Tweet


ナメてる戦隊フザケンジャー!


第9話 杉戸村伝説の恐怖! その1



 飛び込んだ畳の部屋はがらんとしていた。畳は古く、ところどころへこんでしまうものの、不思議と汚れがほとんどなく、そのまま寝転んでも大丈夫そうなくらいに掃除が行き届いていた。

 懐中電灯であちこちを照らしてみても、廃屋とは思えないくらいにきれいだった。たしかに何年も何年も人が住まず、あちこちが朽ちてしまっているのだが、その一方で、どこにも埃が溜まっていないで、裸で歩いている僕が「汚い」と思わないという不可思議な状況なのである。もちろん虫やカビのたぐいはまったくない。

 誰かが掃除している、というよりは、埃そのものが溜まらない、汚れそのものがはじめから付着せずに悠久の時が過ぎたような感じだ。

 色情霊たちがせっせと昼間掃除しているというならかわいいのだが、彼女たちはむしろ、霊障によって、どこでもセックスができるよう、裸でどこで寝転んでも大丈夫な状態を作り上げているのである。

 あちこちを懐中電灯で照らす。一昔前の日本家屋の部屋だ。襖があり、その横に床の間がある。壁際に1メートル四方の障子が取り付けてあり、あちこちが破れて外が見えている。この障子を開けると、窓になっていて、外の空気を入れられるようになっているが、窓は完全に外れ、枠ごとなくなっている。

 畳は四畳半。端っこのところが沈んでいるが、とくに虫がわいているわけでもなければ、雑菌で黒ずんでいるわけでもない。普通に手で触れたり、寝転んだりができた。もちろん、こんなところで寝転んでしまえばあっという間に性霊の餌食なので、手で触れるだけにとどめておく。

 床の間に写真が飾られている。若い女性だ。ああ、この子は、さっき僕にしがみついてきた女の子だ。彼女はこの家の娘だったのか。

 「ん?」写真立ての裏側に何か挟まっている。板を外し、写真立てから写真を取る。すると、写真立ての板と写真との間に、小さな紙きれがたしかに挟まっていた。

 「安西エリカ(21)…弟はどこに?」紙きれにはそう書いてあった。安西エリカとは、きっとあの幽霊の名前だろう。弟はどこに、というのはどういうことだろう?

 おそらくは彼女の弟が行方不明で、姉であるエリカがその弟を捜しているということだろうか。

 ほぼ間違いなく、弟は色情霊に吸いつくされているはず。その証拠を探せばいいのかな。

 写真立て意外に別段変わったところはなさそうだ。襖を開け、中を確認するも、何も入っていないしもちろん誰もいない。

 「!?」部屋を出ようとすると、奇妙な違和感に襲われた。

 部屋にほのかに甘い香りが立ちこめている。お菓子のような香りではなく、花の密のような自然な甘さだ。心臓が高鳴ってくる。生暖かい風が、窓際の障子の破れ目から優しく吹いている。破れた障子の紙がかさかさと小さな音を立てる。

 僕は障子を開け、外をのぞいてみた。

 「こ、これは…!?」

 窓が完全に外れ、外にそのまま出られるようになっている。そこから外の様子が一望できるのだ。

 真っ暗だった外のあちこちが、青白く光っている。蛍のような、淡い光だが、その光を発する“物体”の大きさと人数のせいで、街のあちこちに電灯が照らされているように、くっきりと明るくなっているのである。

 町中に、青白く巨大な蛍が輝いている。蛍の正体は、若い娘たちであった。

 道路、家の前、畑、あちらこちらに、青白くほのかに光る美少女たちが歩き回っている。生気がなく、目的があるわけでもなく、うつろな表情で、ゆっくりとうろうろ歩いている。

 服を着ている娘もいれば、半裸や全裸の子もいた。

 「くっそ…外は色情霊だらけだ。」光っているために、遠く集会所や学校の方まで蛍が蠢いているのが分かった。その数はゆうに、200体以上。

 窓の外すぐそばに、上半身裸で水色のロングスカートをだらしなく着崩した女性が立っている。彼女は僕の姿を認めると、上気した顔で僕に向き合い、Aカップの乳房を見せつけてじっと見つめてきた。控えめな胸だが、肌はとてもツルツルで触り心地が良さそうだった。

 女霊はそれ以上何もしてこない。襲いかかってくるわけでもなさそうだった。

 その代わりに、ほのかな甘い香りが僕を包んでいる。間違いなくこの香りは色情霊たちから発せられていた。男を誘う淫気のたぐいだ。

 だがそれは、昼間にボウイ将軍に嗅がされた小瓶のように、強制的に弱体化させる魔性の香りとは違っていた。あの小瓶は強制的に性欲を増強せしめ、玉袋の精子を急ピッチで生産させるような、強引な匂いだった。

 色情霊の発する淫気は、もっとナチュラルなもので、心臓を高鳴らせ、女体の魅力に敏感になるものだった。催淫剤というより、心をくすぐる惚れ薬のようなもので…どちらも媚薬なのだが、強制的に性欲につき動かされるのではなく、その女性を好きになってしまうよう仕組まれる香りなのだ。

 女を見ればその魅力に心をつき動かされる。一時的にでも、その女を前にドキドキしてしまう。体を犯す薬剤ではなく、心を犯す霊的な香りだった。

 股間の奥がじわりと痺れた。この香りのもうひとつの効果は、容易に想像できた。別段玉袋に強制的に液量がパンパンになるよう仕組まれるわけではないものの、急ピッチで精子が生産されることもないけれども、その一方で、男性の生理的機能である「一度射精したら終わり」という機能がストップするのである。

 通常男性は、一度射精すると、疲れ果ててしまう。玉袋が枯渇し、脳からプロラクチンというホルモンが出て、急速に性欲を消滅させるのである。が、色情霊にとってはこの機能は邪魔である。

 射精したとたんに、すぐまた射精できる機能が欲しいところだろう。そしてこの香りは、男性の機能をそのように作り替えてしまう力があるのだ。イッたとたんに体液を補充して、すぐにまた復活し、何度でも出すことができるようになったのだ。

 ただし、淫魔のようにすぐに溜め込まれて性欲につき動かされるのではなく、あくまで、心をくすぐって「僕の方から」その相手を抱きたいと思わせ、射精したいという欲求によって射精するようになっている。

 つまり、僕が気をしっかり持ちさえすれば、セックスを拒否できる状態だ。逆にこちらが気を許してしまえば、相手に惚れ込み、我を忘れて女体にむしゃぶりついてしまう、危険な香りであった。しかも何度でも抱き続けることができる。

 心臓を高鳴らせ、すぐにときめく状態で、魅力的な美少女たちが目の前にいて、その相手を好きになり、心底愛してしまう。それでいて相手もさまざまな誘惑をしてくるので、大好きな女性を前に、相手も誘っているのに、それをあえて拒否しなければならないのはつらいことだった。

 きっと多くの男性が、その誘惑に勝てず、拒否しきれずに、毎晩毎晩、何度も何度も、何人にも何人にも、精を放出してきたのであろう。その結果衰弱し、謎解きができずに散っていったに違いない。

 そしてもう一つ、特筆すべきことがある。

 外を歩いている性霊たちは何もしてこない。おそらく外に出て次の建物に行く時も、彼女たちは一斉に襲いかかってくることはないだろう。あとはこちらの心次第、そばにいる女性の体を凝視せざるをえないだろうけれども、その肢体を目の当たりにして欲情せず、いくら心臓が高鳴ってもセックスを拒否する心の強さがあれば、外で肉欲にまみれることはない。

 ただし、その誘惑は相当に強烈なはずである。数多くの裸体が僕の目の前で踊ることになるからだ。それに勝てるかどうか、正直自信がない。

 外の色情霊は無差別な誘惑攻撃によって、僕をセックスへといざなうが、「屋内」の色情霊は、これとは勝手がまるで違うということ。

 さっきの安西さんの霊のように、家やビルの中にいる色情霊は、僕の姿を認めると、有無を言わさず襲ってくる。淫気が外から流れ込んでいるために、また室内の霊からも甘い香りがほのかに漂うせいで、心臓が高鳴るのは変わらない上、積極的に抱きついて、体をすり寄せ、しつこくしつこくセックスを求めるであろう。

