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ナメてる戦隊フザケンジャー!


第4話 スマタ怪人ふとももん!



 どうにかこうにか、僕は基地に戻ってくることができた。

僕:「…ただいま戻りました。」

佐伯:「遅い! 遅すぎる! なにやってんだ!」

僕:「だからー! ムリッつってんだろ!」

佐伯:「現地に敵が現れて猛威をふるっているのにすぐに到着もできず、戻るにも1時間かかるとは! 話にならん! それで人類救済ができるとでも思っとるのか!」

僕:「どうしろってんだよ! 移動手段は走りと電車しかないだろ! 何とかしてくれよ。」

佐伯:「うーむ…たしかにそれは問題だなあ。」

僕:「もっとかっこいい移動手段はないのかよ。デ●ジマシーンみたいなサイドカーつきのバイクとか、サン●バルカンみたいなジープとか。そういうので高速移動すればすぐに現地に到着できるし、電車で恥ずかしい思いをしなくて済むだろう!」

佐伯:「つーかお前免許持ってないだろww 無免許で運転移動するつもりかよww」

僕:「あ…そうか…」

佐伯:「サイドカーつきのバイクはないが、名探偵コ●ンが乗り回すようなジェットエンジンつきのスケボーならあるぞ。」

並木:「あー、あれこそ明らかに道路交通法違反だよね。歩道とか時速100キロだし。それに、あのスピードでジェットエンジン急発進したら、上に乗っている人は一瞬で地面にたたきつけられること請け合いだし、そうならないように力を入れるなら相当の人間離れした筋肉が必要となるし、仮にそんなパワーで体を支えても急発進した瞬間背骨が折れるか、良くてもムチウチは避けられないわね。以前マネキンで走行実験した時に人形が粉々になったけど。それでもよければ乗ったら?」

僕:「丁重にお断り申し上げます。」

佐伯:「むう…仕方ない。あの転送装置を使うか。」

僕:「転送装置?」

佐伯:「君を初めて基地に呼び出した(ラチした)時に使った装置だ。対象を白い光に包み込み世界中どこにでも瞬間的に移動させることができる。」

僕:「ちょっ! そんなすごいのがあるんならはじめからそれを使えばいいじゃんか!」

佐伯:「だってなあ。もったいないし。」

僕:「なんじゃそりゃ!」

佐伯:「瞬間移動のためにはポッティの莫大なエネルギーが必要なんだよ。頻繁には使えないね。」

僕:「けちー!」

佐伯:「なんとでも言え。とにかく、走って行かれない距離の場合で、なおかつ緊急を要する場合だけ、転送装置の使用を許可する。」

僕:「それって…」

佐伯:「帰りは電車ってこと。」

僕:「…少し泣く。」こんなチョボい戦隊ヒーローが未だかつてあっただろうか。

 ヴィィィィム! ヴィィィィム!

僕:「!」基地内に警告音が鳴り響く。

並木:「敵の存在を確認しました。場所はランドグシャ遊園地の裏にある人気のない空き地。そこに申し訳程度についている公園の遊具にて戯れていた小学生と父親が、天国軍団にシーソーファックされてます! 被害者の数2名、天国軍団は23人確認できます!」

佐伯:「よし! レッド、このまま出動だ!」

僕:「もしかして…電車ですかぁ?」

佐伯:「ちっ! ゼイタク言いやがって。仕方ない、今回は転送装置の使用を許可する。」

僕:「ラジャー!」

 僕はさっそく転送装置のカプセルに入る。

佐伯:「次元をゆがめる装置のため、多少の衝撃はあるが、まぁ気にするな。並木君、念のため少し下がっていよう。」

 佐伯長官と並木さんは、転送装置から10メートル以上離れた反対側の壁際に集まった。ご丁寧に警官が使うような盾まで用意してある。

僕:「ちょっ、なんでそんなに離れるんですか! もしかしてこの装置ってものすごい危険なんじゃあ…」

佐伯:「い、いやいやいやいや! 危険なんてこと、そんなこと、あるもん…か…」

並木:「生きていればまたどっかで会えるかもね。さようなら。」

僕:「だーーしーーてーー!」カプセルは固く閉じられて開くことができない。装置はすでに稼働を始めている。

 ぶわああ! 白い光が僕の周囲を取り巻いた。ヘタをすると異次元とかに飛ばされてしまうんじゃないか。いやだあああ!

 ………。

 ……。

 …。

 「はっ!」

 気がつくと、僕は小さな公園にいた。公園というより、空き地に古い遊具が備え付けてあるだけの場所だった。

 「あっ! 父ちゃん、あそこにシーソーがあるよ。」「ホントだねえ。」

 背後から和やかな親子の声が聞こえる。振り返ると、小学生と思える少年とその父親らしき男性がいた。

 「ねえ、ちょっと乗っていこうよ。」

 「そうだな…って。…いや、こっちに来なさい。」

 父親は初めのうち乗り気だったが、赤い全身タイツの変態仮面の姿を認めると、息子を抱き寄せ、その手を引いてそそくさと立ち去っていった。

 そりゃあ、赤い全身タイツの怪しい男がいれば、わざわざその公園のシーソーに乗りに来るわけがないか。やれやれ。

 って、これは一体どういうことだ? この公園で今の親子が天国軍団に襲われていたのではなかったのか?

ポッティ:「聞こえるかねレッド!」

僕:「あ、ポッティ!」通信機からポッティの声が聞こえた。

ポッティ:「信じられないだろうが、今現在、君は世界に二人いるのだ。」

僕:「え…?」

ポッティ:「今この基地で、君がサイドカーつきのバイクが欲しいとか抜かしておるところじゃ。」

 それって、数分前の僕の発言じゃあないか。

ポッティ:「そのレッドと同時に、ランドグシャ遊園地裏にもう一人の君が出現したので、私一人で通信しておるところだ。」

僕:「それって、どういうこと?」

ポッティ:「おそらくだが、その公園に数分後天国軍団が現れるのではないかね?」

僕:「!」

ポッティ:「そしてその地へ向かうために、君たちは転送装置を使ったのだろう。」

僕:「うん。転送されてきた。」

ポッティ:「やはりな。…信じられないかも知れないが、君が転送されてきたのは君の時間での裏公園ではなく、”数分前のランドグシャ遊園地裏公園”なのだよ。」

僕:「えっ…どういうこと?」

ポッティ:「転送装置で時空をゆがめた結果、君は数分過去の世界に飛ばされたのだ。だからこの世界に同時に二人のレッドがいることになる。」

僕:「えええ!?」

ポッティ:「見る限り、さっきの親子が犠牲者になる“予定”だったのだろう。だが、天国軍団が現れる前に君が到着してしまい、親子は君を気味悪がって公園から去ってしまった。結果として、天国軍団の襲撃は“はじめからなかったこと”になるのだよ。」

僕:「そんな!」

ポッティ:「このままではタイムパラドクスが生じる。君が事件を事前に食い止めてしまったので、そもそも出撃の意味がない。センサーも反応しない。そうなると君はこの地に転送されなかったことになる。が、転送されなければ事件を食い止められない。これが矛盾となる。」

僕:「えっと・・・よく分からないんだけど。」

ポッティ:「頭がかわいそうなのか?」

僕:「かわいそうって言うな!」

ポッティ:「とにかく、佐伯長官たちには事情を説明するから、君は数分、どこかに隠れていてくれ。このままでは基地でレッドが転送されずに居座り続け、敵の現れないままその公園で君も延々とたたずむことになってしまう。佐伯長官を説得して基地のレッドを転送するようにすれば、君は運命的に「数分前の公園」に来ることになるから、そのままその地で再転送をかければいい。そうすれば君は“元の時間”の公園に転送されるだろう。」

僕:「えっと、転送装置はもう嫌なんですけど?」

ポッティ:「大丈夫。今度は失敗しない。たぶん。」

僕:「たっ、たぶんって! ちょっと! ポッティ!」

 通信が途絶えた。数分後、僕の体の周囲に白い光が現れた。転送は強制らしい。ええい、もうどうにでもなれ!

 ………。

 ……。

 …。

 飛ばされた先は、数分後の世界だった。

 シーソーのそばには気を失った親子が倒れている。

佐伯:「よし。今度は転送成功だ。さあ、天国軍団と戦うのだ。」

僕:「…。」

 狭い公園に、23人の私服の女性たちがひしめいている。みんな体を乗っ取られた大人の美女たちだ。おそらく遊園地に遊びに来ていたところを洗脳され操られてしまったのだろう。

僕:「…あのさあ。」

佐伯:「なんだ?」

僕:「数分前の世界に着いてそもそも事件が起こらないようにすることができるのなら、そのまま帰ってくれば一番平和なんじゃないの?」

佐伯:「そういうわけにはいかんのだよ。たしかにそうすればその親子は無事だったが、その親子を襲いに集められた天国軍団は洗脳されたままとなる。ターゲットを失った天国軍団は方々に散って、あちこちで別の事件を起こすようになるだろう。そうなったら収拾がつかなくなる。ここで初期の段階でたたきつぶしておかなければならんのだ。」

僕:「むむむ…」

佐伯:「転送装置は改良する。君は彼女たちを救うことに専念するのだ。」

僕:「…わかったよ。」僕は目の前の美女軍団に対峙した。

 「なによ。アンタも絞られたいわけ?」一人が近づいてくる。

 「フザケンジャービーム!」僕はビームを親子に照射し、回復させるとともに記憶を消した。

 「なっ! その光は!」女たちがたじろぐ。

 「間違いない、先日クラムボム公園で我々に刃向かった変態仮面野郎!」「コイツがあの変態全身タイツ野郎か!」「おのれ変態め。目にものを見せてくれる!」

 女たちは一斉に変身した。裸以上にいやらしい黒と肌色の下着姿、戦闘員モードだ!

