翔のあぶない冒険!

 

2 vs.高野真美のやさしい指先

 しばらくして気がつくと、空がすっかり明るくなっていた。僕は下半身裸のままベッドに倒れていたのだった。きのうのあれは…ゆめだったのかな…

 夢ではないことは、僕のランドセルにぶら下がったテルテル坊主が物語っていた。「…勝手にランドセルに…」「はっはっは。これなら目立たずに君についていけるだろう。大丈夫、他の人間には聞こえないように話す。」「はぁ…女の子にもらったハンカチでテルテル坊主を作って、それをランドセルに下げているなんて…。なんかはずかしい…」「ふっ。大人の男ならそこで誤解を恐れるものだが、まだわからんのだろう。」「…。」「まぁよい、微力ながら私がしっかり君をサポートするから、カリギューラなど恐れずにすごしなさい。」

 なんだか、変な物体と生活を共にすることになってしまったみたいだ。もう恐怖はなかったが、奇妙な心地だ。「それより、急がなくていいのかね。遅刻は絶対に認めないよ私は。」「あっ、そうだった! 急がなくちゃ!」僕は何も考えずに身支度をして、家を飛び出して行った。

 学校には何とか間に合った。休み時間になると、三浦さんがおずおずと近づいてきた。「あ、あの…佐伯君…それ…」「あ、ああ、君のハンカチでアクセサリーにしたんだけど…だめだったかな…?」「い、いえ…その…ありがとう。」それだけ言うと三浦さんはさっさと席に戻ってしまった。

 「ふむ。これは彼女がくれたものなのかね。心のこもったものだからこそ、私も宿りやすいというものだ。しかし…悪いことをしてしまっているな。」「…なにが?」「君がもてるようになったのもカリギューラのせいなのだ。人の心をもてあそんでいるから、やはり奴を許すわけにはいかぬ。」「えっ、そうなの?」おかしいとは思ったんだ。さえない僕なのに女の子にこんなに人気が、急に出るなんて考えられなかったから。

 「翔君、だれと話してるの?」委員長の高野さんが来た。「あっ、いや、その、なんでもない、ひとりごとだよ…」「ふうん。それにしても、そのテルテル坊主、どう考えてもランドセルに似合ってないよ。」「う…やっぱり…」「やっぱりとか言ってはいかん。三浦さんが傷つくぞ。ついでに私も傷つくぞ。」「あ、そうか。ってポッティ、人がいるときはしゃべっちゃ…」「ひとりごと多いのね翔君。」「はう…」

 ポッティの声はどうやら僕にしか聞こえないらしい。だから僕がひとりごとを言っているふうになるんだ。「私がもっと似合うアクセサリーあげる。明日までに用意するから待っててね。」「え、あ、ありがとう…で、でも何か悪いよ、昨日ノートもらったばかりなのに…」「気にしないでいいって。」「あ、そうだ、これ、ノートのお礼。」僕は高野さんへの手紙を手渡した。

 「ホント、翔君って律儀だよね。必ず返事とかくれるし。」「いや、それは当然のことだし…」「クスクス…明日持ってくるから、いっぱいお礼の手紙書いてね♪」「う、うん…」

 そうだ、三浦さんにも手紙渡さないと。僕は手紙を手に席を立った。「やめておけ。」「えっ…!?」「彼女は大勢の見ている前で手紙を受け取ることはできない。そういう性格なのだ。そういうところを察してやるのが、本当にもてる男なのだよ。」「じゃあ…」「郵送がいいだろう。遅れても大丈夫だ。」「わかったよ…」

 そうこうしているうちにチャイムが鳴った。先生が入ってくる。クラスメートたちがどんどん席についていった。さっそく授業が始まる。さっきまで騒いでいた子供たちが真剣に先生の話を聞く。僕もその一人だ。

 「翔君。来るぞ。」「え…」「カリギューラの気配だ。本人がここに来ることはないが、強い気が迫ってくるのを感じる。おそらく奴の魔力を使った夢幻時空だろう。この時空魔法を君に初めてかけるから、大量の魔力と時間を要する。だからこんなに早く私も察知できる。次からはそうはいかんぞ。とにかく気をつけろ。」「うん…」

 ドォォ〜〜〜〜ン! 突然強い波動を感じた。風ともつかぬ揺らぎだ。空気というより、空間全体が小刻みに震えた気がした。「だめだ。やはりこの姿では夢幻時空を阻止できない。だが、淫気と幻覚は阻止できたな。あとは翔君、君次第だ。」「えっ、えっ!? どういうこと!?」「周りをよく見てみたまえ。」

