ミミック3−1


 ひたすら歩いていると、長い道に出た。さらに進んで行くと突き当たりに扉があった。多分これが上の階への扉に違いない。思った通りカギが掛かっている。このカードキーはこの階のボスが持っている筈。ミミック10人、あるいはそれに相当するミミックが近くに潜んでいる筈だ。

 それにしてもトラップがボスの役目もしてるとは。それにミミック3人バージョンでも巨大な箱だったから、10人が詰まっているとしたらどんな大きさになるってんだ。とにかくそれなりの大きさの箱が近くにある筈だ。探してみよう。

 …。辺りを見回しても大きな箱はなかった。てか何もない。別の場所にあるのか。

 僕は元来た道を引き返した。辺りを見回し、宝箱を探しながら、注意深く歩いた。

 長い道の突き当たりに来る。さっき歩いて来た一本道には特に変わった所はなかった。僕のいる場所と上の階の扉が離れてるんだな。離れてると言ってもそう遠くはない筈なんだ。絶対この近くだ。

 もう一度この道を歩いてみる。もしかしたら壁に抜け道みたいのがあるかも知れない。…それにしても、見慣れたと言ってもやっぱり薄気味の悪い壁だな。

 「!」この部分だけ壁がへこんでいる。ここに何かあるに違いない。僕は恐る恐る壁を押してみた。やわらかい「生きた壁」に手がめり込んで行く。「ずぼっ」手が壁を突き抜けた!他の壁はズンズンめり込んで行くだけだが、この壁は薄いみたいで、手があっさりと突き抜けてしまった。

 手を抜くと、壁に空いた穴はすぐに塞がってしまった。壁が自動的に修復されたんだ。…やっぱりやるしかないか。

 僕は壁に体をめり込ませた。10センチ位の薄い壁を僕の体がスムーズに通り抜けて行く。ヌメリを帯びた肉の壁が僕の全身を愛撫しながら、僕は壁を通り抜けた。後ろを振り返ると既に壁が塞がっている。

 さて、この部屋にとてつもなく大きな宝箱が…ない。「…あれ?」小さな部屋には何もなかった。さっきまでの薄暗い部屋ではなく、しっかり明かりがついていて、部屋全体を照らしている。でも真ん中に小さなテーブルがあるだけで、大きな箱はなかった。

 テーブルの上には赤いボタンがついている。分かった、これを押すと巨大な宝箱が出て来るんだな。僕は自分の体力精力を確認してボタンを押した。

 「…。」しかし何も起こらなかった。参ったなあ、ここで謎解きか。小さな部屋を隈なく探したけど何もないし何も出て来ない。拍子抜けだ。

 しょうがない、引き返そう。僕は元の壁をまたすり抜けて、上の階の扉の前に来た。やっぱり大きな箱はないなあ。

 「ん、これは…」扉の前に小さな箱あった。手のひらと同じ位の大きさで高さも数センチ位の箱だ。小物入れ見たいな感じだ。さっきまでこんな箱はなかった。もしかしてさっきボタンを押したから出てきたのか?まさかこれが…この階のボス?

 …って、そんな訳ないか。いくら何でも小さ過ぎる。こんな箱じゃ誰も入れやしない。多分さっきのは隠れアイテムを出す為のスイッチだったんだ。それでこの箱がそのアイテムに違いない。

 でも10人バージョンが10人とも限らない。何か特殊な仕掛けかも知れない。一応警戒はして置くか。僕は箱の蓋を開けた。

 「…。」煙も手も出てこない。箱の中には、さらに一回り小さい箱が入っている。僕はその箱を取り出してさらに蓋を開ける。中にはまた小さな箱。「おいおい、何だよこれ。」

 箱の中はもっと小さな箱。四個目の宝箱を開けてもやっぱり中には箱が入っていた。…もしかしておちょくられてる?

 「!」奇妙な事に気づいた。さっき開けた箱が閉まっている。そしてその大きさは、全部長さ15センチ、奥行き5センチ、高さ5センチ程度。つまり全部同じ大きさになっていた。箱の中に入っていた箱なのだから、大きさはどんどん小さくなっている筈だが、中の箱を取り出した後その箱は大きさを変えたのか。

 ヤバイ、やっぱりこの箱には何かある!5個目の箱を取り出して4個目と比べてみる。やっぱり同じ大きさになっている。物理的にありえねえ。只のいたずらじゃない、コイツは僕に蓋を開けさせて増殖してるんだ。僕は5個目の箱を開けるのをためらった。何か嫌な予感がする。蓋も自動的に閉まっているみたいだし。

 僕はいつ襲われてもいいように心の準備を済ませ、深呼吸をしてから五個目の蓋を開けた。「…。あれ?」五個目の蓋を開けると、中は空っぽだった。箱も入っていない。

 …やっぱりからかわれたのか。僕は蓋を閉め、四個の空箱の側に箱を置くと、さらに別の場所を探すべく後ろを向いた。

 「…ぅ…」目の前がふらりと蠢いた。一瞬めまいに襲われた。体の奥から熱くなって来る。触ってもいないペニスがどんどん膨れ上がって来た。しまった、催淫剤でも嗅がされたか!僕は扉の方を向いた。さっきの箱が怪しい!