 安西さんの時はとっさに逃げたために事なきを得たが、その先はどうなるか分からない。建物の中に入ったら、襲われないようにしっかり逃げるか、水晶の光を頼りにしてそもそも幽霊に遭わないようにするしかない。

 とにかく、村中に霊障淫気が漂っていて、僕の体もすでに心から犯されている。僕がこの村に迷い込んだことを知った性霊たちが一斉に村中に現れたのだ。

 さっき外で、ひたひたと僕のあとをつけていた霊魂。そして安西さんの霊。さっきまでは、どちらかというとフライングに近く、他の霊よりも先に僕の姿を認めてあらわれてきたのだろう。だが、単体では霊力が強くないので、外のひたひたは姿が見えず、きっと安西さんも僕を強制的に犯すほどの力を持たなかったのだろう。

 だが、今はもう違うはずだ。

 僕が村を一通り歩き回ったせいで、色情霊たちは僕の存在に気づき、一斉にあらわれたのである。ここから先は、彼女たちの本領発揮となる。そんな中で僕は、ふたたび村を探索し、謎を解かなければならないわけである。

 おそらく謎を解く手がかりは、建物の中にしかない。だからこそ、外の霊たちは誘惑のみ、室内は逆レイプの嵐となるのだ。虎穴に入らずんばなんとやら、手がかりのある室内の方が誘惑は苛烈というわけである。

 僕は障子を閉め、部屋の外をそっとのぞいてみた。玄関先に青白い光がある。安西エリカだ。そのまま玄関から外に出ることはできそうにない。

 それに、もっとこの家を探索しないと。

 魅了除けの札があるために、色情霊の姿を見たとたんに暴走して彼女たちに飛びかかってしまう衝動は抑えることができている。この御札がなければ、僕はとっくに色情霊たちの虜だっただろう。この香りの力がなくても、色情霊の霊気だけで、男は暴走してしまうのである。

 だが、淫気そのものは、魅了除けの札で防止することができない。暴走しない代わりに心が試される。女の色香に迷いやすくなっているからだ。直接的に心を奪うすべを知っている霊体たちは、また、魅了除けの札で男たちがなびかないことも知っている。だからこそ、この淫気を編み出したのだろう。

 とにかく、エリカに襲われないように、別の部屋を探索するしかない。

 この部屋と隣の部屋の間に、細い上り階段がある。小さいながらも二階があるみたいだ。隣の部屋は台所兼リビングのようだ。その奥がエリカのいる玄関となっている。

 反対側を見ると、廊下の突き当たりに小さな扉がある。おそらくトイレだろう。その側面に脱衣所が見える。風呂場があるんだ。

 僕はそっと歩き、エリカに気づかれないように階段を上っていった。

 二階は一部屋だ。厳密には両側に二部屋あるのだが、片方は倉庫のようになっていて、がらくたが雑然と置かれ、入れなくなっている。

 僕は水晶に気をつけながら、入れる方の部屋に入った。

 部屋は畳ばり。壁際に学習机がある。窓には何枚もの板が打ち付けられ、開けられないように密閉されていて、そこにボロボロの御札が貼られていた。破れきっているため、もはや霊験はなさそうだった。

 空の本棚がある。その横にタンスがあった。タンスを開けてみると、ほとんどが空っぽで、何も入っていない。1カ所小さな引き出しに、一枚だけトランクスが丸められて入っている。それは畳んで収納されているというより、何日も洗っていないでガビガビになっている汚い男物の下着であった。

 襖があり、ぴったり閉ざされている。その奥はきっと押し入れだ。

 僕は学習机の引き出しを開けた。鋏や鉛筆といった道具が散乱している。これといってめぼしいものは…

 何かがおかしい。引き出しは30センチ近くの深さなのに、文房具が入っている中身の方は10センチくらいしかない。つまりこの下に、何かが収納されているんだ。

 僕は文房具類を取り出し、机の上に置いた。板が外れると、さらに二重底になっている内側が見えた。

 そこにノートがある。僕はノートを手にとって読んでみた。弟の日記のようだ。

 「引っ越してきた初日に気づくべきだった。」書き出しからして、間違いなくこの家に住んでいた姉弟の、弟が書いたものであろう…


 ・・・両親は僕たちを残して九州へ出張、向こうのアパートで暮らしている。せめてお父さんお母さんが無事であったことが救いだ。

 だが、僕たちはきっとこのまま、この村に殺されてしまうのだろう。

 この村に移り住んだのは、自然が豊かで、家が安価で、それなりに施設が整っていて、僕たちが都会の誘惑にさらされないようにするためだった。両親の仕事の関係上、あちこちを引っ越し続けたが、僕たちも成長し、転校続きの生活も終わりを告げた。

 落ち着いたところで、僕たちをこの地に住まわせ、両親だけ出張し続けるスタイルを選んだのだ。

 その生活スタイル自体は間違っていなかったが、選んだ土地を間違えたのだ。

 初日から、僕の体に異変が起こった。それまでめったに起こらなかった夢精が、週一回のペースで起こるようになった。たわいもない淫夢で、見知らぬ女がヘソを出してゆっくり妖しく踊っている姿を間近で見るといった、瞬間的な夢だけで夢精をする状態だった。

 おかしいと思い始めた頃には、すでに一ヶ月が経過していた。一ヶ月が経つ最後の三日間は、三日連続で夢精したのである。

 恥ずかしかったために一緒に暮らしているエリカ姉には相談できずに、みすみす一ヶ月が経ってしまったのである。

 次の月から露骨に異常が起こった。

 夜になると、パジャマが消えてしまうのである。僕も姉も服を着ていたのに、夜の十時を境に突然、忽然と着ているものが消え、姉弟揃って全裸になってしまうのである。毎晩悲鳴である。

 ああ…あのとき、一度だけ、近所に住んでいた若い男性の警告を効いておけば良かったのだ。あの男は憔悴しきった顔で、すぐにこの村から出て行けと怒鳴りつけてきてくれた。

 その時は、田舎特有のヨソ者排除の論理かと思って取り合わなかったが、彼はすでにこの村の毒牙にかかっていて、あと一歩で衰弱死するところに僕たちが引っ越してきたので、せめて僕たちを助けようと警告をしてくれたのだった。

 だが僕たちは、その警告を無視した。引き続いて警告をする体力が彼にはもうなく、一度きりだったため、僕たちは引っ越さずに住み続けてしまったのだ。

 一ヶ月後より数日が経過し、10時になると僕も姉も裸になってしまうため、姉は早々に自分の部屋に引っ込んだ。弟であっても僕に裸を見られたくはないのだろう。それまで僕は何回か、エリカ姉のあられもない姿を目の当たりにしてしまった。

 一ヶ月と一週間。さらに異変が起こった。

 それからというもの、夢精はしなくなったが、夜な夜な女の幽霊が僕のところにあらわれるようになったのである。

 はじめは寝ている僕のところに女が入ってきて、抱きついてきて、しつこくセックスを求める状態だった。

 全裸になっている僕に裸の女が抱きついてくる。それだけで僕は我を忘れた。毎晩、見知らぬ女を抱き、射精し続けた。

 毎日違う美女がおとずれる。年齢も様々で、小学生から熟女まで、いろんなタイプの女たちが布団に入ってきた。誰もが滑らかな肌で、ふよふよしていて、幽霊なのにぬくもりもあって、僕は毎日幽霊たちに精を放出した。

 女たちの手や足や口や胸や性器が、僕から極上の快楽と引き替えに精を搾り取っていく。女体のすべてが僕を射精させる強力な武器であった。射精をすると安らかな気持ちになり、朝まで眠りこけてしまうほど体力を奪われるのだった。

 姉の方にも異変が起こり始めていた。

 姉の方には男性の幽霊がおとずれるかと思いきや、そうではなかった。彼女のところには誰も訪れないが、その代わりに、裸の姉の体が異常なまでに性欲に苛まれるようになったのである。

