魔族新法

 


「う……うう……」
ふと気がついてみる。そこは電車の中ではなかった。

 ホテルか……洋館か……長い通路が続いていて、前後左右に迷路の如く拡がっている。

 部屋もいくつかあるようだった。

 体の調子は……悪くない。

 疲労感もなく、それどころか、心がなぜか高揚し、ドキドキさえ感じるのだった。

 立って歩き回れそうだ。僕は起き上がり、さらに周囲を観察する。

 ここはいったいどこだろう。

 すべての通路や部屋に赤い絨毯が敷かれていて、布団のようにやわらかい。歩きにくいくらいだ。どこででも寝られる、ということを意味しているわけだな。

 この建物自体が、もはや敵の巣窟であることは、十分想像できる。

 僕は捕らえられてしまったのだ。簡単には抜け出せないし、この先僕を待っているのが何かも十分に分かっている。

 この館には、間違いなく大勢の女敵が潜んでいる。そうして、僕を快楽漬けにし、抵抗を止めさせようという魂胆だ。

 その手には乗るものか。

 ……だが、あの注射のせいか、時間が相当に経過しているためかは分からなかったが、性欲はギンギンによみがえっており、ペニスはすぐにでも勃起してしまいそうなくらい、体の奥がくすぐったく疼いている。

 それでも、僕は絶対に快感には屈しないぞ。あの男性が言っていた通り、こっちが射精せず、相手を絶頂させてやれば、それだけ魔族は“手駒”を失っていく。ほんのわずかな抵抗かも知れないが、強い意志で臨むことによって、何らかの活路が見いだせるかも知れないんだ。

 通路のあちこちに、上からモニターが吊されている。そこには、町や家での実際のセックスの様子や、さまざまな年代のあふれんばかりの美女美少女たちの裸が延々と放映されている。さらに、”性欲増強プログラム”の機械的な模様が渦巻く様子も映し出されていた。

 僕は視線の片隅に飛び込んでこざるを得ないこれらの映像を目の当たりにしながらも、先に進んでいかなければならないのだった。

 歩けば歩くほど、くすぐったい性欲の疼きは高まっていく。モニターから発せられる快音はむしろ心地よく脳天を痺れさせ、性的なものに対して敏感になり、女性の魅力に弱くなっていくのを実感する。

 自分で抜いてしまおうか、とさえ思わせる心地よさだ。オナニーして抜けば、この館の中で、魔族に精を一定間隔で提供し続けることに繋がりそうだが、それでも敵の女に射精するよりは、幾分マシであるかのように思えるのだ。

 だがもちろん、そんなことを許すほど、相手も甘くはない。

 僕の性欲が格段に高まった段階で、つまり誰にも触れられてもいないで、モニターに映る女体と模様を脳に焼き付け、さらに何度も思い出すことによって、ペニスはすでにはち切れんばかりに勃起しきっていた。

 近くの扉が開かれる。そこから、1人の美少女が出てきた。

 6年生くらいの少女は全裸だ。僕はいきなり彼女に抱きつかれる。背の低い彼女の頭部が僕のお腹にうずめられた。

 もはや誘惑など必要ではなかった。僕の方が勃起戦において、初めから敗北してしまっていたからである。

 女の子は膨らみかけた胸を僕に押しつけ、太ももで僕の脚をスリスリしながら、手でペニスをしごいてきた。

 心地よさについ腰を引いてしまう。射精したくてたまらないくらいに高められてから、実際に妹くらいの少女の全身で刺激されてしまえば、すぐにでも精液を搾り取られてしまいそうだった。

 僕も負けてはいられない。少女のツルツルのオンナを手で撫でさすり、見よう見まねだが刺激を与えてやる。

 彼女にとっても、男性に刺激されるのは心地よいらしく、いっそう足を開いて僕の手に応じるのだった。

 捕まってしまった身ではあるが、それでも、ほんの僅かな時間ではあっても、レジスタンスの人たちと交流ができ、抵抗への接触を試みることができたことは、僕にとって大きな励みになった。

 何より、この世界が洗脳状態で暴走していて、魔族のいいように支配されているように見えながら、実はごく簡単な手段によって、洗脳を解き、真人間に戻す方法を聞くことができたのは、まことに大きな収穫だった。

 敵に捕らわれたとしても、それでもなお、必ず“突破口”はある!

