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ナメてる戦隊フザケンジャー!


第16話 さらに深まる戦慄の新世界!

 ………。

 ……。

 …。

 気がつくと、僕は人気のない朝の電車にゆられていた。まだ日が昇り始めたばかり、午前5時30分を回っていたところだった。

 フザケンジャーのスーツが脱げていて、トランクス一丁である。夢の中にスーツは持ち込めないのだ。

 これが淫夢だと即座にわかったのは、目の前に白装束の娘がいたからである。

僕:「…また会ったな。みさ。」

みさ:「うん…。」

僕:「で? まだ新世界のことはあきらめてないわけ?」

みさ:「うん。まあね。それが私の仕事だし。生身の体になって、達郎の夢の中だけじゃなくて、本当に会うためには絶対必要なんだから。」

僕:「…やっぱり、そういうわけにはいかない。」

 みさは僕の隣に腰を下ろした。

 美少女の甘い香りと、密着するお尻のやわらかさが伝わってくる。

僕:「ところで、淫気の影響は大丈夫なのか?」

みさ:「あ。それは平気。新世界もこの段階になると、淫気で女たちを狂わせる必要もなくなってるの。だって、すでに全員が性欲を受け入れ、ほっといてもどんどん男を気持ちよくしてくれるようになってるからね。だから、今度は男の人たちが淫気で苦しむことになるのよ。」

 そう、新世界初期は、男性の放出した精にのせられた種の影響で、大気がピンク色になり、その淫気を吸った女性は激しく発情してしまう。それによって、女性がセックスに対して拒否的になる傾向を破壊し、社会も法律も魔族寄りの奔放なものに変えられていったのだった。

 新世界が進めば淫気も濃くなり、恥ずかしがっていた娘たちも積極的に精を求めるようになる。

 そして、そんな淫気を吸った娘たちの吐く息、体臭、愛液、唾液などは、逆に男性を虜にし、性的に興奮させる淫気を発散させるようになるわけだ。

 みさの説明では、今や大気を覆う淫気は女体を苦しめず、逆に彼女たちから放出される淫気が男性を性欲の虜にしているのだという。女たちは落ち着いてきて、乱れることもなくなったが、その代わりに男性がますます少数となり、女たちに追い回されるようになっているのだとか。現在、男性一人に対して女性3万人だそうである。

みさ:「今、おばちゃんもおばあちゃんもみんな若くてエッチな美少女に若返ってるの。もう少ししたらね、これに幽霊とかゾンビちゃんがプラスされてくるからね。文明発生以来のすべての女が蘇り、世界中の女が達郎のために気持ちよくしてくれるんだよ?」

僕:「けっ。」

 たしかに、電車の中の甘い香りは、世界中に広がる淫気のたまものだろう。相当に濃くなっていて、気を抜くと僕までヘンになってしまう。

 が、佐伯仙術のおかげで、淫気に毒される前に毒素を吐き出してしまっているので、それほどに影響はない。

 問題は…みさが手に持っている、“ソレ”である。

僕:「やっぱりお前も…タイムフラワーを持っているのか。」

みさ:「ん。まあね。でも、これは使わないつもり。」

僕:「使わないの?」

みさ:「だって、そうやってムリに駆り立てて射精させても、新世界の良さは伝わらないでしょ? タイムフラワーのせいで抜かれたのであって新世界の魅力に惚れたんじゃないって言われたら悲しいもん。」

僕:「まぁ…そうだな。」

みさ:「でもね、登場してくる女の子たちはみんな持ってるし、多分使ってくると思うけど。」

僕:「だめじゃん。」

みさ:「私は使わない。私相手に、無理に駆り立てたくないから…」

僕:「…。」

みさ:「…。」

 みさはなんだかしおらしく、顔を真っ赤にして、僕をちらっと見てはうつむいてじっとしている。僕もついどきっとしてしまう。前回、淫気避けのマスクが途中で消えてみさが狂ってしまい、それがもとで僕が射精してしまったことを気にしているのだろうか。

僕:「みーさー」

 がっしがっし♪

みさ:「あだだだだ! 髪の毛引っ張るな!」

僕:「みっさみさにしてやんよ〜」

 グゥリグゥリ♪

みさ:「ぎゃああ! ウメボシだめ! うめぼしらめえ!!!!! って何しやがる! いたいいたい!! …何するんだっ!?」

僕:「いや・・・なんとなく。」

みさ:「女の子の髪の毛を引っ張るわこめかみに思いっきりウメボシかますわ、さいってーだよこのスットコドッコイ!」

僕:「・・・ふふっ。」

みさ:「なっ…なによ…気味の悪い笑いして…」

僕:「うんうん。そういう元気系な方がみさらしい、ってね。」

みさ:「あ・・・うん、そう、だよね! よっしゃ、元気元気!」

 みさは明るくなった。

僕:「で。さっそく聞きたいんだけど。なんで電車の中で朝を迎えてるの? 家は?」

みさ:「そんなの。家なんかとっくに女の子たちに占拠されちゃってるよ。男の子が家でのんびり寝ていられるわけないじゃない。夜も昼も娘たちがやってきて寝せてくれないよ?」

僕:「あ〜…そうなるよな。」

みさ:「今、男は家に帰れずにあちこちをさまよっている。それでいて法律もまた変わってね。ある条件を満たしたら、ホテルじゃなくても街中でも昼でも夜でもどこでもセックスしていいってコトになってるから。」

僕:「げげっ!?」

 いよいよ強制逆レイプモードですかそうですか。

みさ:「大丈夫だよ。結構条件が厳しいから。まず、強制はNG。あくまで男性側の同意があって始めて行為に及ぶことができるの。それと、昼間に関しては、一度に誘惑できるのは3人まで。10人とか大勢で取り囲むのはナシだよ。だから今の世界では、ほとんどの女の子が3人ひと組で行動してるんだ。」

僕:「前回はもっと数が多くなかった?」

みさ:「うん。男性保護の観点から、ひっきりなしにホテルから出られないようにする状態をなくすって名目でね。ま、実質ザル法で、保護なんてされてないけどね。」

僕:「…。」

みさ:「誘惑は、視線、声、タッチ、抱きつきなどは許されているけど、パンフェラやパンツの上からの手による愛撫、およびパンツの中に手を入れるのは禁止。直接チンチンをいじって立たせるのは反則だもんね。」

僕:「ちょっと待って。やっぱり勃起したら“同意したと見なす”感じなの?」

みさ:「ううん。立っただけだと同意とは見なされないよ。男性の明確な意思表示が必要なの。口頭での同意か、または自分からパンツを降ろして性器を露出した場合に、同意と見なされます。あと、女性が無理に男性のパンツを降ろしてはいけないことになってるよ。」

僕:「なるほど…それなら、ガマン次第で、なんとか乗り越えられるかも知れないな。」

みさ:「そこへ淫気が染みこんでくるんだけどね。女性が近くで誘惑してくれば、当然大量の濃い淫気を体内に取り込むことになるから、多くの男性がその場でパンツを脱いじゃうのよ。だから、男性保護といっても実質ザル法なの。」

僕:「そうか。僕の場合は佐伯仙術で毒を体外に放出するから大丈夫だろうけど…そんな僕にはタイムフラワーが待ち構えているわけだよな。」

みさ:「ま、そういうことね。実際には、新世界にタイムフラワーは自生してないよ。必要ないもんね。だから、女の子たちが所持している分だけってことになるわ。」

僕:「それなら、タイムフラワーに気をつければ勝てるかもしれんな。」

みさ:「ふっふふ。新世界がそんなに甘いわけないじゃない。夜はもっと法律の縛りがゆるくて、パンツの上から触ったり舐めたりしてもいいし、手をつっこんでも合法。人数の縛りもないから、実質集団逆レイプ状態だよ。いつでもどこでも、日没後なら、ね。」

