Tweet



第30話 クルリ線のことかーーーー!!!!!


 ………………

 …………

 ……

 眠り。長いようでいて、たった一瞬の、とてつもない深い眠りだった。

 それは時空を超越し、過去も未来もなく、時間軸をまったく飛び越えてしまったような錯覚さえ覚える。一目で過去も未来もすべて見通してしまう。

 とても長い、沈黙と休息。

 それなのに、あっという間に終わってしまうように感じた。

 時間軸を一次元の線とたとえるなら、それを真上から見下ろしてすべてを見ることができる。

 そこにあるさまざまなストーリー、自分が自分でないような、まったく別人を演じているような感覚に襲われる。一瞬にして、長い長い体験をすることができた代わりに、なにか大切なものを見失ってしまったように思う。

 あまりに多くの経験をしてしまったにもかかわらず、そのいっさいを覚えていない。

 気がつくと、深い深いブラックホールに落ち込んで、決して抜け出すことができないと思い知らされた。

 その中で瞬時に味わった、永遠の時間を、僕はすべて忘れ去ってしまった。何もかもが無駄だったと感じる。

 自分の中で何かがはじけ、大きく変われたはずなのに、そのすべてを失って、振り出しに戻る。そう、この人生はいつも振り出しだ。いや、振り出しに立つことさえ、はじめからできてはいなかったんだ。

 ふっと気がつくと、僕はいまだに、”天国”のさなかに放り込まれているのだった。

 克服ができたはずの天国を、いまだにどうすることもできない自分がいる。

 カラオケボックスの一室で、僕は女の子供たちに取り囲まれていた。みんな首から下に毛が生えていない全裸姿だ。そうだ…大ピンチのさなかに、僕はせん妄状態に陥り、そのまま瞬時にして、悠久の時間の旅を過ごしたのだった。

 そこで何か大切なことを学んだはずだった。何か重要なことを教わり、このピンチを克服する手がかりをつかんだはずだった。

 しかし、もう何も思い出せない。ただ快楽の宴だけが、僕の前に厳然と口を開けて待ち構えている。それだけだった。

 何か、突破口があるはずなんだ。

 その手がかりとなりそうなものを、僕はつい今しがた、つかんでいた気がしていた。それにもかかわらず、何も思い出せず、もどかしい思いと、目の前の現実、その禁断の快感に、すべて支配されつくしてしまっている倒錯があった。その厳然たる現実を、僕は依然として、どうすることもできないままでいた。

 たった一瞬でもあるけれども、同時にひどく長い時間、いわゆるトランス状態に入ってしまっていたので、急激に引き戻された現実に目がくらみ、極度の興奮があるにもかかわらず、かえって冷静に状況を把握することができた。それがいけなかった。

 周囲に何が存在し、自分に何が起こっているのかが、いやというほど分かるために、性欲のたぎりは逆に急激に高まっていく。本来なら他愛もないこと、興奮してはならない対象にさえ、僕は相手が異性であるというその一点で、オスとしてのすべての本能を無理にでもかきたてられてしまっているのだ。

 瞬時にして萎えてしまったペニスに、小さく柔らかな女手がコショコショと群がり、優しく激しく撫でさすってくる。

 上半身の群れは、大小さまざまな小ぶりの乳房がぷるんと揺れていて、彼女たちが蠢くたびに、さらに肉の震えが僕の目に飛び込んでくる。

 それはもはや、男子のそれとは完全に一線を画していた。

 見た目は同じようでいながら、ふぁさっと揺れる柔らかな髪の毛、きめの細かい吸い付くようなやさしい腕、わき腹、胸板。その裸の小さな肉体は、幼いながら、すでに精を絞るために適した十分な肌触りを具えているのだった。

 それはすでに、異性を惹きつけてやまない女体の力そのものなのであり、女性としての意思は未熟なのでほとんど表ざたにならないだけで、5年生以上になると、もはや完全に、本能として男を射精させる能力と魅力とを、全身あますところなく発散させているのである。

 精神的には、本来幼すぎて、そんなことを意に介した生活を送らない彼女たちではあるが、女教師の差し金で天国軍団となり、自らの意に反して、その本能的なメス性をいかんなく発揮させられている。

 そればかりでなく、さらに年長の2年生、3年生までが混ざっている。その年代になると完全に女性的なふくらみを覚え始め、その心も、異性への興味関心がぐっと強くなってくる。

 それはもう、制服ごときでは包み隠せるものではない。むしろそれによって、かえって性的な魅力を存分に発揮させてしまう不可思議な装置になってしまう。ブルマが廃れて久しいが、半ズボンになったところで、いやさジャージ姿でさえも、むっちりした太もものふくらみや、女性的に発達したお尻のやわらかそうな見た目を覆い隠すことができなくなっている。

 どころか、そうした格好こそが、彼女たちの性的な武器にさえなりえているのである。

 そんな彼女たちが、もはやその武器さえも脱ぎ捨て、あられもない格好で僕の周囲に大勢群がっている。

 女の娘たちは、ちいさな肉体から、大人とほぼ変わらないまでに背が伸びた少女たちまで、文字どおり大小さまざまである。

 それでも、どんなに背が伸びたところで、その顔はまだまだ稚いままであり、それなのに胸だけが膨らみかけていたり、女の子らしい髪型でさらさらと揺らして見せたりして、激しいギャップを突きつけてくる。

 その女手は、もう完全に吸い付くやわらかさを誇ってしまっていて、ちいさく細い指先なのに、股間をまさぐると電撃のようにその快感攻撃力を思い知らせてくるのだった。

 ペニス先端は、フザケンジャーの防御など難なくすり抜けたやわらかな指先でもてあそばれ、撫でくすぐるいたずらな動きは、一度萎えたペニスを、再び興奮の坩堝に叩き落してくる。

 それどころか、以前にもまして心地よい刺激が、先端からお尻の奥まで突き抜けてしまうのだった。

 取り立てて特徴的なのは、やはり彼女たちの下半身である。

 上半身でさえ、男子と一線を画する魅力に満ち溢れている少女たちは、その下腹部、生足、股のいやらしいワレメにおいて、完全に女性そのものであった。天国軍団に特徴的な、毛の生えていないオンナ表面が、僕の前であらわな群れとなっている。