 僕はあたりを見回した。恐ろしいほど静かだ。風景が軽くネガ反転しているみたいに、セピア色になってしまっている。僕とポッティだけが変わっていない。あとは先生も、ほかの生徒たちも机も、何もかもが不気味な色になっている。なにより、先生もチョークを持ったまま微動だにしないし、ほかの生徒も動かない。時計の針も動かない。

 「あまり時間がないから手短に説明するぞ。カリギューラはターゲットの周囲に特殊な空間を作り出すことができる。その空間内部では時間が止まる。だからその間に生じた出来事は周囲には悟られない。この空間にとらえられたターゲットは淫気に毒されて性欲のとりことなり、幻覚まで見せられる…もっとも、その効果は私が食い止めたがね。そのうえ、ターゲットのほかに特定の人物を自分の思い通りに動かすことができるのだ。つまり、その人物とターゲットを性交させるための特殊空間なのだ。」

 「た、ターゲットが僕なのはわかったけど、特定の人物って?」「それはその都度カリギューラが決める。初めて君をターゲットにしてこの魔法を発動させるから、この空間を張るのに時間もかかるし、動かせるのもせいぜい一人までだろう。2回目からは複数を同時に動かせるはずだ。とにかく今は、我々以外に色が変わっていない女が“特定された人物”だ。気をつけろ。」

 僕は周囲を見回した。クラスメートたちは鉛筆を握ったまま微動もしない。触っても反応がない。セピア色の人は今回は無関係なんだ。

 「ねえ…」「!」さっきまでセピア色だった高野さんの色が元に戻った。彼女は僕を見つめながら立ち上がり、妖しく微笑み、ゆっくり僕の席に近づいてくる。「くっ、この娘が選ばれたか。翔君、気をつけろ。」「い、一体、どうなってるんだ…」

 高野さんの足が止まった。「…その声は…やはりポッティか。思ったとおり気付かれていたか。」彼女の声がいきなり低くなった。別人みたいだ。「カリギューラ、バカなことはやめるんだ。」「ふん。その姿…憑依したな。それなら、ほとんど能力は使えまい。」「最高神は人間世界に直接“干渉”はできない…。」「…そうやって自分を戒律で縛って、その結果が自分の力を出し切れない愚かなぼろきれへの憑依か。ぶざまだな。」「うぬ…」「だが、おかげで私も計画を進められそうだ。お前が力を出し切れない状況なら、遠慮なく実行に移れるというものだ。もはや私を邪魔するものは何もない。…吸いつくさせてもらうぞ。」

 「翔君、こうなったら戦うしかない。立つんだ。」僕は言われるままに席を立った。「翔君、よく聞くんだ。このカリギューラの特殊空間の中では、男はいくらでもイクことができる。尽きることなく射精が可能であり、疲れも痛みもない。それだけにかなり危険な状態だと思ってほしい。以前言ったとおり、連続して出し続けると命にかかわるうえ、世界がカリギューラの手に落ちてしまう。敵の攻撃に負けて射精してはいけない。出せば出すほど君のエネルギーは減っていって、ついに命を落とす。」「でっでもっ! 敵じゃなくて高野さんだよ!?」

 「この娘、高野さんはカリギューラに操られているんだ。操るといっても、自由意志を奪い、カリギューラの命令を忠実に実行するだけだ。だから、カリギューラの魔力やテクニックが彼女にコピーされるわけではない。高野さんの目や耳を通じて地獄との通信はできるみたいだが。それ以外の身体能力は操る人間のものだ。だからあくまで高野さんの記憶と技術の範囲内で、カリギューラの命令を実行しようとするだろう。おそらくは『佐伯翔を射精させ続けよ』とでも命じられているはずだ。そこが勝負の狙い目となる。」「しょ、勝負って…」

 「クスクス…翔くぅん。」高野さんは僕の目の前に来て、なまめかしく微笑みながら見降ろしてきた。彼女のほうがずっと背が高いんだ。委員長は右手で僕の股間を服越しにまさぐってきた。手のひら全体でペニス周辺をゆっくりやさしく撫でさすっている。その途端、股間全体が強いくすぐったさに包まれた。