僕:「くっそ…」

みさ:「さて。そろそろ駅に着くね。楽しんでちょうだい♪」

 電車が到着すると、扉が開いた。まだ早朝ということもあって、乗客はほとんど乗ってこない。が、ゼロでもないのだ。

 僕の姿を認めたお姉さんが一人、遠くの車両から歩いてくる。電車はすでに動き出し、逃げ場はなかった。上半身は薄いキャミソール、下半身がパンティ一枚だ。静佳とはまた違う大人の色気に満ちあふれていた。

 彼女はこの後友人と待ち合わせて、3人ひと組で男を捜しに出かけるところだったのだろう。携帯で誰かに連絡を取り、男がいるよとかなんとか話している。

 お姉さんは僕の目の前まで来ると、生足をじっくり見せつけ、きめの細かく毛の生えていない美しくすらりとした足を強調し続けた。

 僕は呼吸を整え、簡単には興奮しないように制御を強めた。この程度では勃起しないようにできる自信がある。

 僕は立ち上がった。逃げても追いかけられるだけであるが、このまま座っていれば、抱きつかれしがみつかれ、上に乗られ、勃起するまでしつこく絡み付いて誘惑してくることが明らかだったからである。

 するとお姉さんは、僕に抱きついてこない代わりに、くるりと後ろを向いて、グニッとお尻を僕の股間に押しつけてきた。「私ね、足だけじゃなくてお尻の形にも自信があるんだよ?」そう言ってプニプニのヒップをトランクスにグッと押しつけてくる。

 ハイヒールで底上げしつつ、下から上に持ち上げるようにして、ペニスに臀部を押しつけ、優しく包み込んでくる。その結果、彼女のお尻は見事に僕の股間を直撃、やわらかい圧迫を萎えたペニスに加えることができた。

 パンツ越しにフェラをしたり手で撫でさすって無理に立たせることは違法だが、生足や胸やお尻の弾力を押しつけこすりつけるのはOK。

 色気を含んだ甘い香りが周囲で濃くなっていく。彼女の淫気が僕にまとわりついているのだ。

 普通の男性なら、こんな攻撃で勃起しないはずがない。性的に興奮する魔性の香りが体内を奮い立たせ、そこへ色っぽい女性がパンツ一丁でお尻を股間に擦りつけつつムニッと圧迫しているのだ。

 僕は呼吸を深めて淫気の毒を体外に放出し続ける。美女のお尻のやわらかい感触とぬくもりを味わいつつ、体の奥がくすぐったくなってくるのを抑えて、興奮を静め続けた。

 おかげで、ペニスはやわらかく縮こまったまま、くすぐったい刺激に耐えて、海綿体への血液を抑制することができている。

 「全然立たないね。…こうなったら…」美女はハンドバッグから毒々しい花を取り出した。

 「おっと! そうはいかないよ!」僕はとっさに彼女の手からタイムフラワーをむしり取ると、花びらをプチプチと引っこ抜いた。ここに包まれると時間が進められ、玉袋に精子がパンパンに溜め込まれてしまう。それだけは避けないとね。

 花びらという武器を失ったタイムフラワーは一瞬にして枯れ果て、かさかさと崩れて消えてしまった。

 「こおおお…」佐伯仙術により、体内に神通力が溜まっていく。それを指先に集中させ、お姉さんの背中を愛撫しながら女体にすり込んでやる。

 「あふっ、ああ…いい気持ち…ねえ、もっと、手じゃなくて、ホンモノのチ●ポが欲しいのぉ…」甘い声でお姉さんが懇願する。その誘惑につい勃起しそうになるが、呼吸で落ち着けて気を静めた。

 女体に神通力が駆けめぐる。ほどなくして、お姉さんは立っていられなくなり、大量の愛液を滴らせてその場にへたり込んでしまった。後は数秒間、彼女自身の手で股間をまさぐりクリトリスをいじくるだけで、簡単にイッてしまう。

 「あふう…」電車のイスに倒れ込んだお姉さんは、だらしのない格好で気を失ってしまった。

 やはりタイムフラワーがなければ、新世界の誘惑などものともしない状態だ。

みさ:「すごいね。会うたびに達郎が強くなってるのがわかるよ。」

僕:「いや…まだまだだ。もっと修行しないと、もっと強くならないと、淫魔どもには勝てない。」

みさ:「…。あ、次の駅に着くよ?」

僕:「降りよう。」

 駅に着くと、誰もいない。朝が早すぎるんだな。

みさ:「ごはんにしよう?」

僕:「ああ。そうだな。」人が増えてくれば僕は戦いに明け暮れることになる。食べている暇はなさそうだし、ここで体力をつけておいた方がいいだろう。

 問題は、どこで食べるか、だな。

みさ:「朝からがっつりカツ丼大盛りなんてどお?」

僕:「く え る か」

みさ:「じゃあ、何が食べたい?」

僕:「店員と客がいなくて、重たくないところ。」

みさ:「なるほどねえ・・・じゃあ、ここなんかどお?」

 みさが指さすのは、ステーキレストラン“どかん”。

僕:「重たくないものっつってんだろ。」

みさ:「うむむ…店員がいない、客がいないとなると、朝からはがっつり食えないよーってところしかないよぉ。」

 …いわれてみればそうだよな。

僕:「じゃあ、がっつりでもいいよ。モーニングセットとかあるんだろ?」

みさ:「うん。」

 結局ステーキ屋に入る。店員はおらず、全て機械が動かしていた。魔族が提供した設備だ。

 僕はモーニングセットを注文。するとほどなくして、コーヒーとご飯と味噌汁と鰹節が出てきた。

僕:「…これ?」

みさ:「うん。」

僕:「…。」

 これってどう考えてもねこめし、だよなあ。

 まぁ、贅沢は言っていられないし、ちょうどいいかもしれないしな。

 僕はご飯に味噌汁を入れて、鰹節をかけ、サラサラといただく。うまい。でもコーヒーは合わないだろ。

 食べ終わると、席を立つ。いつまでも同じところにいて、女の子が入ってきたらいやだしな。

みさ:「ちょっと! どこ行くのよ。食べてる途中で席を立つなんてはしたないよ。」

僕:「え? 途中って、食べ終わったよ?」

みさ:「何言ってんの。ねこめしはあくまでオードブル扱い。メインディッシュがこれから来るんじゃない。」

 …そうなのか?

 すると、テーブルにロボットが何かいかがわしいものを持ってきた。

 700グラム厚切りステーキである。肉汁がジュウジュウいい、ほどよくミディアムレアに焼かれていて、7個くらいバターが乗っかっており、付け合わせはジャガイモをふかしたもの3個、白身魚のフライ。

僕:「食えるかーーーー!!!!!」

みさ:「この後サラダとイカ娘のマリネが来て、最後のデザートに冷凍ミカンが来るよ。」

僕:「どう見ても取り合わせヘンだよね? おかしいよね? なに冷凍ミカンて。しかも前菜がねこめしってのもありえない。パン食べ放題だし。早朝から殺す気ですかコノヤロー」

みさ:「いいじゃない。さっきがっつりでもいいって言ったんだし、いいから食え。」

僕:「こ、ころされる・・・」

 僕の目の前で、がっつり油臭い肉のかたまりがおいしそうな音を立てているが、それがまた僕の胃の腑をむかむかさせるのである。…これを本当に食えと?