 どれほどのピンチになっても、時間がかかったとしても、必ずひっくり返せる。

 チャンスが来れば、それでも一歩、前進することができるんだ。

 人類に希望が、僅かでも残っていれば、絶対に魔族の支配から解放される日は来る。

 それを信じて、僕は僕なりに戦い続けるしかない。敗北が続こうと不運が永続するかに見えようとも、それでも僕は、絶対にあきらめない!

 その固い信念が、僕の性的な衝動を抑えることにつながった。元来性的なものや行為を嫌っていたことも手伝って、さっきまでの性的な衝動も消え失せ、完全に戦闘モードに入ったようだ。

 だから、目の前の少女のやわらかく小さな手が、ペニスをいじり、撫でさすり、先端をくすぐったり、ギュッと握りしめてはゆっくりしごいたりしてきても、すぐに射精にいたるほどには追い詰められないのであった。

 逆に、彼女のツルツルのオンナのあちこちを撫でさすっていきながら、彼女が腰をくねらせて性感の悦びに顔を上気させていることに、僕は幾ばくかの自信を持ち始めているのだった。

 こんな形の耐久勝負もあるんだな。

 性器結合からスタートする耐久勝負では、まずこちらに勝ち目はない。

 だが、他の男性があっさり射精して、魔族によって気絶するほどの快感が女体に与えられ、それ以外の性的な刺激を知らない少女にとって、僕の指の動きは、完全に想定外の快楽だったのだろう。

 それは魔族から与えられる、ただ全身の性感神経をダイレクトに擦り切れるような快感ではなく、ジャブを打つようにじわじわと時間をかけて追い詰められていくタイプの快楽なのだった。

 一気に瞬時にして気を失うのとは違って、正気を保ったまま、ひたすら心地よさが持続していくタイプの気持ちよさに、少女はますますはまり込んでいく。これなら……勝てる!

 レジスタンスの男が言っていたではないか。我々の手で女たちを絶頂させることができれば、彼女たちは洗脳が解け、魔族の支配から解放されるのだと。

 こちらがイッてしまったら、彼女たちは解放されず、気を失うばかりである。

 だから、耐久しなければならないんだ。

 僕と少女との、手だけを使ったイかせあいのバトル。先にイッた方が負けなんだ。

 ますます、負けるわけには行かなくなった。

 僕はこみ上げる女手の快楽に抗いながら、必死に女性器のあちこちを指先でくすぐり、内部へと潜り込ませていく。

 そのうちに、少女が特に感じて、可愛らしい声を上げる部分があることを突き止めた。僕はそこを重点的に責めるべく、さらに奥まで指をねじ込んでいった。

 すると少女は、さらに息を荒くして、ペニスを責める手を緩めていく。僕の快感はさらに減り、ますます有利になっていく。彼女は自分の快感に酔いしれ、僕を射精させようとすることについて、ついついおろそかになっているようだった。ますます勝機はこちらにあった。

 これまで、彼女は手や生足や全身コキで、幾多の男性を射精させてきたのだろう。そのちいさなオンナに大人のペニスをねじ込んでも、自分が感じる前に男たちは射精してしまい、魔族による快感しか知らなかったのだろう。

 だから、僕との手勝負では、完全に僕の側に軍配が上がるようになった次第である。あと少し。もう少しで、この未熟な少女は、自らの肢体を駆使して僕をイかせる使命を忘れ、自分の快感に没頭して、絶頂を迎えるのだろう。

 そうすればこの娘は、洗脳が解け、魔族の手先となって働くこともなくなるはずである。

「あう!」

 女の子は小さく鳴くと、ビクンと体を震わせた。自分でオナニーくらいはしたこともあったかも知れないが、男にクリトリスをさんざん弄ばれていった経験まではなかったのだろう。

 少女は我を忘れたように、数秒間ぼんやりしていた。

 レジスタンスの男が言うように、これでこの娘は、洗脳から解放されるはずである。

 ぷしゅううう!!