 甘くすぐったい刺激は、容赦なくペニスの性的な快楽となって僕を追い詰める。

 それに加えて、少女たちの生足が僕の二本の足全体に絡みつき、余すところなくその肌触りをこすりあげてくる。

 大勢の少女の手がペニスに絡みつき、かわるがわる押し寄せるように、つかみ、撫でさすり、こすり上げ、くすぐってくる。僕の手よりもはるかに規模の小さな女手の群なのに、その快楽の動きは、完全に精液をこそげ取るための熟達した連係プレイなのだった。

 彼女たちは手分けして、先端部分、裏スジ、根元、玉袋、股間の付け根部分や会陰に至るまで、こちょこちょといやらしく手を動かしてきた。

 そのイタズラな手はお尻の穴まで容赦なく伸びていた。

 自分を見失ったために途絶えていた性欲のたぎりは、少女たちの懸命な指先、手のひら、手の甲の動きによって、ふたたび熱く燃えさかることになる。体の奥までくすぐったい疼きに包まれ、きゅんきゅんとせつない気持ちよさに包まれてしまう。

 一度は、もっと激しい快感攻撃にさらされ、挿入攻撃まで受けていた身ではあるが、それを忘れてしまったのか、少女たちのなまの手にふたたび酔いしれ、こしょこしょと滑っていく彼女たちの手の群に、さらなる強い興奮を覚えてゆく。

 細くしなやかで、それでいて小さくいとけない指先が、亀頭先端に群がり、ぐりぐりと揉むように先端全体を刺激する。

 つい腰を引きそうになるが、そうすると別の女の子たちの肉体がそれを阻んだ。細く、それでいて女性的な膨らみや質感、むっちりと吸い付くような生足の感触が強く押しつけられる。僕の両脚には、すでに何人ものふとももが交代で滑り回っており、僕のお尻も、彼女たちの足や腰にぶつかって、ポヨンと柔らかくはじき返されてしまう。

 彼女たちはグイグイと、僕の腰を前面に突き出そうとしてくる。むき出しになったペニスや玉袋は、そうやって別の女の子たちの手の餌食になるんだ。シコシコと特徴的な肌の質感を伴って、女の子たちの素足がみっちりと僕の下半身を操作している。

「ね。カミヤクン……このまま……出しちゃおうか?」

 はるかに年下のはずのオンナノコたちなのに、まったく同級生に対して話すような口ぶりで、年齢などさのみ気にしないように、ただ性的な興奮と、男子の精を絞るという与えられた目的をひたすら遂行する女豹の表情が、じっくりと僕を見上げている。

 さっきまで、手コキ以上の攻撃を受けていたはずなのに、僕自身もそれを忘れ、トランス状態に入った。その一瞬だけで、僕が何かを掴んだことを、天国軍団たちは本能的に察知していた。

 残念ながら、何を掴んだのかを、僕は失念している。彼女たちはそれには気づいていないようだった。

 だがいずれにせよ、”復活”した僕が、何らかの反撃に出てくるかも知れないと、彼女たちは予想したのだ。そのために、”作戦”を変えてきた……そう考えると、ふたたび手コキと生足攻撃に転じた少女たちの戦略が見えてくる。

 慣れたはずの女体の快感が、まったく不慣れな男子の受ける刺激と同等のレベルに引き上げられた。僕が弱体化したのか。いや……彼女たち自身が、”クピドの矢”の効力を頼みに、別の作戦に転じたと考える方が自然だ。

 クピドの矢は、撃たれた者の精神構造に作用し、撃った相手の性的な属性に対して敏感になる。年齢、外見的特徴、物腰、SやらMやら……様々なタイプの女性が世にいるものの、その女性がまさに“タイプ”になるよう、こちらの恋心を操作する魔法の道具である。

 僕はしこたま、高学年から14まで、ずっと年下の少女たちに大量の矢を放たれ、すっかり骨抜きになっている。トランス状態で何かの対策を思いついたのは確かだが、それが何なのか思い出せない以上、僕はクピドの矢の効力に対して、何らの手も持っていないに等しかった。

 彼女たちはその隙を突く作戦に出始めている。その内容がうすうす分かり始めているけれども、じゃあ具体的にどうすればいいのか、まるで思いつかないまま、ひたすら快楽を与えられ続け、精を奪われようとしているのだ。

 ただの天国軍団ではない。

 僕はその相手の肉体に、異常なほど性的な興奮を覚える。そのように仕組まれてしまっている。その上で、スベスベの上半身、吸い付くような生足、ツルツルのオンナ、柔らかく小さく細い手指、小ぶりながらしっかり肉付き良くやわらかにめり込むお尻などを駆使して、彼女たちは僕を射精させようと躍起になってきている。

「出して出してっ!」「いっちゃえいっちゃえー!!」

 女の子たちは、射精直前の僕の様子にすっかり興奮して、きゃいきゃいと群がり、いまかいまかと絶頂の瞬間を待ちわびながら、僕の股間全体を隙間なく刺激し、こちょこちょぐりぐりと手を動かし続ける。

 僕に密着した数人の少女たちのさらに奥には、大小さまざまな女の子の裸体がひしめいている。彼女たちも、お尻を見せ、太ももを強調し、胸の谷間を一生懸命に作り、さらには自分からオンナを押し広げて、いけない部位を見せつけている。

 どこを見回しても、まだ年端のいかぬ上半身の娘から、成長しかかって一人前の女性になりつつある……それでいて顔はまだまだ子供のままという中学生まで、大勢の裸がさらけ出されている。

 僕はその姿を凝視しながら、なおかつ娘たちの手と足の刺激でペニスをかわいがられ、すっかり高められてしまっていた。

「うあぅっ!!」

 びくんびくんびくん!!!