僕:「あ、そういえばさ。前にも聞いたことがあるかも知れないけど、みさってもともと餓鬼霊だったんだよね?」

みさ:「ん? うん。そうだよ?」

僕:「でもって、今はまだ実際に食事ができないんだったよね。実体化しない限りはただ見ているだけ。色情霊に転じたといっても、やっぱりおいしそうなものが目の前にあって自分が食べられないって苦しくないの?」

みさ:「あー、それは大丈夫。前にも言ったけど、私は見てるだけでいいんだ。」

僕:「本当に?」

みさ:「一応私も餓鬼霊だった頃の名残はちょっとだけ残ってるからね。だから目の前で食べてもらうと嬉しいんだ。」

僕:「わからないな。自分が食えなかったら余計に切ないだろうに。」

みさ:「あ〜! 餓鬼霊がどういうものか、達郎は知らないんだね。幽霊にはその怨念によっていくつかのタイプに分けられるのは知ってるよね?」

僕:「まぁ、少しはな。」

みさ:「物欲・金銭欲、支配欲、色欲、睡眠欲、食欲、憎悪。人間が未練などを残して死にきれず幽霊になるのはざっとこんなところ。そして、それぞれに大きく分けて3層の世界がある。物欲金銭欲についてはお互いに数少ないものを奪い合う霊界が存在し、さらに強欲な者は物のない地獄へと行く。そこで魔性を得るとさらには物欲の魔界に落ちていくことになる。支配欲を残して死んだ霊は修羅となって、お互いに戦い続ける霊界に行く。強くなっていけば修羅地獄に行き、さらには修羅魔界へといたる。邪悪な武闘家は死後も強さを求めてみずから修羅界に足を踏み入れる者もいるんだって。」

僕:「…」

みさ:「知っての通り色欲を残して死んだ者は色情霊となって色情霊界、色情地獄へ通じ、最後にはヘルサたん総統たちのいる淫魔界にいたる。睡眠欲を残して死んだ者は悲惨だよ。狂いそうなほど眠くてたまらないのに何万年も眠ることのできない地獄が待っている。憎しみや怨みを強く残した霊は、対象を呪うだけでは飽きたらず、すべてが不満で、しかもどうにも解決ができないまま悶々としていく。これがいわゆる畜生の世界。」

僕:「壮絶だな…」

みさ:「食欲が満たされずに死んでいった者には餓鬼の世界が待っている。餓鬼霊となって飢えに苦しみ、さらに飢餓地獄、飢餓魔界へと通じていく。私が最初になったのはこの餓鬼霊ね。天保の飢饉で死んだから仕方ないね。」

僕:「ちょっと待って。満たされないで死んだといっても飢饉は仕方ないじゃないか。そうやって死んでいった者がさらなる地獄へと導かれるのは納得いかない。」

みさ:「心の持ち方ひとつよ。満たされないことをいつまでも強く恨みに思い、おとなしく次の輪廻を待つことができなかったことが地獄を呼ぶんだ。自分で招いた結果でもあるってこと。」

僕:「そんな・・・」

みさ:「それがポッティの決めた秩序なんだよ? 犠牲になった人はその犠牲をいとわず恨みに思わず、おとなしく損したまま何も考えずに死んでいけってさ。ま、納得は行かないよね。」

僕:「…。」

みさ:「ポッティが恐れているのは、それぞれの心にふさわしい世界に強制的に移行させられて秩序が成り立っているところに、”逸脱者”が出ること。」

僕:「幽霊は幽霊の世界へ、魔物は地獄や魔界へ、聖者は天界へ…」

みさ:「そゆこと。でもごくたまに、その世界を逸脱して人間界にやってきて悪さをする幽霊や魔物がいる。普通の人を金の亡者に変えてしまう怨念や、生きた男女とセックスして満足を得ようとする色情霊、恨みを晴らそうと呪い殺す霊障。ポッティが必死で食い止めている活動のほとんどはその類ね。」

僕:「…。」

みさ:「色情霊のように直接干渉するだけでなく、憑依によって欲を満たそうとする霊魂もある。修羅や餓鬼なんかはそういう方法で人間界に干渉するのを好むんだ。つまり、取り憑いてその人間を動かすことで自分の欲望を満たそうとするのね。」

僕:「つまり、餓鬼は相手にとりついて欲を満たすということか?」

みさ:「そう。餓鬼に取り憑かれるとかなり悲惨だよ? 取り憑かれた人間は狂ったように手当たり次第なんでも食べる。食欲の鬼となり、おいしい物、カロリーの高い物、贅沢な物をとにかくたくさん食べようとする。食べることは生物の根本でもあるから、誰でも餓鬼に取り憑かれやすくなっている。よくテレビでグルメ番組とか大食い番組とかやっているよね。それがどんどん垂れ流されるのは視聴率が高いから。つまり餓鬼に取り憑かれ、食欲を丸出しにした人間が大勢いて、そういう番組を食い入るように見ているからなのよ。」

僕:「現代はお菓子でも肉でもどんどん手に入るからなぁ・・・」

みさ:「で、その人間が食べることで、取り憑いている餓鬼は”自分が食べた”のと同じ感覚を味わえるわけ。でも結局自分が食べているわけでなく、味や感覚だけだから、いつまで経っても満腹にならない。だからどんどん食べさせようとするの。だから、取り憑かれた人間は例外なくぶくぶくと太り続けることになる。」

僕:「そうか・・・取り憑いた相手が食べれば自分が食べたことと同じになるから、“見ているだけでいい”んだな。」

みさ:「うん。それで、餓鬼霊も業が深くなれば地獄の餓鬼となる、さらにそこで長い時間を過ごせば魔性を得て、餓鬼魔になる。餓鬼魔なんかに取り憑かれたら大変だよ? 手近にある食料はすぐに食べつくして、バケツで水を飲みつくし、木をかじり生ゴミを平らげ(虫がわいていようとお構いなし♪)、生きたままのネズミもミミズも雑菌も関係なく汚染された土もウンコもどんどん口に押し込んでいく。プラスチックも金属も口に入りさえすればすべて丸呑み。一発で胃袋が破裂してあっという間に絶命、その後は間違いなく餓鬼霊としての転生が待っているというおまけ付き。」

僕:「ひええ・・・」

みさ:「さすがにそういう魔物が人間界に侵食したら大変だから、ポッティが食い止めるのはいいと思うけどね。さて、話が長くなったね。さ。私が見ててあげるから、がっつり700グラムステーキ、いっぱい食べて♪」

僕:「食えるかああああああーーーーーー!!!!!!!」

 もはや涙目である。

 しかし結局、早朝に700グラムステーキを食わされたのである。満腹すぎて死にそうだ。みさだけが大満足な様子であった。ある意味色情霊よりも恐ろしい。

 ずいぶん朝食に時間を取られてしまった。町の中に人が増えてくる気配がする。

僕:「そうそう、早く女装して、襲われないようにしないとね。服屋に行こう。」

みさ:「あ、それ禁止になったから。」

僕:「は?」

みさ:「考えることはみんな一緒ってね。あまりに女装してごまかす男が多いもんだから、違法になったんだよ。」

僕:「そんな…」

みさ:「うりうり。男なら正々堂々と戦えー☆」

僕:「くっそ、人ごとだと思いやがって。」

みさ:「人ごとじゃあないよぉ。達郎がこの世界の魅力を理解してくれて、新世界に近づけば、私は幽霊から生身の人間に復活できるんだから。やっぱり、幽霊で、しかも限定された夢の中だけで会うのはさみしいもん。」

