ドール2−6
 

 僕は一心に念じた。「ブリキ…ブリキ…」この塔は精神力に応じて物質を具現化できる。人形は物質だ。だからもしかしたら人形化する僕の体もある程度変えられるんじゃないか。思念通りと言う訳には行かないだろうけど、どうせ人形になるんだったら「どんな人形になるか」位はこっちで決めたいんだ。

 僕が選んだのは昔のブリキ製人形。体が段々重くなって行く。思った通り念じればどんな人形になれるかは選べる。

 僕は全裸のブリキ製兵隊になった。ペニス部分が上にそそり立った状態で、あお向けにコロンと転がった。体の大きさはドール達と同じ位だ。もし僕の考えが正しければ…僕は快感に堪えなくてもこのまま時間が過ぎるのを待つだけで勝てる筈なんだ。

 「じゃあおにいちゃん、早速入れるね。」人形化してしまうとフェラでも挿入でもできてしまう。しかもこっちの力が10分の1に減ってしまう。只の人形だったら入れた瞬間果ててしまっただろう。

 ずぬぬぬ…「あっ、いいよお!」腰を前後左右にくねらせながらミドリが悶える。もう一人が僕の玉袋周辺をサワサワと愛撫し始めた。さらに僕の上半身におっぱいを這わせている子もいるみたいだ。

 「あん、あん、おにいちゃあん!!」一心不乱にペニスが包まれてしごかれている。「まっ、待て!何か様子がおかしい…!」その声は金髪ドールか。「…たしかに、ご主人様がまだイカナイのは変ですわね。」

 やっぱり僕のもくろみは当たった。ブリキ人形に変身すれば全身金属製になる。という事はアソコも鉄のように硬くなってくれるって事だ。戦闘力が10分の1になるのだから、せめて攻撃力だけでも上げて置きたいと思ってブリキになったのが効を奏した。攻撃力の減少を抑え、ドール達を感じさせられる程度にはなっているみたいだ。

 それに、思いもよらない効果があった。感度がかなり鈍っているんだ。生身や布生地の人形と違って、ブリキの表面は神経への刺激を半減させる。つまり攻撃力だけじゃなくて防御力も相当なものになっているという事だ。

 一応感触はある。触られている感覚もあるし音も聞こえる。でも快感はごく微量だ。ペニスを包まれようとも玉袋を触られようとも僅かな心地よさしかない。これならよっぽどしつこく責められでもしない限りイク事はなさそうだ。

 ただしブリキになったのだから一切動けない。彼女達にされるがままになる。それに目が見えない。声から判断するしかない。この有利な条件で、後問題はどうやって彼女達を倒すかだ。

 彼女達の魔力を削らない内に人形にされちまったからな。相手を感じさせる事はできるけど一体残り精力がどれ位なのか分からない。もし相当絶倫ドールという事なら、いくら感じにくい体を手に入れてもいつかは高められて、小さなはぐれメタルを放出してしまうだろう。でもそうでないならこのまま仰向けで彼女達の自滅を待つ事になる。

 どっちにしてもこの体じゃあ自由には動けない。ドール達が自滅すると信じて待つしかないな。ジワジワと襲いかかる鈍い快感に堪えながらね。

 「あっ、あっ!!すごおいっ!うっく…!こ、こんな感覚今迄ぇ…何か込み上げて来るよお!おにいちゃん!!」一心不乱に上下するのは口調からして清純ドールだろう。目が見えていたらきっとこんな純情そうな子が乱れている姿を見せつけられてこっちも大幅に精力を削ってただろう。幸い聞こえる声だけだし、ペニスが擦られている感覚はあるけれども神経が鈍くなっててほとんど感じないんだ。

 それに引き換え彼女の方は激しく感じて歯止めが利かなくなり、もはや自分の快感の為だけに腰を振っているようだった。ペニスを包み込む肉の感触がおぼろげに僕を刺激する。この手の小さな快感は掌底と同じでダメージ自体は少ないけど長時間連続して受け続けると後でドカンとダメージが吹き出る。

 力を抜いて軽く刺激し続けると突然強烈な快感が込み上げてきて、イクとなったらあっという間だ。そこまでが長いけどジワジワ効いているんだ。ある段階を超えたら歯止めが利かなくなって射精してしまう。

 今受けているダメージが丁度そんな感じだ。だから油断してると負けてしまう。攻撃力が弱い敵、あるいはこっちの防御力が強すぎる場合は逆に要注意なんだ。とにかくこの調子で三人が跨って来て果ててくれるのを待つしかないけど、こっちの感度にも気をつけないとな。