 夜の10時にはみんなが裸になってしまう。それからほどなくして、じわじわと姉の体は熱くなっていき、股間から全身にかけて徐々に性欲が疼いていくのである。

 女たちの霊の怨念によるものかはわからないが、夜中、僕が幽霊に犯され快楽にふけっている間、エリカ姉は一人で強烈な性欲に悶絶する。股間がくすぐったく悩ましく追いつめられ、強烈に発情して、火照り、一気に布団がぐっしょりと濡れそぼってしまう。

 強力すぎる催淫剤に全身が苛まれたように、姉は一人で自分を慰め続けもだえ苦しむが、決して、自分の手や道具ではイクことができず、その間中ずっと、一晩中、解消されることのない性的な発情の責め苛みに襲われ続けることになるのである。

 数日もすると、ついに姉はガマンの限界に達した。朝も昼も欲求不満のまま、夜にはさらにイクことのない性欲の疼きに悩まされ続け、初めのうちは羞恥心によって隠されていた夜な夜なの苦しみによって、2,3日後には「相手が実の弟だ」という戒めによって、夜な夜なの淫欲のことを黙っていたのだが、一週間は持たなかった。

 ある日の朝、姉は僕のところに裸のまま飛び込んできて、裸で寝ている僕にしがみついてきた。そして顔を上気させ涙で顔を濡らしながら、夜の強烈な性欲のことを打ち明け、僕に慰めを求めてきたのであった。

 それからは、実の姉弟だということがまったく関係なくなり、毎朝僕たちは強く抱き合い、お互いを慰め合った。

 姉の体は、自分や道具では決してイクことがなく、かえって性欲が強まり禁断症状のようにじわじわと狂わんばかりに追いつめられてしまっていた。しかし、男の手やペニスによる快楽には敏感に反応し、それまで溜まっていた発情の疼きが一気に解消されるのだ。

 姉は毎朝、僕の手で、舌で、ペニスで、何回も絶頂した。僕も姉の生足や胸、手や舌、そして何より女性器の中で、姉を悦ばせつつ精を放出したのだった。僕たちは特別な関係になってしまった。

 一ヶ月以上経過した家庭は、女の性霊たちによって破壊しつくされてしまう。

 セックスに耐えることのできぬ老いた男女は心臓発作を起こして斃れてしまう。

 性的な快楽をその身に受けることのできる男女は色情霊たちに狂わされてしまう。

 唯一、その毒牙にかからずに済むのは、性にまったく無関係な動植物と、あまりに幼い乳幼児のみであった。

 買い物に行くこともあり、小さな村でもあったので、僕の存在は村の多くの人の知るところであった。一ヶ月経つまではおとなしくしていた村人たちも、僕たちが抜けられなくなった頃合いに、動き始めたのだ。

 姉がそれほどまでに夜な夜な苦しめられているということ。そして、姉弟であるにもかかわらず毎朝一線を越え続けるということ。これほどまでにセックスにつき動かされてしまう。一ヶ月後にそうなることを村人たちは分かっていた。

 あの真面目な姉でさえ狂ってしまうのだ。他の村人たちも同じであった。

 村の男たちは毎晩性霊たちに精を放出して眠り、女たちは一晩中性欲に苛まれる。朝になれば、ガマンできなくなった村娘たちが近所の男のところに全裸で駆け込むのである。

 近くに男がいればその男の元に来る。父、兄、弟、息子、友人、クラスメイトや知り合い、近所の者、手当たり次第、誰彼かまわず、毎朝女たちは、狂わんばかりに性欲に疼いて自分では慰めきれず、半狂乱状態で男の慰めを求めるのである。

 まだ色情霊たちに毒されていない男のところには来なかった。当然そんなことをすればその家庭は引っ越してしまい、性欲解消の手段をどんどん失ってしまうからである。

 だが、僕が毎朝姉と抱き合っているという情報は、どこからともなく漏れていき、それからというもの、朝になれば、玄関前に村娘たちが集まってくるようになったのである。あるいは、そんな情報が漏れていなくても、容易に一ヶ月後には僕たちが抜けられなくなっていることを予想できていたのかも知れない。

 姉には僕がいるために外に徘徊することはなかったが、近くに家族や親戚がいない娘たちは、僕の体目当てに毎朝やってくるのである。

 こうして、僕は、夜中に色情霊たちを相手に射精し続け、太陽が昇って昼になるまでは、生身の若い娘たちを相手に精を放出し続けた。

 色情霊たちの数も徐々に増えていく。初めのうちは一人の娘があらわれたものだったし、一度射精すれば眠りこけてしまうのだった。だが、夜を重ねるうちに、一度に二人、三人と色情霊たちは数を増やし、人数分射精すれば色情霊たちは消えていくが、それで眠ることができたのもはじめの一ヶ月程度だった。

 一度に何人もの色情霊たちを抱き、人数分射精すると、そのグループは消えていく、だが、その直後、別の色情霊グループが窓から浮遊して入ってくる。さらに次のグループが入口から現れ、床から、壁から、すり抜けて入ってくる。

 こうして、全員に射精して終わったとたんに次のグループが訪れ、結局一晩中、僕は色情霊たちの甘い誘惑に負け続け、その滑らかな肉体の虜となって射精し続けるのである。

 不思議と、性交中は疲れも枯渇もない。それどころかますます絶倫になり、何度でもイクことができた。

 射精した次の瞬間には、何日も抜いていないのと同じように性欲の虜となり、すぐに次の色情霊の体で射精することができた。

 その疼く性欲は、朝になっても消えることはなく、生きた娘たちの体で、やっと落ち着くのであった。毎朝3人から10人の若い女たちがやってくる。年端もいかぬ子供から30代の女性まで様々だった。近所の学校に通う中高生も若い肢体をくねらせて迫ってくるのだった。

 結局のところ、夜10時から昼12時までは、眠ることも休むこともなく、性霊と村娘たち相手に数え切れないくらいに快楽に浸り、精を奪われ続けることになる。

 さすがに日中になると人間たちは疲れ果て、僕も含めて眠りこけてしまう。日が沈む頃に起き、食事やトイレ、買い物など生理的生活的なアレコレをしているうちに、また戦慄の夜10時が訪れてしまうのであった。

 それにもかかわらず、色情霊の姿を目にすると一瞬で心奪われてしまい、次の日中、村の美女たちに何度も何度も放出するまで、僕の性欲は収まるところを知らず、欲情の赴くままに動いてしまうのである。もはや抜け出すことができないでいる。姉も。

 毎朝おとずれる村の女たちの数がどんどん増えていった。このことは、それまで女体を慰めていた他の村男たちが、衰弱死していっていることを意味している。近くの、性欲解消をしてくれる男性がいなくなり、もてあました美少女たちは、少し遠くても、生き残った男性のところに半狂乱で駆け込むのである。

 僕が色情霊に犯されている夜中の間、彼女たちも性欲に苛まれ、転げ回って苦しんでいる。その間は歩くことも叶わず、朝に少しだけ落ち着いたところでやっと、僕のところに駆け込むことができるのだった。

 昼間はあまり人気のない村であったが、その理由に気づいた時にはもう遅かった。

 3ヶ月もすると、僕にも衰弱が見られ始めた。睡眠時間が短くなり、部屋から出ることができなくなった。眠気は快楽によって妨害され、逆に妙にすっきりしてしまうのである。

 色情霊があらわれるのは夜中と決まっているが、その頃になると、姿が見えなくても、ペニスが四六時中誰かに触られている感覚に陥ってしまう。寝ている間も、わずかな生活の間、夕方から22時の間でさえも、股間は誰かに握られ、しごかれ、咥えられ、挟まれ、そして締めつけられた。

 今、僕がこれを書いている間も、股間は誰かに咥えられている。姿はないが、女の口腔内の感触ははっきりと伝わっている。舌先が亀頭ばかりを舐めしゃぶり、ひっきりなしにじわじわと快楽にさらしているのである。

 今、感触が変わった。この締め上げるような強烈な熱い感覚は挿入時と同じだ。

 いつ射精してもおかしくない体になってしまったため、僕は服を着ることができず、トランクス一枚だけを身につけ、部屋から出る体力もなく、正気の時間帯の姉が持ってくる食事だけで命をつないでいる。かろうじて排泄ができる程度で、それも這ってトイレに進むくらいだ。

 こんな体なのに、セックスの時だけ元気になる。そしてその反動で、ますます衰弱が激しくなっていく。しかも、衰弱している僕に、容赦なく毎日毎晩、数え切れない幽霊と人間が抱きついてくるのである。その余韻なのか、解放されているにもかかわらず、ペニスだけは快楽を引き継いでしまっているのだ。

 他の男たちもきっと、同じように衰弱死していったのであろう。

 僕ももうすぐ死ぬことになる。そうなれば、残された姉がどうなるかは想像がつく。しばらくは遠くに生き残っている衰弱男のところに出向くだろう。だがその男ももうすぐ死に、村に男がいなくなるであろう。

 そうなれば、いよいよ毎晩強まっていく性欲の疼きが決して解消されなくなる。ほどなくして、発狂死してしまうのは確実だ。エリカ姉がかわいそうだ。だが、どうすることもできない。

 ああっ、神さま! 僕たちを、村を助けて!