 ペニスが激しく脈打ち、トランス状態から目覚めて初めての射精にこぎ着けられてしまった。

 律動時間が長く、それでいて脈打ち速度も速い。魔族の特徴的な快感だ。天国軍団は魔族の力を借り、攻撃力、性的魅力を高め、本来なら知らないはずのめくるめくテクニックを駆使させられている。そのために、それを受ける男性も、1回でより多くの精を奪い、快感を絞り出すための工夫が施されている。

 本来なら、フザケンジャーの防御力が、これをカバーし、魔の快楽の誘惑をはねのけるための様々な工夫が施されているはずだった。だが、クピドの矢のせいで、それさえも無効化されてしまっているのだ。

 防衛組織のうち、正常に機能しているのは、もはや自動浄化装置のみ。つまり、精液が放出されても、瞬時にしてきれいにしてしまう機能だけが働いている。そのため、出されたはずの精液はすぐさま消え去り、まるでペニスが律動だけをして体液が放出されていないみたいな格好になる。

 だが、魔族どもにとっては、それで十分なんだ。

 彼女たちが吸い取る“精”というものは、精液そのものではない。水分やタンパク、生殖細胞など、本来はどうでも良い存在だ。いや、ほんとうなら、それこそが子種として最も重要なはずなのであるが、奴らは生殖に興味があるわけでもない。ただただ、男性の「気持ちいい」という思念、精神エネルギーを求めている。それが最大限放出され、なおかつ魔族の糧になる瞬間というものは、男性の絶頂の数秒間だけなのである。

 だからこそ、イッた時の快感ができるだけ強く、その時間が一秒でも長く続くように、魔力が働くことになる。

 これにやみつきになってしまえば、たしかに人間の女性との快楽を捨て、魔界に堕ちることを厭わない者も出てくるに違いない。そうなれば、ますます奴らは強大化し、つけあがって人間世界の完全支配、すなわち人間界を魔界に染めてしまうことさえできてしまう。

 なんとしてもそれを阻止するのが、僕のつとめなんだ。でも……今は、あっけなく彼女たちの肉体に溺れ、精を吸い取られるに身を任せる格好で、少女たちの手に射精を許してしまったのだった。

 強い後悔の念を、お尻の奥まで突き抜ける性的快楽がかき消してしまう。

 なんとか理性は保ち続けていられるものの、魔族の搾精は延々と続く。通常なら1回出してしまえば、疲れて性欲も落ち着くものではあるが、相手が魔族の場合、その落ち着かせる脳内物質を阻害し、精液の枯渇を防いで、何度でも絶頂射精できるようにしてしまう。これも、効率的に精神エネルギーを魔力に変える手法のひとつだ。

 女の子たちは、なおもしつこく僕の股間をまさぐり、同時に僕の両脚をしきりに大勢のふとももでこすりあげることによって、性的な快感と興奮を持続させようとしてくる。

 少女たちは交代しながら、様々な年代の生足を僕に刻みつけてきた。小学生なのに大柄で、脚は太くしっかり成長した娘や、もっと年上だけれどもまだまだ細くて、小柄な娘まで、どんどん女の脚の感触をこすりつけ、その心地よさを忘れさせまいと、休むことなくスベスベの感触を味わわせてくる。

 ペニスは萎えることなく、あえなく再び性欲の虜に憑依される。ドキドキする心臓。やむことなく続けられる、裸体の群の誘惑だ。

 くりゅくりゅと交代で、女の子たちの指先が、亀頭先端を揉むように刺激する。指先まで優しくやわらかで、小さい指なのに心地よかったり、さらには女子中学生の大きくなった手でペニス全体が激しくしごかれたりする。

「あぁ……」

 感嘆の溜息。だが、それでも腰を引くことは許されない。腰が引ければ、容赦なく少女たちがグイグイ押してきて、僕はのけぞるようにペニスを彼女たちに差し出す格好で固定されてしまう。

 僕の両手は、すでに女の子たちに掴まれ、膨らみかけの胸板を揉まされたり、ふとももを撫でさすらされたり、オンナ表面の柔らかな感触に挟み込まれたりしている。

 その滑らかな感触を触るたびに、僕はさらにドキドキし、あふれる興奮を抑えきれなくなってしまう。

 なぜ、あえてフェラチオや挿入に持ち込まないのか。その理由は、僕の精神構造にある。

 知らないから、ではない。

「ねぇ、カミヤクン、女の子の脚って、触り心地良くてもっちもちでしょ?」「自分の手より、女の子の手の方がずっと気持ちいいでしょぉ?」

 娘たちは、まさに僕を同級生扱いしている。

 クピドの矢の効力により、僕はこの年代の少女たちをかわいいと感じ、その肉体に激しく興奮する。しかし同時に、もっとも興奮するような性的状況を、心理的に作り出されてしまっているんだ。

 つまり、僕は少年時代の、まさにこの年代の少女たちにもっともときめいた時期の精神状態に、無理矢理に引き戻されてしまっている。小学生の頃、中学生の頃……その頃の僕は、同級生たちの「女性性」を、その舌や性器内部自体に求めていたわけではないことを、すっかり忘れていた。

 彼女たちの肌触り、その質感は、いわゆるラッキースケベ、偶然に擦れ合った経験から、瞬間的に記憶したものでもある。狭いところを通り過ぎるときに、クラスメイトとぶつかるようにこすれて通ったのだが、そのときの少女の肌の感触、特に生足の感触は、瞬間ではあったけれども、はげしく僕の心を揺さぶり、記憶の芯まで貫き通すように強く強く印象づけられたものであった。

 小学生のときに、イタズラでくすぐり地獄を喰らったことがあったが、そのときの同級生たちの手は、自分のチャチな男子の手よりも、はるかにやわらかで心地よいものであることを、ひそかに感じ取ってもいた。

 その印象が強く残っているために、彼女たちの肉体への渇望は、主に手足において強調されるようになっていた。

 その後成長し、知識も増えて、女体のいろいろな快感も分かったけれども、あのころの”トキメキ”の主内容は、やはり生足と手に尽きる。

 クピドの矢によって、僕は彼女たちに対し、まさに子供に戻ったときのような、手や脚を見て異性の良さを感じ取る精神構造に戻されてしまっている。

 そして、トランス状態から脱出した僕を待ち受けていたものは、まさに僕の“思い出”をくすぐる作戦、あの頃もっとも興奮していた部位をこそ強調して、まるであの頃に堂々と味わうことができず“偶然”と記憶だけを頼りに女体の良さをかき立てていた身に対して「いまこそその部位を存分に味わって」と言わんばかりに、手足お尻をとりわけしつこく強調してくる作戦なのだった。

 まさにアコガレていた部分を、ダイレクトに触らせられ、脚同士をこすり合わせられ、なおかつ柔らかな手が股間全体を覆い尽くしている。少年時代の性的な理想状態が、そのまま実現してしまっている。

 こういう心の隙を突いて、快楽への抵抗をむなしく打ち破ってくることこそ、少女たちのとった作戦である。だからこそ、彼女たちは僕をクラスメイトとして扱う。トランス状態の前には見られなかった行動だ。そして、その策略に、僕はまんまと嵌まってしまっているのだった。

 あえてぎこちなくくすぐったりしごいたりして、性的知識がないまま見よう見まねで手を動かしているという風体の、幼さを強調した攻撃。それがかえって新鮮な刺激になる。

 かと思いきや、別の娘と交代するやいなや、天国軍団仕込みの華麗な手コキテクで、根元から先端まで手の筒で激しくしごいてくる。そのギャップが、さらに僕を高めていった。

「ほらほら~、キミがひそかに私たちの脚を見てたこと知ってるんだからねー!」

 女の子が、ペニスを丸ごと生足に挟み込んできた!