 「まっ、待つんだ。一旦離れろ!」「だめえっ、もう勝手に動いちゃうよお!ああああ!!」「バカな!弱体化した上一方的に攻撃されているのに射精しないなんて!」「こっ込み上げるうう!こんな感じ始めてえ!ひゃああっ!!」

 ペニスが僅かに震えた。軽い締め付けの感覚が薄れ、消えてしまった。ドールがイッたんだ。分かったぞ。通常状態ではドールは感じないか、感じたとしても倒せない。ミドリの乱れようはドール対人間戦では見せなかった。ドール対ドールの時に始めて見せたんだ。

 つまりドールがイク為には、彼女達の魔力を絶って性感帯を刺激できるようにするか、または魔力を絶って絶頂を迎えられるようにしてあげるか(どちらなのかはドールのタイプによる)。そうでなければ人形化してから責めればいいんだ。人形同士なら感じさせられるしイかせる事もできる。

 只こっちが人形化すると10分の1に弱体化するから、相手を倒せずに果ててしまう。だから強化して人形同士の戦いの時には魔力でガードしなくて済む。余計なガードが魔力の無駄遣いになるからね。それで彼女達は人形の攻撃でイク事になるんだ。こっちがブリキになってしまえば活路も見出せる。おまけに今回のドール達は感じやすい体質みたいだ。

 問題はジワジワ淡い快感が掌底のように僕を追い詰める可能性がある事。そうなる前に残り二体を倒してしまわなくては。

 「おのれ!」ドール達も淡い快感が男を悦ばせる事を知ってる。だから長期戦に持ち込んで来る筈だ。案の定次に騎乗位で乗っかって来たドールは挿入したままあまり動かずにオンナの収縮とバイブでペニスをいたぶっている。

 「どうだ、これでも…感じないか!?」「…。」「くっ、何も言わないとはどういう事だ!」いや、しゃべれないだけなんですけど。

 相手はできるだけ感じないようにしながらじわじわとペニスを揉みしだき、体の中に伸びた舌先で亀頭をこねくり回している。触られている感覚はあるけどはっきりと刺激が送り込まれている訳ではない。金属がブロックしてる。それでも鈍いくすぐったさが下腹部を痺れさせていた。生身で挿入すればこんなものでは済まない程強烈な蠕動なんだろうな。人形化して弱体化した状態ではひとたまりもなかっただろう。

 「うっく…も、もう…我慢できない…」ペニスにしごかれる感触が加わった。体の奥あたりがジワリと疼く。まるで始めて性に目覚めた頃に股間を硬いものに押し付けて得られたくすぐったさのような、内側から込み上げる鈍い快感だった。

 でも相手は僕以上にダメージを負っているみたいだ。金属のペニスを入れ続ける事でドールの性欲に火がつき、どんどん自制心を奪っていた。限界に達すればドールは自分から快楽を求めて動いて来るようになる。ここで決め手になるのは快感に負けないと言う強い精神力だ。でも魔法媒体で魔力に頼りっぱなしのおもちゃならそんな精神力はないだろう。少なくても僕よりはずっと弱いと思う。

 ドールはグリグリと腰を捻りながらせめて何とかして僕を高めようとペニスを責めまくる。受け身で一方的に攻撃を受けているけど硬いペニスのカウンターでドールの方が参っているようだ。

 「うああっ…あとは…たのむ…」「わっ分かりました、わたくしが必ずやご主人様を…!」びくびくっ!またペニスにバイブとは違う振動。そしてオンナの拘束が消え去った。

 しかしすぐにまたキツイ筒に包まれた。「さあご主人様。わたくしが癒して差し上げます!」ぐにいいい…にゅるにゅる…

 「…!」さっきまでのドールとは動きが違う。最後に残ったメイドドールがゆっくり腰をくねらせて回転してるんだ。「さあ…●キに…すべてお任せ下さい…安心して身を任せていいんですよ…ね?」優しくささやきながらねっとりした動きでブリキの下半身をいつくしむメイドドール。時折前屈みになって僕の上半身に豊かな乳房を押し付けたり軽く擦ったりして来る。

 甘えさせてくれそうな、おねえさんタイプのメイドが優しく僕を愛し続ける。きっと微笑みながら目を細めてるんだろう。その顔を見れないだけでもよかった。見ていたらきっと安心し切って脱力したまま彼女にすべてを預けてしまっただろう。時折頭をなでてくれるメイドのしっぽりした動きと囁きがブリキさえ溶かしてしまいそうな勢いでゆっくり全身をくねらせている。

