魔族新法

 


3.17歳高校生の場合



 今日から、魔界新法が施行される。

 すでにだいぶ前から、パンフレットも届き、本当に世の中が変わって、魔族のものになるんだなあと、あらためて実感する。

 そうなったといっても、別に僕には関係ないね。

 新法前も、もともとどうせ、ろくなことでもなかった。僕は普通の高校に通い、可もなく不可もなく、夢も希望もなく、ただ何となく過ごしているだけだった。適当にクラスメイトに合わせるだけの、つまらない毎日。楽しくなかった。

 法律が変わったからって、何が変わるでもない。

 どのみち、僕なんて誰にも相手にされないだろう。その前も異性にはまったく相手にされず、ごく稀に誰かを好きになっても、彼氏持ちなのが関の山。そのうち、誰かを愛することなんてナンセンスだと思うようになっていた。

 だから、精を魔族に提供するとかなんとかいったって、僕は相手にされず、提供者にはならないんだろう。今までどおりのつまらない毎日。何も、変わりはしない。

 まあ、施行後は、学校に行こうと行くまいと自由になるらしいので、面倒なことはしない。家に閉じこもっていよう。できるだけ、人と関わるのは避けたかったからね。

 朝起きたら、自動的に裸になっていた。クローゼットも、カラになっている。確かに魔族の力が働き、例外なく全裸にさせられるんだった。

 いいや。外に出なければ、裸だろうと何だろうと関係ないし。

 家にはもう、誰もいなかった。両親はすでに外出したらしい。あの2人、何を考えてか、若返りの薬をたくさん飲んで、僕よりも若返ってしまった。そうして、早朝から外に出て、快楽を愉しもうとしているんだろう。

 僕は……どうもそういうのを愉しめそうにないのだった。

 だから、家で大人しくしている。それだけだ。何が魔族新法だ。つまらない。

 食事を済ませ、ぼんやりとテレビを見る。これまでのように番組が流れているわけでもナシ。若い男女がセックスをしている場面ばかりが電波に乗せられている。どうやら自動で動くカメラが、街の性交の様子を写して、そのまま垂れ流しているらしい。

 エロビデオを見たこともありはするが、まったく興奮することがなかった。自分のこととしてとらえることも共感もできず、何が楽しいのか理解できない。もちろん、性的に興奮することもなかった。今もだ。

「つまらない。どのチャンネルも同じじゃないか。」
僕はテレビを消そうとした。

 しかし、ふっと場面が変わったので、僕はリモコンを手にしたまま、テレビの様子を見た。

『ただいまより、性欲増強プログラムを放送致します。』
機械的な音声だ。魔族がプログラムしたのだろうか、自動放送が流れていく。

『この放送は、新法の施行に合わせ、魔族の意志により自動的に製作されたものです。セックスに興味を持つことの困難な男性を対象とし、これを見るだけで、性欲が増幅され、射精しやすい精神に、心を改善することができます。新法に興味を持てない方、また、時々精神的に疲れてしまう方は、定期的にこの放送をご覧ください。』

 ふうん……つまり、僕みたいな男でも、新法の快感に積極的になるようプログラムされているわけか。

 画面が切り替わる。

 赤や緑のさまざまな模様が、きゅーん、きゅーんという心地よい音色とともに、機械的に揺れ動いている。脳天を痺れさせるような、錯覚を催すような、一定のリズムの変化だった。

「うぐっ!?」

 急激に体内に変化が訪れる! お尻の奥に何かがねじ込まれたみたいな急激な感覚。とても小さなやわらかい固まりのようなものが、お尻の奥できゅんきゅんと蠢いて、直接前立腺を刺激しているかのようだった。

 股間全体に心地よさが拡がる。滅多に訪れない、強い性欲の疼きが、ペニスに襲いかかっていた。

「あうう……」
僕はいたたまれなくなって、テレビを消し、自分の部屋に急行した。ベッドに倒れ込むと、自分でペニスを激しくしごき始める。

 オナニーなんて、週に一回するかしないかくらいだ。もともと性欲は弱くて、クラスの女子やグラビアアイドルなんかを見ても、ほとんど欲情しない体質だった。

 それでも、肉体の成長に伴って、どうしても悩ましい疼きにペニスが晒される時もあれば、それを放っておいて、夢精してしまうことも、時々だが起こるようになっていた。

 こんなに強いくすぐったい感覚は、初めてだった。

 オナニーのネタは、いつも決まり切っていた。

 耐久勝負。いつもそれだった。

 大勢の観客が見ている前で、僕は裸の少女と闘う。戦闘といっても、暴力ではなく、文字どおり耐久力の勝負なのだ。相手は小中学時代の同級生や、高校のクラスメイトが大半だった。