 ものすごく腹が立つ。

 「さっきから人を変態変態って…僕にはれっきとした名前があるんだ!」

 「なんだと!」

 僕はポーズを取った。

 「ナメてる戦隊! フザケンジャー! レッド見参!」

 ポーズは決まったものの、あちこちから失笑が漏れるばかりであった。

 「フザケンジャーねえ。まぁいいわ。私たちの体でいっぱい射精させたげる。」「この狭い空き地に女が23人。全員がお前一人を射精させようとする。ポッティの戦隊と言ってもひとたまりもないだろう。」

 じりじりと戦闘員たちが間合いを詰めてくる。

 「…フザケンフィンガー!」指先がバイブし始めた。23人か。ほとんど公園にひしめいている状況だな。接近戦にならざるをえないから、これ以上ビームは使えない。この指先の力で全員を倒すしかない。

佐伯:「レッド、フザケンソードだ!」

僕:「フザケンソード?」

佐伯:「昨日開発したばかりの新兵器だ。使ってみてくれ。」

僕:「分かった。」

 僕は身構えた。そして両手を水平に組み、左側から刀を抜くようなポーズをきびきびとくり出した。「フザケンソード!」ポーズは完璧だった。僕の右手に、黒く振動する短剣(?)が出現したのだ。

 フザケンソードと呼ばれた黒い剣(?)は、ブイイインと振動しながら、巨大で長いコックを黒光りさせている。プラスチック製だ。その形状は、反り返った長〜い男性器そのものであった。

僕:「えっと…なんですかこのヒワイな物体は。」

佐伯:「フザケンソードだが?」

僕:「どう見ても女性向けバイブレーターです本当にありがとうございました。」

 赤い全身タイツの男が、半裸の女たちに囲まれて、バイブ片手にポーズを取って身構えている。傍目から見たら変態以外の何物でもないではないか。本当に泣いてもいいですか。

佐伯:「それはすごい威力だぞ。バイブ、電流の他に、女体に触れたとたん反り返った亀頭部分が激しく回転してやわ肌をこねくり回す。その剣で挿入して責めるもよし、乳首とかピンポイントでこねくり回すもよし、おそらく天国軍団くらいなら、ただ脇腹や背中を“斬る”ように滑らせるだけで、絶頂させることができるだろう。」

僕:「ヒワイだ…。」

佐伯:「投げ道具としての紐付き電動ローターも開発中だ。楽しみにしていてくれたまえ。」

僕:「帰りたい…」

 そうは言っても、戦闘員にがっちり周囲を固められてしまっている以上は、帰るわけにも行かないだろう。戦うしかないんだ。

 「とーう!」僕は群がってくる女たちめがけてフザケンソードを振りかざした。

 ソードは本物の剣のように持ちやすく、軽く、人を傷つけない短剣のようだった。それでいて“切れ味”は抜群で、女体に触れたとたんに先端部分がくねくねと高速回転し、性感神経を刺激する微弱電流とともに戦闘員を追いつめていく。

 ソードが女体に触れたとたんに、ポッティの神通力が彼女の全身を駆けめぐるため、表面的に強烈な刺激だけでなく、内部からも天国軍団を絶頂に追いやることができるのだ。たしかに威力は抜群だった。

 ひとなぎかふたなぎ程度で、戦闘員を絶頂させることができた。乳房やオンナなど、感じやすい部位にクリーンヒットすれば、一発で仕留めることもできる。見てくれはヒワイだが、たしかに威力は相当なものだ。フザケンフィンガーよりも強力だ。

 僕は、前後左右に近づく女たちをどんどん斬っていった。ある一定以上は女たちを近づけない。集団戦ともなればたしかに作戦も必要になってくる。が、こっちの作戦は、一番近い戦闘員に斬りつけるという単純すぎるものだった。

 いかんせん数が多すぎる。数名を斬ったところで、順調な戦いは終止符を打った。

 前方の娘にソードをあてがっている間に、真後ろから別の女性が抱きついてきた!

 「くっそ!」僕はきびすを返してソードで両乳首を責める。背中から抱きついた女性は一発で果てていった。

 だが、さらに真後ろから戦闘員が抱きついてくる。スーツの生地に守られているとは言っても、女体のやわらかい感触を押しつけられ、心臓が高鳴ってしまう。

 「うわあああ!」僕はくるくる回転しながら、闇雲に女たちに斬りかかっていった。だが、後ろを向いた先から女たちが集団でしがみついてくるし、女体を押しつけるばかりでなくいきり立った赤いペニスにしきりに手を伸ばしてくるのだった。

 ついに僕は前後左右女体に埋め尽くされてしまった。

佐伯:「いかん、レッド、脱出するんだ。」

 「とりゃあ!」僕はその場でジャンプ。目の前の女性の両肩に手を置いて、跳び箱の要領で女たちの輪を脱出する。

 だが、それも一時的なもので、ターゲットが僕一人である以上、十数人も残っている女たちが、またもや一斉に僕めがけて群がってくる。ふたたび囲まれてしまうのも時間の問題だった。



######

佐伯:「おかしい…レッドの動きが鈍すぎる。」

ポッティ:「気づいたかね?」

佐伯:「ポッティ…これはまさか…」

ポッティ:「…おそらく間違いないだろう。レッドは夕べ夢精している!」

佐伯:「くっそ…並木君、転送装置の用意だ。」

並木:「えっ…」

佐伯:「はやく!」

並木:「でも・・・」

佐伯:「エネルギーの充填に時間がかかるはずだ。何分かかる!?」

並木:「およそ5分です。」

佐伯:「くっそ、ギリギリか。いいからはやく準備するんだ!」

並木:「…わかりました…」

######



 僕はすでに戦闘員に群がられ、ソードも奪われてしまった。

 何とかフザケンフィンガーで応戦しているが、一人の女に一定時間触れないよう、彼女たちは交代しながら位置を変え、僕の指でイかないように連携している。

 それでいて、彼女たちはひっきりなしに、おっぱいや生足を押しつけこすりつけ、交代でペニスに手を伸ばしては少し責めて別の娘と交代していた。

 わずかずつの手コキ。これはあの夢を彷彿とさせる魅力的な攻撃だった。誰もがやわらかくてスベスベしたしなやかな手を持ちながら、矢継ぎ早の交代によって、一人一人微妙に違う個性をも感じさせてくれる。そんな女手がちょっとペニスをしごいては離れていく。

 長時間一人が責めれば、僕に手を掴まれて反撃されてしまう。それを避けるための軍団の作戦なのだが、それが思わぬ効果を生み出してしまっているのだ。一人一人違う手の感触を刻みつけられ、その心地よさに僕がどんどん高められてしまっている状態だ。

 しごき方も個性がある。根本からしっとり優しくこすってくれる娘もあれば、先端だけをいたずらな指先でコショコショしてくるお姉ちゃんもいる。連携して玉袋やお尻の穴や会陰さえもツルツルの手に翻弄されていた。

 人数が多すぎてペニスに触れない戦闘員は、僕の乳首や脇腹、首筋や頬や背中などを、すべすべコショコショしている。そのしなやかで優しい愛撫は僕の全身をひっきりなしにゾクゾクさせ続け、性感をこれでもかと高めてくれる。

 ついには複数の戦闘員に羽交い締めにされて体を固定されてしまう。腰を突き上げさせられ、ペニスは戦闘員たちの前に露骨にさらけ出される。両手は拡げられ、女たちの乳房に抱きかかえられてしまう。両足にはすでにスベスベのふとももががっしり絡み付いて、脱出できなくなっていた。

 それでいて、さらけ出されたペニスは玉袋とともに優しい女手の餌食となる。根本を担当する女、先端を優しくしごく女、尿道口を指先でコショコショひっかく担当、玉袋をくすぐったり揉んだりする担当、会陰とアナルを右手左手で同時に責める担当、乳首をくすぐる担当、膝裏をくすぐる担当、脇腹と首筋を撫でさする担当、それ以外は腕や横尻など空いている部位に容赦なく手のひらや甲を刻みつけてきた。

 その体勢で身動きが取れないまま、僕は一方的に戦闘員たちのやわらかい手に翻弄され続けた。もがいて脱出しようとしたが、あの夢の脱衣所での手コキ攻撃を思い起こしては精神がとろけそうになり、つい脱力してしまう。そこへ戦闘員たちの大人の手が一気に襲いかかるのだ。

 レッドスーツが身を守ってくれているため、簡単には射精しないが、それでも性的な刺激は僕をじわじわと追いつめ続け、体の奥が強いくすぐったさに支配された。射精感がこみ上げる。

 股間に、全身に、無数の白いしなやかな手がはりついている、それらがそれぞれ別個に、思い思いに動き、うごめいているなまめかしい様子を目の当たりにしながら、僕はガマンの限界に達した。

 「あふ!」ぴゅる!

 レッドスーツの股間部分が濃い色に変色した。精液がペニス部分の生地を一気に濡らし、しめった部分がどんどん広がっていく。女たちは律動が終わるまで手の動きを止めずに、精液が噴き出していく様をまじまじと見つめ続けた。

 ぼふ! そのとたん、レッドスーツが跡形もなく消え去り、僕は裸の神谷達郎に戻ってしまった。もちろん、周囲の美女は僕にぴったりはりついたままだ。

 「あ! あひ…」

 今度は、戦闘員たちのきめの細かすぎるみずみずしい肌が、じかに僕の体にはりついている!

 首から下の毛が抜け落ち、さらにもち肌の感触を格段に高めた魔性の戦闘員の体が、しっかりと僕の肌にダイレクトにくい込んでいた。

 ペニスが萎えるはずなどなかった。

 「んふふ…イクとスーツが脱げるのも知っているわ。元の人間に戻り、無力になることもね。」「枯れ果てるまで絞ってあげる。気持ちいいわよ?」「ほれほれ。どお? おねえさんの足もふくらはぎも脛も、スベスベで気持ちいいでしょう?」

 戦闘員の手がじかにペニスをまさぐっている。根本も先端も別々の娘が担当し、それぞれ別個に動いて、性感神経をこれでもかと刺激した!