 「はうっ…たか…」ペニスがあっという間にむくむくと膨らみ、ズボンに小さなテントを張る。高野さんはじっと僕の目を見つめながら、右手だけを動かして股間をまさぐり続けた。「…あら。まだイかないのね。」またカリギューラの声になった。「悪いが弱体化は破らせてもらっているよ。今の翔君は標準的な能力だ。」「ちっ。ここで一回出させて、すぐさま最後の一滴まで立て続けに出させる算段だったが…。弱体化してないとなれば、当初の計画の10分ではカタがつきそうにないな。まぁいい。それでも標準的な10歳なら、比較的射精させやすいだろう。ポッティはそれ以上手を出すことはできないようだし。」

 地獄との通信が途切れたようだ。その口から出る声は元の高野さんのものに戻った。「ねえ、えっちなことしよ?」彼女は両手で僕のズボンのチャックを外し、滑らかな手つきでズボンを下ろした。テロテロしたズボンは床に落ちてしまう。ブリーフには巨大なミミズが浮き上がっていた。

 高野さんは僕に抱きついた。むちゅ。いきなりキスされた。何回も何回も、彼女の唇が僕の唇とドッキングする。そのたびに体が痺れるようで、力が抜けていく。

 ミニスカートからすらりと伸びた細い脚が、僕の片足を両側から挟み込んだ。すべすべした女の子の足の感触を、生まれて初めて味わった。つるつるしていながら、表面に弾力があり、滑っていく肌触りは我を忘れるほど甘美なものだった。「翔君、女の子の足ってすべすべでしょう?」ペニスの怒張がますます激しくなる。

 僕たちはお互いに足を交差させながら、激しく生足同士をこすりあった。僕の両手もいつの間にか彼女の背中に回り、ぴったり抱き合っている。時折彼女の唇が僕を痺れさせる。

 僕たちの動きが徐々に滑らかになっていった。無意識のうちに両足だけでなく腰も前後にスライドさせており、だんだんそっちの動きが大きくなっていく。高野さんのほうも腰を前後させ、ミニスカがまくれあがって白いパンツが露出されている。僕はできるだけ彼女の股間にペニスを押しつけようとしたし、彼女もまた自分のスジ部分をペニスめがけて押しつけてくるのだった。

 やがて、僕の内股から彼女の足が引き抜かれた。そして、僕の両足を外側から包み込むようにして、すべすべの足が僕の体を挟み込む。するといよいよ股間の大事な部分同士が強く密着する。

 僕はほとんど何も考えられなかった。ただ委員長の、高野さんのパンツに浮き出たスジ部分にペニスをこすりつけることだけで頭がいっぱいになっている。彼女のほうもぐりぐりと股間をこすりつけてきている。お互いのパンツ生地がズリズリとこすれあう音だけがかすかに響いた。

 「い、いかん、翔君、落ち着くんだ。快感に負けてはいけない。」ポッティの声に驚き、僕の腰が止まった。「これは戦いなんだ。射精しないようにしなければ。」「あ、あう…でも…」

 僕が腰を止めても、高野さんのほうは必死に腰を揺り動かしている。当然彼女のパンツが、僕のペニス部分にひっきりなしにこすりつけられているわけだ。ペニス先っぽから広がるくすぐったさを抑えることなどできるはずもなかった。

 ぐっ! ひときわ強く柔らかいパンツが押し付けられた。女の子の股間のくぼんだ所に、がっちりとペニスのふくらみがはまり込んだ感じがした。その瞬間体の奥が強いくすぐったさに包まれた。これは昨日夢を見た時の感覚に似ている。

 「んあっ!」びく! びく! びく!

 ペニスが強く律動し、パンツがあっという間に濡れていった。その瞬間全身の力が抜け、強い快感が全身に駆け巡った。脈打ちはしばらく続き、できたての精子が体外に放出された。

 じゅううう…

 独特のにおいを発する精液が熱もなく蒸発した。濡れていたパンツがあっという間に乾いてしまった。「クスクス。まずは一発目。私の勝ちね。」

 「翔君、しっかりするんだ。快感に負け続ければ大変なことになるぞ。世界は君にかかっているんだ。」「うう…」射精した余韻が僕を多幸感に包みこんでいるが、ポッティの励ましで徐々に自分を取り戻していった。