 リングの上で寝っ転がって、少女と僕は抱き合う。すると女性レフェリーが僕のペニスを掴み、オンナにあてがって挿入させる。レフェリーが手を上げると、ゴングが鳴る。

 僕たちはゆっくりと腰を前後させながら、ギュッと上半身を抱きしめ合う。それだけの動き。

 僕の方はじっくりとペニスを前後させてオンナを悦ばせ、制限時間まで射精せずに耐え切れれば勝ち。

 女の子の方は、ひたすらオンナでペニスをきつく締め上げ、制限時間までに射精させようと股間をやわらかく圧迫してくる。

 それ以上の細かい攻防はない。時間までに僕がイクかどうか。少女が絶頂したり、制限時間僕が耐えきったりすれば、僕の勝利となるが、オナニー妄想の中では、ほぼ100%僕が射精して負けてしまうというシナリオだった。

 不思議なことに、数週間に一回くらい訪れる夢精の時でも、同じシチュエーションの夢を見て、耐えきれずにこっちが絶頂してしまうのだった。

 僕は中学時代の同級生を思い起こし、彼女と勝負している想定でペニスをしごき上げた。彼女はもっと成長しているはずだが、僕の頭の中では、中学生の少女の肉体そのままである。

「うあ!」

 少女のキツすぎるオンナに加えて、前立腺が何かにぐりぐりされている錯覚が手伝って、あっという間に僕の方が高められてしまった。

 ビクン! ビクン!

 ペニスが激しく脈打つ。2分くらいかけて射精が続いた。しかし、不思議と精液は出てこなかった。尿道を通った体液は、どうやら外の世界に出た瞬間、異世界の魔族の所に送り込まれて、決して手や布団を濡らすことがないらしかった。

「はあ……はあ……」
なんて力なんだ。少女のオンナが強すぎて、僕は3分も持たずに敗北してしまった。出した瞬間は、そうした敗北感に埋めつくされていく。それがまた、絶頂の快感と充実感を高めてくれるのだった。

 それにしても、すごい効果だ。魔族の用意した性欲増強プログラムは、あっという間に僕を狂わせ、もともと嫌いな性感さえ刺激して、あっという間にオナニーに走らせてしまうのだから。

 それだけではなかった。

 フラッシュバックするように、赤や緑のあの映像が頭の中にわいてくる。すると再び、お尻の奥がきゅんきゅんと刺激され、射精したばかりだというのに、ペニスは簡単に充血しきってしまっていたのだ。

 まだまだ、自分で精を絞ることができそうだった。

 今度は、クラスメイトの誰かと闘ってみよう。

 僕はまたリングを想定し、女の子と抱き合って勝負を始めた。ゴングが鳴ると、高校生の発達したオンナがペニスを締め上げ始める。上半身はきつく抱き合ったまま、微動だにしない。しかし、僕の胸板に潰れる発達した乳房の感触も、とても心地よかった。

 ゆっくり自動的に腰が前後し、そこへオンナがペニスを締め付けるっ! すぐにでも絶頂してしまいそうだった。この娘には勝てそうにもない。制限時間がまだまだ遠い。

「そこまで。」
「!!」

 サイレンが聞こえたが無視していた。しかし、それが僕の所に来るなんて、まったく想定していなかった。

 入ってきたのは、上半身だけ制服を身につけた、数人の婦警さんたちだった。

 オナニー現場を大人の女性たちにみられ、僕の体と心は硬直してしまった。

「魔族新法の違反事項があったので、これより特別矯正施設へと連行します。」
「えっ……」
「射精は女性の身体によって行われるという規定です。君はそれに違反したんだ。」
「そんな……」
そんなこと、まったく知らなかった。

 それにしても、誰にも見られていないはずのオナニーが、どうしてばれてしまったのだろう。……いや、精液が自動的に魔族の元に送られるなら、その出所も分かっているというわけか。

 異世界に身を潜める者たちであっても、男が射精したあとに相手の女性が気絶するくらいの快感を受けるため、その気絶快感が起こらないで精液だけが送られれば、オナニー罪というのが分かる次第だった。

「知らなかった、では済まされないのが決まりというもの。さ、立って。」

 僕は数人がかりで立たされ、パトカーに乗せられてしまった。

 婦警さんたちは、運転手以外、僕のペニスを物欲しそうにチラチラ見ている。しかし、手を出しては来なかった。それもそのはず、彼女たちによって射精してしまったら、彼女たちは気絶するほどの快感に襲われ、職務が果せなくなってしまうからだ。

 しばらく車で護送される。他に走っている車はない。だから、かなりスムーズに移動ができたようだった。

 僕が連れられてきたのは、大きなビルだった。女体を拒絶し、あるいは快楽の種を提供することをあくまで拒もうとする男たちを、無理にでも射精させて、心身ともに魔族側に染め上げるのが目的だ、と説明される。