 …。

 …。

 ノートの文字はここで終わっている。長い文章であったが、一気に書き上げられたものではなく、何かを残そうと思って、弟が少しずつ、ノートに村の様子をまとめてくれたみたいだ。

 間違いなく、この村は呪われている。ただの霊障という規模ではない。これは間違いなく魔王クラスの悪魔が働きかけている!

 カリギューラ…いや、あいつはその頃、佐伯長官の種の計画で忙しかったはず。ということは、このような残虐非道な仕掛けを作ったのは、ヘルサたん総統だろうか。あるいは第三の魔王だとでもいうのだろうか。

 とにかく、この村の女たちがみんな色情霊にさせられてしまうカラクリは分かった。

 彼女たちは毎晩性欲に苛まれ、これを解消する手段を得ぬまま、ますます狂わんばかりに強くなる疼きに狂い、生きた男のところに半狂乱でしがみつくことでかろうじて精神と生命を保っていたが、その男がいなくなれば、やがては狂ったまま精神的なショックで死んでしまう。

 それほどに強い性欲を残しながら悶絶死すれば、その魂は浮かばれず、男を求めて徘徊する色情怨念となるは必定であった。

 本当に、ひでえことをしやがる!

 僕はノートを机にしまった。

 あと押し入れを調べていなかったな。そこを調べたら一階に降り、この弟の姉である安西エリカの霊に遭遇しないようにしながら、さっきの部屋の窓から外に出よう。

 押し入れの襖に手をかけた時、水晶がピンク色に光った。その光はさっきよりも強い!

 「!」

 しまった!

 僕の真後ろに安西エリカが裸で立っている! いたずらっぽいニコニコした笑顔で僕にしがみつくと、ぎゅうっと体重をかけ、僕を押し倒そうとしてきた。

 「だめ! 離して!」背の低いエリカ姉は、年上のはずなのに子供っぽい顔立ちで、体つきもぷにぷにしている。太っているわけではないが、女性らしい肉付きの良さで、ぐううっと体を預けてきて、僕の抵抗を振り切って押し倒してくる!

 がたん! 押し入れの襖が乱暴に開かれた。そこは上下仕切りのない狭い空間で、下に布団が敷かれてあった。弟は押し入れで寝ていたのだろうか。いや、これは僕のためにあつらえられたのであろう。そこで弟が寝ていた痕跡がなく、敷き布団だけがきちんとキレイに敷かれていたからである。

 そして、その場所には、エリカの他にもう一人、年上の美女が裸で寝ていたのである。水晶が強く光ったのは、エリカ一人ではなく、他にも色情霊が潜んでいたからであった。

 エリカが幼児体型でふにゅふにゅしているのに対して、セミロングのおねえさんのほうは硬く細く引き締まった体であった。

 僕に背中を向けお尻と生足を強調つつ、顔をこちらに向けている美女は、細身ながらスタイルがとても良かった。足が細く引き締まっていながら、お尻はふにゅっと大きくやわらかそうだ。生足もツルツルで、ふくらはぎも足首もすっと細く引き締まっていながら滑らかなのだ。おとなのOL風の美女であった。

 僕の抵抗も空しく、子供っぽいエリカの体に押され、僕は押し入れの中に押し込められてしまう。

 僕が体勢を整えて起き上がろうとする前に、OL風美女のお尻が僕の股間に張りついた。腰全体をぴっちりと覆う女のなまの肌が、僕の股間を直撃し、その瞬間だけ、ぴくっと動きが止まってしまう。ペニスがおねえさんのお尻にくい込み、その快感によって、一瞬だけ、我を忘れてしまったのだ。

 その瞬間を色情霊たちは見逃さなかった。

 エリカが僕の背中にはりつき、首すじをキスで吸いながら、ぎゅううっと強く抱きついてくる。その勢いで僕の体は、OL美女の背中と強く密着してしまう。

 僕の体を、横向きに二人の美女が挟み込み、包み込む。狭い押し入れは、僕たち3人でいっぱいになり、身動きが取れずみっちり詰まってしまった。

 エリカが僕の背中や首や耳の裏に吸いつきチュッチュッと甘い唇を押しつけながら、しきりに柔らかな大人の乳房を押しつけこすりつけてくる。魅了除けの御札のおかげで、瞬時にして色情霊に心奪われることはなかったが、前後を女体に挟まれ、その滑らかでやわらかで心地よい感触に包まれると、その甘い肉体の誘惑に抗うことの難しさを改めて痛感させられるのであった。

 「くすくす。ね、さえちゃんの体、スタイルいいでしょう? 好きにしていいんだよ?」エリカの甘いささやきが耳をくすぐる。どうやらOL風美女は”さえ”という名前らしい。

 さえのお尻にペニスを埋めてしまいながらも、なんとかして脱出しようともがく。だが、もがけばもがくほど、甘い女体のやわらかい感触が刻みつけられるばかりで、容易には脱出できない。前後からきつく挟み込まれ密着してしがみつかれているために、起き上がることもままならないのである。

 情けなくもペニスが反応してしまう。ペニスはひっきりなしにさえ姉のお尻に密着し、ぐにぐにと蠢いて揉みしだかれ続けていたのである。さえ姉の頭に顎を乗せる格好で抱きついていた僕の男の部分が反応するのも無理はなかった。

 僕はなんとかして逃れようと、起き上がろうとするものの、その都度エリカ姉がしがみついてグッと抑えつけ、さらに強くペニスをさえ姉のお尻に押しつけてくるのである。さえ姉も腰を突き出してペニスをぐにぐにしつつ、背中のスベスベを僕に刻みつけてきた。

 スタイルのいい美女の足を思わず触ってしまう。滑らかでツルツルしていて、それでいて吸いつくようなもちもちした感触。きゅっと細く引き締まった太ももなのに、筋肉の硬さはなくどもまでも指がめり込んでしまいそうだった。

 そうなるともう止められなかった。ペニスは彼女のお尻から股間へと誘導され、生足の間に包み込まれると、左右の足を交互にスリスリされ、さらにいきり立たせられる。

 「ああっ…気持ちいっ…」僕はぶるるっと震えるとそのまま脱力してしまった。

 エリカ姉はグッと両足を突き出し、僕の腰を前方に強く押し出した。これとタイミングを合わせるようにさえ姉も腰をぐにっと突き出してくる。

 その勢いで、ペニスはいともあっさりと、さえ姉のオンナにめり込んでいってしまった。

 強く甘美な締め上げがペニスを襲う。幽霊なのに熱い肉の筒は、ペニスを根本から包み込んで、根本から先端までを優しく揉みつつぎゅうっと絞ってくる。

 エリカ姉が僕の腰を太めの両足を駆使して勝手につき動かしてきた。エリカの生足が僕のお尻を挟み込み包み込み、ぐっぐっと腰を振って僕の腰を動かし続ける。

 するとペニスは、僕の意思とは関係なく、勝手に前後させられ、さえ姉のオンナでかき乱されてしまうのだ。

 小刻みですばやい動きがしばらく続いたかと思うと、根本から先端まで深くゆっくりと動かされる。これを交互に繰り返された。そのたびにペニスをしごくオンナのうごめきは変幻自在となり、さまざまな刺激で快楽をつむぎ出してくる。