僕:「そ…それは…」

みさ:「達郎はさみしくないの?」

僕:「………さみしい・・・けど、やっぱり新世界はだめだよ。」

みさ:「なんで? ほら、見てごらんよ、みんな気持ちよさそうだよ?」

 町の中では、かなりエロチックなシーンが繰り広げられていた。

 数は少なくなったとはいえ、男性はまだまだ街に多くいる。前回の夢よりははるかに減少しているにもかかわらず、大通りの数カ所で男性がセックスに励んでいた。

 彼らは、家を女たちに奪われている。家にいればひっきりなしに女たちが押し寄せ、精根尽き果てるまで精液を抜かれてしまうので、外に出ざるをえないのだ。

 幸い、食事も風呂も寝床も無料、仕事もしなくてよい。家にいなくても生活はできた。

 しかし、外に出れば安全かというと、そうではないことはすぐにわかる。

 男たちは食事をするためにここにやってきたのだろう。しかしそこでも、女たちは待ち構えているのである。誘惑に乗りさえしなければよいので、食欲が勝っている時は、彼らも食事ができる。が、それが済んでしまえば、ふたたび快楽地獄の中に投げ出されるというわけだ。

 法律で決まっているので、実際に一度に誘惑できるのは3人までである。だが、3人もいれば十分でもあった。3人分の濃い淫気が男性を包み、よほど空腹か徹夜でもして眠いかでもなければ、誘惑に勝つことができない。

 たいていの男性は、下着姿の若い娘のキレイな体を間近で見ただけで、ペニスをはちきらさんばかりに興奮させてしまう。甘く優しい言葉をかけられようものなら脳天がしびれ、ついつい男はパンツを脱いでしまうというわけだ。

 それでも抵抗し、勃起していながらかたくなにセックスを拒否すれば、彼女たちは半裸姿で男性に抱きつき、生足をこすりつけ、キスをせがみ、オッパイやお尻でペニスをポヨポヨ圧迫し、上半身を撫でさする。肌の質が通常の何倍もきめ細かく吸いつくようなみずみずしさをたたえているので、興奮した男をその気にさせるのはたやすいことだった。

 パンツを脱いだ男に、待ってましたといわんばかりに、生手、唇、舌、乳房、おしりやふともも、そしてオンナが襲いかかる。淫気に毒された男たちは萎えることも疲れることもなく、勃起が収まらないまま何回も3人の娘たちに精を放出し続けていた。

 舐められては射精し、挿入しては2回射精する。その間中残り二人の女は彼の全身を撫でさすり、全身をこすりつけて悦ばせてくれる。クンニや指マンで応戦しても、女たちの極上の肉体と淫気によって、男の射精の回数の方が断然多いのだ。

 3人の美少女たちに代わる代わる精を吐き、その天国に酔いしれながら、幾度となくうめき声をあげた。バックで犯しながらも自分の腰元でぶるぶる震える女の子のやわらかい腰やお尻を味わいながら、魔性の膣に締め上げられ、揉まれ、触手のようなヒダにしごかれて、何も考えられずにイキ続けることになるのだ。

 3人が満足するまで、男は解放されない。したがって長時間、路上でも電車の中でも行為に及ぶことになるため、手を出せないでいるギャラリーたちが数多く集まってきている。彼女たちも興奮し、上半身裸になっては乳房やオンナを自分でまさぐり、うらやましそうに宴を見つめているのである。犠牲者の男はそんな大勢の半裸姿やオナニー姿を目の当たりにしながら、彼女たちの淫気をも浴びてさらに興奮し、3人娘に精を吐き続けることになるのである。

 やっとの思いで、3人の女性を満足させ、解放された男には、ギャラリーの中から次のグループ3人組が迫ってくる。

 もはやその周囲は濃い淫気で満たされており、しこたま出したはずの男性ではあるが、その魔性の誘惑にはやはりあらがえない。パンツをはく暇もなく、彼は次の3人娘にしがみついて恍惚の表情を浮かべるのである。

 男性がその人だかりから解放されるためには、極度の空腹で誘惑どころでなくなるか、眠気に勝てずにその場で眠りこけるしかない。

 …そんな人だかりが、大通りに数カ所できている。

 もちろん、これでも人口密度が高い方なのだろう。男たちは方々に散り、あまり街中に姿をあらわさない。それでなくても人口比率はきわめてアンバランス、3万人に一人の割合なのだ。

 そんな中で、やはり僕のところにも大勢の女たちが押し寄せてきている。これだけになると、逃げてもムダであろう。必ずどこかで追いつめられ、戦うことになるのである。しかも女たちはどんどん仲間を呼んで、ギャラリーを増やしていく。捕まってしまえば、それこそ一日中女たちと交わることにもなりかねない。

 最大の難点はタイムフラワーだ。僕に近づく娘たちは必ず一人一輪所持している。まだタイムフラワーに抗うすべを心得ていない以上、淫気に毒されていなくても、危険であることに変わりはないのだ。

 どうしたらいい? 正々堂々と戦って佐伯仙術で彼女たちを倒すか。レッドスーツを身につけていれば、佐伯仙術にポッティの神通力を混ぜ合わせて、フザケンショットを打つことができる。これなら、一度に何十人いようと、一気に倒すことができるのだが、僕のちゃちな仙術程度では、フザケンショットを打つことはできない。修行不足を痛感する。

 逃げるしかないが、すぐに捕まるであろう。女装もできない以上は、アッサリと見つかって追いつめられてしまうのは火を見るより明らかだ。

 やはり、戦うしかない。僕は身構えた。

 「こっちだ!」「!!?」

 突然男性の声がした。足元を見ると、マンホールの蓋が開いている。

 「はやくしろ! 鍵を閉めるぞ!」「は、はい!」

 なんだかよくわからないが、マンホールの地下水のところから逃げることができそうである。

 僕は半ば反射的に、男性に誘導されるままにマンホールから地下に降りた。男性はすぐさま蓋を閉め、内側から厳重に鍵をかけた。

 がしゃがしゃ! ガン! ガン!

 上から蓋を叩いたり引っ張ったりする音が聞こえる。女たちが素手で、または道具を使って、マンホールの蓋を開けようとしているのだ。

 「ムダだよ。この厳重な鍵は開きはしない。」男性は落ち着いて言った。

 地下水路は下水ではなかった。いや、たしかに下水道なのだが、機械が整備され、きちんとパイプの中を下水が通っている。匂いが漏れ出すこともなく、いやな生き物も発生していなかった。カビ臭さも雑菌もなく、こぎれいに掃除も行き届いている。そして何より暖かく、あちこちの電灯も明るかった。

 「あの…あなたは?」「ああ? お前、上の女たちのところに放り出されてえのか!」

みさ:「だめだよ。名前を聞いちゃ。ここはお互いの素性も名前も明らかにしてはいけないルールなんだから。」

僕:「そうなの?」

みさ:「これだけ男女の比率が違って、外に出るなり淫気と誘惑にさらされる状況なら、当然地下組織なんかもできるに決まってるわけ。ここは、女たちの手から逃れ、セックスから身を隠すための地下組織、厳密にはそのアジトに行くまでの通路だよ。」

僕:「なるほど…お互いの素性が明らかになると、いざ捕まった時に地下組織が一網打尽にされるのか。」

みさ:「そゆこと。ちなみに全国各地にいっぱい地下組織があるわ。それぞれがネットワークで繋がっていて、統一ルールもできている。」

僕:「…済みませんでした。不慣れなもので。以後気をつけます。」

男:「ああ。気にすんな。とにかくこっちだ。」

 僕は男性に連れられて、地下道の奥から横道にそれていった。地下施設の隙間に穴を開け、掘っていって、簡単な隠れ家が造られている。洞窟のすみかって感じだ。

 そこに数人の男性が立っていた。

男:「新入りだ。危ないところを助けた。」

 僕をそう紹介すると、男たちは僕を歓迎してくれた。みんな家を失い、快楽地獄に辟易して、セックス推奨の女たちに抵抗するレジスタンスたちだった。やはり僕と同じ考えの人たちはいるんだな。