 すでに受けた攻撃のはずなのに、思い出作戦のせいで、まるで初めてふとももにペニスをあてがったかのような、新鮮すぎる快感を覚える。

 ある女の子のミニスカート姿を思い浮かべ、その娘の写真でオナニーしていた日々が、とつぜん終わったときのようなショックだ。そのオナニーがその娘自身にバレてしまい、女友達たちと一緒にからかい半分で、ミニスカート娘の太ももに未熟なペニスが包まれる。そんなシチュエーションが思い浮かんだ。

 そうなってしまっては、その子に逆らうことはできないではないか。

 テーブルに膝を立てる格好で、彼女は細い足をギュッと絞るように、ペニスを柔らかく包み込む。そうすれば、ちょうどペニスの上部にオンナ表面が食い込むようにして、しっかりと生足で挟み込むことができた。

「うあ……」

 後ろの娘たちが、脚や腰、お尻を押しつけて、無理にでも僕の腰を前後させる。スマタ(あの頃はその言葉さえも知らなかった!)でペニスはしっかりと、アコガレの生足でしごかれてしまう。

 恋い焦がれてきた太ももが、じかにペニスを包み、しっかりと内股の肌触りを刻みつける。もっちもちした弾力と、名残惜しそうに吸い付いては離れていくみずみずしさが、そっくりそのまま、股間に伝わってきた。

 女の子の側も、自分から腰を前後させて、しきりにペニスをしごき立てる。そのまま射精まで持ち込むつもりだ。

 なんとか、思い出地獄や、ありもしない記憶のフラッシュバックと戦いながら、この快感天獄から逃れる方法はないか模索した。

 だが、こみ上げる射精感を抑えることで手一杯で、どうしてもそれ以上のことが思いつかない。こんな抵抗は、うち続く快感の波には逆らえず、いずれは限界点を超え、脈打ちが始まってしまうだけである。彼女たちも、僕の抵抗を楽しみながら、さらにその上を行く快楽を怒濤のように展開して見せて、快感に抗う堤防を越える瞬間が訪れることを、今か今かと楽しみにしているのだ。

 射精してはいけない……イッたらダメだ……必死で踏ん張りながら、僕は内股の感触に耐え続けた。だが、そんな思いをあざ笑う少女たちの裸体の波に、いつまでも抵抗できるはずはない。イッちゃいけないと思わせて、イかせてしまう。そのときの快感は、我慢していても打ち破られる快感は、やはり通常の性感を遥かに超える絶頂を導く。だからこそ魔族は、男の抵抗を楽しむのである。

「~~~ッ!!!」  
 
 またもや、激しい律動とともに、ペニスは絶頂を迎えた。少女は自分の太ももの中で、男のペニスが暴発する感覚を愉しんだ。「あははっ、ぴくぴくいってるの、伝わってるよ?」ぎゅうっと脚を締めながら、長く続くペニスの脈打ちを、少女はじっくり味わうのだった。

「私も私も!!」

 別の少女の生足に包まれる。こんどは、もっと成長し、女の子の脚も、見た目からずいぶん違ってくるようになる思春期過ぎの生足に変貌する。

 さっきの女の子と変わらない、きれいな素足の感触がペニスに刻みつけられる。しかし、背は伸びからだは成熟して、脚の肉付きもずいぶん良い。少女は左右の足を交互にスリスリすることで、ペニスを素早くこすり、射精を促し続けた。

 相変わらず、女の娘たちは僕の両脚にまとわりつき、玉袋やお尻の穴めがけて、ちいさな手や細い指先を伸ばしてくる。しつこくしつこく刺激されながら、肝心な部分は中学生の生足の餌食になり、ひっきりなしにこすりあげられ続けている。

 こうして僕は、少女たちと戯れ、次々と小中学生に射精。特に太ももと表面攻撃は苛烈だった。手、脚、お尻、そしてオンナ表面で、ペニスは次々かわいがられ、そのつどしつこく集団攻撃をしかけてくるので、僕はなすすべもなく、精を魔族に捧げてしまう。

 目の前の1人1人を見るにつけ、きゅんきゅんと彼女たちに恋してしまう。これがクピドの矢の弱体化攻撃。好きな相手による快感は、何倍にも気持ちよく、すぐにでも精子を吐き出してしまう。それが交代交代で、延々と続けられるのだ。
 
 記憶の中のあこがれが実現し、しかもみんな好きな相手になってしまう。どんなに精神的に抵抗しようとしても、心臓が高鳴り、どうしても感じてしまう。

 彼女たちはあえてフェラや挿入に持ち込まず、秘密のベールを脱がないまま、それ以上の攻撃力を持って、肌表面での攻撃に専念する。

 クピドの矢で精神が掻き乱され、佐伯仙術も使えない。対抗手段がない。……その状態のまま、闘うしかないんだ。それがいかに無理難題でも。

 次々と射精が訪れる。そのつど、少年時代の甘酸っぱい思い出とともに、身体が徐々に魔界化していく。

 何か大きな力が欲しい。

 この膠着状態を一気に打開するような、すべてが逆転してしまうような、おおきなチャンスがあれば!

 相手が魔法の力を使うなら、こっちも、それに相当するなにやら神がかったパワーがあれば良いんだ。なければ、勝ち目はない。

 ……魔法なんて、ないんだ。

 何かが逆転して大きなパワーになるなんて、そんなウマイ話なんて、ないんだ。

 それが起こりそう、チャンスだと、息巻いて行動すれば、確実に裏目に出て、以前より決定的に悪化し、取り返しがつかなくなる。その結果惨めな昏倒を経験し、どうしようもなくなって、そんな人間に吐きかけられるのは、現実という冷たい言葉だけだ。

 取り返しがつかなくなるくらいなら、始めから、なにも、しなければよい。

 チャンスと思ってときめくのは、もーうたくさんだ!

 ときめいては、いけない。

 行動した後悔より、行動しなかった後悔の方がずっと強いって?

 絶対に、ウソだ!