 先端ばかりを指先でくすぐるお姉ちゃんの攻撃がダイレクトに僕の体の奥まで直撃し続けている。射精したばかりなのに、玉袋を揉まれアナルをいじくられ、上半身も敏感なところすべてくすぐりと愛撫にさらされ、あっという間に二度目の射精まで到達させられてしまう。

 濃い精液は女たちのしなやかな手の上にのせられ、べっとり絡み付いている。やがて精液は蒸発したみたいに消えてなくなってしまった。

 「ほらほら。このまま入れてあげる。私のおマ●コで何度でも絞ってあげるからね。大人のあそこの気持ち良さをいっぱい楽しんでね。」「あははっ、童貞同然の若い高校生男子には刺激強過ぎよ。」「入れた瞬間イッちゃうよ〜」「一人3発で交代だからね!」「にゃはは!」

 「うあ…ナメてる戦隊…」

 「だぁめ!」女たちは僕の手を広げたまま固定し、ポーズを取らせてくれない。「あのわざとらしいポーズが取れなければ、キミはレッドに戻れないんでしょう?」「生身の方が気持ちいいよ?」「いっぱい出してね…世界を天国に変えましょう?」「夢と同じ世界になるのよ? 永遠にいい気持ちだよ☆」

 「ひゃああ! やめ…」

 亀頭がオンナのワレメをかき分ける。彼女が体重をかければ、一気に根本まで膣内に飲み込まれてしまいそうだ。入れた瞬間、何もかもがどうでも良くなってしまいそうで、恐怖と期待が入り混じる絶望的な感覚に陥っていた。

 「そこまでだ!」

 「むっ!? 誰だ!」

 僕とそれを取り囲む女の集団は、何かの強い力に押され、バランスを失って、集団で転んでしまった。

 その弾みで、僕は女たちの拘束を解くことができた。危機一髪、挿入は避けられた。

 僕は顔を上げ、その野太い声の主の顔を見た。

 「ちょ、長官!?」

 立っていたのは、灰色の特殊スーツに身を包んだ、佐伯長官その人であった。

 「おまえは…佐伯翔っ!」天国軍団がばっと飛び上がり、僕たちの周りに輪を作る。佐伯長官が18年前、カリギューラを撃退したことは、魔族の知るところであり、その本人の登場に、戦闘員たちもたじろがざるをえなかったのだ。

 「…情けない奴だ。この程度の天国軍団相手に、敗北を喫するとは…」

 「長官…。」

 「え、ええい! 何をしている! 佐伯にはもうポッティの神通力はない。神谷も骨抜きだ。」「こっ、これだけの人数いるんだ。あたしたちで一斉に群がれば、二人を射精させることだってできるかも!」

 天国軍団はたじろいでいたが、勇気を振り絞って僕たちにじりじり迫ってくる。

 「ザコどもが。…コォォォォ…」

 佐伯長官が、ゆっくり深く、そして奇妙な呼吸を始めた。「…この呼吸法だ。呼吸こそ肉体の力を最大限に引き出す。コオオオオオ!」

 佐伯さんの両手首から先が青白く光った。ゆっくりと拳法のような構えをする。

 「かっ、かかれー!」

 戦闘員たちが一斉に走り寄ってくる。

 「むうううん!」

 佐伯長官は彼女たちに向かって走り出した。そして光る手を次々と戦闘員たちの体に押しつけ、軽くこすると、次の女の体に触れていった。

 「あひい!」「何これえっ!」「やあん!」

 佐伯長官の青白い手に触られた女たちはガクガクと膝を震わせ、その場に倒れ込んだ。ヒクヒクと痙攣を起こすと、その場で大量の愛液を噴出させて絶頂、一気に脱力して気を失っていく。

 「…面倒だ。とりゃ!」

 佐伯長官は体を一回転させ、手のひらからの青白いオーラを円状に放出した! 周囲に広がっていく青い光は戦闘員たちの体に直撃する。次の瞬間、女たちはその場に崩れ落ち、絶頂して気を失った。

 すべての戦闘員を倒すまでに30秒もかからなかった。

 「…ふう。大キライな女に触っちまったぜ。はやく手を洗いたいものだ。…さて。」

 戦闘員たちを一掃した佐伯長官が僕の方に向き直る。

 「長官…」正直僕は圧倒されていた。一瞬触れただけで戦闘員をイかせ、さらに闘気を輪の形に放出して残りの女たちを一斉に一気にイかせてしまうなんて。

 …これが18年前、カリギューラを撃退した力なのか。あまりに圧倒的だ。今の僕、フザケンジャーレッドなんてまるで足元にも及ばないじゃあないか!

佐伯:「神谷。貴様、なぜ夢精のことを黙っていた!?」

僕:「う・・・」

佐伯:「淫夢の誘惑に負け、夢精すれば、お前の精神により深くカリギューラの呪いがくい込み、次はもっと過激な淫夢にのめり込んでいく。そのくらいのことは分かっていただろう!」

僕:「…。」

佐伯:「それだけじゃない。夢精した日は肉体も性的に弱体化するんだ。そんな中でフザケンジャーレッドになっても、天国軍団にもろくに勝てない。その日は出動せず、おとなしくトレーニングをしているべきだった。だからこそ報告は大事なんだ。それなのに、そんな大事なことを黙っているとは、見下げ果てた野郎だ!」

僕:「う…」ある感情が沸々とわいてくる。

佐伯:「自分に都合の悪い報告は何とかごまかして少しでも自分に有利になるように言葉を選びながら話す輩が多い。ましてや報告自体を避け、隠蔽しようとするなんて奴もいる。だがな、そういう報告こそ真っ先に一番にしなければならんのだ。ごまかしや隠蔽は、事態を急激に、そして取り返しがつかないほどに悪化させる。今回の一件がいい例だ。弁えろ。」

僕:「…っぜー」

佐伯:「あ?」

僕:「…すっげーうざいんですけど!」

佐伯:「なんだと!?」

僕:「なんだよ! 人の気も知らないでどいつもこいつも勝手なことばかり言いやがって! 呪いがなければ誰がこんなことやるもんか! ふざけんじゃねえ!」

佐伯:「てめえ!」

僕:「なんなんだよアンタ! それだけすごい力があるんだったら、僕なんか使わなくたって、あんた一人で天国軍団にも怪人にも勝てるだろう!」

佐伯:「う…それは…」

僕:「女が嫌いだからってか? 人類の存亡がかかってるんだったら、そんな個人的な理由は通用しねえよなあ! それだけの圧倒的な実力を隠してやがって、僕をかり出しやがったな!? はじめからアンタが一人で戦ってりゃあ、僕は巻き込まれないで済んだんだ! いい迷惑だ!」

佐伯:「ち、違…」

僕:「もういい! やっぱりこの任務は降ろさせてもらいます! 淫夢があろうがどうでもいい。カリギューラの呪いで僕が廃人になろうと、僕自身どうでもいいし、アンタが戦えば人類滅亡は避けられるだろうしな。…もうほっといてくれ!」

 僕は赤いリストバンドを外し、佐伯に力一杯投げつけると、一目散に森の奥にかけ出していた。

佐伯:「神谷! 待て!」

 涙があふれていた。もう何も見えない、何も聞こえない! あんな恥ずかしい思いをして、天国軍団に惨めな思いをさせられて、あまつさえ実力を隠して自分じゃあ何もしない佐伯に怒鳴りつけられた。あまりに悔しくて、屈辱で、頭の中がぐちゃぐちゃする! もう、性的な意味じゃなくて、何もかもどうでも良かった。



######

 一方、その頃。

カリギューラ女王:「うぬぬう! 忘れもせぬ。あの男…佐伯翔! 18年前の我が計画を台無しにした、”種”の男よ。」

フローリア将軍:「…。」

カリギューラ女王:「大人に成長してもその面影は残っておる。ええい、憎々しいわ!」

ヘルサたん総統:「あら。そのわりには少し顔が笑っているわね。なつかしいのかしら、カリギューラ女王陛下?」

カリギューラ女王:「ばっ、馬鹿を申すでないわ! だっ、誰があんな人間などになつかしい感情などわくものか!」

フローリア将軍:「…。」

ヘルサたん総統:「それにしても、あの力は気になるわね。確か18年前の戦いの結果、ポッティは佐伯の体にかけていたすべての神通力を抜き取り、“普通の男の子”に戻したはずだったけど?」

フローリア将軍:「はい。間違いございません。ポッティは戦いが終わってもいつまでも自分の力を人間に授け続けることはいたしませぬ。自然のままに、元の実力で人生を切り開けというポリシーですので。」

ヘルサたん総統:「でも、あの手のひらの力は、間違いなくポッティの力。触れただけで女体の性感神経を一つ残らず強烈に刺激することのできる神の力よ。今回の我々の計画を受けて、ふたたび神通力を貸与したのかしら?」

カリギューラ女王:「いや、それは考えにくい。もしそうなら、佐伯よりもずっと弱小なフザケンジャーレッドなどハナから用意せず、佐伯をふたたび戦士にすれば済むこと。」

ヘルサたん総統:「そうよねえ。…なかなかおもしろい謎ね。いいわ、そっちはゆっくりと解明していくことにしましょう。それに、夕べはカリギューラの淫夢が神谷に勝っているし、今夜からの夢精もたやすいかもね。」

カリギューラ女王:「当然じゃ!」

ヘルサたん総統:「楽しみにしているわ。もっともっと精神を骨抜きにして、弱体化させて、フザケンジャーレッドを使い物にならなくすれば、あとは佐伯を何とかすればポッティなど敵ではなくなる。案外、計画ははやく成功するかもね。」

フローリア将軍:「…。」

######



 気がつくと僕は、見知らぬ河原に腰を下ろしていた。下水も流れているみたいで、わずかに異臭を放つ町の土手であった。

 僕は何も考えられなくなり、体育座りで呆然と川の水の動きを見つめているばかりであった。

ポッティ:「神谷君…」

 突然目の前に白いてるてる坊主が現れる。

僕:「ポッティ…なんですか!? もう僕には関わらないでください。」

ポッティ:「佐伯君を責めないでやってくれ。」

僕:「…。」

ポッティ:「佐伯君のあの力は、たしかに、もともと私が授けたものだった。」

僕:「…だったら、佐伯長官が戦えばいいんだ。」

ポッティ:「最後まで聞きたまえ。18年前のカリギューラとの戦いの時、私は彼にバリアを施し、さらに女体に触れるだけで絶大な快感を与えることができる光の力を授けた。それは現在、レッドスーツのさまざまな電撃技術に応用されておる。」

僕:「そうですね。しかもフザケンジャーの電気刺激の数百倍の力を、スーツを着けていない長官が軽々と放出できたんですもの。僕なんかいらないでしょ。ばかばかしい。」

ポッティ:「うむ。現状はそうかも知れんのお。もともと、18年前の戦いの時、佐伯君はまだ10歳の子供であった。そして、彼の体内には特殊な“種”が仕掛けられていたのだ。今の天国軍団たちへの射精でのせられる種の数億倍、濃い種を地上にばらまく力が、彼の精子には込められている。」

僕:「!」

ポッティ:「したがって彼もまた、君と同じく悪魔を喜ばせる精の持ち主、『デーモンの息子』なのだよ。私は彼を守るために、神通力を貸し与えたのだ。そしてカリギューラを撃退して後は、すべての神通力を返してもらったのだ。」