 「射精した場合、君の精液は粒子となって世界中に散らばっていく。君の生命力が枯渇するほど射精しつくした後、世界は破滅する。」「そんな…」

 高野さんが離れた。彼女は自分のパンツを脱ぎ、ミニスカートも床に落としてしまった。生まれて初めて見た女の子のあそこだった。おチンチンがなくてつるつるしていて、奥のほうがくぼんでいる。さっきはここにペニスをこすりつけて射精してしまったのか。そう想像した途端、ペニスが再び大きくなってきた。

 「翔君。さっきも言ったが、射精してもすぐに復活して何度でも連続で出せるのがこの空間だ。気をつけろ。」

 「クスクス、おちんちん、出してごらん?」僕が身構えるよりも早く、高野さんが僕のパンツをズリ降ろしてしまった。射精後すぐで半ば放心していたため、抵抗はできなかった。「こうなったらパンツは脱いでしまえ。足を取られたら厄介だ。」「わ、わかった…」僕は言われるままにパンツを脱ぎ棄てた。

 お互いに下半身裸になった。ドキドキが高まる。さっきと同じように腰を突き合わせたらいけない気がする。さっきはパンツ越しだったのにあんな気持ちよかったんだから、じかに触れ合ったら確実に射精してしまうだろう。

 そんなことをぼんやり考えている隙に、高野さんが再び目の前まで近づいてきた。そしてペニスを右手でがっちりつかんでしまった。「あっ、いやっ!」僕は思わず腰を引いたが、時すでに遅く、女の子の手はペニスから離れてくれなかった。

 もにゅ。もにゅもにゅもにゅ…

 「はっ! うっ!」僕は身もだえした。いきなり女の子の柔らかい手がペニスをじかにつかみ、右手全体で揉みしだいてきたのだ。さっきの股間の擦り合わせとは違う快感だった。さっきのが体の奥からじわじわとこみあげてくるくすぐったさなら、今のは、直接ペニスがくすぐったくなっているダイレクトな快感だった。

 特に先っぽの心地よさが絶品だった。高野さんもそれを知っているのか、根本よりも先端を中心にやわやわと揉んでくれている。小さな手があちこち移動し、細長く起立したペニスを包み込むようにしてモミモミしている。「クスクス、これ、気持い?」高野さんがやさしく見降ろしてくれている。

 「あああ…」「だめだ翔君、反撃しなければ! これは戦いなのだ!」「た、たたかうって…!?」「そ、それは、その…要するに女の子に触るのだ。それも、股間を中心にだ。君が股間を刺激されて気持いいように、女の子も同じように股間を触られれば気持いいのだ。そして、女子は射精はしないが、一定の気持ちよさに達したら、君と同じように我を忘れる瞬間が訪れる。それが『イク』ということだ。」

 僕はまだためらっていた。疑似空間とは言え、操られている高野さんにそんないけないことをしてしまっていいのだろうか。「君は命尽きるまで射精させられたら負けとなるが、カリギューラに操られた女性は一度絶頂を迎えたら、カリギューラの支配から脱却できる。そして疑似空間も解けるだろう。こっちが力尽きるか、相手がイクかの勝負なんだ。ためらっている場合ではないぞ!」「でも…」

 女の子は右手が疲れたらしく、今度は左手の親指、人差し指、中指で、ペニス先端を皮ごとつまんできた。そして小刻みに先端だけを三本の指で揉んできた! 「ああっ!」ペニスのくすぐったさが一段と強くなった。ペニス下側先端の部分を指先で刺激され、ピンポイントの快感が全身を突き抜けたのだ。時折三本の指先で包み込むように皮をつまみあげ、ぐりぐりと強く揉んでくれる。そしてまた素早いコシュコシュ攻撃に移るのだった。

 「んんっ!」先端から白濁液が飛び出した。皮の隙間から白くねばついた液体がにじみだし、高野さんの指を汚した。彼女はゆっくりと先端を指先でさすると、脈打ちを最後まで見届けた。精液はさっきと同じように蒸発して跡形もなくなってしまった。

 「…好きだよ、翔君。クスクス…」今度は右手で先端をさするように指先を滑らせて、時折全体を包み込んで揉みしだいてくる。出したばかりのペニスはさっきと同じように敏感に反応し、少しでも気を抜けばまた爆発してしまいそうだった。