僕:「よろしくお願いします。」

男:「まあそう固くなるなって。」

別の男:「食料調達係の様子はどうだ。」

男:「だめだ、大急ぎで食べ物を取ってくる作戦が成功する前に、女たちに捕まっちまったらしい。いまも宴の最中だ。」

別の男:「今日も、そいつが解放されるまでメシはナシか。」

男:「仕方ないさ。」

僕:「…あ、それなら、僕がひとっ走り行ってきますよ。」

男:「大丈夫か? 危険な任務だぞ?」

僕:「大丈夫です。ただ、僕はこの近くのことがよく分からないので、スーパーかコンビニの場所を教えていただきたいのですが。」

男:「コンビニは、さっきのマンホールを出て路地裏をまっすぐ100メートル行ったところにある。」

僕:「わかりました。」レストランと同様、新世界では店があっても全て無料、いくらでも好きなだけ取ってくることができた。

男:「気をつけてな。」

 僕は今来た道を戻り、マンホールから注意深く外に出ると、一目散にコンビニめがけて走り出した。

 そのとたんに数人の女性に追いかけられる。

僕:「こおおおおお!」呼吸を深め、佐伯戦術を体内で練っていく。

 …。

 ふと、マスターの言葉を思い出した。

 「精は気。気の流れは川に似ている。せき止めれば溜まるし、堤防で狭めれば流れは急になる。さらに杭などで流れの方向も変えられる。」

 たしか、昨日マスターは気の流れ道を極端に狭めることで勢いを格段に高め、佐伯さんの練った気の1000分の1の力でもバリアを突破したんだっけ。

 さすがに僕に同じマネはできないけれども、似たようなことならできるかも知れない。

 せき止めれば溜まる。つまり、全身を流れ続けている気の動きを一時的に止めれば、その場で気が溜まり、格段に強化される。

 狭めれば勢いを増す。狭い出口から気を放出すれば強烈な勢いとなって敵を貫き、性的に大ダメージを与えることができる。

 このふたつを融合させれば、僕の弱い佐伯戦術でも、フザケンショットが打てるかも知れない。呼吸を整え、体内の気の動きに意識を集中させると、たしかに身の内側で強大な何かが流れ、駆けめぐっているのを感じた。

 「こはあああ! フザケンショット!」

 周囲を取り囲み、僕と一緒に走っていた娘たちはすでに100人近くになっていたが、フザケンジャーレッドの時よりもずっと数の多い光の玉を、僕は全身の毛穴から放出するイメージで、娘たちにぶつけていった。そして、たった一発のフザケンショットで、今にも飛びかかってきそうな娘たち100人を一瞬にしてイかせ倒すことができたのだった。

 僕は半裸の女たちの気絶した肢体を飛び越えてコンビニに飛び込む。フザケンショットをもう一発お見舞いして、店内にいた若い娘たちを一網打尽にすると、持てるだけの食料を袋に詰めて、大急ぎで引き返していった。

 帰り道にもフザケンショットをお見舞いしてやる。

 地下に潜り、男たちに食料を差し出す。

男:「アンタ…すげえなあ。今まで地下に潜ったことがないのは、そうやってうまくやってきたからなのか。」

僕:「へへ…」

別の男:「おっほ! ハンバーガーがあるじゃないか。よく取って来れたなあ。ニクなんて久しぶりだぜ。」

 男たちは、僕が取ってきた食料を次々と喰いあさる。あれだけ大勢の女たちが昼夜問わずたむろしている町の中では、食糧確保だけでも大変なのだろう。ヘマをすれば女たちの集団にさっきみたいに囲まれ、次々と3人娘に精を放出させられる羽目に陥る。

 「たっ、助けてください!」

 そこへ3人の男の子が飛び込んできた。

男:「ん? どうした?」

 「済みません。女たちに追いかけられて、闇雲に逃げていたらここにたどり着いたんです。僕たちもかくまってください。」

男:「あ、ああ…かまわんが?」

別の男:「なあ・・・ヘンな匂いがしないか?」

男:「ああ、なんか甘くていい匂いだ。」

僕:「!」

 これは…淫気!? しかも女たちが発する香りだ。この子たちがすでに取り囲まれてきたせいで移った香りなのか。・・・いや!

 「ひゃあ!」

 僕は中学生くらいの男の子たちのトランクスに手を伸ばし、股間部分を力強くまさぐった。

男:「お、おい、アンタそっちの趣味があったのかよ!?」

僕:「…やはりな。こいつらは男じゃあない。男子の格好をしただけの小娘だ。」

 「へえ。なかなか注意深いじゃない。」

 以前夢の中で、男子中学生の格好をした女の子、小泉あきらちゃんにトイレに閉じ込められ、逃げ切れずに射精させられたことがあった。同じパターンだと思ったからな。今度はだまされないさ。

男:「あああっ!!」

 アジトの回りには、すでに数え切れないくらいの女たちがひしめいている。いや、もはや地下水道そのものが、女たちに占拠されてしまった格好だ。

 「クスクス…ボクたちがここに逃げてきて、入り口を閉め忘れたって設定で、彼女たちが押し寄せる口実にするつもりだったんだけど。その前にばれちゃったね。」

男:「くっ、てめえら。特察部隊か。」

 男たちに逃げ場はない。すでに淫気に毒され、彼らのトランクスは激しくテントを張ってしまっている。

 「そうだよ。男の子のフリをして近づき、すぐ後に国家特別部隊が押し寄せるっていう、あれさ。ボクたちこそ、国家特別偵察部隊筆頭、略して特察部隊のボーイッシュ3姉妹だよ。」

僕:「こおおお…」僕は戦闘態勢を整えた。が、地下道はすでに1000を超える特別部隊がひしめいている。どうやらここが一番奥で、他の小アジトはみんな一網打尽にされてしまったらしい。

男:「あああ! くっそおお!」

 アジトの男たちはみずからパンツを脱ぎ捨て、女たちに飛びかかっていった。淫気に毒され、生足を露出している下着娘たちの姿に感極まり、耐えきれなくなったのだろう。

 地下に潜ってセックスを遠ざけていたため、毎日抜かれまくることから逃れることはできたものの、逆にそのために淫気に対する耐性が弱まり、女の色香にも弱くなっている。地下ではオナニーもしていなかったらしいので、性欲も半端ではない。そこに天国軍団顔負けの女たち1000人が押し寄せているのだ。普通の男性なら我を忘れて飛びかかってしまうのも無理はなかった。

 「ほい☆ 男4人捕まえた♪」「キミたちは”すと魔女法”に著しく違反しているからね。ボクたちが特別収容施設まで連れて行ってあげるよ。」「すくすっ、アソコは気持ちいいよぉ? たっぷり出して、女の良さを味わって、次からこんなまねをしないような脳にしてあげるからね。」

みさ:「うんうん、地下組織レジスタンスは、こうやって一網打尽にされ続け、もう少し経つと完全に壊滅することになるんだよ。」

僕:「てめえら…」

みさ:「あらら。聞いてないね。落ち着いたら? 別に殺されるわけじゃあないんだし。」

僕:「みさ。こんなことが人間として正しいとでも、本当に思えるのか? だとしたら、僕はキミを軽蔑する。」

みさ:「うぐ・・・そう言われるとつらいけど、これも過渡期のワンシーンなんだよ。こういう産みの苦しみを超えて、人間社会は快楽に正直な理想郷になるんだから。」

僕:「とにかく、彼らを助けないと。こおおお!」

みさ:「それはもう無理だよ。ほら、みんな気持ちよさそうに特殊部隊の生足にオチンチンこすりつけて、射精しっぱなしじゃない。完全に女体の虜だよ?」

僕:「う・・・うう・・・」

みさ:「大丈夫。ひどいようにはされないから。すと魔女法に違反した女は単純に厳罰を受けるわけだけど、違反した男は特別更生施設に連れ込まれるの。そこで半日“講習”を受けたら、無罪放免、無事解放されるんだから。」