 逃げることはできなかった。

 拘束された状態で、監獄のような狭い部屋に通される。そこの床は一面、布団のようにふわふわしていて、どこででも寝られる構造になっていた。

 拘束は解かれたが、その代わりに、腰のまわりにベルトのようなものを取り付けられた。そしてそのまま、横向きに寝かされるのだった。

 いったいこれから、どんなことがされてしまうのだろう。あまりの急展開に、僕はわけが分からないままだった。

 お尻のところに機械が取り付けられる。それはやわらかい素材でできており、魔の力によって動く一種の装置のようなものだった。ベルトは壁と繋がっていて、僕が逃げられないようにする。お尻の装置は、僕の腰を勝手に動かす装置だった。

「では矯正を始めます。」
部屋の中に、1人の少女が入ってきた。背が低く、顔も幼く、胸板もぺったんこだ。明らかに、5年生くらいの美少女なのだった。

「素直に従ってくれれば、すぐにでも解放します。さ、その子と抱き合って。」
仕方なく僕は、歳の離れた妹のような少女を、ギュッと抱きしめた。

「ああ……」
想像していたのとはまったく違う感触だった。

 少女の上半身はスベスベでみずみずしく、吸い付くようだった。乳房の発達はまだであるが、すでに男を感じさせる肌細胞を具えており、つるんとした細い体がこすれるだけでも、ゾクゾクと感じさせられてしまう。

 耐久勝負の想像時には、女の子の上半身がこれほどの攻撃力を持っているなんて、まったく想定していなかった。

 女の子が股を開く。ペニスはすでにギンギンだ。するとお尻の機械が自動的に動き始め、僕の腰はゆっくりと前に押し出される。そこに彼女の小さなオンナが押しつけられ、ペニスはその幼い器官を押し分けるように、どんどん中に入っていくのだった。

「うわああ!」

 ビクン! びゅくびゅくっ!

 あっという間だった。

 護送前にオナニーでさんざん高めていたので、すでに精力は残り少なく、ペニスが真ん中くらいまで入った段階で、もう耐えきれなくなっていたのだった。

 射精がしばらく続いたが、それをもお構いなしに、機械はどんどん少女の中にペニスを突っ込ませていく。

 想像とは遥かに違う締まり方だった。

 思っていたものとは比べものにならないくらいに、狭くてきつく、未発達ながら小さいオンナはペニスをすっかり受け入れて蠢き、段を作りながら強く圧迫してくる。それでいてやわらかで優しく、どこまでも心地よい感触なのだった。

 これが……女性器というものか。まったく、何も知らなかったんだな。

 根元までねじ込まれた段階で、やっと2分程度の射精が終わった。

「ひゃああああ!!」
女の子はえもいわれぬ快楽を魔族によって与えられ、ガクガクとイキ続けて、ついには気を失ってしまった。

 すると、次の少女が部屋に入ってくる。僕は彼女と抱き合った。この女の子も、小学生くらいだった。

 機械がペニスを突き上げる。出した直後であるにもかかわらず、性欲はすぐさま復活し、前立腺に蠢く謎の固まりと、少女の悩ましい肌触り、シコシコした生足が僕の足を滑る感触によって、すっかり元通り勃起させられているのだった。

 しかし、さすがに連続となると、怖さの方が目立ってくる。僕は何とか腰をひねって、挿入に持ち込まれないようにペニスをオンナ表面から外した。

 だが、それを敏感に察知した魔族の機械は、僕のお尻をひねり直し、再び垂直にオンナ表面に亀頭が当たってしまう。今度はどう力を入れても、体勢を変えることができなかった。お尻に取り付けられた機械に、完全に操作されてしまっている。

 ぐぬぬ……

 ちいさなオンナに、ペニスが容赦なく入っていく。ついに根元まで、すっかり少女の中に入ってしまった。

「うはぁ……」
さっきと同じように、言葉では言い表せない感触がペニス全体を覆い尽くす。こんなの……耐えられるわけがないよ!

 しかし、お尻の機械は容赦ない。ぐにぐにと僕の腰をゆっくり動かし、無理にでもペニスをゆっくり出し入れさせてくる! 単調だが揺るぎない動きで、ペニスはゆっくりズリズリされる。すると蠢くオンナの感触が、名残惜しそうにペニスに吸い付き、内部の性感神経をこれでもかと逆なでしていく。

 女の子はペニスをギュッと締め付けた!
「ああっ!」
僕はブルルッと震えて少女を強く抱きしめた。彼女もゆったりと腰を動かし、ペニスの動きに身を合わせながら、ぎゅっぎゅっとオンナを力ませて、ペニスをきつく締めてくる。そのつど、快楽が波のように強く強く体の奥に刻みつけられることになった。

 まさに、オナニー時に妄想していた耐久勝負そのものだった。

 だが、想像しているよりも遥かに気持ちよく、制限時間内に耐えきったり、さらには相手を絶頂に追いやったりすることは、まことに困難を極めるものであった。

「うあ……イクっ!」
どくどくどくっ!

 ついに僕は我慢できずに、少女の中でペニスを爆発させた。幾ら射精しても、精液は魔族のもの。着床することは100%ないのだった。



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