 行動しなければ、よかったんだ。

 何もしなければ、こんなことにはならなかった。

 げんに、行動しなかった場合もあり、それはトラブルにならず、取り返しのつかない事態にならずに済んだではないか。長い人生の中で、結局のところ、行動した後悔が圧倒的多数を占めたのだよ。だからもう、余計な行動はしては、いけない。魔法の力に頼ることも、しては、いけない。

 ……恋愛を、しては、いけない!

「……。」

 佐伯仙術は使えないままだが、フザケンジャーの攻撃機能は、弱体化されたとはいえ、なおも僅かながらに残っていた。

 僕は全身、特に指先と股間から放出される、フザケンビームを、久々に使った。

 一気に形勢逆転とは行かない。が、天国軍団、しかも年端も行かぬ、本来なら性的経験のない相手ども。強化はされていても、元来の未熟さにより、精力自体はそれほど高くない相手だ。

 恋心を操作されていたが、その結果どんな酸鼻になったか、甘酸っぱい追憶が経験のひとつであるのなら、それを遥かに超える酸鼻どもをこそ、思い出せば良い。

 僕はもう、目の前にいる少女にときめかなくなった。

 クピドの矢を完全には克服できてはいないけれども、自分の心臓の高鳴りをかなり抑えることができるようになり始めた。かろうじてだが、糸口が見え始めている。こっちの精神が操作され、好きになってしまう魔法に対抗する「心の状態」とは、抵抗心ではない。……落胆だ!

 ぴりぴりとフザケンジャーのパワーが少女たちに流れ込んでいく。

 恋愛なんぞしなくたって、想定上の快感に変わりはない。むしろそれが原動力、内なる秘めたるパワーである。ずっとそうやってきたではないか。それを今更、途切れさせるわけにはいかないんだ。

「……わるいけど、みんな気絶してもらう。」

 もともと快感に強くはない子供たち。攻撃はできても、それは僕の思い出をいじくったから、クピドの矢の効力があったればこそだ。天国軍団の強化など、こっちはフザケンジャーの力で跳ね返せるし、今までもそうしてきたではないか。

 神がかりなパワーや魔法はなくても、落胆という、本来は否定されるはずの感情が、逆にかえって神や魔法に代わるほどの激しい、持って行き場がないからこそ爆発的圧倒的なパワーになるんだ!

 ……それだけで十分だ。今は。

 思ったとおり、こっちがあれこれしなくても、フザケンビームを当てられた女の子たちは、たまらなくなって自分の股間を、胸を、自分自身でまさぐり、自分が一番気持ちいいオナニーの仕方で、ドンドン勝手に高まっていく。

 カラオケルームは、地獄絵図ならぬ、少女たちの悩ましい吐息であふれかえる。

 そうして、1人、また1人と、ぐったり倒れ込んでは、意識と記憶を失っていく。

 性欲を我慢するすべなど、若すぎる君たちには到底ムリな話だ。

 静電気のようにカラオケルーム全体を満たしていく、フザケンジャーのパワー。ポッティが与えた力ではあるが、わるいけど、神の意志どおりの使い方はしない。それでは勝てない。その意志に適わない感情の力、落胆の力を、今こそ発揮すべき時だ。

 少女たちはビームを浴び、僅かながら快感を身に受けると、それが引き金となって、若い性欲を暴発させてしまう。火照る肉体に対処することができず、自分の手で自滅していく。

 いつしか、彼女たちは天国軍団としての任務を忘れ、自分で絶頂まで追いやって、どんどん倒れていった。もう、僕にすがりつこうとする娘はいなかった。いても、自分の性欲を満たすための道具でしかない。彼女たちは自分のオンナ表面を僕のふとももにこすりつけながら、いたいけな豆をいじくって、すぐに絶頂してしまう。僕にダメージを与える意志も技術も皆無だ。

「……わすれてしまえ。魔族のこと、天国軍団のこと。自己を。」

 一発逆転。一瞬でそうなるかどうか。そんな魔法はない。でも、実際に、カラオケルームでの大ピンチだけは、なんとか脱出できそうである。

 そうしてついに、僕を襲っていた”クラスメイト”たちは、全員倒れてしまった。勝ってしまえば、あっけないものなのかも知れない。

「……あれっ!?」

 倒れた少女たち以外、誰もいない。

 ……いたはずだ! もう1人! このあどけない少女たちを操り、指揮していた女、教師という身でありながら、その立場を悪用して、教え子の少女たちを犠牲にした、許すべからざる悪党、常任天国軍団の1人がいたはずだ!

 だが、女教師の姿はどこにもなかった。旗色が悪いと察した彼女は、さっさと逃げてしまったのか。

 しくじった!

 急いで追いかけなければ。僕はカラオケルームをあとにした。外に飛び出し、あたりを探すが、常任天国軍団の姿はどこにもなかった。

 なんてことだ。指揮していた根源を取り逃がしてしまうとは。これでは、フザケンジャーとしてのミッションは成功したとは言えないじゃあないか。失敗だ!

ポッティ:「フザケンジャー。応答せよ。どうやら無事のようだが……」

僕:「あ、はい。」

 本部から連絡が入る。ポッティの通信だ。

ポッティ:「いくらフザケンジャースーツに守られていても、だいぶダメージを負ったようじゃ。すぐに本部に戻ってきなさい。蘇生措置が必要だ。」

僕:「で、でも……」

ポッティ:「その身体は、相当にダメージを負っておる。魔族化が進行している。急いで戻ってきなさい。あとは……大丈夫、なにも心配は要らぬ。」

僕:「わかりました……」

 常任天国軍団を逃がしたことは本部も分かっているはずだ。

 それ以上に、僕の体が非常にマズイ状態になっているのだろう。蘇生を優先させるというわけか。

 とにかく、本部に戻ろう。蘇生して、しっかりクピドの矢の対策を考えなければ。今回のピンチ脱出は、あくまで一時しのぎ。根本的な解決にはなっていないのだから。

 僕は本部に向けて移動し始めた。



######

女教師:「はあっ、はあっ……追ってはいないみたいだ。たすかった……まさか……クピドの矢があったはずなのに、勝てないなんて……くそ……おもしろくない……いつだってそうだ……いつだって……くそ……」