僕:「えっ…それだけで済むの?」

みさ:「うん。ただし、更生施設だから、そこでしっかり教育を受け、解放されてからは上の世界を満喫するようになるけどね。」

僕:「洗脳されるってわけか。」

みさ:「人聞きの悪い。女の良さをたっぷりその身に染みこませるだけだよ。」

僕:「こおおおお・・・それならなおさら、僕はごめん被りたいね。…フザケンショット20連発! おらおらおらおらおらおらおらーー!!」

 フザケンジャーレッドのスーツと違って、純粋な佐伯仙術のため、5秒に一発という制約がない。だからいくらでも連続して神通力を放出することができる。

 小さな小さな光の玉は、ものすごい勢いで、パワーもたっぷり溜め込んで、女体に染みこんでいく。

 僕の周囲の女たちは次々と倒れ、気を失っていった。

 体内の気が枯渇する前に呼吸を整え、気を止めて溜め込み、さらに20連発をお見舞いしてやる。

 「取り押さえろ!」ボーイッシュ3姉妹が命じると、1000人近い美少女たちが一気に押し寄せてきた。

 「かはああああ!! フザケンミスト!」

 微小な光の玉が毛穴から無数に放出される。だが、女体めがけて飛んでいくのではなく、僕の周囲1メートルのところでとどまっている。

 光の玉は高速で僕の周囲を回転し始めた。それがまるで神通力の霧のようになって僕の全身を覆うため、フザケンミストと名付けた。

 これにより、僕に近づく女、僕が近づく女は、無数の光の玉を身に浴びることになり、次々と倒されていくことになる。このミストを保持し、再生産し続けながら、ダッシュで地下から脱出する算段であった。

 飛びかかってくる女たちはミストを身に浴び、その場に崩れ落ちてしまう。走り抜けていって神通力を浴びた女は、女体全部が強烈な快感にさらされ、瞬時にして絶頂してしまうのである。出口のマンホールまであと半分くらい。すでに500を超える美少女を倒した。

 ミストを切らさずに、僕はハシゴを登り、マンホールの鍵を取って蓋を開けた。あと少しだ。

 ふもっ。

 突然玉袋にやわらかい感触。

 「くすくすっ、筒のように自分の回りに神通力のミストを出すとは、考えたよね。でも、筒状だから、真下や真上はがら空き。タイムフラワーで玉袋ゲットだよ☆」ボーイッシュ3姉妹の一人が下から手を伸ばし、玉袋にタイムフラワーをあてがったのだ。

 「あああっ!」

 僕は大急ぎでタイムフラワーを引き剥がそうとした。が、ハシゴに手をかけているので簡単には引きはがせない。片手でなんとかバランスを取りながら花を引きはがそうと苦戦しているうちに、特別部隊の少女たちが一斉に飛びかかり、身を犠牲にしながら僕の体を引きずり下ろしにかかってきた。

 何人かがミストに当たって絶頂したが、僕もハシゴから引きずり落とされてしまった。

 ちゅうちゅうと音を立てて花が玉袋に吸いついたままだ。

 「あううう!」僕は大急ぎでタイムフラワーを引き剥がしたが、時すでに遅し、1分以上が経過していて、僕は3ヶ月近く射精していないのと同じパンパンな玉袋になってしまった。

 呼吸が乱れる。すると神通力を練ることができなくなり、淫気を体外に排出できなくなるので、僕は精子をいっぱい玉袋に溜め込んだ状態で性欲にまみれるという、最悪の事態に陥った。

 「あははっ、もうガマンできなくなってるじゃない。」ボーイッシュ3姉妹が僕を取り囲み、その周囲をギャラリーとして特殊部隊たちが取り囲んでいる。

 「ボクたちがいい気持ちにしてあげる。」

 女の子たちは一斉に手を伸ばし、トランクスの上から、足の口から、小水用の穴から、スベスベの細い指先で股間をまさぐり始めた。

 「んああ! 同意なしでパンツに手をつっこんでいいのかよ!」「ボクたちは特別なの。逃げる犯人や抵抗する犯人は抜いていいんだから。」「そんな…はうう!」

 何ヶ月も射精していない敏感なペニスである。淫気を排出できずに毒された肉体である。そこにかわいらしいボーイッシュなショートカットの小娘3人がかりで、股間に集中攻撃しているのである。

 一人の娘が右足部分から股間に手を滑り込ませ、内股や玉袋を丁寧にゆっくり撫でさすっている。二人目は小水口からいたずらな指をねじ込み、ペニスの根本や裏側をやわらかく撫でさすってきた。そして三人目が、トランクスの上から、先端ばかりを両手でコショコショなでこする。

 「ボクたちのちっぱい、見てみたいでしょう?」「ひんぬーはステータスだよ☆」「ほれほれ、ちょっとだけのふくらみがロリっぽくていいでしょう?」

 女の子たちはトランクスだけになり、上半身裸になった。Aカップの、ほとんどふくらんではいない乳房だが、それでも男性のとはかなり違うきめの細かい白い肌に、乳頭の大きくふくらんだ女らしさを感じさせる。脇の下も腕も背中もツルツルだ。

 僕は彼女たちの上半身や、トランクスの生足を凝視し、目が離せなくなった。

 ボーイッシュ3姉妹の小さくて細くてスベスベの手の動きに翻弄され、僕はあっという間に高められてしまった。

 「うあ!」二ヶ月出していない精液のたぎりが、トランクスの前面ほとんどを湿らせてしまう。

 「ほれほれ。全部脱いじゃいなよ。」

 トランクスがはぎ取られ、僕はあっという間に文字どおり全裸となってしまった。

 「くすっ、男の子みたいな少女の体、味わってごらん?」

 3姉妹のうちの一人が、出し足りていないペニスにまたがり、そのまま騎乗位で挿入してしまった。元気いっぱいに飛び跳ねるように体を動かすと、一気に残りの体液を絞り出しにかかってきた。

 男の子みたいな顔つきと髪型。小さな胸。華奢で細い体つき。それでいて、お尻や内股などの大切な部分はしっかりと女らしいふくらみを見せ、やはり全体が丸みを帯びている。

 何より若々しい女性器が、訓練を積み重ねてヒダでペニスをしごき上げている。その腰の動きはもはやボーイッシュではなかった。

 「あああ〜…」僕はあっという間に出しつくしていなかった残りの精を吹き上げてしまった。

 僕たちが結合している間に、他の二人の姉妹が僕の手足を縄で縛っていた。簀巻きにされた僕は、身動きが取れないまま外に引っ張り出され、車に乗せられてしまう。そのまま更生施設まで運ばれてしまうのだ。

 しばらくして、更生施設に着くと、拘束は解かれたものの、パンツ一丁の監視員が大勢控えており、とても抵抗できる雰囲気になかった。彼女たちもタイムフラワーを持ち歩いている。

監視員:「神谷達郎。貴様、妙な仙術を使うそうだな。この施設でおかしな呼吸を始めた場合、懲罰として手足拘束の上、タイムフラワーを2分間あてがうからそのつもりでいるように。」

 それはまずいな。2分と言えば120日。そんな長時間タイムフラワーに食いつかれてしまっては、自我をも保てない可能性だってある。

 とにかく、ここではおとなしく従っているしかあるまい。その一方で、女体の良さに洗脳されてはいけない。がんばって夜までの“講習”を乗り切って見せよう。

 僕の他にも、大勢の男たちが更生施設に連れ込まれているみたいだ。捕まる時には我を忘れて精を放出しつつみずから捕まってしまっていた男たちだったが、ここに来る頃には落ち着きを取り戻し、もとのセックス嫌いのレジスタンスの顔に戻っている。