 僕の体は女体に包まれたまま、彼女たちに腰を振らされ、どんどん高められていく。幽霊の膣は人間のそれよりも締まりがよく、ヒダの数も人間離れしていて、それでいて暖かく吸いつくなまの感触がこれでもかと刻みつけられている。明らかに人間の時よりも死後の時の方が名器そのものであった。

 「あ! ダメ! 離してえ!」イキそうになった僕は強く腰を引いてペニスを引き抜こうとする。

 「だぁめ☆」エリカ姉が無理矢理腰を突き出し、力強く僕の腰を押し戻すと、ペニスはふたたび根本からさえ姉の中に押し込まれてしまう。

 「おねえさんのおマ●コでイクのよぉ?」さえ姉はぎゅうっと締めつけながら、お尻のやわらかさを僕の腰全体にさらに強く押しつけてきた。

 そしてエリカ姉の戦慄の動きで、ゆっくり深く、さらに小刻みに早く、交互に腰をゆり動かしてきた。

 ガマンしなくては。これは杉戸村伝説ではあるけれども、その一方でカリギューラが見せる淫夢でもある。ここで出してしまったらまた夢精してしまうのだ。

 なんとか脱出しないと。僕はふたたび腰を引いて、ペニスを引き抜こうとした。

 だが、またもやエリカ姉が腰を押し戻してきて、さえ姉のオンナに押し戻されてしまう。さえ姉は細い生足を僕の足にこすりつけながら、さらに名器ぶりを発揮してきた。

 「あああ!」すばやくペニスが出し入れされ、射精感が体中を駆けめぐる。イク直前の多幸感が全身に広がる。

 その直後腰のゆっくりがゆっくり滑らかになり、じわじわと性感神経のすべてに女体の神秘をたたき込んできた。

 そしてまたマシンガンのような突きにさらされてしまう。

 すばやい動きの時には直情的なしごく快感を僕に与え、滑らかなゆったりした動きの時には名器の細胞の感触をじっくり堪能させてくる。その交互の動きが僕を徹底的に追いつめた。

 「おああ!」僕はのけぞるようにして体をぴんと張り詰め、全身を覆い尽くす快感の渦に思考を停止させた。そんな僕を後ろからエリカ姉が優しく抱き締め包み込んでくれる。

 ペニスがはじける。さえ姉の膣内に体液がどんどん送り出された。射精の快感は通常をはるかに超え、イクよろこびは天国そのもの、1分以上射精し続けてしまった。

 「ああ…」おねえさんの細い足を撫でさすりながら、射精し終わった僕はぐったりとさえの背中にしなだれかかった。

 するとさえ姉はペニスを引き抜き、グッと背中を僕に押しつけてくる。その勢いで僕は半ば上向きになる。背中にはエリカ姉のふくよかなオッパイの感触が、どこまでもやわらかくめり込んでくるのだった。

 背中に張りつく女体の感触が、僕を奇妙な安心感へといざなった。やわらかで心地いい胸や手足が、僕の背中やお尻にあらためて刻みつけられる。

 弟のノートにもあったとおり、ここでは何度射精しても元気なままだ。カリギューラの淫夢も手伝って、僕はふたたび、射精前と同じ性欲に犯される体に戻った。

 そこへエリカ姉がのしかかってくる。さえ姉は僕の足下に移動する。

 萎えることのないペニスにまたがったエリカは、有無を言わさずそれを膣内に飲み込んでくる。そしてヌムヌムと全身を揺さぶり腰をなまめかしくゆり動かして、ペニスをこれでもかとオンナでしごきたててきた。

 その間中ずっと、さえ姉が玉袋や会陰をくすぐったく舐め回し、さらにお尻の穴や内股に白魚のような滑らかな指先を這わせてくる。

 股間に集中するくすぐったい快感攻撃に、僕は体の奥から高められていく。だらしなく足を開いて脱力したまま、受け身で色情霊の肉体を味わい続けた。

 「ほらほら。気持ちいーい?」リズミカルにすばやい動きで締めしごいて、ひっきりなしの快楽をペニスに送り込み続けるエリカ姉。サポートするさえちゃんの舌の動きも気持ちよかった。

 エリカが僕の胸板にしなだれかかってくる。腰だけを妖しく動かしてペニスをずりずりしながら、最後の仕上げに入ってきた。「このまま中に出してネ♪」

 「あふ!」ふくよかなオッパイやプニッとしたお腹の感触を全身に浴びながら、僕は立て続けに射精させられてしまった。

 「うふふ・・・」「くすくす・・・」女の幽霊たちは満足そうな甘い笑いとともに消えていった。男の精を吸えば、仮に一時的にせよ、色情霊たちは満足して消えていく。時間が経てばまた復活し、男根を求めて永遠にさまよい続けるのだ。

 僕はいそいそと部屋を、いや、安西家廃屋をあとにした。あのノートに書いてあることが本当なら、このあとにおとずれる惨劇は目に見えて明らかだからである。

 一グループの人数分射精すれば、そのグループは消えるが、すかさず次のグループが襲ってくると書いてあった。そんなことになれば、僕はあの家で永遠に精を吐き続けさせられていたであろう。しかも情事のあとの淫気が、色情霊たちを呼び寄せるのもわかりきっている。

 外に出た僕に襲いかかってきたのは、僕の心臓を高鳴らせる濃い淫気と、あちこちに徘徊している誘惑系美少女霊の群れであった。

 女体の美しさといやらしさをことさらに強く感じてしまう効果と、心臓を高鳴らせてその女性に恋してしまう効果を持っている色情霊の淫気は、容赦なく僕の体の芯まで浸透しきってしまっている。

 この効果は、自分の所持している御札で防ぎきれるものではなかった。

 2回射精しているが、そんな程度ではカリギューラの淫夢から冷めることはない。一定時間、精を放出し続けたあとに、やっと解放されるのである。

 出してしまった以上は、すでに、現実において夢精をしてしまっているのだろう。あとは、いかに射精回数を減らせるかが勝負となる。誘惑なんかに負けずにがんばるしかない。

 外の女たちは、やはり家の娘たちと違って、積極的に襲いかかってはこなかった。その代わりに、思い思いの格好で、僕のそばで微笑み、体を見せつけ、しきりに誘惑をしてくるのである。

 僕の方は、淫気の影響もあって、近寄る娘たち一人一人に惚れ込んでしまっている。かわいい女性、セクシーな美少女、子供から大人まで、どの女を見ても魅力的に思える。もちろん、その体も。全体的な丸みを帯びた美しさから、手や足、胸、性器、首筋など、どのパーツも僕をどきどきさせてしまう。

 露骨に襲ってこないということは、こちらから積極的にセックスを求めない限り、彼女たちに精を放出しなくて済むということ。こちらの気をしっかり持っていれば、この誘惑は乗り越えられるのだが、そのことはきわめて困難なことでもあった。

 胸の谷間を見ればドキリとし、見せつけられるやわらかそうな腕や指はついつい握ってあげたくなる。きゅっと引き締まったすらりと長い足を見るにつけこすったり挟まれたりを願望し、背中を見せつけられればそのツルツルの肌触りがおいしそうで凝視してしまう。脇の下からもふくらはぎからも首や顔からも目が離せない。

 ミニスカートをまくり上げるとパンツをはいていない女の子のぷりんとしたお尻があらわになる。ブルマやスク水の内股がやわらかで気持ちよさそうだ。脇の下を露骨に開く女性を見るにつけ、ペニスを挟み込んだり手で撫でさすったりしたくなる。仮にそうしても叫ばれることなく、いくらでも許されると分かっているから、誘惑は甘く響いてしまうのだ。

 ゾッとするほど指のキレイな女性が目の前に現れた。しなやかな手つきで手招きをする。こんな手に触られたら天にも昇る心地だろうと思う。

 僕は彼女たちの間をすり抜けながら、徐々に股間に集まってくる誘惑に抗うのが難しくなってくるのを感じた。心の底から好きな美女が目の前でセックスを誘っている。それを無視して先に進まなければならないのがつらくなってくるのである。