「!!?」

 とつぜん、天井から霧のようなものが吹き付けられた! 僕と少女は、その霧を全身にあび、肺の奥まで吸い込んでしまった。

 うっく……体の自由が……きかない……

 目の前の女の子は、ぐったりとその場に尻餅をついてしまった。僕も……立っていられなくなる。

 目の前の光景が、夢を見ているみたいに錯覚する。あるいは、昨日の出来事をただ思い出しているような、自分が自分でないような、目の前の光景がリアルタイムな現実と感じられなくなる。

 そのまま倒れ込んでしまいそうになり、僕も床にへたり込んでしまう。そして意識はさらにもうろうとし始め、少女とともに、僕は床に倒れ込んでしまった。

 ……。

 ……。

 どのくらい時間が経ったのか、分からない。

 どうやら僕は、何者かに運ばれ、別の場所に連れてこられてしまったみたいだ。

 拘束はされていない。

 周囲を見回す。

 4畳くらいの小さな部屋。殺風景で、何も飾られていない。

 病室のベッドのようなものに寝かされていて、窓もなかった。思い鉄の扉には……やはり鍵がかけられている。

 この部屋には、殺風景なベッドと、モニターが一つ設置されているだけで、他には何もないのだった。

 どこかに隠しカメラでもあるのだろう。僕が気がついたとたんに、モニターの電源が入った。

「あっ!」

 そこに映し出されている光景に、僕は唖然とした。

 さっきのあの少女だ!

 女の子は、椅子に縛り付けられ、手首も足首も拘束されていた。体を動かすことができず、ただ全裸でじっと座らされているのだった。

 そしてその少女の周囲に、3人の大人の女性が取り囲み、少女の全身を優しくまさぐり続けているのである。

 1人は、背後に回って少女のお胸を撫でさすり、揉みしだいている。もう1人が、彼女の内股や足の裏まで、下半身を愛撫していた。

 そして、横に立っていた3人目の女性が、僕がモニターを見始めたのを合図に、少女の股の間に顔を埋め、オンナに舌をねじ込んで、上下に妖しく動かし始めた。

「ひああ……やめ……」

 女の子は懇願するように、泣きそうになりながらも、体をビクンと反応させる。

 女性同士であるからこそ、女体の感じるところはよく知っている。年端も行かぬ、経験の浅い少女は、何度も自分の女体に快楽を与え続けてきた大人の女たちの、ツボを心得た愛撫テクニックの前に、なすすべがないのだった。

 モニターが映し出される前から、すでに2人の女性が、少女の上半身と下半身をまんべんなく撫でさすり愛撫し、同時に感じやすいところをピンポイントで責め続けていたのだろう。

 そうやってさんざんに追い詰められたところで、3人目の女性による少女へのクンニ攻撃が始まり、一気呵成に絶頂へと突き進んでいく。

 しこたま感じさせられながらも、2人の女性は、少女のオンナには指1本触れていなかったようだ。そのために、イク寸前まで高められていながら、決定打に欠けている状態だった。

 半ば絶頂に近い快感を全身に長時間与えられ続け、僕が気がつくと同時に、3人目が熟練のクンニに入る。ひとたまりもなかった。

「いやあっ!!」

 そう言いながらも、女の子は全身をがくがくと震わせて、最後の仕上げとして直接性器を舐めまくられたことで、瞬時にして絶頂まで追いやられてしまったみたいである。

「あう……はぅっ! あああ!」

 イッた直後の少女は白目を剥き、半ば気を失いかけるように脱力した。

 すると3人目の女性が鍵を取り出し、少女の手足の拘束を解いた。ベルトも外され、彼女は椅子から転げ落ちるように、床に倒れてしまった。



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