僕:「なんだって! でも現に…」

ポッティ:「神通力はすべて返してもらった。だが、その時のパワーの使い方を、彼は体で覚えていたのだろう。その後、彼はたった一人で、仙術の修行を通し、子供の頃に身につけていた力を、自分の力だけで取り戻した、いや、あらためて体得し直したのだ。特殊な呼吸法により体内の闘気を集中させ、これを女体の性感神経だけを刺激する性質に変換して手のひらに集める。それで触れればどんな女もイチコロじゃ。あの力はもはや私のものではない。彼自身が修行によって体得した仙人の力だ。佐伯君は自分の意志で仙人となったのだ。」

僕:「…。でも、それならなおさら、佐伯さんが戦えばいいんだ。」

ポッティ:「彼が極度の女性嫌いであることは知っておろう。」

僕:「そんなの理由には…」

ポッティ:「なぜだと思う? 彼が女性不信、いや、セックス不信となっている理由を考えたことがあるかね?」

僕:「それは、18年前の戦いで、いやというほど女体にまみれ、10歳の頃だったし、トラウマになっちまったんだろ。」

ポッティ:「違う。そんな程度なら、成長とともに解消できるし、今日の発達した精神医学の力があれば簡単に克服できる。そうではなく、彼は自分の意志で女性嫌いを“演じて”おるのだよ。」

僕:「えっ!?」

ポッティ:「佐伯翔は女性嫌いでなければならない。濃い種の力を放出せず、魔族の強烈な滋養となる精を世に出してはならないという義務感から、彼は自分から射精を封印したのだ。その結果、彼はあの仙術を身につけたとも言える。射精すれば、仙術は消え、二度とあの青白い手は使えなくなる。」

僕:「…。」

ポッティ:「それだけでない。魔界の多くの魔王が、佐伯の精を狙っている。デーモンの息子であることは、たとえ着床がなくても容易に推測できるからのお。だから、彼もまた、毎日淫夢を見続けておるのだ。それも数多くの魔王の淫夢を、な。」

僕:「なっ…!」

ポッティ:「彼は私のバリアをも拒否し、自分の力だけで無数の魔王が見せてくる淫夢と毎晩戦っておる。そして、仙術を身につけてからというもの、彼は一度も射精していないのだ。淫夢に負けたことがない。今や彼の睡眠時間は平均して2時間だが、その間中強烈に見せられる淫夢にも負けず、彼は誘惑をはねのけ続けている。まぁそうでなければ仙術も身につけられまい。」

僕:「そんな…佐伯さんが…」

ポッティ:「魔王の見せる淫夢は苛烈を極める。まともな精神では、いくら仙人となっても、複数の魔王が同時に淫呪を仕掛けているのだし、いつかは負けてしまうかも知れない。だからこそ、彼は仙術と引き替えに、そして魔族に対抗するために、徹底して女性を嫌う精神構造を、これまた修行によって作り上げたのだ。彼の鋼の精神力はそうした修行のたまものなのだよ。…今では、自他ともに女性嫌いが完全な形で確立しきっておる。彼自身でも演じているという自覚さえ消えているだろう。」

僕:「うう…」

ポッティ:「それでも、彼は自身の身を守ることで精一杯だ。大勢の魔王クラスの淫呪を受け、鋼の精神力で対抗しているが、その状態のまま、セックスバトルに挑むことはできない。たしかに今の佐伯君なら、天国軍団も怪人もたやすく倒せるだろう。少なくとも、フザケンジャーレッドよりもずっと強力だ。だが、そのままヘルサやカリギューラに対抗できるかどうかまでは分からない。もし万が一でも、佐伯君が折れてしまえば、これまで抑えていた分だけ、あまりに強烈な負のエネルギーが拡散することになるだろう。そうなれば、一度に数百人の怪人を作れるほどの力も敵に提供してしまいかねない。そうなれば、もはや人類を助ける手段はまったく存在しなくなるのだ。」

僕:「…。」

ポッティ:「目先においては手っ取り早く着実な方法であっても、案外ともろい側面もある。とくに一枚岩となっている状態であれば、それが崩れた時、もはやどうにもならなくなってしまうのだ。そうした一枚岩に頼るのではなく、回りくどいようだが、”後進の者を育て上げる”方法によって、リスクを回避するしかないのだ。」

僕:「それが…僕…」

ポッティ:「スーツに適合性があるのは知っておるだろう。後進と言っても、育てられる人間には限りがある。君がいなくなってしまえば、私たちの目的は果たせないことになるのだ。君は我々にとってはなくてはならない存在、どうしても必要な存在なのだよ。」

僕:「…。」

 知らなかった…。きっと佐伯さんは、射精してもフザケンジャーレッドからもとの神谷達郎に戻るだけで済む僕を見て、ふがいないと思っていたに違いない。佐伯さんの場合、射精は命取りなんだ。彼だけでなく、僕を含めた全人類を危機に陥らせることになるんだ。そんな彼が矢面に立てばいいなんて、僕はなんてひどいことを言ってしまったのだろう。

ポッティ:「ついでに言っておくと、佐伯長官は修行の成果、快感を感じない体となっておる。夢でも同じだ。性感神経そのものが体内から消えたのと同じ状態だ。その代わりに、性的刺激に対しては、痛感神経が厳しく反応する。つまり君が気持ちいいと感じる刺激は、彼には激しい痛みとなるのだ。そのことも知っておくと良い。パイプカットやペニス切り取り程度では魔王の誘惑をはねのけることはできない。脳が絶頂すればそれまでだ。生殖細胞などどうにでもなる。精神を強くするしかないし肉体を徹底的に変えていくしかない。それが分かっているからこそ、彼の修行は相当厳しいものだったのだ。」

僕:「ううう…」はらはらと涙がこぼれる。

ポッティ:「そう気にしなくても大丈夫だ。人間というものは、とくに若いうちは、自分と現在しか見えないものなのだよ。自分以外の人間や自然という空間的な広がりでものを見ることができないし、”過去の記憶に基づく現在”しか見ないから時間的な広がり、未来への展望が欠如しがちだ。人間というのはそういう生き物だよ。」

僕:「…。」

ポッティ:「失敗からいろいろ学ぶこともある。それも経験だ。そして、そんな中で、時間的空間的な『視野の広さ』を獲得していくものさ。…それが人間の“成長”ではないかね? 成長がなければ、年を取っても、いつまで経っても同じ失敗をしては周囲を憎むばかりだし、視野も狭いままだ。つらいことやいやなこと、苦しいことやさまざまな制約が世界にはあるが、それがあってこそ、人間は学び、視野を広げ、成長していくことができる。それも一生かけて、少しずつ、一歩一歩。ゆっくりと成長していけばよい。」

僕:「はい・・・ありがとうございます。」

ポッティ:「失恋の失意や過酷な欲望の闘争の実態を目の当たりにして苦しみ抜かなければ、広い視野のもとでの博愛には気づくまい。目先の性的な快楽で頭がいっぱいになり続けるのでは、そんな永遠の快楽は、人間を完全に萎縮させてしまうだろう。ヘルサやカリギューラが作ろうとしている世界は、たしかに人間からあらゆる苦痛を奪い去る。すべての欲望は瞬時に満たされ、永遠に死ぬこともなく世界を楽しむことができる。だが、結局それだけなのだ。本当の喜びではない。成長し、時間的空間的な視野が徐々に広がっていくことを楽しみとし、そうやって自分と他者とで助け合っていくこと。死という制約でさえも、未来への希望となるという境地こそ、私が人類に感じて欲しいところなのだよ。」

僕:「僕…基地に戻ります。」

ポッティ:「うむ。」

 僕の周囲が白い光に包まれる。今度は、転送が怖くなかった。

 基地では、佐伯長官と並木さんが沈痛な面持ちで待っていてくれた。僕が戻ると、二人の表情がにわかに明るくなった。

僕:「佐伯長官。いろいろとすいませんでした。」

佐伯:「ああ。いいってことよ。気にするな。そんなことより、今日は休むといい。」

僕:「ありがとうございます。今夜こそ淫夢に打ち勝って見せます!」

佐伯:「期待してるよ。だが、気に病みすぎることはない。カリギューラの淫夢は俺も経験がある。そうそう簡単にはねのけられるものでもない。夢精しちまった時には遠慮なく報告するんだ。一回二回なら大丈夫だが、何度も続くようではこちらも対処方法を考えなければならないからな。」

僕:「はい。」

 テーブルの上に、赤いリストバンドが置いてあった。

並木:「…それはあなたのものよ。世界でそれを装着できるのはあなたしかいない。」

 僕はリストバンドを手首にはめた。

 体の中から底力がわいてくるような気がした。

ポッティ:「あれから少し細工をさせてもらってな。スーツ蒸着中は、夢精による弱体化を補強する効果を付与してある。限度があるが、夢精した日でも十分戦える力は取り戻せるだろう。」

佐伯:「もちろん基本的には、夢精した日はここでトレーニングをしてもらう。出動するのはよほどの緊急時だ。」

ポッティ:「補強と言っても過信は禁物だ。夢精した日に蒸着したら、全身にピリピリ静電気が流れ、ひっきりなしに軽い痛みが全身を駆けめぐるのだ。夢精の回数が増えれば、フザケンジャースーツは鉄の処女のように苦痛に満ちあふれることになるだろう。夢精はしないに超したことがないことを忘れるな。」

僕:「はい!」

佐伯:「あと、例のトレーニングプログラムに、瞑想を取り入れることにした。…俺のこと、ポッティから聞いてるんだろう? それなら、俺と同じになれとは言わんから、少しは呼吸の神髄も知ってもらいたいからな。」

僕:「…。ところで、いくつか聞きたいことがあります。シリアスな基本路線がある以上、どうしても納得いかないことがいっぱいあるんで。」

佐伯:「?」

僕:「まず。なんで通信機能の呼び出し音で、ああいう辱めを受けなければならないんですか?」

佐伯:「あー…」

僕:「あれは即刻直していただきたい。あと、常々疑問に思っているんですが、どうして剣とか技を出す時、いちいち名前を叫ばないといけないんです? あれ、けっこう恥ずかしいんですけど。いちいち技の名前を言う格闘家なんていませんよ。」

並木:「…。」

僕:「あとはあのヘンなポーズも何とかなりませんか。変身蒸着時も名乗る時も、いちいちくどいポーズを取りながらじゃないといけないんですか? そもそも、フザケンジャーとか言うふざけたネーミングも納得いかない。」