 ああ、しかし、悲しいかな、この更生施設で教育されると、次々と洗脳され、出所する頃にはすっかり女体の虜となって、外へ出てからはレジスタンスをやめ、待ち構える女たちに四六時中精を放出する動物へと成り下がってゆくのだな。

 僕は「女手室」と呼ばれる部屋に連れてこられた。

 そこには数十台のベッドが並べられており、大勢の男たちが寝かされている。拘束されてあお向けに寝かされており、凄惨な光景が繰り広げられていた。

 ベッド一台につき一人の女性がはりつき、男たちのペニスをひたすら手でしごき続けているのだ。ベッドに並べられた男が、淫気を吸わされながら、次々と精を生手で絞り上げられていく。まるで工場生産のように、機械的にしごき続けられ、精を放出してはさらに手コキが続けられ、何度も絞られている様子だった。

 あちこちから男の懇願する叫び声が洩れる。もう嫌だ、やめてくれといった悲痛な声を、監視員たちは無視して手コキを続けていた。

 ローションやせっけんでしごかれている男性もいる。

みさ:「ここはね、女の手のやわらかさとスベスベの気持ちよさを体感するルームだよ。これで女の手の良さを知ってもらうの。やわらかくてスベスベでしなやかできめが細かくて。それでいてこの部屋の監視員さんたちは手コキのテクニックを日々訓練しているテクニシャンばかり。片手で3発、両手で2発、せっけんで2発、最後にローションで3発抜くのが正規のプログラム。がんばってね〜。」

僕:「みさ! てめえ!」

 僕はベッドに縛りつけられた。あお向けに寝てみると、上半身部分が少し傾いていて、自分のペニスがしごかれる様子を目の当たりにできるようになっていた。

 そこへすぐさま、一人の女性が僕の足下に座り込んできた。

 「あなたは…神谷達郎君、ね。ふうん。若いのにレジスタンスしてたんだ。不健全だぞぉ。若い精はどんどんお姉ちゃんたちに放出してすっきりし続けないと、ね?」「くっ…」「じゃあ、今から私の手でオチンチンかわいがってあげる。女の手がどれだけ気持ちいいかたっぷり味わってね。」

 女はペニスに手を伸ばすと、指先や手のひらで優しく撫でさすり始めた。

 「あふ!」亀頭やカリの敏感なところから玉袋にいたるまで、優しい女手がゆっくり軽く撫でさすり続ける。ムニッとした手のひらとツルツルの手の甲、しなやかな指先が、ペニスをまんべんなくかわいがっている。

 股間にあふれるくすぐったさは、淫気の影響も手伝って、僕をあっという間に興奮させた。徐々に大きくなったペニスは、優しい手の動きに翻弄されて、やがて完全に大きく育ってしまうのだった。

 「あはっ、大きくなったね。健康なしるしだよ。じゃあ、いっぱい気持ちよくなろう?」

 お姉さんは右手でペニスをつかむと、しゅこしゅことペニスをしごき始めた。

 やわらかくて優しい手の筒が、きゅっとペニスをつかむと、その感触だけで精力を大幅に消費してしまう。

 佐伯仙術が使えない状態では、淫気に毒され、あっという間に高められてしまうのである。

 ゆっくりしなやかな動きは、やがてリズミカルな上下運動となり、撫でこすれていく指の感触に刺激され、どんどん高められていった。

 初めて女の人の手に触れられたみたいに、股間は今にも爆発しそうなくらい悦んでいる。

 手首をヒネリながら抑揚をつけてしごく極上のテクニックに、僕はすぐに感極まり、僕は腰をくねらせながらお姉ちゃんの手の中で体液を爆発させた。

 精液が勢いよくペニスから飛び出しているのに、お姉さんは手の動きをゆるめてくれない。そのまま二発目を絞り出すつもりだ。

 右手に力を入れて締めつけつつ、先端ばかりを小刻みにしごくリズミカルな動きが襲いかかってきた。お姉さんから発する体臭が、僕の脳を甘くくすぐり、タイムフラワーに噛まれなくてもすぐに溜め込まれてしまうのだった。

 右手指先だけでペニスの先っぽだけをすばやく刺激し、手が疲れたら左手に交代して同じように先端ばかりいじめる。ピンポイントで敏感なところに集中攻撃をされ、あまりのくすぐったさに腰をくねらせて身もだえしてしまう。だが、手足が縛られているので、大それた動きが取れない。

 2発目の体液が先端から爆発した。

 出したばかりのペニスに右手がさらに覆い被さる。右手の親指だけを使って、ペニス全体を揉むようにして、カリと尿道口をぐりぐりと刺激してきた。その絶妙な動きは、女手なのにまるで挿入してしまっているみたいに心地よかった。テクニック次第でこんな動きもできるんだと改めて感心する。

 左手に交代してやわやわされ、さらに右手でシュッシュとしごかれてからまたモミモミされる。変幻自在なやわらかい手の動きにペニス全体がかわいがられ、僕は心地よさに悩ましいため息をつきながら3発目を放出した。

 痛いわけでもなければ、出し過ぎた苦しみもない。淫気に毒され、どんなに出しても急ピッチで精子が生産され、すぐにでも濃い体液を放出できるようになっているのだ。

 だからこそ、怖い。懇願してでも解放して欲しいと切に願うようになる。周囲の男たちが泣き叫んでいる理由を実感した。

 お姉さんはペニスを両手でものすごいスピードでしごき上げてきた。手のひらや親指の付け根部分で肉棒が包み込まれ、休むことなくしごきたてられる。股間全体がとろけてしまいそうな、奇妙な安心感と、お尻まで突き抜けるくすぐったい快感がたまらない。

 監視員さんの手がスピードを緩めることなく、射精寸前まで追いつめられる。これを察知したお姉さんは、右手で根本から先端までをしごき上げつつ、左手手のひらを駆使して尿道口をこねくり回してきた。

 「あ! あー!」僕は思わず、その仕上げの強烈な快感に、我を忘れて叫び声をあげ、腰を思いっきり浮かせてしまった。しなやかな女手めがけて、衰えることのない粘ついた精液が飛び出していく。

 それでも彼女は手をゆるめることなく、右手でペニスをきつめに握りしめ、左手を玉袋に添え、両手で股間を刺激し続けた。右手はゆっくり優しい上下運動になり、時折軽く握り直すとシュッシュッとすばやくしごき上げてくる。

 同時に左手は、玉袋全体を撫で、指先でくすぐり、包み込んで揉みたて、付け根から精巣まで丹念にくすぐり上げてくる。いけないスベスベの左手はさらに会陰や足の付け根にまでおよび、股間のくすぐったいところは全部熟知しているようで、まんべんなくかわいがってくる。

 左手のすばやい矢継ぎ早の動きと、右手のゆっくりしなやかな動きのギャップが、かえって心地よさを倍増させてしまう。

 淫気は僕の防御力を思いっきり引き下げるだけでなく、すぐに精子を溜め込んであっという間に射精できるようにしてしまう。

 お姉さんの両手の動きに翻弄され、5発目だというのに勢いの衰えない白濁液が、彼女の手を汚してしまった。

 「ふふっ、どお? 女の手って、やわらかくてスベスベで、気持ちいいでしょう?」「くっそ…負けるものか。」

 「ふふふっ、強情はっちゃって。みんなそう言うのよねえ。じゃあ、もっといいことしてあげる。」「なっ…や、やめ・・・」

 お姉さんはせっけんを手に取ると、一気に両手で泡立ててきた。特殊なせっけんであり、軽く泡立てるだけであっという間ににゅるにゅるになってしまう。対男性用のソープであった。