 「どうしたんだ翔君、やられっぱなしでは道は開けないぞ!」「でも、高野さんにひどいことは…できないよ!」「大丈夫だ。夢幻時空の呪縛が終われば、その間の出来事に関する記憶は残らないし、死以外の体の変化等はすべて元に戻る。服を脱いでいても、時空が元に戻った瞬間に元の位置・服装に戻るし、記憶もない。すべてが“なかったこと”になるのだ。もちろん妊娠もあり得ない。」「でも…」「目の前の娘を高野と思うな。カリギューラだと思え。世界を堕落させ、お前の命を狙う邪悪な魔王だ。戦うしかないんだ翔君!」「…。わかった。」

 僕は覚悟を決めた。両手でツルツルの性器に手を伸ばす。「んっ!」高野さんの手が止まった。男の子にとって、女の子がじかに性器を触ると強烈な快感に包まれるのと同じように、女の子にとっても、この割れ目やくぼみに触られることは心地よいみたいだ。触り続ければペニスと同じようにくすぐったくなって、脈打つのかな。

 委員長は手を止めて呻きつつも、必死に手を動かしてペニスを揉みしだいてきた。僕も負けないように両手で彼女の大事な部分をまさぐり、こすり、くすぐった。時折くぼみの奥まで指を滑らせると、彼女は腰をくねらせて感じてくれた。

 「翔君、指先に神経を集中して、小さな突起を探すんだ。そこを重点的にくすぐれば勝てる。」僕はその場所を探し当てると、重点的に刺激した。「あっ、だめ!」高野さんはペニスから手を離し、僕の腕をつかんだ。引きはがそうとしてるみたいだ。でも僕もなぜか指を止めることができなかった。

 強めにこちょこちょし続けると、やがて指先が水浸しになっていった。「女子が感じると愛液が出る。それは相手にダメージを与えられている証拠だ。あと少しだ、がんばれ。」「よ、よし!」僕は一心不乱に両手を動かし、性器を徹底的に責めまくった。「ああっ、好き! 好きっ! 翔くーん!」高野さんは自分から腰を突きだして、ツルツルの性器をむき出しにして、僕の指を受け入れた。体の力が完全に抜けきっている。

 そのあとすぐだった。委員長は全身をがくがくとふるわせ、口を大きくあけて目を見開き、一瞬こわばったかと思うと、ぐったりとしてしまった。全身がぴくんぴくんと打ちふるえている。女の子がイクところを初めて見た。男はペニスが脈打つが、女の子は全身が脈打つのか。

 「…ふう。あぶないところだったな。高野さんがほとんど経験がなく、知識もなく、興味だけで男の体を触っていたから、そして、感じやすい体質だったから、翔君の指でイッてくれたんだ。」テルテル坊主がふっとため息をついた。

 高野さんは床に崩れ落ちたまま深く呼吸をしている。何も考えられていないみたいだ。「ど、どうしよう…」「心配はいらない。時期にすべてが元に戻る。彼女も今の出来事は覚えていないから、君も何もなかったようにふるまうんだ。いいね?」「う、うん…」

 夢幻時空が始まる時とは逆向きで、空間がわずかに揺れ動いた。「…そして時は動き出す」

 パリン。小さな音がすると、次の瞬間僕は机に座って鉛筆を握っていた。もちろんちゃんとズボンをはいている。どこに移動していようが、全裸になっていようが、時間が止まる前の状態に戻るんだ。僕が死なないかぎりすべては元通りだ。

 高野さんのほうを見てみた。彼女は何事もなかったように鉛筆を持って先生の話を聞いている。本当に今の出来事なんてなかったかのようだ。

 「こら! 佐伯! よそ見をするな。」「あっ、ご、ごめんなさい…」ほんとうに、いつもどおりの学校の風景に戻ったんだなあ。

 「…う?」体の奥がずんと重くなる。強い疲労感がじわじわとこみあげてきて、腰のあたりが痺れるような感覚に襲われた。「…君は夢幻時空の記憶が残っているから、代わりに射精した時の疲れが出てくるんだ。空間内部では疲れもないが、時が動き出してから、射精した分の疲労が出てくるのだよ。5回も6回も出してしまっていたら、そんな程度では済まないぞ。」「ぅぅ…」「なぁに、2回連続くらいだったら、家に帰るころには戻っているさ。若いんだから。」

 そのあとの授業はあまり身が入らなかった。放課後になって、僕はさっさと家に帰ることにした。

 家に着くと、ポッティが話しかけてきた。「すまなかったな。詳しい説明なしで戦わせてしまったようだ。」「まだ僕、何がどうなっているのかよくわからないよ。」「…全てはそのうちわかってくるだろう。今知っておいてほしいことは一つ。カリギューラと戦うために夢幻時空で女性と交わらなければいけないということだ。」「…。」「何のため、と思っているのだね。世界を救うため、としか今は答えられない。」「…。」