 さっきまでの激しい動きで下腹部の性感が相当高められている。それに加えて今ねっとりなまめかしい動きでペニスが翻弄されている。感触自体は弱いけれどもこの動きはヤバイ。じわじわとした疼きがどんどん奥から込み上げている。これが堤防が決壊するみたいに一気に噴出したら僕の負けだ。

 キツイ締め付けに晒されてはいないけどその代わりにペニスをやわらかい指先で軽くさすられ続けているみたいだ。ゆっくりいとおしむようにペニスを引っ張る肉の動きがどんどん僕の性感帯を開発して行った。

 「いいんですよ?もっと感じて下さっても…ねえご主人様…?」棒全体がナデナデされる感触がどんどん強くなる。握る手のひらの力を強めながら同時に弄ぶように指先で軽くペニス全体をツンツンつついている感じだ。多分これはオンナのヒダ突起がぐいぐい絞っているんだろう。

 くすぐったさがどんどん強くなるに連れてペニスを圧迫する感覚が強まって行く。ブリキの奥に引っ込んでいた性感神経がどんどん表面に”発達”しているみたいだ。このままではどんどん快感が強くなってピンチになる。掌底の限界点が近づいて来る。僕は戦慄した。

 逃れようにもまた攻撃しようにも動けない。相手の自滅を待つしかない作戦なんだ。それにドール側も僕を責めながら無傷ではいられない。メイドの方も相当高められてる筈なんだ。後はどっちが先に果てるかだ。このまま突き進むしかない。

 「ご主人様…わたくしもう…ううん、でも…ご主人様に御奉仕しない内にわたくしが満足しては…」メイドは頑張って自分を抑え、極力自分が感じないように動きを遅くした。ペニスを包み込み続けている間はずっとこっちの性感は高められる。動きが遅ければそれだけドールのダメージは少ない。それに長期戦に持ち込める。

 メイドの方は”自分との戦い”に限界が来ているみたいだ。つい動きを早めて腰を大きくグラインドしてしまう。が、気を取り直してまたゆっくり愛しむようスローダウンする。息も荒い。性欲全開に興奮してしまった女性が我慢しているみたいだ。

 危なくなったら離れればドールは助かるが、離れて刺激を遠ざければ僕の方が休める。折角開発した僕の性感神経も引っ込んでしまう。だからメイドドールは離れる訳には行かない。

 刺激が強くなって行く。こっちも相当危険な状態だ。体の奥からピクンと快感が小さく全身を伝い始めた。ペニスの感触は肉の熱を感じ始めている。指先程度の感触しかなかったのが今でははっきりとオンナの蠕動とバイブに変わっている。

 残り精力は半分以上ある。でもここで性感帯が開発されてしまえば通常ダメージが何十倍にも膨れ上がって、一気に倒されてしまう。持ってくれ…ブリキの体よ!

 「ああっご主人様あっ!申し訳…」突然メイドドールの動きが変わり、激しい上下運動になった。精神的に快感に抗えなくなって彼女の方から快楽を求めるようになっている。後少しだ。

 ガマンにガマンを重ねてから心を許して快感の虜になれば、イクまではあっという間だ。これは男も女も変わらない。ガマンしている内に限界まで高められているんだからタガが外れると一気に負けが確定する。ドールにも戦っている僕の気持ちが少しは分かって貰えただろう。

 「んあっ!ご主人様っ!!」ぶるるっとオンナが震えた。波打つ締め付けがペニスにはっきり襲い掛かると僕は突然高められた。潜在してたものが一気に大量に噴出す。全身を突き抜ける快感は一瞬にして僕を射精寸前の状態にしてしまい、体中の神経が快感の情報だけを乗せて駆け巡る。この状態は…射精直前!

 半分近くあった精力も一気に999ダメージで0になってしまった。見えないけど自分のペニスから水銀の液体が飛び出すのが分かった。ああっ、僕は負けたのか…!?

 「うっ!」突然まぶしい光に包まれた。さっきまで目が見えなかったのにいきなり見えるようになったから小さな光りが痛かった。すぐに目が慣れる。自分の体が元に戻っている事に気がついた。

 周りには誰もいない。それに精力が後から込み上げる等の体の変化もない。多分僕が射精する前にメイドドールが先に果てたんだろう。ギリギリだったけど僕は勝ったんだ。

 ゆっくり起き上がる。何とかドールの弱点は掴んだけど…一々人形化してからブリキで倒すのは危険かも知れない。もっと別の作戦…相手の魔力を削る方法を探す必要がありそうだ。もっと経験を積んで普通にドールが倒せるようになるまで、このフロアで戦い続けるしかなさそうだ。

 僕はセックスで戦う事の厳しさを改めて思い知りながら、迷宮を再び歩き出した。

ドール2 クリア


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