佐伯:「残念だけど、追ってるんだよねー」

女教師:「お、お前は……佐伯翔!」

佐伯:「フザケンジャー本部を甘く見るな。逃げられやしねーぜ。」

女教師:「うぅ……かつてカリギューラを倒した伝説の男……くそ……ついてない……いつもいつも……私は貧乏くじばっかりだ。」

 ここは路地裏。人影はない。

佐伯:「だーれが逃がすかよ。お前はココで、罪を償ってもらう。」

女教師:「くっくく……いや……ちゃんすだ……ちゃんす……ここでお前をイかせて倒せば、株が上がるじゃないか。幸いお前は先の大戦で心に深手を負い、女性嫌いになっているらしいね。……私が、女の良さを思い出させてあげる……さぁ……おいで……」

佐伯:「よく分かってんじゃん。そ。俺、女キライなんだよ。とくにてめーみてーなクズはな……」

女教師:「忘れたか! 佐伯仙術は私には効かない! あーっははは!」

佐伯:「脱ぎはじめんじゃねーよ。見たくもない。ふん!」

 ぶわあ! 大量の神通力が、女教師にまとわりつく。

女教師:「ばかかお前は! 効かないと言ってるだろう! で、憎まれている相手に射精させられるって、どんな気持ちなのかなぁ~……しっかり味わいなさい!」

佐伯:「バカはお前だよ。知ってるよ、サッポロなんちゃらだっけ?」

 佐伯仙術はすでに魔族によって知られ、研究されている。その結果、その神通力が女体に流れる前に、特殊なピアスで神通力を集め、散らしてしまうツールが、常任の天国軍団にだけ与えられているのだ。

佐伯:「……で? ”散らした”俺の神通力は、いったい”どこへ”行くんだ?」

女教師:「そんなの……空気中に粒子となって消え……うっ!?」

 どくん!

 女教師の中で、何かが強く弾けた。

 全方向から激しい衝撃が襲いかかる。だが、強い衝撃も全方向からなので、どこにも行き場はなく、女教師がどこかに吹き飛ぶこともない。

女教師:「な……なに……ばかな……このパワー……激しいスパークとエネルギー……まさか!」

佐伯:「そぉうだ! 佐伯仙術だよぉぉ! このマヌケがぁぁ~~!!」

女教師:「効かないはず! このピアスで全部空気中に散らしてしまうはず! うああ!」

佐伯:「一度空気中に散ってしまった佐伯仙術は……消える。だけどな、消える前にそいつをもう一度集め、こんどは直接、お前の体の中にワープさせる。そうするとな、体表面を流れる神通力はピアスで散ってしまっても、体内にワープした分は、ピアスに流れる前に、ダイレクトにお前の体にダメージを与える。」

女教師:「ばかな! そんなのできっこない! できるかー!」

佐伯:「俺もマスターのところで修行し直しているんでな、ちょっとぉは成長してんのよ。……ま、神谷はまだ……フザケンジャーは、こんな佐伯仙術の使い方は、まだできないんだろうけどね。」

 大量の佐伯仙術は、たしかに失われてしまうが、そのうちのごく一部だけなら、もう一度取り出して直接子宮に送り込む。ピアスは、体表面に流れる神通力を処理することで手一杯になり、すでに体の中に染みついた分までは集めることができない。

 その隙を突くことこそ、常任天国軍団の対策、佐伯の作戦なのだった。少量といっても、始めに放たれた仙術の神通力は、フザケンジャーの力をはるかに凌駕して、とてつもないエネルギーになっている。そのため、女教師の中に移されたパワーは、それだけでも十分、敵を倒してあまりある力があるのだった。

女教師:「うが……い、痛いッ、いいぃ痛いぃいイイィ!! なんで……なんで痛いんだ~! 佐伯仙術は性感神経を……」

佐伯:「だれがてめーみてーな悪党に”快感”なんか与えるかよぉ。俺の神通力はイタズラ好きでな。全身の性感神経を刺激し、たしかに絶頂に導くが、その情報が神経伝達物質をつうじて脳に至るときには、激痛情報として伝わるように変換できるんだ。……こんなことも、まだフザケンジャーではできないんだけどな。……とっととイケ。気絶するほど、全身余すところなく痛がって、……絶頂の痛みは陣痛のおよそ36倍。ま、がんばってね。」

女教師:「ぎあああ! やめ! やめてええ! 痛い痛い! うがぁ! な、なぜだ……佐伯翔……お前ほどの力と技術があれば、お前単独だって、フザケンジャーの力なんてなくったって、常任天国軍団にも怪人にも十二分に対抗できるはず……何で、戦いの表舞台に出てこなかったああ!?」

佐伯:「ばかかお前は。俺が出しゃばったら、神谷の活躍も成長もねぇだろ。ヒーローはつねにひとつ。俺はあくまで本部長官、裏方なの。フザケンジャーが前に出ている以上、俺は第一線では闘わない。特別な場合を除いてな。」

女教師:「いつもそうだ! いつだって私が損なんだ! なんでこうなるんだ! くっそ痛い、なんで……」

佐伯:「てめーこそ、なんで常任天国軍団になり、子供たちを天国軍団にした? ハッキリいって禁じ手、やっちゃあならねえことをやっちまったんだ。ま、魔族なら、性懲りもなく同じ手を使うだろうけどな。」

女教師:「悪だよ……世界には、私のような悪が必要なンだ。悪でしか生きられないヤツだっているんだ。物語にだって、悪役は必要だろ?」

佐伯:「悪役? けっ、そんなの、コレを書いてるヤツと、この俺だけで十分だよ。消えろ。」

女教師:「ギッ!!!」

 女教師は白目を剥いた。もはや声も出ない。肉体は絶頂しながら、脳だけは激痛にのたうっている。ほどなくして、女教師は気を失った。

佐伯:「さて。本部に戻るか。」

######



 夕方も暮れかけた頃、僕はやっとの思いで、電車でフザケンジャー本部のある“キノコぐんぐん伝説”に戻ることができた。

僕:「あうぅ……」
ポッティ:「ピンチは脱したようだが……だいぶ魔界に毒されつつあるようじゃ。急いで処置をせねば。」

 ポッティの言うとおり、僕は天国軍団たちの魔性の肉体によって、相当に精を消費し、その分だけ着実に、心も体も悪魔に侵蝕され始めていた。

 クピドの矢によって心を奪われるという、敵の作戦はたしかに功を奏していた。最後の最後で、どうにか最悪の事態を避けることはできたものの、それまで抜かれすぎたことが、肉体へも、精神へも、少なからぬダメージとして残ってしまっていた。