 「とにかく、カリギューラはこれからも毎日のように君の周囲に夢幻時空を仕掛けてくるだろう。そこで君に襲い掛かってくる女性すべてをイかせなければいけない。具体的な回数は分からないが、射精し続けて生命力が尽きたら君の負けだ。できるだけ快感を我慢して、射精しないようにしなければいけないし、早く相手をイかせるために技術も磨かないといけない。それしか困難を打開する方法はないのだ。」

 ほんとうに、大変なことに巻き込まれてしまったみたいだ。

 「はっきり言うが、今日の戦いに勝てたのは、高野さんがあまりに弱かったからでしかない。残念だが君はまだ未熟だ。少しペニスを触られたくらいで簡単に射精してしまうのだからな。まぁ、防御力のほうは、経験を積んで強化するしかないから、まずは知識を身につけて、それに基づいて技術を磨くしかなさそうだ。」「技術…」「…将来君が大人の男になった時に役立つかもしれない技術でもあるから、ちゃんと勉強するように。特別に私がその辺の知識は伝授しよう。…本当は最高神がそんなことをしては示しがつかないのだがな。まぁ非常事態だから仕方あるまい。」

 テルテル坊主が光った。「残念ながら私は性のテクニックはつかさどっていない。だから技の数々を伝授することはできない。しかし性の知識は多少ある。それを伝授し、あとは君がその知識をもとに工夫して自分なりの技を編み出すしかない。では始めるぞ。」

 ポッティの光が僕の頭に移ってきた。そこで体系的にまとめられた性の知識が僕の脳に直接入ってくる。生物としての交尾の知恵、過酷な競争、肉体の機能と用語、と、堅苦しい内容ばかりだった。「私が知っているのは、男女別でみた体内における性感神経の部位くらいなものだ。あとは一般的な性教育内容しかない。まぁヴァギナなどというのも気恥かしいだろうから、女性的機能ということでオンナとでも呼んでおけばよかろう。難しい漢字の用語も教えておくが、そんなに意識はしないほうがいい。注意すべきは大体そんなところかな。」

 知識の伝授が終わった。脳に何かがインストールされたようだった。しかしどこかぼんやりしていて断片的に小難しい知識は思い出せるが、学校の勉強みたいには出てこない。「おそらくその知識はまだ自由に使いこなせないだろう。実感を伴わない情報にすぎないからね。戦っていくうちに思い出しながら、自分の工夫で役立てていくんだ。」「…わかった。」

 疲れた体を起して、宿題とかを片づけると、夜も遅くなった。僕は深い眠りに落ちて行った。


###地獄###


 「ちっ。失敗か。」カリギューラは悔しがった。しかしすぐに平静を取り戻した。「…だが、チャンスはいくらでもある。ポッティがあの姿なら、気付いているとしても恐れるに足りない。翔にピッタリくっついてガードしているつもりらしいが、しょせん無力よ。明日こそは奴の精を根こそぎ奪いつくし、最高神の見ている前で世界を支配してやる。奴の悔しがる顔が見ものだ。くっくくく…」

 「カリギューラ様、時空座標のセットは済んでおります。あとはエネルギーの注入だけです。」「うむ。大技ゆえ一度発動させたら24時間は魔力をためなければいけないからな。しかも一回目は、発動までに大量の魔力を必要とし、しかも効果が出るまでに時間がかかる。そのうえ操作できるのはせいぜい一人がやっと。失敗しても仕方あるまい。」

 「ターゲットに毎日のように夢幻時空を発動させればさせるほど、効果は高まってまいりますゆえ、操作できる人数にも広がりが出てくるでしょう。時空の範囲も広がります。」「ああ。わかっておる。気長にやれと言いたいのだろう。」「はい…」「たしかに、このチャンスは一度きりだ。翔の種を出させることに失敗したら、本来の姿に戻ったポッティが私を制裁するだろう。慎重に事を進めなければな。」「御意。」

 「…それにしても。ポッティの本当の名前ってなんだろうな…」「さあ…人間はおろか、神々にも知らせていないようですから。」「まったく気取りおって。みてろ、絶対奴の鼻を明かしてやる!」
 

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