 彼女は両手で石けんの泡を股間全体に塗りたくると、ぬるぬるとあちこちを撫でさすってきた。

 「んああ! すごいぃ!」さっきまでの極上の女手とは比べものにならない快感が襲いかかる。

 せっけんの滑らかな動きが、女の手のひら、指先、甲にいたるまでを改造し、攻撃力を格段に上げている。

 決して激しい動きではないが、いや、だからこそ、精液を搾り取るテクニックたり得るのだ。ゆっくりペニスを滑っていく女の手の甲のやわらかさとスベスベ感は、じっくり滑らかにペニスに刻みつけられながら優しく滑っていく。ゾクゾクする快感に震えながら、僕は腰を浮かせて悶絶していた。

 尿道口を拡げて丹念に洗い上げたかと思うと、ゆっくり大きな動きで足の付け根まで指先が滑っていく。玉袋を撫でさすっていたかと思うと、一気にアナルまで白魚のような指が犯してくる。両手を駆使した極上の訓練されつくした手の動きで、僕はせっけんの撫で洗いに昇天してしまった。

 すると今度は、同じ動きをスピードアップしてきた。ゆっくり滑らかな動きによる、心地よい安心感の中での射精とは違って、有無を言わさない快感の波が一気に全身を駆けめぐった。

 いきなり何本もの女手に同時に撫でさすられているような錯覚さえ覚える。そのくらいにすばやいお姉さんの両手に犯され、僕はマシンガンのように押し寄せる快感の波に耐えきれず、ついに射精させられてしまった。

 お姉さんがタオルでせっけんを拭き取ると、今度は大量のローションがペニスに振りかけられた。

 右手でペニスをしごく。

 「なっ、こ、これはっ!?」

 「すごいでしょう。ぬるぬる度は計算しつくされた極上品、そこに淫気の猛毒をたっぷり混ぜ込んだ、魔性のローションだよ? 私たちのエキスがたっぷり含まれたローションの成分がオチンチンから吸収されて、気持ちいいでしょう?」

 お姉さんの言うとおり、ただのローション手コキではない。体に染みこんだとたんに激しく男を欲情させる特殊な催淫毒が肉体をむしばむのだ。

 そこへ鍛え上げられたテクニックと磨き抜かれた手が襲いかかってくる。指先まで手タレのようにメンテナンスが行き届き、指も長く、人一倍しなやかで、先端が女らしくとがっている。そんな優しい手が、魔性のローションでにゅるにゅるもちもちして、ペニスを一気に快楽地獄にたたき込んでくるのだ。

 手でしごかれているのに、挿入しているのと同じぬるぬるの感触が伝わってくる。目を閉じてしまったら本当にオンナでしごかれているように思えてしまう。それでいて玉袋は執拗にかわいがられているので、射精まではあっという間だった。

 精液がローションと入り混じる。それでもお姉さんは手の動きを止めず、ますます激しくしていった。

 両手で包み込むようにしながら、大量のローションで滑らかにしごき続けてくる。イキすぎて苦痛なのではなく、気持ちよすぎて苦しい。このまま精神が壊れてしまうのではないかと思えるくらいだった。

 「あああ! もうやめてください! たすけて!」他の男たちと同じように、僕もついに懇願していた。

 だが監視員さんは、リズミカルな手の動きをいっそう早めることでこれに答えた。彼女の両手から、容赦なく精液が搾り取られる。

 「最後はじわじわと、ね。」

 お姉さんはペニスをしごくのをやめた。

 その代わりに、ぎゅううっと右手や左手でペニスをつかみ、軽く揉み、あちこちを握りしめては手を離す、という攻撃に切り換えてきた。

 時折指先だけを使って、カリの敏感なところや玉袋の付け根周辺を、軽くコショコショとくすぐってくる。そうしてまたもや、ぎゅっと握ったり、軽くゆっくり撫でさするだけにしてくる。

 握りしめられるたびに、淫毒がペニスから体の芯まで染みこんでいく。それでいて、女の人の手って、ただやわらかく激しくしごくだけじゃなくて、こんなにゆっくり、じわじわと、優しくかわいがることもできるんだと、その魅力にあらためて気づかされるのであった。

 亀頭だけを右手で握りしめ、離す。左手で棒を強く握ったかと思うと、力を抜いて軽く揉みしだく。

 淫毒も手伝って、じわじわと高められてきた。

 いっさいしごかれていないというのに、握りしめられるくすぐったさがじわりじわりと体の奥からくすぐったさをこみ上げさせてくれる。時間をかけてじっくり高めていって、とろけそうな女手の優しいやわらかさをたっぷり堪能させる攻撃だった。

 「ああっ、イキそう…」

 10分近く握られたり軽くさすられたりするだけの攻撃。ついつい射精直前の強いくすぐったさにつぶやいてしまった。

 だが、イキそうと申し上げてからさらに10分、精液は放出されなかった。

 イク前のこみ上げる射精感が持続したまま、その快感がじんわりと残っていて、こみ上げたままになっているのだ。10分もの間、イク寸前の強烈なくすぐったさに近い感覚を味わい続けた。女の人の手って、ここまでペニスを気持ちよくすることができるんだ。

 本当にイキそうになった時、お姉さんはいきなり手を離した。

 「あ・・・あふあああ!」

 触られていないのに、ゆっくりじっくり握られ続け、ペニスの芯まで揉まれていた充血が、一気に火を噴いたのだ。

 快感は高まり続けている。刺激されていないのに、射精直前の、我を忘れる股間のくすぐったさが全身を駆けめぐり続けている。

 やがて、お姉さんが手を離して空中めがけてそそり立っているペニスから、誰にも触られていない状態のまま精液がこぼれ始めた。脈打ちが早く、しかも射精時間がとても長かった。1分以上、じわりじわりとこみ上げ続け、全ての精子が一匹残らず外に押し出されていく。

 勢いよく飛び出さず、少しずつ亀頭の先からこぼれては、ペニスを伝って体液がしたたり落ちていく。その間中、激しく律動し続けていて、イク時の快感が強烈に響き続けていた。

 やっと出しつくし、女手の魅力をたっぷり股間に刻みつけられた僕は、タオルで丹念に拭き取られ、拘束を解かれた。

 立ち上がれないくらいふらふらしているが、二人がかりで抱き起こされ、両脇を抱えられつつ無理矢理歩かされていった。女の人の太ももがひっきりなしに僕の足を滑りこすれていく。次の部屋に案内される頃には、すっかりペニスが勃起してしまっていた。

 次の部屋は「口腔室」。されることはだいたい予想がついた。

 今度はずいぶん細長い部屋だ。奥行きが100〜200メートルくらいある。幅は狭く、2メートルもない。そういう部屋、というよりは、広めの部屋の途中で間仕切りの壁が用意され、分割され、遮断されているようだった。

 壁をよく見ると、下腹部あたりに10センチくらいの穴が開けられており、その丈夫には固定用のベルトと、さらに上方には掴まる用の手すりが備え付けられている。

 ここに連れ込まれた他の男たちは、ペニスをその穴に差し込んでいる。そして壁に前半身をぴったりつけた状態で、腰をベルトで固定されていた。そして両手で手すりに掴まり、悩ましいため息を漏らしている。

 何をされているのかよく分かる。口腔室、つまり、この穴にペニスをツッコンだが最後、壁の向こうでひざまづいている女が口に咥え、激しく吸引して舐めつくしてくれるんだ。

 僕は強制的に壁に前半身をつけられ、ペニスは穴の中へ、そのまま腰を固定されてしまった。玉袋ごと穴に入れてしまったため、腰を横にくねらせることもできず、ベルトで固定されているために腰を引くこともできない。手すりに掴まることくらいしかできなかった。

 次の瞬間、ペニスが誰かの口の中におさめられた。

 

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