 ペニスは徐々に硬さを取り戻し、僕は前方に隆起した股間をぶるぶる震わせながら、町の中を歩いているのである。

 女の子が3人、僕の前に全裸で立ちはだかった。腰のくびれがなく胸もほとんどふくらんでいない。中学生くらいの娘たちだった。

 彼女たちの胸元、胸の上のするんとした肌、肩、首すじ、ずんとした腰、控えめな胸、おへそ、腰、太もも、ふくらはぎまで、どこも魅力的だった。

 女の子たちは僕に笑いかけながら、無言で性交を誘っている。毛の抜け落ちたツルツルの女性器3人分が、一本のペニスを狙ってワレメをひくつかせている。

 彼女たちの内股を触りたいという衝動を、僕はついにはねのけることができなかった。

 僕は彼女たちの股間に手を伸ばし、ツルツルのふとももを撫でさすった。

 ああっ、なんて心地よいスベスベの肌触り! 僕はすぐに、手ではなく自分の足で、彼女たちのふとももをこすりたいと願望した。

 3人に抱きつくと、しきりに足を動かし、中学生女子の生足の感触に没頭した。女の子たちはそんな僕の動きを受け入れ、優しく微笑んでいる。

 ペニスが彼女たちの横尻に挟まれ、むっちり包まれると、吸いつくような肌の感触にペニスが悦び始めた。

 僕は真ん中の娘を路上に押し倒すと、正常位で彼女に結合した。すると周囲にいた娘や美女たちは一斉に僕の周囲に集まり、僕たちが繋がっているところを興味深そうに、そしてうらやましそうに凝視しながら、僕の全身をやわらかい生手であちこち撫でさすってくれた。

 首も背中も脇腹も足の裏も口の中も、玉袋や会陰やアナルも、女手に埋め尽くされる。すべすべと心地よい感触にまみれながら、僕は自分から腰を振り、娘を犯してペニスを若い膣でしごき上げる。全身に群がる集中集団愛撫との相乗効果で、僕はあっという間に高められた。

 精液が中学生の中に放出される。僕は上から体重をかけて娘の肌触りに感極まりながら、どんどんと精を膣内に提供した。

 出し終わると女たちは離れる。そしてまた、さっきと同じ誘惑攻撃にさらしてくるのである。

 田舎の村であるため、隣の家に行くまでにも相当な距離がある。そこにたどり着くまでの間、僕は若い女たちに囲まれ、しきりに誘惑され、その誘惑に負けて欲情すれば、彼女たちを抱き、精を奪われる。

 その間中、その場にいた女たちは、体の空いているところがないくらいに僕の全身を女手で集中攻撃、射精をサポートしてくれた。

 隣の家にあと少しでたどり着きそうなところに、唇がとてもふにふにした美少女が現れた。それまでさんざんに誘われ、中学生に出しても収まるところを知らないペニスが限界を迎えた。

 僕は彼女に抱きついてキスをする。口そのものが奪われてしまうのではないかと思えるくらいにやわらかで心地よく、とろけるような感触に僕は脱力してしまう。

 すると娘はひざまづき、自慢の唇でペニスをしごき始めた。ゆっくりと滑らかな動きが徐々にスピードを増し、ぷるんとした口周り全体で肉棒をしごきまくられる。

 僕は彼女の頭部に腰全体をあずけ、フェラチオされるままに身を任せていた。すかさず周囲の娘たちが、立っている僕の全身に手を這わせ、すべすべと撫でさすって全身を快楽にさらした。

 安心感と多幸感に包まれた時には、あふうっと悩ましいため息とともに、美少女の口の中で体液を爆発させていた。精液をゴクリと飲み込むと、美少女は満足そうに去っていった。

 やっと次の家だ。今度はもっと古い日本家屋だ。なんだかおどろおどろしい雰囲気に包まれている。朽ちて歩けないところもあるみたいで、大きかったはずの家は半分崩れかけてしまっている。

 いきなり中に入るのは危険と判断した僕は、まず周囲の庭のところを探索することにした。

 庭の片隅に物置がある。まずはそこから探索してみよう。

 水晶は・・・反応がない。まだ大丈夫そうだ。僕はおそるおそる近づいてみた。扉に手をかけると、警戒しながらゆっくり開けてみた。

 ばっ! 「わあ!」物置の中からいきなり何かが飛び出した!その黒い影は僕の股間に飛びかかり、ペニスに喰らいついてきた!

 「ひっ、ひいいいい!」その不気味な姿は、懐中電灯で照らすことさえも憚られるものであった。月の淡い明かりだけで、そのおぞましい存在の正体は明らかであった。

 女の首。しかし、そこから下は動物の体である。大きさ、毛並み、しっぽから、その体が犬のものであることがはっきりしている。つまりこいつは、首だけがショートカットの美少女の姿をした犬なのだ。犬の体に少女の首がついているのである。人面犬だ。

 犬娘は数回フェラチオをすると、いきなり口を離してばっとどこかに走り去ってしまう。その間中、水晶の反応がなかった。

 もちろんあの犬は、この世のものならざる存在であった。だが、それは美少女の姿(首)をしているが、色情霊のたぐいではなく、むしろトラップの一種であった。だから水晶の反応がなかった。この村には、こうしたトラップが随所に仕掛けられているのだ。

 どんなトラップか。ペニスを懐中電灯で照らして、すぐに分かった。

 ペニスが半分くらいの大きさになってしまっている。太さがなく、白くひょろひょろになっている。皮を被ってしまい、勃起力も減退していた。

 つまりあの犬は、咥えたペニスを弱体化させ、包茎化させる化け物だったのだ。勃起してもさっきまでの半分の大きさしかなく、細くなっていて、しかも皮カムリで、快感に敏感なペニスに変えさせられてしまった。

 トラップがあるとはずいぶんな念の入れようだ。これでは色情霊に襲われたらひとたまりもないではないか。まずいことになった。

 だが、ここで手をこまねいていても、何も始まらない。探索を続けるしかない。

 家は半分崩れている。玄関からでなくても、平屋の廊下から十分進入できた。右奥は完全につぶれてしまい、行かれそうもない。それでいて掃除は行き届いていて、寝っ転がっても汚くはなかった。

 行かれそうな部屋は…ふたつだけのようだ。両方とも畳の部屋。右の部屋には古い桐のタンスが置かれているだけのシンプルな部屋で、左は女物の着物が随所に掛けられていて、真ん中に布団が敷いてある。床の間もあった。

 あらかじめ布団が敷いてあるなんて、ずいぶん怪しいじゃあないか。迷わず僕は、桐タンスの部屋に向かった。

 タンスは昔の金持ちの家が所持しているような高級品だ。だが相当に年季が入っており、懐中電灯で照らしても黒ずんでしまっている。

 中には何も入っていなかった。

 だが、桐のタンスの後ろに小さな紙が挟まっていることを僕は見逃さなかった。手に取ってみると、その小さな紙は何重にも畳まれている。

 古い紙なので破かないように気をつけながら、ゆっくりと開いていった。

 「これは…地図かな?」家や道が書かれた地図が見つかった。さっき歩き回った家々とは違う造りだ。つまりこの地図は、現代のものではなく、昔の村の様子を記した地図なのだ。

 だが、地図のほんの一部分のようだ。方角も分からないし、これだけではどこに何があるのか、皆目見当がつかない。おそらく、他にも村のあちこちに地図の切れ端があって、それらを集めて組み合わせることによって、初めて意味の分かる地図になるのだろう。


*地図の一部(1/8)を手に入れた。


 くるりと後ろを振り返った瞬間、水晶がピンクに光った。

 「わ!」突然僕の体は桐のタンスに押しつけられた。

 若い女が飛びかかってきたのだ! いつの間にあらわれたんだ!?