 箱はすべて開いていた。そこから薄いピンク色の霧が立ち込めている。湯気のように周りの空気に浸透して行った霧は無色透明になり、いつの間にか僕を捕らえてしまっていた。クソ、こんなトラップだったとは!

 僕はこれ以上催淫剤を吸い込まないように息を止めて、箱をすべて閉じた。ピンクの湯気はそこで遮断された。僕は走り出し、催淫剤の混ざった空気から遠ざかろうとした。そのとたん何かが足に絡まり、僕は転んでしまった。振り返ると箱から細長い触手が伸びている。

 やっぱりこの箱がミミックだったか。僕は力を振り絞って飛び上がるように立ち上がり、とっさに身構えた。箱は再び開いた。さっきまで空っぽだった箱は、白い物体で溢れかえっている。お餅の様に白い物体が蠢きながら、今にも箱から溢れそうな勢いで盛り上がっている。

 白い物体は段々形になって行った。それは体長15センチ位の、羽根の生えた女性だった。箱は貝の様に半開きになり、そこから小さな女性が身を乗り出している。さっきまでのミミックとは全然違う。5つの箱全部から飛び出したミミックは、通常ミミックの強力版、「フェアリー・ミミック」だ。

 五体のフェアリーミミックは空中に浮かび、僕めがけてジリジリと迫って来る。五体いるという事は、一体が通常ミミック二人分の力って事か。ミミックのフェアリー版、僕の体を丸ごと包み込む事はできないだろうけど、通常ミミックよりも強力な攻撃を仕掛けて来るに違いない。

 真っ白のフェアリーミミックはミミックの妖精版だ。体は小さいが、そこに秘められた魔力は通常ミミックの比ではない。一体どんな攻撃を仕掛けて来るのだろう。それ以前に体の大きさが違う相手の攻略はどうする?

 フェアリーミミック達はぐにゃりととろけた。彼女達は自分の姿を変幻自在に変えられるのか。さっきの触手みたいに。五体のフェアリーミミックは、それぞれ形を変えた。二体の箱からは細くしなやかな女性の二の腕の先が飛び出している。本物の女性よりも僅かに小さめの腕が僕めがけて手を伸ばして来た。別の二体の箱からは美女の顔が飛び出している。そこから長めの舌がぺろりと出たり入ったりしている。残り一体はまさにオンナの筒状をしていた。

 「くっそ、来るな!」僕は群がって来る箱を手で振り解いたりした。しかしさっき受けた催淫トラップのせいか、体の動きは鈍い感じだ。力も出ない。

 すぐにフェアリーミミック達に捕まってしまった。二本の腕が後ろから僕の胸をまさぐり、スベスベの二の腕をわきの下に絡み付きながら胸を揉んだり乳首を弄んだりしている。目の前に顔部分が近づき、僕の唇を奪いながら舌をねじ込んで来る。さらに体液が口から流し込まれると僕の興奮度が格段に高まった。さっきの催淫の湯気の濃縮液か!

 そして、筒状のミミックがペニスに張り付き、オンナの中に飲み込んでしまった。いやらしい音を立てながら蠢き、ペニスを引っ張るようにヌムヌムと出し入れして来る!最後の一体、顔部分は僕のお尻に張り付いた。舌を伸ばし、お尻の穴をツンツンしたり舌をねじ込んだりした。

 全身に小さな箱が群がり、感じる所を責めまくる。お尻のくすぐったい舌が会陰や玉袋までねじ込まれ、柔らかい手のひらが上半身を包み込むように僕の胸を愛撫し続ける。僕の顔の周り、耳やほっぺや首筋にも舌がくすぐる。そうしている間にもペニスは本番さながらの締め付けでしごかれ続けていた。

 僕は快感に呻きながら考えた。まるで大勢の女性に同時に愛撫されながら挿入しているような状態で、快感に腰をくねらせながら、このままだと立っているのも辛くなる。どうすれば打開できるか考えた。パーツしかない相手をどう責めるか。そもそも本体はフェアリータイプ。どうやって攻撃したらいい?

 ペニスに張り付いているミミックが、ねじるように強くしごき始めた。そのスピードもどんどん速くなる。もう時間がない。どうしよう…?

−選択肢−
ミミック3−2 ひたすら抵抗する
ミミック3−3 快感に堪えながらもっと考える


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