ポッティ:「その疑問、私が答えよう。それらの疑問はすべて実はひとつに繋がっておる。回答は“言霊”じゃよ。」

僕:「ことだま?」

ポッティ:「左様。技の名前や武器の発動は、その名前を口にすることによって初めて引き出されるのだ。フザケンジャーの技術は佐伯長官のものだが、そこに実効性を持たせるためには、スーツに込める私の神通力が欠かせない。そしてその神通力は、言葉の力によって発動するのだ。言葉の持つ力、神のエネルギーや効果を発動させる言葉のスイッチこそ、言霊なのだよ。」

僕:「じゃあ、通信機能に備わっている僕の恥ずかしい過去も?」

ポッティ:「遠いところや、何か妨害があるところでの通信というのは案外たいへんなものじゃ。電波は敵に傍受されるので使えんしな。そういった壁を乗り越えてきちんと通信するためにも、言霊の力が必要。確実に相手に着信を伝える必要もある。インパクトのある文言でこそ、強力な言霊となって、通信機能を開通させることに繋がるのだ。残念ながら、通信が届きにくいところで着信する時は、君のオナニー記録が万人の耳に届くことになるのお。」

僕:「うぐぐ…。じゃ、じゃあ、ポーズは?」

ポッティ:「言霊を実行に移す時の儀式だよ。シャーマンが祈る時には決まった型の動きがあるだろう。同様に、あの動きに言霊を乗せ、スーツに込められた神通力を100%引き出すのだ。とくにレッドスーツに蒸着する時のポーズは欠かせない。」

佐伯:「だから、戦闘中に射精して元に戻った時に組み伏せられてしまったら、二度とフザケンジャーにはなれない。肝に銘じておいてくれ。」

僕:「ってことは、フザケンジャーってネーミングも…」

ポッティ:「左様。このスーツの力をきちんと発揮するには、適合したコードネームが必要なのだ。一応言いやすいように日本語に適合するようにしてはあるが、ネーミングはあくまでスーツが選ぶものであって、言葉に合わせてスーツが作られるわけではないからな。そのレッドスーツが選んだ言霊が“ナメてる戦隊フザケンジャー”だったのだ。」

佐伯:「もし発音できない宇宙語とかだったらと思うとゾッとするぜ。もっとも、日本語で言えるようには調節できたけどな。フザケンジャーという言葉そのものには意味がない。あくまでその発音、言霊こそが、重要なのだよ。」

僕:「ふむう…」

 なんだか、納得が行ったような、行かないような。

 とにかく、今日はもう夜も更けてしまった。もう帰って寝ることにしよう。僕の場合、寝ることもまた戦いだからな。

佐伯:「じゃあ、また明日。」

僕:「はい。失礼します。」

 僕は基地を後にした。

 家に着くと、今日の戦いの疲れと、精神的にいろいろあったせいで、すぐに眠気が襲ってきた。

 そのままベッドに入ると深い眠りに落ちていった。

 ………。

 ……。

 …。

 どのくらい時間が経っただろう。

 窓の外はまだ暗い。夜中に目が覚めてしまった。

 体が重い。まどろんでいて、あまり動けないし、動きたくもない。脳天がぼやっとしていて、このままじっとしていればそのうちふたたび眠れそうな気がしていた。

 だが、いつまで経っても睡魔が襲ってくる気配はなかった。それどころか、だんだん頭が冴えてくる。

 まいったなあ。どんどん目が覚めて来やがる。眠れない。

 …もっとも、眠れないのならヘンな夢を見ることもないし、それはそれでいいのかも。

 それにしても寝苦しい。僕はごろりと横になった。

 「!!」

 目の前に、突然女の子の顔が浮かび上がった。肩までの髪に少しウェーブのかかった、おそらく僕と同じくらいか、少し年下の感じの美少女だった。

 「むぐっ!?」突然唇を奪われ、そのままぎゅっと抱きつかれてしまった。スベスベの肌触りが僕の全身に絡み付いてくる。ほおずりされるとつい我を忘れそうになる。少女はすでに全裸。僕もいつのまにか裸であった。

 たしかにここは僕の部屋だ。寝ているのも、間違いなく自分のベッドである。だが、そこに見ず知らずの美少女が寝ていて、白く淡い光を発しながら僕に抱きついてきているのである。

 透き通る様は白い肌がぼんやり光っているため、暗闇であっても彼女の顔や肢体をはっきり見て取ることができた。人間の体がこんなに光るはずがない。美しい裸の女の幽霊か何かか。

 「ねえ。私とエッチしよう?」甘い声で少女がささやく。

 「くっそ! 離せ!」僕は少女の体を両手で引き剥がした。吸いつくようなもち肌がぺりぺりと剥がれていく。

 「やあん。逃げちゃダメだよぉ!」少女はしつこく僕にしがみついてくる。

 僕は身を引いて彼女に抱きつかれないようにした。それでも彼女は白い裸体で僕に迫ってくる。

 はっきりと目が覚めた僕は、ベッドから転げ落ちるように脱出して、一目散に部屋を飛び出した。

 淫夢でもない、天国軍団ともちょっと違う。怪人でもなさそうだ。カリギューラかヘルサたん総統が、新手の敵を送り込んできたのか!?

 あるいは、目が覚めているようでいて、実は眠っていて、自分の家をさまよっている夢でも見ているのだろうか。

 確かめる方法が一つある。

 「ナメてる戦隊! フザケンジャー!」僕はポーズを取ってレッドスーツに蒸着しようとした。現実ならばフザケンジャーレッドになることができるし、夢であれば何も起こらない。

 「…。」

 蒸着しない。これはカリギューラの見せる淫夢だ。

 そうと分かれば、対処方法はひとつだ。心を強く持ち、快感に耐え、射精せずに一定時間ガマンしきればいい。誘惑をはねのけさえすれば、僕は自然と目を覚ますのだ。

 佐伯さんの真の姿を知り、ポッティに真実を聞かされ、心に固く誓ったのだ。もう二度と夢精はしない! 僕は気を強く引き締めた。

 「くすくす…」僕の部屋から白く光る裸の女がゆっくり出てくる。

 「知らないみたいだから教えてあげる。カリギューラさまの見せる淫夢には二種類あるのよ。」

 「…二種類だと?」僕は彼女の裸体に心を奪われないように、あまり体を見ないようにして、警戒を解かずに向かい合った。

 「ひとつはシチュエーションモード。あなたの記憶や経験によって、好みの状況を割り出し、これを夢の中で実現させることによって、射精に至らしむ淫夢。昨日の手コキ合戦やその前の女教師編がそれに当たる。」

 「…。」

 「そしてもう一つが新世界モード。」

 「新世界モード?」

 「そう。我々の理想世界が実現した時、いかにあなたがいい気持ちになり続けられるかを“紹介”するのが目的だよ。それによって、あなたが我々に刃向かう気を失わせるの。」

 なるほど。奴らの魔の世界が仮に実現したらどうなるかを、夢という形で僕に見せつけ、その魅力に惚れさせ、こちらの戦意を喪失させるというわけか。

 だが、いかに快楽に満ちあふれた新世界だろうと、それは見せかけ、表面的な喜びに過ぎないことを、僕は知っている。ポッティに教わったんだ。簡単にはだまされない。

 「多くの場合、新世界モードにシチュエーションモードを組み入れ、混在させる方法をとる。それによって、あなたはますます深みにはまっていくというわけ。」じりじりと少女が近づいてくる。

 「で? お前はなんなんだ?」

 「私は“訪問者”だよ。新世界では、男の部屋にいつでも裸の女が訪問できるんだ。私みたいに、死んで霊体となった身であっても、こうやってカリギューラさまに肉体を与えられ、セックスを楽しむことができる。魔界からも美女が訪れ、死霊は復活し、死体はアンデッドとして蘇る。…女はどんどん増えていき、世界における男女の比率は、現在およそ1対10。あなた一人に10人の美女が群がる。どお? イイでしょう?」

 「けっ! どこがいいんだ。それなら新世界は、男が一方的に楽しめる世界というわけだな。」

 「それは違うわ。あと、新世界がさらに深まり魔界の度合いを強めていけば、男女の比率はますます高まり、ついにはあなた一人に世界中の女が群がるようになる。」

 「ますますおかしいじゃあないか。それなら、その世界で僕以外の男はどこへ行く? 魔界で魔族の餌食にでもなるのか?」

 「ある意味ではその通り。でも一人一人の主観では違うわ。」

 「?」

 「世界は単一性を失い、複合化する。それも無限にね。魔界化が進めば、複合化もどんどん数を増していく。表面上は、あなたから見れば、男性の数が減少し、女性の数が格段に増えるように感じるわね。徐々に男が姿を消し、幾何級数的に美しい娘たちが増えていく世界に映るわ。」

 「…。」

 「でも、男たちは消えたのではない。”別の世界”に行くだけ。そこで男たちは、大勢の女たちに群がられることになる。最後にはあなた一人だけが世界でたった一人の男になるけど、別の世界では別の男が、世界でたった一人の男になる。」

 「…なるほど、僕から見れば世界から男が消えたように見えるが、その男は別の世界で“世界でただ一人の男”になるというわけか。」

 「ええ。そしてそれは、女性一人一人についても同じことが言えるのよ。私にとっては、自分が世界でただ一人の女となる。あなたは私を悦ばせる『世界中の男』のうちの一人に過ぎなくなるわけ。」

 「一人の人間が多重世界で同時に様々な役割を担う。それが複合的世界ということだな。」

 「そうすれば、個人個人のあらゆる欲望は永遠に満たされ続ける。万人が、自分を世界の王者にし、欲望のままに永遠にイキ続けることができるのよ。」

 「たしかに表面的には理想的な世界だな。だが、やっぱりポッティの言うとおりだ。実にくだらない。」

 「そうかしら。この夢ではすでに、新世界への移行が始まっている。現時点で、あなた一人に10人の女という比率になっているわ。外に出て確かめてみる?」

 「結構だ。僕はそんな世界を決して肯定しない。」

 「くすくす・・・実際に味わってみれば、考えも変わるよ?」少女が僕に歩み寄ってきた。

 「…離れろ。」僕は冷たく彼女の肩を突き放した。ふにっとした女体の感触が手のひらに伝わったが、もうそれもどうでも良かった。気持ちが冷めている。くだらない新世界に心ときめく僕じゃあない。

