなミニだからねえ。戦闘に不利だ。「…。」「どうしたんですかぁ?」「…全部短い…」「だってぇ、今時長いのなんて流行らないですよぉ。」「僕はロングの方が好きなんだけどなぁ。残念だ。」「あっ、そう言う事でしたら長いのありますよ!」…なら最初から差し出せ。

 とりあえずロング好きという事にしてカマをかけてみたら、ミドリは校則で決まっている程度の長さのスカートを取り出した。これでミニは避けられるな。僕はできるだけ地味な感じのスカートを選んだ。「じゃあ、上はおそろいのブレザーですね。」「あぁ!」

 セーラー服よりマシだろう。かわいさ美しさが格下の方が今は嬉しい。「じゃあ下着ですぅ。」「そこのメイドと同じヤツね。」「わ、分かりましたですぅ。後ブルマは…」「あー、紺色…いや、緑で!」危ない危ない。紺色ブルマなんて萌えな服を着せる訳には行かない。ここは色気のない緑にしよう。丁度こいつの髪の色と一緒だ。

 「一式揃ったんで着せて下さい。」ミドリはマグロ状態に横たわった。はぁ…何やってんだろ僕。ため息をつきながら下着をせっせと着せてやる。

 それにしても変な気持ちだ。小さな人形に僕の手で下着から付けてあげている。全部自分の思い通りになっているみたいな錯覚も覚える。服を着るというのは女の根本に近いから男に着せて貰おうなんてしないだろう。それを今僕が支配している訳か。僕が選んだ服を僕の手で付けてあげると人形がいとおしく思えて来る。

 ミドリに下着を付け終わると次はブルマだ。色気のないブルマだけどこの格好はかなりきわどい。上がブラジャーだけで下がブルマだから。僕は人形を持ちながらつい眺めてしまった。

 おっと、こんな所で見とれている訳には行かない。さっさとつけてしまおう。僕はスカートを穿かせ、続けざまにブレザーを着せる。最後にマジックテープでネクタイを付けてあげて完成だ。

 「ぅ…」「あたし…どうですかぁ?」思いっきり地味な格好にしてあげたけど、それが却って逆効果な気もする。足首周辺だけが見えるスカート、肌をかなり隠しているけどそれが却って中身をエロチックに妄想させる。髪の色以外は清楚な顔立ちの女の子ができ上がった。

 ヘタに露出するよりもブレザーの地味な女学生人形は清純な雰囲気を醸し出してしまっていた。こんな清純な子がこれから僕と肌を合わせる…しかも積極的にだ。マズイ…倒錯した興奮を掻き立てる格好だ。僕はまたもや選定を失敗した。

 「そうそう、あたし目が悪いんですよぉ。」小さな丸いメガネを取り出しミドリが自分でかけてしまった。最強の清純派めがねっ娘が完成してしまった。何やってんだ俺〜(泣

 なんかヤバイ。着せ替えするとどんどんこっちが不利になっている。これも敵の魅了作戦だったんだ。「さて、最後はわたくしです。どんな服をお選びですか?」金髪が服を取り出した。

 だめだ、こっちに有利になるような服を選ぼうとしても結局相手が有利になっちまう。考えてみれば服は相手が用意してるんだ。その中から僕が選ぶようになってる。それじゃあどの服を選んでも相手が有利になるに決まってるじゃんか。自分に不利になる服なんて最初から用意してなかったんだ。それなら何を選んでも一緒だ。

 どうせこっちが不利になるのなら最後はおもいっきり自分好みに仕立ててしまおう。といってもここに用意された物の中から選ぶんだよな。こいつはなんだか気取った態度を取っているからお嬢様な服は避けたい。後露出度が高いけど実はTバックは好きではない。なんだかんだ言って白い普通のパンツがいいよなあ。はっ、この二体に着せたのと同じじゃないか!僕は無意識の内に自分好みの下着を選んでたのか。

 「…このテロテロの紐は何?」「さらしですわ。」「…。これはこれで悪くないかな。ブラは辞めてこれね。後下はこの白いヤツ。それから上は…」

 結局、ブルマのように短いジーンズの短パンに、おへそが丸出しになるタンクトップを選んだ。着せ替えていると小さな人間に服を着せてあげているみたいだ。谷間まで見える胸元とすらりと伸びた腕、なまめかしいわきの下、可愛らしいお腹とおへそ、この下はさらし一枚だ。パンツと同じ形の短パンからすらりと太ももが伸びている。なんとも大胆な格好だ。

 「着せ替えが終りましたね。いかがです?」「…長かった。」ここまで辿り着くのにかなり時間を浪費している。もうそろそろ決着を付けたい。てか本格的に戦闘も開始されてないじゃん。「あら。長かったかしら?では短くして差し上げます。」メイドが自分の腰周りの布を中に巻くようにいじくり始めた。見る見るうちにスカートが短くなる。「ちょっ、ちょっと…」あっという間にメイドはミニスカートになってしまった。

 「そういうイミじゃ…」もう遅かった。メイドは胸元とふとももを曝け出してしまった。「み、短い…」僕は泣きそうになった。「短いですかぁ?じゃあ…」今度はブレザーの緑の髪が伸びてロングになった。こいつら髪の毛も自在に伸ばせるのか。そういえば粘土をつめて髪の毛を生やす人形があった希ガス。

 清純めがね娘はロングヘアをサラサラとなびかせた。清純度が上がった。もう何も言うまい。なんか口走るとヘンに受け取られてどんどんやばくなる。ここの女はみんな変だ。もういいや、僕は十分楽しんだ。ここで一気に倒してしまおう。

 よもや忘れてはいまい。ドールは何体相手だろうと一気に倒せる。彼女達が魔法媒体であるがゆえにその魔法が弱点にもなるんだ。僕は腹の底に魔力を溜め始めた。一気に全体回復魔法で弱体化してやる!

 「ふふふ…あなたはもう私達の術中に嵌っているのです。」「!!」ドール達が妖しく微笑んで胡坐をかいて座っている僕の体を登り始めた。その目が赤く光る。まずい、何をする気だ!?僕は身構えた。先手必勝で回復魔法を放つか…でもまだ安心できる位に魔力が充填されてない。もっと時間を溜めて全体回復魔法を放たないと失敗するかも…。それともここは魔法バリアを作って敵の出方をうかがうか。簡単なバリアだけなら今の魔力充填量でも何とかなる。どうしよう?

−選択肢−
ドール2−2 魔法を使う
ドール2−3 バリアを貼る 


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