 そのせいで、僕は特定の年代の少女たちに、異常なまでの性的な興味を覚えるようになってしまっている。女の子供たちにクピドの矢を大量に放たれ、未発達な肉体に興奮し、彼女たちのちいさなオンナの幻影が脳裏にちらついては、その毛の生えていない表面で出したい、中に入れて射精してしまいたいという、背徳的な欲動が強く僕を貫いていく。

 からだの奥がきゅんとくすぐったくうずく。10~14歳くらいの、胸も膨らみかけの、いやらしい肢体を思い起こしては、心臓がどきどきと激しく高鳴り、セックスの快感、射精へのあこがれが強く頭をもたげるのだ。

 まだまだ男の子と変わらない娘たちの下腹部に心を犯されたかと思えば、その子が急激に成長をはじめて、第二次性徴のふくらみを覚え、背もどんどん伸びていく姿がフラッシュバックのように頭の中を駆け巡る。そのたびに、僕はいけない性欲に下半身を支配されてしまうのがわかる。

 ポッティや佐伯長官、並木さんが見ている前であるにもかかわらず、僕は羞恥などお構いなしにペニスを隆起させ、何とか理性と恥ずかしさで萎えさせてみるものの、すぐにまた勃起が始まってしまう有様だった。みんな、僕に何が起こっているのかを理解しているので、その異常な肉体反応については不問に付してくれているようだった。

「やれやれ、重症じゃ。まずは応急処置をせねば。」

びりりっ!!

「ぁぅ!」

 ポッティから流れ出た微弱な電流が、僕の体の芯を貫き通した。クールミントのような冷たさが背骨からお尻の穴へと突き抜ける。

 そのおかげで、急激な勃起や強い性欲は抑えられた。だが、脳内を駆け巡るロリロリな映像は途切れることなく、気を抜けばすぐにでも、元の状態に戻ってしまいそうだった。

佐伯:「回復装置は用意してある。はやくこっちへ。」

 長官に案内された奥の部屋には、コポコポいう液体に満たされた小さなカプセルがあった。
「これに入るんですね?」
ふらふらと吸い寄せられるように、僕はカプセルの中に入った。

僕:「あっ……あったかい。」
ちゃんと顔は出せる。呼吸にも問題なし。
ポッティ:「温泉と同じ成分。温度も38度で快適のはず。身も心も癒されるだろう。」
佐伯:「とりあえず魔族の成分を体から抜き取ろう。残念ながら、心についた傷は取れない。お前のロリ属性は解除されない。それだけは自分で何とかするしかないんだ。治せるのはあくまで一時しのぎ、身体の毒気を抜くだけなんだ。」
僕:「はい……わかってます。がんばるしか……ないですよね。あーそれにしても気持ちいい……」

 身も心もほぐれる。ゆったりといい気分だ。性的な快感とはまったく別の、全身包まれる心地よさだ。性的快感以外の快楽を忘れていたところに、このリラックスタイムが響き渡る。文字通り”生き返る”感じ。

僕:「あー、しばらくこうしていたいっす。どのくらい入っているんですか?」
ポッティ:「あと30秒ほどじゃ。」
僕:「えっ……ちょっと短すぎじゃあないですか!? ま、まさかとは思いますが、痛~いデンキとか流れないですよね? ねっ?」
ポッティ:「………。」
並木:「………。」
佐伯:「………。………ナイヨ?」

がちょんがちょん! 僕の両手足首に鉄の帯がまきついて固定する!
僕:「うわああああん! だして! やめて! はーなーーしーーーて~~~!!!」
佐伯:「お前も学習せんな。スイッチオン!」

ブンっ!!

僕:「!!!!!」

 もはや、”ブン”だった。電圧が高いと、ビリビリではなく、ブンって音がする。

ポッティ:「これこれ。気絶すると溺れ死ぬぞ。トリアゾ●ム飲んで入浴するくらいの自殺行為ぞ。」
僕:「がぼがぼがぼ!」

 なんとか気をたしかに……それができたのは、手足を金属で固定されていたおかげでもあった。

 ポシュウウウ……カプセルの液体が抜かれていく。ぷしゅっ! カプセルのふたが開き、僕はやっと解放され、その場にべちゃっと倒れこんだ。

僕:「こ、ころすきか~」
佐伯:「死ななかっただけでもありがたいと思え。場合によっては、複数回やらなくちゃいけなかったからな。一回ですんだと感謝しろ。」
僕:「ひどい……まだ体が動かない~……。お、おぼえてろー」 
佐伯:「自業自得じゃん。いやなら天国軍団に負けて射精すんなってハナシだ。」
僕:「ムチャいうな~! ぜったい恨んでやるー!」
佐伯:「うっさい! そんなコト言ってるとトチギにあるアガタ駅に終電で放り出すぞ!」
僕:「それはやめてくださいマジで。死にます。せめて千葉県にしてください。」
佐伯:「貴様は内房線の怖さを知らんようだな。いわんやkurur……おっと、これ以上は禁則事項重要極秘君津情報だぜ!」
並木:「上総亀山に駅ビルとしてでっかいイオンを建てよう!」
佐伯:「グーグルストリートビューさえ入って来れないくらいのド●舎だけどな!」

 十数分後、僕はやっと体の痺れから立ち直り、起き上がることができた。着替えを済ませ、フザケンジャー本部に戻る。

並木:「あ、戻ってきた。」
ポッティ:「ではさっそく作戦会議を始めよう。」
僕:「いろいろすいません。……クピドの矢、なんとか対策が……」
ポッティ:「いや。悪いがお主の見出した方法はほとんど根本的な解決にはならん。」
僕:「えっ……」
ポッティ:「その証拠に、クピドの矢によって弱体化した精神は、ほぼまったく回復していない。」
僕:「ぁ……」

 落胆。

 現実に対する落胆こそが、反動的なエネルギーとなる。あのカラオケ店での大ピンチは、とりあえずはその落胆の精神で、なんとか乗り切ることができたのだった。

 しかし、ポッティの言うとおり、その場しのぎの打開にはつながったものの、根本的な解決にはほど遠いものであった。クピドの矢によって、開発されてしまったロリ属性は、いまだに払拭されていない。

 高電圧の装置のおかげか、僕の性欲は落ち着いていて、体の奥までしみついたくすぐったいうずきはナリを潜めていた。

 それでも気を抜けば、すぐにでも幼い娘たちの裸の下半身が脳裏に浮かび、いけないワレメや女の子らしい生足の膨らみがこびりついてくる。これは精神的なものであり、簡単には払拭できないようだ。