 霊女の裸体を見ても勃起すらしない。このまま一定時間を超えれば、僕はこの淫夢を克服できるだろう。

 「…分かってないなあ。外を見てごらんよ。」

 「!?」

 僕は窓から外を見てみる。月が赤い。その赤い光が、地面を暗いピンクに染め上げていた。

 「なんで月が赤いか、分かる?」「?」「月はあいかわらず、太陽光を反射するだけ。赤いのは月ではなく、大気の方よ。」「何…だと?」

 「すでに数多くの男の種が大気にばらまかれ、空は淫気に染め上げられている。その結果女たちは性欲に狂い、今宵も、(別世界に飛んで)数の減った、残りの男を求めてさまよっているのよ。人間の女性は、32歳で変化を止め、すでに老婆となっていた者は10〜32歳のうちの好きな年齢に若返ることができる。こうして全女性人口が若い娘だけで構成されることになる。そこにゾンビや私のような色情霊が加わっているの。ホモサピエンスが始まって以来のすべての女が美しく生まれ変わり、ゆくゆくはあなた一人を求めてくる。その人数は計り知れない。」

 「なんてことを…」死者すら安らかな眠りを妨げられるというのか。

 「今は夜中だし、まだそこまで男女の比率が崩れているわけでもないから、徘徊する女性もまばらね。でも、私みたいに、男の存在を嗅ぎつけてあなたの家に“訪問”する幽霊もいるってわけ。」

 「最低だ。」性欲しか頭になくなっている連中に、僕は冷静に嫌悪感を覚えるばかりだった。

 「くすくす。まだ淫気は薄いわ。新世界も始まったばかりの様子を見せているだけ。だからあなたは、その理想のすばらしさが分からないのよ。」

 「分かりたくもないね。そんな新世界、絶対に食い止めてみせる。」

 「ムダよ。食い止めることなんてできないし、新世界はそれはもうすばらしい世界よ。何しろ無念の死を遂げた私を、こんなに幸せな体で、永遠に復活させていただけたのだから。」

 ま、幽霊やアンデッドからすればそう考えるのもムリはないか。

 「とにかく。僕はお前たちの誘惑には屈しないし、こんな腐った世界には絶対にしない。分かったら帰ってくれ。紹介されてますます吐き気がするぜ。」こんな世界にしてはならないと、僕は心の中で固く誓った。

 「んふふ〜」少女は顔を上気させて笑顔のままふたたび僕に近づいてくる。

 「ちかよるな。」僕は冷たく幽霊をあしらい、その裸体をひらりとかわすと、ふたたび自分の部屋に駆け込み、しっかりと鍵を閉じ…

 「!」部屋の鍵がなくなっている。夢だからか?

 「新世界では、法律によってあらゆる場所の鍵が撤廃されたのよ。」幽霊が扉をすり抜けて入ってくる。「…もっとも、私たち霊体には壁さえも無意味だけどね。誰でもがどこへでも出入りできて、どこでもセックスができるようになっているのよ?」

 「くっそ! 近づくんじゃあない!」

 「あはっ…私もそろそろ効いてきたっ…あなたはどお?」

 「なんだと?」

 「さっきも言ったでしょう。薄いながらも、大気が淫気に染まっているって。男よりも女の方が性欲に染まりやすい淫気だけど、男性にもちゃんと効くのよ。女ほど狂いはしないけど、ほら、あなたも性欲に支配されつつある…」

 たしかに、幽霊の裸を見続けていたからか、股間の奥がくすぐったくわずかに疼き始めていて、ペニスは半立ちになっている。だが、それは彼女が自分の体を見せつけ、エッチに迫ってきているためでもなかった。それだけなら、僕のこの覚悟でもって、誘惑をはねのけることができるはずである。

 大気が淫気に染まっていて月が赤い。ということは、当然この部屋も薄いながら淫気で満たされていることになる。これを吸った女性は比較的短時間で、催淫効果によって興奮し始める。男性に対してはそれほどの効果でもないが、長時間吸い続けていれば、やはり徐々に肉体に変化が訪れてくる。そこに裸の幽霊が迫ってくるわけだ。

 男性より女性の方に強力に作用する理由は何となく分かる。女性が興奮して体を見せ、抱きついたりして誘惑すれば、男性には催淫効果が薄くても、簡単に勃起してしまい、後は自分から快楽にふけることができるからだ。

 だが、そのことがかえって、僕にとって好都合だった。

 僕は落ち着いて、迫り来る幽霊を突き飛ばし、興奮を抑えた。

 人間は成長しなければならない存在だ。目先の快楽にふけって堕落していてはいけない。死でさえも未来の希望に繋がる。ポッティが教えてくれたことだ。佐伯さんも必死に戦っている。僕がここで必死にならなかったら嘘だ。

 僕はエロビデオの訓練を思い起こしていた。勃起したら電流が流れる。そう、目の前の幽霊娘の裸を見て興奮してはいけない。訓練の成果を今試す!

 ぷるぷるのミドルなオッパイ、ふにふにしたお腹、ツルツルの生足、露出された女性器。それを間近で見ても、気をしっかり持っていれば、性的に興奮したりなどしない。

 淫気の効果が薄いため、そっちで狂わされることは考えなくても良さそうだ。後は、時の過ぎるのを待てばいい。

 「くすっ…あなたが新世界モードの夢を日々見ているうちに、徐々に女たちが大胆になっていく様を目の当たりにすることになる。その進み具合を見ながら、新世界のすばらしさに気づいてくれればいいわ。」

 「残念だが、そうはいかない。あくまで夢、架空の話だ。現実にならなきゃあいいんだろ? 僕たちが、このフザケンジャーが、お前たちの陰謀を食い止めてみせる!」

 「口先だけならなんとでも言えるよ。」

 「なっ、てめえ…」

 「だってあなた、ほとんど童貞状態じゃない。」

 「うっく…!」

 そ、そうだった…僕はこれまでまともに女性とつきあったこともなければ、これから先も多分ないのだ。特殊な運命によって、誰かとつきあうことは禁じられている。僕の精が魔族にとって特殊なエネルギー源となるために、そして着床時にその存在が魔族にばれてしまうために、僕は出会いから禁じられているのだった。本来は、誰かの子宮内に着床しなければいいのだが、念には念を入れてのことだろう、出会う女性はすべて彼氏持ちか既婚者で、どんなにまちがってもセックスに至る可能性が絶対ないように仕組まれているのだった。

 おそらくはその昔、ポッティは、着床さえしなければというゆるい規則で、デーモンの息子を守っていたのだろう。だが、それでも万一のところで失敗、魔族にばれてしまうことがあった。その先はどんなに手を尽くしても、その男は魔界に送られてしまったのだろう。

 だからこそ、厳格なルールにして、デーモンの息子の存在が絶対にばれないようにしてきたに違いない。恋愛も結婚もできない過酷な運命であるが、それでも廃人にされて魔界で永遠に飼われる肉のかたまりになるよりかはずいぶんマシなのだった。

 僕は本来、本番行為すらしてはならない存在なのだ。

 たった一度、先日の戦闘時に、天国軍団の一人がムリヤリペニスを飲み込んできて、何が何だかわけも分からないまま気持ちよくなって膣内に射精してしまったことがある。

 それはそれで立派な童貞喪失なのだが、戦闘中だったこともあり、ほとんど実感がわいていない。

 ちなみに、天国軍団や怪人相手に膣内射精しても、着床も妊娠もしない。放たれた精は魔界化の種となって空中にまき散らされ、子宮内には残らないからである。したがってこの戦闘での射精によって、魔族に僕がデーモンの息子であることがばれるわけではない。

 とにかく、こんなことでは、いつまでも童貞野郎と言われていても文句は言えない。やっぱりオンナの感触に耐え、挿入してもまともに戦える状態を作っておかなければならない。そうでなければ、たしかに幽霊娘の言うとおり、世界を守ることも難しいだろう。

 「…というわけで、エッチしよ?」

 「なんでそうなる?」

 「この私めが鍛えてやろうってのよ。ありがたく思いなさい☆」

 「なんかヤダ。」

 「どういう意味よ!」

 「僕にも選ぶ権利ってものが」

 「あるわけないだろ童貞永年私財法のクセに!」

 「ぐっ…!」

 「もーいーからベッドに戻るよ!」

 「なんなんだアンタは!?」

 「私は『みさ』。何とキミの7世代前のご先祖サマにあたる縁あるスジなのだー!!」

 「ええ〜…」

 「なにその『この世で一番がっかりだ』って顔は。」

 「この世で一番がっかりだ。」

 「がっかり言うな! カリギューラさまのご命令で、君の精を奪いながら同時に新世界の魅力を案内するというとてつもなく崇高にして偉大なる使命をお与えくださったのだー!」

 「…。」どう考えても雑用の部類だよな。誰にでもできる役だし。

 「ま、ご先祖と言っても直系じゃなくて、キミは厳密には私の妹の子孫なんだけどね。私は子供産んでないし。」

 「…。」

 「いやあ、後に天保の大飢饉と称される飢えが私を襲ってねえ。15歳の娘盛りだった私は、嫁に出される直前にみまかったのだよ。でもこうやって、ヘルサたん総統に美しい肉体も与えられて復活を遂げたの。すごいよねえ。当時の貧弱な体も汚れもなくなって、肌のハリも当時をはるかに凌ぐ。オッパイも形が良いのお。顔つきも今風の美少女っぽくなってるし。幽霊となっても体がなくて意志だけが残る状態になっていた。知識だけは増えたけど見ているだけで何もできなかったの。そこへ肉体をお与えくださったヘルサたん総統には恩を尽くさなくちゃ。」

 そう言いながらみさはハアハアと顔を上気させ、股の間から愛液を滴らせている。淫気に毒されて興奮しているのだろう。

 「私情は挟んでいないのですかご先祖サマ。」「ないないないないないない! 私情なんてまったくないでござるよ☆」「じゃあさようなら。」「ちょっ! ちょちょちょちょっ! どこへ行くのよ!」

 「…ご先祖サマのお話はようく分かりましたので、僕は外に出て”他の女に”抜かれてきます。あーあーしんせかいはすばらしいなあ。だからここで”他の女に”射精して気持ちよくなって夢精して弱体化しよう。というわけでご案内ご苦労様でした。さようなら。」僕はきびすを返して部屋から出ようとする。

 「まああああ! 待った待った待った!!」みさは大慌てで僕の前に立ちはだかった。

 「まだ何か御用でも?」

 「う…うう…」

 「どいてくださいませ。はやく“他の女に”射精しなければなりませんので。」

 「あうー…」

 「ヘルサたん総統に肉体を与えられたとか言っても、まだ僕の夢の中にしか登場できないんですよね。ここで僕が目を覚ましたら、次に“新世界モード”の淫夢が始まるまで、あなたに会うことができないわけですね。」