 「くっそ! 離れろ!」僕は女の体を突き飛ばすと、その場を離れようとした。

 だが、女の体は倒れず、空中を浮遊して、ふたたび僕にしがみついてくる。振り払っても、しつこく女は襲いかかってきた。

 裸体が透ける羽衣を身につけた女は、絹のような肌触りで抱きついてきた。犬のせいで感じやすくなってしまっていた僕は、あっという間に勃起させられてしまう。

 女はあでやかな手つきで、僕の両胸を優しく撫でさすり、揉みしだき、そして指先で乳首をくすぐってきた。

 僕は体をくねらせ、手で女手を振り払ったり横にそれて逃げようとした。だが、勝手に開いたタンスの引き出しが僕の両腕をがっちりくわえ込むと、勝手にきゅっと閉まって、僕はタンスを背中につけた格好で立たされ、両腕を横に開いて引き出しに喰われ、そのまま身動きが取れなくなってしまった。Tの字に立たされる。

 女はしゅるりと服を脱ぎつつ、しつこくしつこく僕の胸を愛撫し続けた。僕は腰をくねらせ、じわりとこみ上げる強烈な性欲の疼きに股間の奥がくすぐったくなる。

 すると妖艶な美女は、白魚のような細い指先を駆使して、ペニスの根本をつかむと、右手指先で、ペニス先端部分をかわいがり始めた。

 妖しい笑みを浮かべながら、右手のいたずらな指先が、先端の皮をかき分けて、敏感になっている亀頭に触れて軽くコシュコシュしてきた。

 「あ! ふああ!」先端だけに集中する強烈なくすぐったさに僕な悶絶し、腰を大きくくねらせた。それでも女の指はしつこく先端に吸いつき、先っぽばかりを執拗にくすぐり、撫でさすり、刺激を加えてきた。

 親指と人差し指と中指をたくみに使って、包茎ペニスの皮先端とつまむと、亀頭ごとやわやわと揉んでくる。そのすばやい指先の集中攻撃は、敏感に弱体化したペニスにとっては大ダメージとなる。

 女の幽霊は指先をうまく使って先端を右手でつまむと、皮ごと小刻みにものすごいスピードで、先端だけを執拗にしごいてきた。その刺激にはついに耐えきれなかった。

 28から30歳くらいの妖艶な大人の女性は、すでにペニスのどこが感じやすいかを心得ており、そこばかりを集中的に攻撃することによって男の精を奪う技術に長けていた。

 ぐぽっ! 包茎の皮の間から、白濁液が噴き出していき、女の指先を白く汚していく。

 出し終わると女は満足そうな表情で消えていった。タンスも僕を解放してくれた。

 包茎だったペニスはすっかり元に戻っている。一度射精すると犬娘のトラップは解けるらしい。

 水晶玉は、未来までは予測できない。だから、急に現れた色情霊に対しては対処できないのだ。

 …隣の部屋は危険すぎる。だが、地図の切れ端があるかも知れないという思いから、僕は隣の部屋に出向くのだった。

 注意深く水晶を見る。水晶はオレンジ色に光っている。しかも、相当に強い。二人以上、潜んでいることが分かる。

 部屋の真ん中に布団が敷いてあり、浴衣のような立派な着物がその周囲を取り囲むように飾られている。布団に足を踏み入れるのは危険すぎる。僕は敵に気配を察知されないように、ゆっくりと床の間のところまで足を運んだ。

 床の間に何かが置かれている。赤く塗られた分銅のようなものだった。小さいわりにはずっしり重い。金属でできているみたいだった。この分銅は何かの役に立つのだろうか。とにかく持って行ってみよう。


*分銅を手に入れた。


 「!?」

 水晶はあいかわらずオレンジ色の強い光を発しているが、目の前の布団に色情霊の集団がたむろしていた。

 だが、彼女たちは僕をめがけて襲いかかってくるわけではなかった。むしろ僕の姿など見えていない様子だった。

 性霊たちが餌食にしているのは、別の少年だったのだ。

 布団の真ん中でセックスをさせられている少年がいる。僕よりは年下であろう華奢な美少年だった。14,5歳くらいかな。細い体の男の子に、20代後半から30代前半の女たちが群がっているのである。

 男の子の体も透き通っている。これは、今行われている光景というよりは、この家が朽ちる前に、呪いによって餌食となった男女たちの姿を映し出したもののようだ。着物の女たちばかりということは、時代的にもとても古い。朽ちているとはいえ日本家屋も立派なものだ。

 おそらく昔の名家のお坊ちゃんというところだろう。彼もまたこの村の毒牙にかかり、一つ屋根の下に暮らしていた使用人たちにもてあそばれているのである。

 少年は布団で、年上の美女を正常位で犯している。女の方もお坊ちゃまに体をあずけ、突かれるがままに身を任せている。だがその一方で、彼女の方もしっかり腰を持ち上げてくねらせており、マグロなふりをしてしっかりリードしてしまっているのだ。悶絶しているのは少年の方であった。

 年端もいかぬ、しかし性に強い興味と人生で一番性欲にあふれた少年が、男を食いつくした海千山千の大人の女たちに囲まれて、極上のセックステクニックで悦ばせられている最中であった。

 やがて少年はおねえさんの中で正常位のまま射精したらしい。

 次の女が交代し、布団の上で四つん這いになった。彼女たちの声は聞こえないが、何かを言っていて、少年に何か指示している。少年はそのままバックで美女と結合した。

 お尻をなまめかしくくねらせながら、少年のペニスから精を抜き取っていく。

 女たち7人は少年一人によってたかって性交を強要している。正常位、バック、騎乗位、座位、いろいろな体位でペニスを挿入させ、熟練したオンナで精を搾り取り続けた。

 その様子を、交代待ちの美女たちはぐるりと取り囲み、じっと見つめている。少年は促されるまま、女たちと交わり、セックスの虜となって射精しっぱなしになっている。

 水晶はあいかわらずオレンジのままだ。僕はそっと女の体に触れてみる。触れることができるならここで少年を助け出し、情報を聞き出そうと思ったからだ。リスクはあったが、成功すればメリットも大きい。

 だが、その試みや空しく、僕の手はあっさりと幽霊たちの体をすり抜けてしまった。彼女たちは僕に気づくふうでもなく、その少年に群がり続けている。

 これではっきりした。これは立体映像と同じ、昔の姿を映し出したもので、ビデオ再現に過ぎないのだ。

 少年は突然、布団の下から何かを取り出した。挟み込んであった呪符のようなものだった。

 それを女体に貼り付ける。すると彼女の体は快楽に悶絶し、ほどなくして絶頂を迎え、消えてしまった。

 少年は複数ある御札を女たちに次々と貼っていく。すると彼女たちは性的な快楽にもだえ苦しみ、部屋中を転げ回って、ぴんと体を張り詰めては消えていった。

 少年一人が残り、ぐったりとその場に崩れ落ちてしまう。

 あの呪符は、色情霊に貼り付けるとたちどころに消し飛ばす力を持っていた。

 一人一枚の消耗品のようだが、あれがあったらこの村の探索もずいぶん楽になるだろう。欲しい。

 もしかしたら、このホログラムは少年の魂の叫びが映し出したものではないだろうか。この家のどこかに、まだ色情霊退散の呪符があり、それを後世の人たちの残そうとしたのでは?