 なんとかがんばらないと……

佐伯:「落胆のような一時的な感情だけでは、問題は解決しない。身にしみて分かっているはずだ。」
僕:「はい……」
佐伯:「もっと根本的なところで、クピドの矢を克服しなければ、ますます不利になっていく。肉体の魔界化はなんとかできても、精神がそのままでは、いたちごっこにもなりはしない。……ところでさあ。」
僕:「えっ」
佐伯:「カラオケ店のボス、常任天国軍団の女教師……」
僕:「あー! そうっすよねええ! 佐伯長官がやっつけてくれたんですってね! さっすがー! 恩にきります! ありがとうございます! すごいですねえ!」
佐伯:「そんなことはいいんだ。問題は……フザケンジャーなのに肝心のボスを逃がすという失態だな。」
僕:「あー……それはホントすんませんです。まぁ倒せたんだから結果的に良かったんじゃ? みんなで協力ってのが心強いですよ!」

 だんだん空気が凍り始める。

僕:「い、いや……ほんとうに取り逃がしたのはミスですけど……反省してます。でもギリギリだったんですよぉ」
佐伯:「状況はどうあれ、ボスを逃がしたことは、明らかに君の失敗だ。取り逃がした先で別の女の子たちが犠牲になった可能性だって否定できない。結果は結果だ。やらかしたことには責任が伴うんだ。」
僕:「ぅ……」

 きびしいなあ。

佐伯:「というわけで、お・し・お・き。……ねっ♪」にっこり♥
僕:「いやあああ! さっき受けたじゃん! さっき高圧電流ブンブンされたじゃん! あれでゆるして! ねっねっ」
佐伯:「許すか許さねーかはてめーのry」
並木:「のーのーのーおまいがっと!」
僕:「うわああん!!」
佐伯:「総武線で千葉から秋葉原まで行き京浜東北線で大宮に出てからさらに川越を抜けて八高線で八王子まで通い詰める地獄の通勤3ヶ月と、ソテツ地獄3週間と、どっちがいい~ん!!??」
僕:「どっちもいやああ!! てかなんで秋葉原で乗り換えちゃうんだよ! 意味わかんねーよ!」
並木:「赤字ローカルな中央線は廃止になりました。競合するKOメシウマ。」
僕:「あかじろーかるじゃねえええ!!!!」
ポッティ:「総武線は全身真っ黄色の電車であり、中央線はオレンジ一色の電車。間違えるはずはないのじゃ。」
僕:「なつかしの103系って昭和かよ! たすけてええ!!」

僕はきびすを返し、フザケンジャー本部から逃げだそうとした。

ぐんっ!

「!!!」

 急に足下がぐらつく。僕はバランスを失い、本部のドアを出るまえに床に倒れ込む。頭がもんやりする。自分が自分でないみたい、夢の中にいるみたい……映画を見ているように、自分の自己意識がまるで保てなくなっている。離人症という奴だ。

ポッティ:「おしおきというより、ちょっとした試練じゃ。なぁに、ちょっとの間、夢を見てもらうだけだから安心せい。」
佐伯:「俺もそうだけど、どうせお前も魔族に夢を支配されてるはず。解決法は、寝ている間に淫夢に晒され、そこから突破口、あるいは最低でもそのヒントになりそうなものを掴んでくるんだ。」
僕:「う~ん……」

 段々意識が鈍っていく。

 ………………

 …………

 ……

 「あ……」

 気がつくと、僕は知らない部屋に全裸で寝かされていた。

 何にもない、敷き布団が敷いてあるだけの、無機質な部屋だ。壁のタイルはまるで風呂場のようでもあるが、浴槽も水気もない。僕はその敷き布団の上に寝かされているのだった。

 間違いない。これは夢だ。フザケンジャーへの変身はできない。神谷のまんまだった。

 夢である以上、一定の魔族の影響を受ける。つまり、確実に淫夢になる。これで射精しまくっても、敵を利し、僕はドンドン深みにはまっていくことになる。射精してはいけないんだ。

 それだけではない。クピドの矢の解決方法を、その糸口だけでも、探っていかなくちゃいけないんだ。がんばろう。

 淫夢である以上、もうすぐ女の娘がやってくるはずだ。掛け布団もなく逃げられはしないが、体を緊張させ、興奮をしないようこわばらせる。

 どどどっ!

 きたっ!

 出入り口もない部屋なのに、どこからか3人の全裸少女たちが僕の布団を取り囲んだ。全員5~6年生くらい、まさに、クピドの矢でどんぴしゃにされている年代の娘たちであった。

「まけないっ……」

 僕は極力彼女たちから目を逸らし、また近寄ってこないように警戒して、さらに身をこわばらせた。

 だが、女の子たちはこちらには目もくれず、3人でキャッキャと仲良く押し合ってふざけている。どうやら、こちらが勃起をしていないことで、それ以上に立たせようと襲ってくる様子はないのだった。それなら、こんな若すぎる少女たちに欲情し、ロリコンの汚名を着せられっぱなしになることを避けるべく努力・抵抗して、劣情をはねのけてしまえば、僕の勝ちとなるのではないか。

 触って来ないなら、まだ救いはある。とくに彼女たちの下半身に目をやらなければ、髪型は女性らしさを保っていても、まだまだ欲情を催す対象ではないんだ! その上半身だって、詳細に見つめてその肌のもっちもちのきめ細かさに心奪われなければ、チャンスがあるじゃあないか!

 子供たちは僕の布団の前に尻餅をついて座り、脚を投げ出す。これ以上には近づいてこないみたいだ。

「ねー! あたしさあ、アソコに毛が生えてきちゃったんだよねー」
「ほんとー!? 私まだだよ」
「でも生えてないじゃん!」
「剃っちゃった!」

 女の子たちは脚を開き、惜しげもなく未熟なツルツルの性器を見せつけている。

 少女たちはわざと僕を無視して、友達同士で楽しくおしゃべりを続ける。

「こないだ初めてブラ始めたんだ。Aカップだってー」
「へー」
「いーなー」

 少女の1人はわざとムネを両腕で寄せて、ぐにっと控えめな谷間を造りながら、右足を上げて後ろふとももを見せつけてくる。オンナ表面はしっかりとあらわになり、ちいさな豆がハッキリと見て取れる。

 くっそ! そんなん見せられても、ロリコンじゃないなら勃起しないッ!!

「ムチャいうなー」

 ペニスは情けなくも反応し、ぐんぐんと大きく反り返っていってしまう。

前へ      次へ


メニューに戻る(ノーフレーム用