 「うっ、うんうんうんうんっ! さみしいでしょう? だ、だから、ね? あのー、一夜の夢の想い出作りに、そのー…」

 「丁重にお断りです。別にさみしくないし。」

 「はうー!」

 どう考えてもコイツは僕の夢に出てくる雑用係だな。新世界のことを説明できても、僕を夢精させるだけの力はないようだ。その前に感極まって、彼女の方が先に果ててしまいかねない。カリギューラたちもそれが分かっているから、案内役程度の雑用をこの幽霊に押しつけたのだろう。まったく、こんなのがご先祖サマだなんて。世界で一番がっかりだ。

 …ま、もっとも、コイツなら挿入戦の練習台になるかもな。

 「い、行かないで…」みさはぽろぽろと大粒の涙を流し始めた。

 「だって、私情挟んでないんでしょう? あなたの役目は僕に新世界を説明し、新世界の魅力で夢の中で射精させること。職務を全うするなら僕が他の女で膣内射精したってかまわないはず?」

 「あーうー! 私情よ! 私情挟んでるのよ! 私としてくれなきゃいやあん!」

 「ほお。大切なヘルサたん総統閣下やカリギューラ女王陛下の職務なのに、私情挟んでいいんだ?」

 「ぐっ・・・このお・・・」

 「わーったよ。」これ以上いじめてもしょうがないか。やれやれ。

 僕は自分のベッドに腰を下ろす。

 「わっ、するの? するの? 本当にするの?」美少女ご先祖は嬉々として僕の隣に座った。まったく。

 「じゃっ、じゃあ…童貞野郎のキミにこの私めが直々に童貞喪失とセックスのイロハについて伝授してしんぜよう☆」

 「…。」

 「まずっ! えーと…優しく髪を撫でて私の名前を呼ぶのじゃ。」

 「みーさー…」

 「ちょっ、そこで馬鹿っぽく低い声で機械的にぼそっと呼ばない! もっとこうささやきかけるように優しく、らぶろまんすな感じで!」

 「みぃぃぃさぁぁぁぁ〜ぐえっへっへ…」

 「違う! なんでそう動きが悪代官なのだ! 真面目にやってよ!」

 「…てゆーか、お前に童貞を指南することなんてできんのかよ。経験豊富なのか?」

 「…。」

 「どうなんだよ。」

 「いや・・・その・・・」

 コイツ…経験は皆無か。

 「とッ、とにかく優しくしてよ! ムードを高めて、熱々になったところでひとつに繋がるんだからあ!」

 「ったく。」

 僕はみさの髪を優しく撫で、頬に指先をつつっと這わせる。

 「どうして江戸時代の人間なのにパーマとかかけてるの?」「幽霊になってから時代の最先端を追って私も好きなようにしてきたのよ。かわいいでしょう。」「まぁ、な。」髷とかつけられて僕の前に出てきた日にゃ、どうしようもなかっただろう。

 みさは僕の横に座りながらしなだれかかってくる。彼女の小さな体を受け止めながら、僕は両手で彼女の全身を優しく撫でさすり始めた。

 15歳の若々しい体は、新世界ならではのみずみずしさというのもあるだろうけれども、美少女のもち肌を完全に再現している。とても幽霊とは思えないしなやかで質感のある肉の感触と、白く光っているが暖かい肌触りがスベスベで心地よい。

 やがて僕とみさは同時にベッドに倒れ込んでいく。ゆっくりとだが、確実にお互いの興奮を高めて、肉体と精神双方において挿入の準備を始めていく。

 これだ! 僕がセックスに求めていたのは、こういうドキドキした二人の愛し合う姿である。バトルとか何とか、よく分からないまま快感だけを与え合うつながりであってはならない。

 僕はみさの股間に張りつき、舌先でオンナ表面を丹念に舐め始めた。幽霊だけに毛が生えていないのか、性器が完全にあらわになっていて、そこから催淫剤の効果によって興奮しきった体液がどんどんあふれ出してきている。

 僕はクリトリスをこねくり回すようにしながら、指と舌でワレメの奥まで丁寧に刺激してやる。空いた手で彼女のお腹や胸を優しくかわいがることも忘れない。

 「あはっ…うぅん…もっと速く舐めてっ…そうっ!」みさも腰をくねらせ震えながら快感をその身に浴び、足はだらしなく開いていながら興奮にこわばっていた。

 「ねえ。もういいよ? 私幽霊だから、体重かけて上に乗っても大丈夫だし、中に出しても平気だから…ね?」

 みさはガマンしきれなくなっている。もちろんそれは僕も同じだった。

 僕は彼女の上に乗る。体重をかけてもいいと言っていたが、ほどほどにしておこう。あくまでも優しくいとおしむように、である。

 ペニスがワレメの表面にあてがわれる。角度さえ正しければ、あとはスムーズに入っていくはずである。相手が十分に受け入れる体になっていれば、根本までつるんと入ってしまうのだ。

 「ちょっ! 一気にはダメだよ! ちょっとずつじゃなくちゃ痛…」「あっ、ごめんなさい。」なぜか謝ってしまう。そうか、この娘も、初めてではないかも知れないが、ほぼ経験なしなのだ。気を遣わないとね。

 「あと、上からねじ込むよりむしろ下から持ち上げるような感覚の方が…そう! そこっ! …にゃう!」

 ペニスが真ん中ぐらいにまで入る。僕は腰を引いてゆったりと引き抜くと、さっきよりももっと深く入れてあげる。そして引き抜いてもっともっと深く入れていく。

 そんなことを数回繰り返した結果、ペニスは完全に根本まで、みさの中に入ってしまったのだった。

 「ああっ…」僕は彼女の上に覆い被さり、ほおずりを数回、それ以上動けなくなってしまった。

 みさの中は、あまりにきつかった。ペニスがつぶされてしまうのではないかと思えるほど厳しく締めてくる。それでいて全体がやわらかくて優しく包むようで、幽霊なのにとても熱い。

 「えへへ…入れちゃったね。」「…ああ。」僕たちは見つめ合って、なんだかよく分からない安堵感にお互いに笑顔がこぼれる。

 ッと、こちらがピンチであることには変わりがないんだ。

 みさ相手でも、ここで射精すれば、カリギューラの淫夢に負けたことになる。それに、みさの膣で感極まってあっさり爆発してしまうようでは、オンナの感触に耐えて強くなるという目的は果たせない。ここはガマンだ。

 だが、こうしてお互いの呼吸を感じあっているだけでも、ペニスは高められ、じっとしていながら漏らしてしまいそうなほどきつい。こんな状態で腰を動かしたらたいへんなことになってしまうぞ。

 一体どうしたら…

 いや、ここはやはり、ガマンしながらペニスを出し入れするしか活路はない。

 ゆっくりペニスを引き抜き、そしてゆっくりと根本まで押し込む。刺激が強すぎて、こちらがまいってしまうことのないように細心の注意を払った。

 「ね。別にムリしなくてもいいよ?」みさがとろけるようなかすれた声でささやく。「つらかったら射精してもいいし、ガマンしたいならこのまま動かないでいればいいの。私はそれで幸せだから。」「…!」

 僕は腰を動かすのをやめ、みさの体をぎゅっと抱き締めた。唇を奪い、乳首を舌先で転がし、両手で胸や脇腹を撫でさすってはふたたび強く抱き締め、彼女の体いっぱい愛していく。

 腰の動きは、力強さや任意さがないものの、自然と動いていて、ゆったりと滑らかだ。僕たちの滑らかな動きが、自然とペニスを無理なく出し入れしている状態だ。決して速くなく、ゆっくりナチュラルな動きだったが、みさを悦ばせるには十分だった。

 淫気の影響で、女体は感じやすくなっていて、あっという間に高められていく。ちょっとした刺激だけでも、みさは寸前まで追いつめられてしまうのだ。僕たちのゆっくりした動きでさえ、彼女をあっという間に絶頂に追いやっていった。

 「ああっ! イクっ!」みさは僕にしがみついて膣を締め上げた。それは同時に、彼女がアクメを迎えた瞬間でもあった。

 童貞だった僕が射精せずに済んだのは、ポッティのバリアが効力を保っていたからだった。バリアがなかったら、入れた瞬間に果てていただろう。

 しかし、もしムリに腰を強く振ってしまえば、ポッティのバリアがあっても僕が耐えきれなかっただろう。ミサがイク前に夢精して終わっていたはずである。

 初めてだったから、この動きがちょうど良かったのだ。彼女を慈しむこともできたし。

 このまま入れっぱなしではこっちもまいってしまう。僕はゆっくりとペニスを引き抜き、射精しそうになっているペニスを空気にさらして冷やした。

 「んー☆ すっきりした。」みさは屈託のない笑顔で僕を見上げている。「童貞喪失だね。」「ああ。おかげさまでな。」「でもあなたは射精しなかったんだね。」「ああ・・・悪いがこればっかりは。」

 「くすっ。分かってるよぉ。まだまだ新世界の魅力を伝え切れてないんだもん。あなたもその魅力に気づけば、もっともっと気持ちよくなって、いっぱい夢精するんだから。まだ序の口。ここで負けてもらっても男が廃るってもんだね。」「…。」

 周囲が白く光っていく。いよいよ夢が終わるんだ。

 「…また会おうね?」「えっ…」

 「当たり前じゃない。次はもっと深くなった新世界の魅力をたっぷり教えてあげる。」「まだ登場するの?」「当然! 新世界モードの淫夢でしか私に会うことはできないけど、…待ってるから。」「…。ああ。また会おうな。」

 視界が真っ白になり、もうみさの感触さえも感じなくなっていた。

 ………。

 ……。

 …。

 僕は目を覚ました。

 上半身だけを起こし、奇妙な安堵感に包まれているその余韻を楽しんでいた。

 「みさ、か。」うちには先祖台帳みたいなものはないので、本当に7代前にそんな先祖がいたかどうかは調べようもない。が、別にそんなことはどうでも良かった。

 夢の中で会える。もちろん、カリギューラが見せる淫夢で、しかも新世界モードの時に案内役になるだけの少女だが、また会うのがなぜか楽しみになっている。

 ま。それはそれとして。

 僕はルンルン気分で着替え、学校へ行く用意をした。夢の出来事なのに、ドキドキしっぱなしだし、これがあれば学校でも基地の訓練でも厳しくてもがんばれそうな気がする。

 やっぱり、夢といっても童貞喪失がうれしかった。なんだか自信もついた気がする。

 ぴりりりりり。ぴりりりりり。

 リストバンドから通信の着信だ。

僕:「あ、神谷です。おはようございます。」

佐伯:「おう。どうした、機嫌がいいな。」

僕:「佐伯さん、僕がんばって夢精しなかったっすよ!」

佐伯:「うむ、それは何よりだ。それでだ、さっそくで悪いのだが、出動を頼めるかい?」

僕:「ラジャー!」

佐伯:「場所は…キミの家のそばにある十字路を左に曲がって500メートルにあるアパート、『コーポラフレシア』の二階、右から二番目の部屋だ。そこの住人である大学生が、突然訪問した天国軍団二人に襲われている。すぐ急行してくれ。」