 ちょと都合が良すぎるが、ありえないことではない。探してみよう。

 僕は玄関に赴く。水晶の光に気をつけながら、注意深く周囲を探してみる。

 玄関の上に、ひもでつるされた板がある。何かの棚かとも思ったが、そうでもないらしい。

 「あ、分銅!」

 僕は赤い分銅を板の上にのせた。

 ぎぎい…板が適度に沈む。すると、玄関のところから隠し階段が降りてきたのだ。

 やはりあの分銅は、正確にその重さの物を乗せるかぎり隠し階段が表れるようにしている、鍵のようなものだったのだろう。

 階段を上ってみる。水晶がオレンジ色からピンク色に変わった。ということは、この階段の先に色情霊どもがたむろしているということだ。危険だったらすぐに降りよう。

 屋根裏へと通じる隠し階段は、ぎしぎし音を立てながら僕を上へといざなった。屋根裏は、高さ1メートルもない狭い通路のようなものだった。這って進むしかない。

 懐中電灯で照らすと、奥に仏壇のようなものが見えた。小さい仏壇だ。そこへ這って進むような狭い通路が一本延びており、屋根裏の構造はそれがすべてだ。高さも低ければ幅も数十センチくらいしかなく、ずいぶんと狭い。仏壇の周囲だけ小部屋のようになっていて、そこでなら方向転換ができそうである。

 仏壇に札束が置いてあるのが見えた。あれはさっきのホログラムにある呪符ではないか。あそこから取ってくれば、しばらくは魔除けになるぞ。

 水晶の光が消えた。色情霊たちがいなくなっている。今がチャンスだ。

 僕は屋根裏の通路をズリズリ這って進んでいった。数メートルもない短い通路なので、すぐに仏壇のところにたどり着いた。

 仏壇にはたしかに、魔除けの札をみつけた。これを色情霊に貼れば、たちどころに消すことができる。

 だが、遠くから見て100枚くらいありそうだった呪符は、実際には7枚しかなかった。少し盛り上がっていたところに置かれていて遠くから懐中電灯の光だけで見たため、見間違えたのだろう。

 7枚しかないのであれば、無駄に使うことはできないな。もっと別の場所で同じアイテムが見つかるのでもないかぎり、なるべく使わずにとっておいて、ここぞという時に使うことにしよう。


*魔除けの護符を手に入れた(7枚)。


 僕は体をくねらせて方向転換すると、元来た道を這って戻り始めた。

 「!?」

 這っていると突然、僕の体の下に女体があらわれた! いきなり色情霊が下に寝てきたのだ。狭い通路だったため一瞬で抱きつかれ、僕は女体の柔らかい裸の体に密着してしまった。スベスベの弾力の餌食になる。

 「あうう!」僕は全身を持ち上げて、なんとか女体に触れないように先に進もうとしたが、これだけ狭いと、精一杯体を持ち上げても、どうしても裸の美女と触れ合ってしまう。彼女の方もしがみつくように抱きついてきて、僕を下へ下へと引き寄せる。

 先に進もうとしても、こうしがみつかれてしまっては進めない。

 ふもふもと、離れたり抱きついたりの攻防が繰り広げられた。僕の方は逃れようとして体を引き、無理に先に進もうとするが、それを色情霊はしがみついて止めてくる。僕の体は一度軽く女体を離れるが、ふたたびぎゅっと抱きつかれ、彼女の上に強く覆い被さってしまう。

 僕の下の女性の体が僕の下で強くつぶれたり離れたりするのがくり返された。

 やがて、こちらの体が熱く反応してしまう。胸も頬も生足も、しきりに僕の体にはりついて、スベスベの感触でこすりあげてくるからだ。

 ペニスが熱いものに包まれた。性霊はたくみに腰を使ってペニスを無理矢理膣内にねじ込ませてきたのだ。

 狭い空間で正常位結合を果たし、色情霊はたくみに腰を左右にくねらせてペニスをこねくり回し、極上の快楽にさらしてくる。僕は彼女を上から抱き締めたまま、柔らかい肉体にしがみついて悩ましいため息を吐き続ける。

 ほどなくして精液はオンナの中にすっかり吸い取られてしまった。

 色情霊は満足して消えていく。僕は先を急いだ。

 だが、すぐに別の色情霊に襲われた。彼女はうつぶせの状態で、僕の下に突然現れ、ふよふよした臀部の肉でペニスを責め苛む。彼女はお尻をぐっぐっと持ち上げては、ペニスをめり込ませて快楽にさらしてきた。

 お尻の肉の柔らかさに包まれ、揉みしだかれ、勃起したペニス全体をお尻だけでかわいがってくる。腰を上に持ち上げて女のヒップを避けようとしても、すでに僕のお尻が天井に密着、これ以上持ち上げられないところへ、やわらかすぎるふくらみがこれでもかと押しつけられ、ぐにぐにと圧迫弛緩をくり返す。

 滑っていく臀部の肌触りも心地よく、僕は女のお尻めがけて体液を噴きだしてしまった。

 さらに進むと、逆シックスナインの体勢で、女が下からしがみついてきた。彼女は僕の目の前にオンナを見せつけ、僕の頬をふとももで挟み込みながら、首を持ち上げて一生懸命にペニスを口に含んでは執拗なフェラチオ攻撃を仕掛けてくる。

 腰を引いてもムダなのはさっきのお尻で証明済みだ。根本まで咥え込んだ女の口は温かく滑らかで、内部で暴れ回る舌先の攻撃もやわらかくて心地よかった。

 僕は濡れそぼるオンナのワレメを目の前に凝視させられながら、幽霊の口めがけて精液を放出した。

 5人目は逆に、上から僕の背中にのしかかってきた。体重をかけて逃げられないようにし、首筋にちゅううっと吸いつきながら、両手でペニスを揉みしだく。

 僕は床に股間を押しつけて女手を逃れようとしたが、すでに下にもぐりこんでいる柔らかな手はふにょふにょとペニスを揉みしだき、背中やお尻にはりつくオッパイや生足の感触を刻みつけながらペニスを射精へと導いていった。

 やっと階段にたどり着くと、命からがら転げ落ちるように階段を降りた。

 だが、そこに待っていたものは、二人の妖艶な女性だった。

 彼女たちは一斉に僕にしがみつくと、力強い手でぎゅっぎゅっとペニスをしごきまくった。後ろからはりついた一人が、右手でペニスを握りしめると、ぐっぐっと力を込めて丹念にペニスをしごき続けるのである。

 「くっそ!」僕は力ずくで彼女たちを振り払うと、玄関めがけて走り出した。

 だが、そこに二人は飛びかかってきて、そのうちの一人が玄関の扉に回り、逃がしてくれなかった。

 そしてあいかわらず、後ろからしがみついた女性がペニスをしごきたてる。

 もう一人がどこからか透明の膜を取り出し、いきなりペニスに巻きつけてきた。

 「うゎ、なにこれっ! あ、あああっ!!」

 シリコンのような透明な膜は、ぴったりペニスにはりついて取れなくなった。それはぐにゅぐにゅとした滑らかなローションづけのゴム膜のようなものであり、根本から亀頭までをコンドームのようにすっぽり包んで密着、取り外すことができなくなった。

 はじめはローションのひんやりした感触に包まれたが、すぐに熱くなった。

 この膜は、目に見えない細かいヒダと吸引の効果があり、手でしごかれていてもオッパイで挟まれていても、刺激されれば膣内でしごかれるのと同じ効果があった。

 そして後ろの美女が執拗に強い力でしごいてくる。

 その刺激たるや、さっきまでとはまるで違っていた。挿入しているのと同じ気持ち良さが股間から全身に伝わる。女手にじかに触られていないのに、しごく手の動きがやわらかで心地よかった。

 挿入時に出し入れするスピードよりも、妖艶美女の手の動きの方が断然速い。つまり挿入していて同じスピードでしごかれている快感がペニスに伝わってきているのだ。

 ひとたまりもなかった。

 精液がどんどん噴きあふれてくる。「あ…ああっ! すご・・・!!」

 この膜の効果は挿入時と同じというだけではなかった。この膜に包まれて刺激された場合、一度に2回イクのである。精液は止めどなくあふれ、射精の脈打ちスピードも速くなり、それでいてイッている時間が4分以上にもおよんだ。

 その間中女たちは二人がかりで全身をくすぐり、ペニスをしごき、玉袋をかわいがり、アナルに指をねじ込み、そうして体中を優しく撫でさすってくれた。

 転げ回っても幽霊たちはぴったりくっついてきて、生手の攻撃をゆるめない。射精が止まらない心地よさと恐怖で気が変になりそうだった。

 やっと絶頂が終わると、僕はその場にぐったり倒れ込んだ。射精しすぎたのか。意識がもうろうとする。

 周囲の空間が白く濁っていった。ああ、淫夢で一定時間、その間射精しまくって、やっと目が覚めるのだ。

 僕が気を失うと同時に、淫夢から抜け出す力強い感覚が僕を包み込んだ。


前へ      次へ


メニューに戻る(ノーフレーム用