僕:「よし! ナメてる戦隊フザケンジャー!」

 僕は全身赤いタイツに身を包んで、2分くらいで現地に飛ぶのだった。

 アパートのドアを勢いよく開けると、気絶した大学生の上で騎乗位で挿入している女性と、その顔の上にまたがってクンニを強要している女性がいるのを見て取った。

 二人とも全裸であったが、近くの女子校の制服が部屋の中に無造作に脱ぎ捨てられているので、通学中の少女二人がヘルサたん総統に操られて天国軍団となったのだとすぐに分かった。

 「むっ、お前はフザケンジャー!」「さっそく出たな。」

 「…天国軍団。今助けるぞ。」

 女子高生二人は戦闘員のスーツに変わった。

 「フザケンビーム!」僕は大学生の男を回復させ、その記憶を奪った。

 「いまだ!」「りゃああ!」

 次のビームを撃つまでにはエネルギー充填のために数秒待たなければならなかった。僕が一番始めに被害者男性にビームを照射することを、敵はよく分かっている。その隙を突いて、二人が飛びかかってきたのだった。

 僕は若い娘のはつらつとした体に飛びつかれ、あっという間に組み伏せられた。

 そして、さっきの大学生と同じ体勢で、一人がペニスにまたがり、もう一人が顔の上にまたがった。騎乗位とクンニのコラボ攻撃だ。

 だが、残念ながらペニスはまだ挿入できる段階にはないし、仮面での防御によって顔面騎乗のダメージをほとんどなしにすることができたのだ。

 顔面騎乗の娘は作戦を変えた。ムニムニの10代の裸体を僕の上半身に覆い被せ、オッパイやお腹のやわらかい感触を押しつける作戦に出たのだ。

 騎乗位娘はしきりに腰をくねらせ、オンナ表面でペニスをこすってきている。二人がかりの快感攻撃を前に、レッドスーツで守られていても、ついにはペニスが反応し始めてしまう。

 そこへすかさず、女子校生がペニスをオンナに飲み込み始めた。僕は下腹部に力を入れ、勇気を出して彼女の膣を受け入れた。

佐伯:「なにやってんだレッド! はやく脱出するんだ!」

 佐伯長官が叫んでいるが、いつまでも挿入から逃げてばかりはいられないんだ。

 女の子の中は熱くてやわらかい。きつさも相当にある。だが、レッドスーツの防御のおかげで、みさの時のように一気に追いつめられることはなかった。

 僕はムリに腰を振るのではなく、射精することのないように踏ん張りながら、騎乗位娘の出方に自然に合わせることにした。

 彼女は直情的にペニスを締め上げながら、滑らかに上下してヌムヌムとオンナでしごきつづける。経験が浅いだけあって単純な動きだったが、それもみずみずしい女子高生の若い肉体が十分カバーできている。

僕:「佐伯長官。フザケンフィンガーがあるのなら、当然股間にも何か武器が搭載されていますよね。発動させる言霊を教えてください。」僕は落ち着いた声で佐伯さんの答えを待った。股間ではピチピチの女の子が激しく上下してペニスをしごいているが、意識しなければ何とか乗り越えられそうな気がしている。もちろん大半はレッドスーツの防御のおかげなんだけどね。

 いずれにせよ、以前の天国軍団の挿入攻撃で、一瞬で射精してしまった僕とはもう違うのだ。

佐伯:「レッド…よし! フザケンブレードだ!」

僕:「…フザケンブレード!」

 僕は新しい武器を発動させた。

 フザケンソードが男性器型の短剣なら、フザケンブレードはペニスそのものを剣として戦わしめる鋭利な刃物である。それはペニスの長さを倍にまで任意に伸ばすことができ、振動に加えて硬さを倍加させることができる。ペニス自体がバイブするが、ブレード発動後は二重構造になり、振動の刺激がペニスに伝わることがないようになっている。

 「ひいい! なにこれえ!」戦闘員は上半身をのけぞらせ、自分から動いてペニスをしごくことさえ忘れて、恍惚の快感に痙攣を起こしてしまった。電流が敏感な膣内から全身に流れわたり、戦闘員はそのまま気を失って、後方に倒れ込んでしまった。

 「なっ!?」僕の上半身に抱きついていたもう一人の戦闘員は驚愕した。

 彼女の目の前にあるのは、30センチを優に超える長くて硬い、振動する男性器だったのだ。

 「とう!」僕は身を翻して、女子高生戦闘員を押し倒すと、両足を拡げて、ペニス先端をオンナ表面にあてがった。

 「フザケンフィンガーと併用だ!」

 振動する指先が女の子の両乳首をまんべんなく刺激し、オンナ表面とクリトリスにも振動する強力な亀頭が滑っている。挿入などしなくても十分倒せる相手だった。

 「あひい!」戦闘員はあお向けのまま気を失ってしまった。

 「もももももー!」

 「!!」

 アパートの扉が乱暴に開かれ、青い肌をした女が飛び込んできた。

 「ぐっ・・・コイツはまさか!?」

 「…。そう、天国軍団50人分に匹敵する魔性の怪人。スマタ怪人ふとももん。」

 怪人の後ろから、ささやくような、少しかすれた静かな声の女が入ってくる。

 「お前は…」

 「…。」

 「一体何者なのだ。名を名乗れ!」

 「…ボウイ…」本当に静かな声だ。天国軍団二人が倒されたあとだというのに表情ひとつ変えない、青髪のツインテール美少女だった。白いフリフリのドレスを身にまとい、頭にも白く小さな帽子を乗せている。水色のフチの眼鏡をかけているおとなしそうな娘だ。

 「もももー!」

 怪人が興奮している。今にも飛びかかってきそうな勢いだ。

 「…。怪人には言語能力はない。でも、『お前を必ず射精させてやるぜベイベー』って言っている…。」

 「ちょっと待て。コイツはモモモとしか言ってないだろ。なんでベイベーまで分かるんだ。」

 「…。」

 ボウイと名乗る女性は何も答えなかった。本当に無口な女の子だ。

 天国軍団とは貫禄がまったく違う。かといって怪人でもない。いや、むしろ怪人以上の立場であることが、立ち位置から察知できる。

ポッティ:「まずいぞレッド! すぐにそのアパートから避難するんだ。そいつはボウイ。ヘルサたん総統の右腕とされる上級淫魔だ! 今の君の敵う相手じゃあない!」

 くっ、これが将軍クラスの、敵の幹部の圧倒的な貫禄か。たしかに、静かで無表情なたたずまいながら、僕を押しつぶしてしまいそうな圧倒的な底力を感じる。

佐伯:「上級淫魔と言っても、人間界に来るために魔力を相当にセーブしている。まだ元の力に戻っていないようだが、それでも相当に回復しているようだ。一体どうやって…」

ポッティ:「おそらくこ奴は、人間界で密かに男を喰いあさってきたのだろう。その一見清楚な雰囲気で男性をだまし、精を根こそぎ吸いつくす。早く逃げるんだレッド。そいつのその姿は人間の女性を模したかりそめの姿。そいつが本気を出し、覆面の“戦闘モード”になったら、いくらフザケンジャーレッドでもひとたまりもない。」

 くっ!

 僕は窓を開け、アパートの二階から飛び降りた。レッドスーツは落下の衝撃さえも吸収してくれる。

 僕は基地に向かって全力疾走した。もちろんフザケンズックの力を借りている。

 「もももー!!」

 「……まてー、と言っている…」

 後ろからふとももんとボウイ将軍が追いかけてきている。追いつかれてはまずい。

 やっとの思いで、命からがらと言うべきか、クラムボム公園にたどり着いた。だが、すぐあとに、二人に追いつかれてしまった。絶体絶命だ。

 「ももももー! ももー!」

 「…………。やっと追いつめたぞー。覚悟しろー…と言っている…」

 「あー、もうコイツの言葉翻訳しなくてもいいから。何となく分かるし。」「…。」

 怪人がじりじり迫ってくる。しかし、それと対照的に、ボウイ将軍は徐々に後ずさりしていった。

 「…私にはまだやるべきことがある。お前などふとももんで十分だ。死ぬまで女の生足で射精し続けるがいい。…さらばだ、フザケンジャーレッド…」

 ボウイは僕とふとももんが戦うことになったのを見届けると、静かに捨て台詞を吐いて、すうっと消えてしまった。

ポッティ:「奴は空間から自分の存在を消す能力を持っている。もはや別の場所に逃げたあとだろう。」

佐伯:「むう。レッド、将軍がいなくなったのはむしろチャンスかも知れない。せめてその怪人を倒し、メカニック・ヘルに一泡吹かせてやるんだ。」

僕:「…。ら、ラジャー…」

佐伯:「不安に思うことはない。メカニック怪人はたしかに強力だが、フザケンジャースーツはもともと怪人に対抗できる力を備えているのだ。本気で戦えば、きっと勝てる。勇気を持つんだ。」

僕:「勇気…」

 そう、ヤルしかない。戦うしかない。僕は勇気を振り絞って、青い体の怪人と向き合った。

 全身がペンキのように青い。はじめから裸の女だ。体も大きめで、185センチくらいある。しかし、それ以外は、人間と同じ美しい女性であった。

 ただ、すらりと細く引き締まった生足と、むっちりした内股が滑らかで気持ちよさそうだった。

佐伯:「気をつけろレッド。怪人は天国軍団とはわけが違う。攻撃力は戦闘員のおよそ4倍。レッドスーツを身につけていて防御していても、女のやわ肌の感触を感じまくってしまうだろう。防御力も4倍、並の責めではダメージを与えられない。そして精力は10倍にも達する。簡単にはイッてくれないぞ。」

僕:「…了解。」

佐伯:「快感をなるべくこらえ、なおかつフザケンフィンガーやビーム、フザケンソードで応戦しながら、徐々に敵精力を削っていくのだ。とくに奴の足には注意しろ。ふとももで挟まれたら脱出だけを考えるんだ。」

 「もももももー!」ふとももんが走ってくる。僕は身構えた。


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